トップページ山行リスト(日付)>遠見山・大杉山_記録20060422


遠見山・大杉山

 山行日
2006年4月22日(土)   晴  単独行
 コース
中川橋(8:24)〜(9:08)540m峰(9:15)〜(10:31)遠見山(11:40)〜(12:05)大杉山(12:20)〜(13:11)馬草山東面(13:15)〜(14:11)中川温泉(ぶなの湯)(15:15)〜(15:30)中川温泉入口
 いつだったか、晴れた日の下、二本杉峠から下って細川橋に向かう時、正面に聳える山がとても印象的でした。その時、立ち止まって地図を取り出し、調べてみますと、その山名が遠見山であることを知りました。(この山は、丹沢湖の南側から眺めても、ちょっと気になるピークです。)

 今回、この山を登ってみようと思い、ルートを調査。登山口は、いろいろあるようですが、s-okさんのHP「ようこそ!山へ!!」や、今年初めに購入した書籍「静かなる尾根歩き」松浦隆康(新ハイキング社:H17年12月発行)では、中川橋からのルートが書かれてありました。その後、しんごさんのHP「お山の散歩行きませんか 静かな山が良いですね」にて、今年2月にこの山域を歩かれている記録を読みました。それ以外にも情報をいろいろ集めましたが、初めての山域ということ、今年1月末に10数人の遭難救助が馬草山付近で発生したこともあり、結局、遠見山、大杉山、そこから中川温泉へ下るという、極めてオーソドックスなルートとしました。
 なお、しんごさん同様、そんなに迷いやすいものなのかと、私もルートを検証しながら、歩いてみました。


 谷峨駅に7:37着。前回の4/1では、駅前の桜が咲き、花見のシーズン真っ盛りだったが、今回は、すっかり葉桜になっていた。バスを待つ乗客は、全部で7人。それほど多くはない。バスは、少し遅れてやってきた。谷峨から乗ってきた登山者を乗せて、車内の座席が、ほぼ埋まった。

 8:20、中川橋で下車。ここで下車したのは、自分一人だけだった。
 バスから降りると、風が冷たいせいか、涼しく感じる。それでも、これからのことを考えて上着を脱いで、ザックに挟み込む。少し、車道を戻り、丹沢湖に架かる中川橋に向かう。(8:24)
[中川橋バス停(振り返って撮影)]

 中川橋の上では、湖上ということもあり、さらに涼しく感じた。
 左手には、箒沢権現山が岩の塊のように盛り上がった山容を見せている。
 さて、橋の先の駐車場とは、どこだろうと思いながら、橋を歩く。事前情報では、駐車場の傍に遠見山への階段があるということになっている。
[中川橋の上で箒沢権現山を眺める]

 橋を渡ると、すぐに左手が駐車場だったことに気がつく。また、ほぼ正面には、山に登るような階段があった。
 「これだな」と思い、階段を登る。階段の山側は、ササが繁っていたが、階段部分は、草茫々にならないように手入れがされていた。
 階段を登った後、左手を眺める。(写真下)
[中川橋を振り返る]

 階段を登ったら、植林帯の斜面に出た。山道のようなものは、見つからず、とりあえず、歩きやすい部分を選んで、登っていく。
 そのうち、左手部分の植林の端が、歩きやすい(人の踏跡らしきものを発見)ということが、わかり、斜面を登っていく。だが、早くも息が切れ始めた。
[植林の斜面を登る]

 斜面が急になっていくと、前方は、ササが密集していた。こりゃ、ヤブ漕ぎになるかと心配したが、近づいていくと、それは、杞憂に終わった。
 また、そのうち、ササ原の中に山道らしきものを発見。このため、楽に進めることが出来た。

 9:08、小ピークに到着。(写真下)
 ここは、地形図上の540m峰だった。ザックを置いて、ちょっと周囲を散歩してみる。南側の丹沢湖方面は、新緑の木々が美しい。残念ながら、湖自体は、そんなに見えなかった。
 9:15、出発する。
[540m峰に到着]

