トップページ山行リスト(日付)>椿丸・織戸峠_記録20060715


椿丸・織戸峠

 山行日
2006年7月15日(土)   晴後曇      単独行
 コース
浅瀬入口(8:17)〜(9:04)浅瀬(9:10)〜(10:05)法行橋(10:09)〜(11:08)中第二法行沢橋〜(12:33)椿丸(12:47)〜(13:40)織戸峠(13:50)〜(15:20)菰釣橋〜(15:36)水ノ木橋(15:50)〜(17:15)浅瀬
 「山と高原地図28 丹沢」(昭文社)など、市販の丹沢登山地図を見ると、丹沢湖の西側に広がる山域は、登山道が殆ど記載されていない空白地域となっています。丹沢を歩き始めて以来、いつかは、この山域を歩いてみたいと思っておりました。
 そんな折り、s-okさんのHP「ようこそ!山へ!!」に出会って、丸尾山(2005年5月)、西丸・東丸(2006年5月)と歩くことができました。しかし、なんといっても奥深いのは、椿丸でしょう。大栂も奥深いと言えますが、個人的には、菰釣山から近いこともあって、ちょっと椿丸ほどでは、ないと感じています。
 今回は、その椿丸登頂が目的です。非常に気合が入っています。そのため、今回は、いろいろと事前にルートを調べてみました。s-okさんのHPは、もちろんの事、M-KさんのHP「俺の山紀行」、y-kさんのHP「山の子」、しんごさんのHP「お山の散歩行きませんか 静かな山が良いですね」など。(皆さん、椿丸には、登られているのです)
 その結果、今回は、最短で間違いなく登れるコースを選択しました。(でも実際は、その通りには、なりませんでしたが)
 また下山してからも、いろいろと驚いた事がありました。
 詳細は、以下をご覧下さい。


 週末としては、久しぶりの好天気となった。天気がよい分、仕度にも気合が入る。
 5:40、自宅を出発し、途中でコンビニに立寄る。昨日の帰宅が遅く、いつものスーパー(23時まで開いている)で、食料の事前購入が出来なかったからだ。最近は、当日の早朝でもこうやって食料が調達できる。何と便利な世の中だろう。
 今回も中型カメラは、家に置いてきた。今日は、
 1)どう見ても暑くなりそうで、ザックの重量を増やすのは、極力避けたい。
 2)三脚を立てて撮影しているほどの時間がとれないだろう。
との理由からだ。

 谷峨駅には、7:37着。
 7:46発のバスを待つ。バス停には、10人ちょっと。
 バスを待つ間、上空を見上げてみると、何故か巻雲が見えた。この後、天気が崩れるのだろうか。しかし、今は、太陽光線が強烈だ。真夏の日差しそのものだった。
 7:50頃、バスが到着。車内は、座席が埋まる程度の乗客数。(40人強といったところ)
 この暑いシーズンに西丹沢を訪れる登山者がこんなに多いとは、思わなかった。

 8:15、浅瀬入口バス停にて下車。
 他にも、単独行の登山者、7人ぐらいの団体さん(登山者)が下車。
 バス停で記録撮影した後、トンネルに向かう途中で、タクシー会社に電話してみる。
 もし、すぐ来るのであれば、浅瀬までタクシーで行こうと考えていた。しかしながら、タクシーが来るのは、9時ぐらいになってしまうとのことで、あっさり諦めて、歩くことに決める。
[浅瀬入口バス停にて下車]

 トンネルを抜けると、正面に富士山が見えた。(といってもギリギリだが)
 前方には、先ほどの団体さんが、楽しそうに話しながら、歩いている。ここからだと、どこの山に登るのだろうか。不老山?ミツバ岳?まさか椿丸?そんなことを思いながら歩いていたら、団体さんを世附大橋のところで、追い抜いてしまった。
 8:45、滝壺橋通過。この4月にミツバ岳から下ってきた場所だ。

 9:03、浅瀬の駐車場に到着。車は、結構多く、30台弱といったところ。殆どが釣人と登山者だろう。
 しかし、暑い。この時点で、もう汗ダクダクである。
[トンネルを抜けると富士山が見えた]

 9:04、浅瀬ゲートに到着。ここには、飲料の自動販売機があり、小休止。今日は、ペットボトル4本(計2リットル)では、足りないのではないかとちょっと考える。だが、ここで、500ccの缶サイダーを買って、飲んでしまった。1本分の水分を摂取したので、ペットボトルの補給は、せず、出発する。(9:10)
 よく考えたら、浅瀬には、登山の帰りに来ることはあっても、出発時に通ったことがないことに気がついた。それゆえ、見る景色も新鮮だった。
[浅瀬ゲートにて]