 ピークを過ぎると、前方の風景は、ヤセ尾根に変わる。しかし、危険と思える程ではない。地肌は、前回のミツバ岳周辺とよく似ている。
 ミツバツツジの木が、4本ばかり集まっており、見事な花を咲かせていた。思わず、デジカメを取り出し、撮影する。(写真下左右)
[ミツバツツジが咲いていた(1)] [ミツバツツジが咲いていた(2)]

 ツツジを観賞した後、道は、急斜面になった。ほとんど、直登していくようなルートである。ハアハア言いながら、登っていくと、シカ柵に出会う。(9:29) このシカ柵の左側を進むが、そのうち、柵から離れていった。
 しかし、4分後、再び、シカ柵に近づく。すると、そこは、ちょっとした小ピークになっていた。地図上での590m(等高線から読む)ピークのようだ。
 誰もいない中、一人立ったまま、周囲を眺める。このあたりの土が、前回の権現山と同様、黒くて、ちょっとやわらかく、足には優しい土であることに気がついた。
 9:37、出発。
[小ピークに到着]

 急な下りの後、短いヤセ尾根ゾーンを通過。その後、再び、登りとなる。
 傾斜がきつくなってきた。斜面を斜めに登っていくようにルートがとられていたが、足を滑らすと、そのまま沢に落ちていくようなスリル感あり。

 10:04、またしても小ピークかと思ったが、実際は、尾根の突端のような場所に着いた。ここで、振り返ると、桜が咲いており、その奥には、屏風岩山の稜線が見えた。(写真下)
[屏風岩山方面を眺める]

 写真下は、上の写真の撮影場所と同じ所で撮影。奥は、目指す遠見山である。ここから見るとまだ、道のりは、遠く感じる。
 遠見山は、ピーク付近が、植林帯になっている。先ずは、植林帯に入るまでを第一目標にしようと、気合を入れる。
 10:08、出発。
[尾根の突端にて(奥は、遠見山)]

 10:19、ふと振り返ると、驚いたことに今まで姿を見せていなかった富士山が突如、現れた。今まで、権現山の陰になっていたようだ。今日の富士山は、雲に覆われることもなく、白い頂を見せているが、こんな時に限って、手前の木立が密だった。
[振り返ると富士山の姿が]

 10:22、ようやく第一目標の植林帯に突入。ここまで来れば、頂上は、近いと思ったが、意外にも植林帯が長く感じる。斜度もそれなりにあり、スローペースになってしまう。
[植林帯に突入]

 頂上が近くなると、左手にミツマタの群落が現れた。しかし、開花のピークは、過ぎているようで、花の色は、黄色から白色に変わっていた。

 10:31、シカ柵にぶつかる。このあたりが、頂上だが、何か標識のようなものは、ないかと、南東側に進んでみると、シカ柵に掛けられた「遠見山」という標識を発見。(写真下)
 山頂からの視界は、植林のため、周囲の山々は、殆ど見えない。丹沢湖を見下ろすような風景を期待していたが、ちょっと残念。
[遠見山の頂上に到着]

 この標識の前で、空腹感もあったので、昼食をとることにした。
 日陰に入ると、風が冷たい。Tシャツ1枚では、ちょっと肌寒い。薄いウインドブレーカを着用する。
 ロールパン、バター、ベーコン、辛子、ソーセージ等、いつもの昼食。手軽さを優先し、ロールパンにベーコン(またはハム)というのが、最近の定番になっている。
 食事後、三脚を延ばして、中型カメラを取り出し、ミツマタの撮影に取り掛かる。その時、ミツマタの奥から人声が聞こえた。なんと、団体さんが自分と同じ方向から登ってきた。15、6人ぐらいの団体さんだった。こんな山に団体さんとは、珍しいと思いつつ、撮影を続行する。
 山頂に長いこと、留まってしまった。11:40、出発する。
[頂上は、ミツマタの群落があった]

 大杉山に向かうべく、スタートする。
 途中、振り返って、山頂のミツマタ群落を撮影。(写真下)
[頂上のミツマタを振り返って撮影]