 林道を歩いていると、ヤマユリの花を発見。(写真下左) もう既に開花ピークは、過ぎていたが、あらためて、この花の巨大さを認識する。

 9:16、浅瀬橋を渡った分岐点に到着。(写真下右)
 ここから大又沢沿いに歩いていく。自己未踏のルートである。
[ヤマユリ] [浅瀬橋を渡った先の分岐点にて]

 強い日差しの中、木陰があると、まだいいのだが、そう甘くは、なかった。
 「暑いゾ」と心の中では、思いながら、林道を黙々と歩いていく。
 この林道、実にフラットな感じで、殆ど登りを意識することなく、歩ける。
 最初は、釣人とすれ違っていたが、その後、捕虫網を持った男性2名とすれ違う。何が目的だろう。蝶だろうか。
[強い日差しの中、林道を歩く]

 10:05、法行橋に着いた。
 ここでも捕虫網を持ったグループが休憩していた。
 橋を渡って、左手に近道(踏跡)がないか、ちょっと目を通してみる。というのも椿丸に続く法行沢林道は、左手の上の方を通っているのだ。結局、よくわからず、このまま幹線林道を歩いていく。
 ちなみに、この場所にてM-KさんのHPでは、
  『橋そばから崖、笹こいで直に上の林道に上がる。』
と、(法行橋−富士見峠)コースの時、書かれてあった。
[法行橋に到着]

 法行橋を渡って、ものの5分ぐらいで、法行沢林道分岐点に到着。
 ここで、Uターンするように法行沢林道に入る。
[法行沢林道との分岐点:(左:歩いてきた林道、右:法行沢林道)(振り返って撮影)]

 林道を進む。またしても捕虫網を持った男性2名と出会う。

 だんだんと山奥に入っていく雰囲気となる。(写真下)
 写真下は、y-kさんのHP「山の子」に掲載されている写真と、ほぼ同じだった。(帰宅後に気がついた)
 それにしても日陰が少ない。徐々に歩調が遅くなっているようだ。
[山の中に入っていく]

 10:54、中法行沢橋通過。
 この後、広がる視界の方角が変わる。手前の沢の向こうに北北東の山(大栂)のピーク付近が見えた。
 前方で、子ジカが1頭、林道に飛び出した。しかし、すぐさま、方向転換して、再びヤブの中に消えた。そういえば、法行沢林道の最初の方で会った捕虫網の二人以来、人に出会っていない。

 11:08、中第二法行沢橋通過。(写真下)
 本当に暑い。顔の汗が顎から滴り落ちる。
[中第二法行沢橋]

 急斜面の整地に到着。(11:12)
 ここは、M-Kさん、y−kさんのHPでも登場してくる場所だ。
 この後、右にカーブしながらの登りとなる。
[急斜面での整地に到着]

 Uターンするような右カーブを登ると、写真下のような光景に出会う。(11:16)
 ここもHPで、よく出てくる場所だ。
 椿丸に続く稜線(写真の左奥)には、ここから取り付けばよく、ようやく林道歩きから解放されるということで、小休止する。
 腰を下ろして水分補給。いきなり、ペットボトル1本を一気に飲んでしまった。

 11:30、鹿除けネットの左側のササヤブから、登ろうと出発するが、ケモノ道の通りに進んでいくと、足下の道が消え、いきなりガケが現れた。(よそ見していたら、危険だった)
 それならば、ネット沿いを歩くかと進んでみるが、背丈以上の猛烈なササヤブで、進む気になれず、林道に再び出る。すると林道がまだ続いているのに気がついた。
 この林道の先からでも登れるのではないかと、全く別ルートを探すつもりで、林道の続きを歩くことにした。(ダメなら引き返せばよいと思っていた)
[椿丸手前の尾根を望む]

 林道を進んでいくと、右手に視界が広がる。よく見ると右下に歩いてきた林道が見えた。何の事はない。先ほどの急斜面の整地の上部に出てきただけのことだった。
 ここで林道は、終わっていた。(写真下)

 林道終点から、そのまま斜面をトラバースしながら進んでいく。
 左側の土の斜面にシカの足跡があり、ここから登れるかとチャレンジするも、ちょっと足場が悪くて登れない。諦めて、さらにトラバースルートを進んでいく。
[林道終点付近]

 さらに進んでいくと、土の急斜面に出た。斜面の中に細い涸沢があり、その先がヤブにつながっている。沢の直登は、無理だが、草木沿いに斜めに7、8m登れば、手前のヤブに届く。そうすれば、椿丸へ続く尾根に登れるなと思い、チャレンジする。
 
 急斜面を登る手前で、撮影。(写真下)
 写真下は、そのままトラバースしていった時の方向を見下ろすように撮影している。よくみると、石垣のような人工物が見えた。ということは、林道の続きが反対側からすぐそこまで来ているのかもしれない。(地図には、何も記載されていないが)
[急斜面を登る途中、トラバースルートを見下ろす]

 ヤブに突入。ケモノ道が入り乱れている。ややトラバース気味に進んでいく。
 すると、5分もしないうちに涸沢に出た。(写真下)
 こんな無理してヤブの中を登らなくても、先程のトラバースルートをもう少し進んだ後、この涸沢沿いに登ってくれば、もっと楽だったようにも見えた。
[ヤブの中を突き抜けると涸沢が目に入った]

 沢の源頭部となる緩い斜面を登っていく。目の前は、人の手が入っていない自然林である。日光が射し込み、ペースがだいぶ遅くなった。
[自然林の斜面を登る]

 自然林の傾斜が緩い方向(左方向)に、向かって歩いていく。尾根の上に乗ったら、反対側には、鹿除けネットがあった。(ネットの角地だった)ここは、ちょうど林道終点手前から眺められた尾根の上部だった。そうか、最初に行こうとしたササヤブを漕いで登ってくると、ここに出てくるのかと理解した。(写真下)
 反対側の進むべき方向を見ると、立派な踏跡があった。これで間違いなく、椿丸の稜線に出られると一安心。
[ネット越に世附権現山を眺める]

 12:23、ピーク手前で、左右に走る山道にぶつかった。ここで右折し、椿丸を目指す。
 山道の左側(南側)は、植林帯だった。
 その後、椿丸への登り斜面となる。(写真下)
[椿丸への登り]

 12:33、椿丸頂上に到着。(写真下左)
 長年の夢だった椿丸に立つことができ、一人感激に浸る。
 椿丸の標識を見つけた。(写真下右)
 標識の裏には、クワガタが2匹、隠れていた。
 本当は、じっくり丹沢の山々を眺めていたかったが、今日は、時間が惜しい。
 12:47、出発する。
[椿丸山頂にて] [手書き山頂標識]

 椿丸からの北東側のカヤト原を眺める。よく出てくる風景だ。最奥に 菰釣山、その手前に 菰釣山にダブるように見えるのが、大栂。
 やっと、この光景を自分の目で見ることが出来た。
[椿丸から 菰釣山方面を眺める]

 椿山ピークから少し西に進んだところにある分岐点で、丹沢中心部を眺める。
 ちょっと遠景は、雲で見えなかったが、本来であれば、檜洞丸の山並みが見えるところだ。今回は、その手前の屏風岩山までが、どうにか見えるレベルだった。
[椿丸分岐点で、屏風岩山方面を眺める] ・・・ カシミールでの風景は、こちら

 織戸峠に向かう途中、ピークを越えるが、そのピークで、ランチタイムをとった。(13:09〜13:28)
 ここは、日陰で、風も吹く非常にありがたい場所だった。
 谷間の向こうに世附権現山という奥行きのある風景を見ながら、パンをかじる
[途中のピークから世附権現山を望む]

 ピークから、ササヤブの中、緩い下りとなる。遠く北の方から、雷鳴を聞く。どうも入道雲から雷が発生しているようだ。
 長い下りに入った。
 木立の間から見る、前方の山容から、この下った先が、峠であることを確信する。
[踏跡を下っていく]

 13:40、鞍部に到着。ここが、織戸峠であることを先に休憩中だった単独の釣師さんに教えてもらう。釣師さんは、法行沢の渓流釣をしながら、ここまで、登ってこられたとのこと。朝4時に浅瀬ゲートでの通行禁止が解かれると同時にスタートされたらしい。

 周囲の風景をデジカメ撮影する。織戸峠の標識を探す。「オリト峠」と書かれた標識は、予想以上に小さな標識だった。
 13:50、釣師さんに挨拶して、織戸沢方面に下っていく。

[織戸峠に着いた] [織戸峠の標識2つ]

 織戸峠から西に下る旧道らしき踏跡をたどってみる。
 踏跡は、織戸沢の左岸側に続くようだ。
 しかし、ものの数分で、踏跡を見失う。どうも小さなヤセ尾根の上にいるらしく、右も左も沢となっている。右がメインの織戸沢なので、右側に下ることにした。ここで、お助けロープを出そうかと思ったが、それほど高度差がなかったので、慎重に木の枝などを掴んで、沢に下っていった。
[踏跡を下っていくが、すぐにわからなくなった]

 14:06、織戸沢に下り立った。沢は、V字谷のように両岸が壁になっていた。しかし、沢の水量や、沢の傾斜自体は、たいしたことなく、沢に沿って下っていく。
[織戸沢に下り立った(進路方向を眺める)]