 地形図上では、殆ど平らな稜線歩きとなっているが、まさにそれが実感できる。しかし、ここの植林帯は、樹高があり、密集しているため、他の山が、殆ど見えないのが、残念なところ。
 山道の右側には、シカ柵が続いていた。
 そのうち、右手のシカ柵が、終わる。このあたりが、大杉山かと思ったが、まだ歩いた時間から見ても、まだ先であることを確認する。植林の中、どんどん進んでいく。
[遠見山から大杉山へのフラットな道を行く]

 前方の小高い丘を登ると人声がした。先程の団体さんが、休んでいるようだ。すると、三角点の上にある標識が目に入った。(写真下)
 12:05、大杉山到着。今回は、簡単に三角点を見つけることが出来た。

 ここで、ちょっと立ったまま、小休止。団体さんが、列をなして目の前を右から左に歩いていく。どうやら、北側の956m峰方面に行くのではなく、中川温泉に下るようだ。
 それだと、同じ方向になってしまい、ルートを探すと言う意味では、あまり面白くない。そこで、間隔をあけるため、この山頂をちょっと散歩して過ごす。
[大杉山の三角点にて]

 たった今、団体さんが出発していったので、下るべき方向が、わかってしまったが、もし、他に誰もいなかったら、果たして正しく、下り道を見つけることが出来るだろうかと自問してみる。
 三角点から少し離れた所で、ピンクのテープが切り株に結ばれていた。(写真下)このピンクのテープを地図と照らし合わせることで、下るルートは、見つけられるだろう。
 しかし、このピンクのテープがないと、それも怪しいなというのが、正直なところ。
 12:20、山頂を出発する。 

 【2006-6-12追記】
 写真下のピンクのテープは、なくなっていた。
[ガイドしてくれるピンクのテープ]

 ピンクのテープを目印に進んでいく。すると、いきなり急斜面に出くわす。ここを慎重に下り、その後、どんどん下っていく。このあたりは、右手が、ガケであるため、ルートは、分かりやすい。

 12:35、尾根の突端のような箇所に到着。見れば、前方は、ガケである。ここは、左側を通るようにピンクのテープがついていた。その後、細い尾根を進んでいく。
 このあたりもピンクや赤のテープがあるが、これらのテープがなかったら、左手の沢の方に早めに下ってしまいそうである。

 【2006-6-12追記】
 ピンクのテープは、なくなっていた。
[大杉山ピークからの急な下りを振り返る]

 12:40、尾根が広くなり、歩きやすくなった所で、地形図を取り出す。正面に植林帯の小山が見える。これが、中川温泉手前の馬草山であることがわかった。
 足元に小さなケルンがあった。(写真下)
 12:47、出発。
[小さなケルンがあった]

 【補足:2006-5-2】
 上記ケルンが何のためあるのか、よくわからなかった。ルート的には、単なる通過点で、そのまま、まっすぐ進んでいく。
 その後、30〜40m進んだ地点で、「水源の森林 標柱048」の小ピークから左折する。(誘導のテープもあり)
[水源の森林 標柱048  byしんごさん]

 12:50、下っていく途中で、ロープが現れた。
 ロープが絶対必要という程の斜面ではないが、結局、ロープを使いながら下っていく。
[ロープが現れた]

 正面には、木立の向こうに権現山(世附)が大きい。よく見ると、権現山の南側に富士山の裾野が見えた。つまり、手前の権現山のせいで、富士山が隠れているのが、わかった。
 このあたりの風景は、「しんご」さんのHPで、見覚え有り。
[世附権現山(左)と馬草山(手前右)を望む]

 ロープのある斜面を下り、水平になったところで、右寄りに進む。ちょうど尾根の右端のようなところである。そのさらなる右手は、沢の源頭部で、足を踏み外すと、そのまま涸沢を滑り落ちていきそうだ。注意して進む。
 そのうち、左手は、フラットな植林一帯となる。(13:02) このあたりも、地形図がないと、進むべく方向を見失いそうだ。ここの植林帯も、樹高があり、視界を遮っている。

 13:04、正面に馬草山の斜面が見えてきた。今回は、踏跡を忠実にたどって進むことにする。ピンクテープを目印に斜面を登っていくが、登りきる手前で、踏跡は、右側にトラバースしていた。
[956m峰を木立の間から望む]