 だんだん沢の両岸が開けていき、右から左からと沢が合流する。水量がほぼ同じぐらいの場合もあり、これは、遡行するときだったら、絶対に迷ってしまうなと思った。

 2本のストックを利用して、左岸、右岸と歩きやすい所を選んで、下っていく。2本のストックだと、沢を渡る時にバランスが取りやすい。
 時折、右岸に踏跡があった。
[沢を下っていく(進路方向を眺める)]

 そろそろ、右岸に林道がある頃だと思い、右岸上部をチェックしながら、下っていく。
 赤テープが時々、付いている箇所があった。
 そこで、赤テープのある箇所で、右岸の上に登れないか確認していく。すると、さらに右岸の上部にも赤テープがあるのを発見。沢から離れて、登っていく。
 ほんの7、8m登ったら、林道に出た。(写真下)
 時刻は、14:38だった。
 ここで水分補給。織戸峠では、曇っていたのだが、林道に上がると、日が照り出していた。北側の空には、入道雲が見えた。
[林道に上がった地点]

 14:53、カーブミラーが立っている箇所から下っていけるように赤テープがあった。
 地図を見ると、ここから織戸沢に下ることが、水ノ木橋への近道となるようだ。
 しかし、時間的にも遅いため、多少、遠回りになるが、ここは、何も考えずに歩ける林道経由で水ノ木橋に向かうことにした。
 カーブミラーから20mぐらい進んだ所で、南西側の視界が広がる。(写真下)
 湯船山から明神山あたりの稜線が見えた。
[林道から明神山・湯船山の稜線を眺める]

 ほとんど水平に歩いていた感触で、林道の合流点に出てきた。(15:08) (写真下)
 左折し、すぐ大洞橋を渡る。ここで、ストック2本をしまい込む。
 菰釣山方面には、入道雲がかかっており、雷が鳴っているようだ。

 15:20、 菰釣橋。このあたりは、本当に山深く感じる。
[林道の丁字路に出た]

 15:36、ようやく水ノ木橋手前の林道合流点に到着。見覚えのある標識が出迎えてくれた。
 ここで、林道に腰を下ろし、小休止。考えて見たら、昼食時から一度も腰を下ろしていなかった。
 何と、一人の男性登山者が菰釣橋方面から歩いてきて、挨拶をしながら、目の前を通過していった。今の人は、いったいどんなコースを歩かれたのだろうか、そんなことを考えるのが楽しかった。
 15:50、出発する。この時間であれば、最終バスに間に合うだろう。
[水ノ木橋にて小休止(振り返って撮影)]]

 今日は、殆ど林道歩きだったな〜と思いながら、浅瀬に向かう。ザック内のペットボトルが空になっていることもあり、足取りも、軽かった。

 17:15、浅瀬ゲートに到着。ここで、飲料の自動販売機で、500mlのサイダー、300mlのコーラと立て続けに飲んでしまった。(炭酸が好きだ!〜)
 今日は、本当によく水分を摂った。3リットル以上、飲んでいる。
 17:22、ゲートを出発する。
[浅瀬ゲートに到着]

 さて、浅瀬入口には、18:20まで着くかなと思いながら、歩いていると、一人の男性から声を掛けられた。
 見ると、織戸峠でお会いした釣師さんだった。挨拶をした後、「よろしければ、送っていきますよ」とのありがたいお言葉に今回は、甘えることにした。
 着替えなどをして、17:30、出発。
 こうして幸運にも、谷峨まで送って戴き、本日の山行を終えた。
 [浅瀬駐車場にて(振り返って撮影)]


 【追記】
 帰りの車中にて釣師さんといろいろな話題がでました。
 世附川流域にてヤマメを放流していること。また、放流といっても、卵、幼魚、成魚といろいろやり方があること。
 織戸沢には、1箇所、高い棚があること。
 もう10年ぐらい、世附川に通い続けておられること。
 なかでも、インターネットの話が出て、s-okさんや、M-KさんのHPの話も出ました。釣師の方々にも読まれていることに、うれしさを感じました。

 【謝辞】
 川崎の釣師様
 この度は、どうもありがとうございました。
 あの日は、暑さのため、バテバテで、水ばかり飲んでいました。そんな状況でしたので、浅瀬入口までの歩きがカットされるのは、まさに救いの手でした。
 本当に助かりました。ありがとうございました。

 【補記その1】
 こうして、今回は、無事山行を終え、長年の念願だった椿丸登頂も実現することができました。法行沢林道終点から先のヤブ突入や、踏跡不明の中、織戸沢へ下ったことなど、ちょっと予想外のアクションとなり、時間がかかってしまいましたが、貴重な体験だったと思っております。

 【補記その2】
 s-okさんのHPを2日後に見たら、s-okさんが、私の翌日に椿丸を登頂されてました。1日ずれていたら、山頂でバッタリということもありえた話でした。



※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。