 馬草山の東側斜面をトラバースする際、見下ろすと、ミツマタの群落が目に入った。
 結構、大きな群落である。だが、開花のピークを過ぎているため、白っぽく見える。
[ミツマタの群落と遭遇]

 ちょっと顔を上げて、956m峰方面の山を眺めると、その山腹は、山桜がちょうど満開だった。山桜が、こんなに多く存在していることにビックリ。新緑の木々との調和に見惚れる。
[山腹は、桜が満開]

 そんなトラバースルートを歩いている時、背中のザックから、ブチッとの音がした。何かと思ったら、ザックの蓋の部分に縫いつけてあった細いベルトが、抜けたことがわかった。
 このザックは、10年以上使用しており、内装のコーティングは、ボロボロである。(雨が降ったら、ザックカバーをしないと、内部は、ずぶ濡れになりそう)しかし、致命的な部分が、壊れないので、長く使用できている。今回も、破れた部分を修繕すれば、まだ使えるだろう。
[ザックのベルトが破けた]

 13:17、斜面をトラバースしていく。(写真下) 
 正直なところ、この手の道が苦手で、どうしても山側に重心が偏る。このため、左右のバランスが悪く、不安定な格好で歩くことになってしまう。
 このあたり、踏跡がはっきりしなかったり、一部、沢に転げ落ちそうになる箇所があり、緊張して通過する。
[トラバースルートを通過する(一部スリル感あり)]

 13:20、トラバースするルートを終え、植林帯に入っていく。(写真下)
 ここのテープ(紐)は、黄色だった。(今まで黄色は、ルートとは別な箇所についていたのが多く、注意が必要だった) 

 13:25、さっきの団体さんが、左側正面から突如、現れた。馬草山ピークを経由して、来られたのかなと推察。(単に歩いているのではなく、このあたりのルートを調査しているようにも見えた。この間の遭難救助に関連しているのかなとも思った)
[緩やかな斜面の植林帯に入る]

 道は、下りになった。このあたりの山道は、明確である。
 ここの植林も、樹高がある。
[植林帯の中を下っていく(振り返って撮影)]

 どんどん、山道を下っていくと、眼下に屋根が見えた。中川温泉の旅館の屋根だった。
 13:53、小広場に出た。(写真下)
 ここで、小休止していると、さっきの団体さんが、追いついてきた。
[小広場に出た]

 まだ時間に余裕があるので、中川温泉の日帰り入浴施設、ぶなの湯に立ち寄る。
 土曜日の午後だったが、そんなに混んでいなかった。(14:11〜15:15)
 料金700円(2時間)。
 内湯ではなく、露天風呂の方で、ゆっくりする。
[ぶなの湯に立ち寄る]

 ぶなの湯から出るが、バスの時刻まで、まだだいぶ時間があったので、ぶらぶらしながら、中川温泉入口バス停まで歩いていく。
 15:54、バスに乗車。こうして、今回も無事、帰路についた。
 [中川温泉入口バス停に到着]


 このエリアが迷いやすい理由について、考えてみました。
  ・植林帯は、樹高があり、密生しているため、視界が悪く、進路方向を間違えやすいこと
   (これは、谷ヶ山のときも感じたことで、密生した植林帯は、迷路になりかねない)
  ・沢と尾根が入り組んで、複雑な地形をしていること
   (そんな中にフラットな箇所があると、これまた進路方向が分からなくなる)
  ・山道も不明瞭。
   (踏跡程度が多い。近づかないと発見できないことが多い)
  ・道標も当然なし
   (現在、ピンクのテープ等のみ)
などが挙げられます。そういった意味で、このエリアは、迷いやすい要因が盛り沢山なのが、良く分かります。


【補足事項】2006-5-2
 しんごさんより馬草山へ向かう下りルートの記述に対し、アドバイスを戴きました。ありがとうございました。

【補足事項】2006-6-12
 現在、文中に出てくるピンクのテープが取り外されています。赤(褪せている)や、黄色のポリ系テープが、所々に取り付けられている程度となっており、4月22日の当時とは、マークが変わっています。



※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。