トップページ山行リスト(日付)>塔ノ岳・鍋割山_記録20070210


塔ノ岳・鍋割山

 山行日
2007年2月10日(土)・11日(日) 曇・晴  同行者:父
 コース
大倉(7:12)〜(8:53)駒止茶屋〜(9:15)堀山の家(9:31)〜(10:56)花立〜(11:30)塔ノ岳(12:04)〜(12:40)大丸〜(13:21)小丸〜(14:48)鍋割山(泊)
鍋割山(7:45)〜(8:49)後沢乗越〜(9:35)二俣〜(10:46)大倉
 今回は、父との山行となりました。父といっても、今年で79歳になる白髪の爺サンです。つい最近まで、「丹沢は、日帰りの山」なんて申しておりましたが、一昨年にみやま山荘、昨年、鍋割山荘に宿泊してから、「丹沢は、泊まってこそ、丹沢の良さがわかる」などと、180度違うことを主張しております。昨年の大晦日も爺サン一人で丹沢に向かい、鍋割山荘にて新年を迎えています。
 
 今回、塔ノ岳経由で、鍋割山稜(最近、爺サンが気に入っている)を歩き、鍋割山荘に宿泊するプランを立てました。このコースは、一般的に言って、富士山が眺められ、塔ノ岳山頂での360度の展望があり、ブナの樹林帯あり、鍋割山荘の名物:鍋焼きうどんありと、丹沢の表玄関エリアだけにもかかわらず、丹沢の魅力を結構、カバーできる特徴を持っています。(但し、今回は、鍋焼きうどんは、食べず、山荘に宿泊しましたので、山荘の豪華な食事と樽酒を味わいました)

 そんな訳で、毎度のルートとなりましたが、下記報告します。


<第1日>
 渋沢駅に6:46着。大倉行き始発バスは、6:48。早足で、駅の階段を駆け下りる。
 バスに乗ると、意外にも、それほど混んではおらず、余裕で座席に腰掛ける。その後、続々と登山者が乗り込み、座席は、ほぼ埋った。定時にバスは、発車。車窓から表尾根方面を眺めても、ガスで何も見えない。今日は、完全な曇り空。

 7:02、大倉バス停着。準備運動をして出発。相変わらず、ガスが立ち込めている。(写真下)
[大倉バス停を振り返る]

 ペースは、父にあわせてゆっくり。こっちも寝不足なので、ゆっくりなのは、ありがたいところ。
 デジカメで撮影すると、薄暗くてガスが濃いことから、ストロボ使用の場合、画面にノイズが混じってしまう。そんな訳で、何枚も撮影するが、殆ど失敗作となる。多少明るいと、いくらかマシな写真となる。
 8:05、見晴茶屋を通過。(写真下左)
 その後、一本松への登りとなる。ガスは、相変わらず濃い。(写真下右)
[見晴茶屋を通過] [一本松への登り始め]

 今日は、どこまで登ってもガスが切れないようだ。
 9:03、晴れていれば、西側に富士山が見える所なのだが、今日は、栗ノ木洞あたりの山肌の一部が、見えるのみ。(写真下)

 9:15〜9:31、堀山の家のベンチで小休止。ここで、ジャムパン等の菓子パンでエネルギー補給。父もザックからアンパンを取り出す。
 食べている時に一瞬、陽が射すものの、やはり一瞬に過ぎなかった。食べ終わって出発。ここからの登りがつらい。二人とも無言で登り続ける。
[[ガスに覆われた尾根を行く]

 10:04〜10:11、いつもの所で休憩。(写真下左)
 ここで休憩するのも、正月の2日以来だな〜と、その時の寒さを思い出す。そこで、気がついた。今日は、風が全くないことを。

 10:21、花立山荘下の階段に取りつく。毎度のことながら、この階段は、ゆっくり登っていく。(写真下右)
[いつもの所] [花立山荘下の階段]

 10:35〜10:43、花立山荘前のベンチで休憩。今日は、本当に暖かく感じる。ここまで登ってきても、休憩の際、寒気を感じない。あの背中の汗が急激に冷える感触がないのである。やはり無風のせいだろう。

 花立山頂もガスの中。(写真下左)
 10mも離れてしまうと、見えなくなるほど、ガスがまだ濃い。花立山頂のすぐ先で、左手に何やら動くものが。よく見るとシカ2頭が食事中だった。デジカメを取り出し撮影。(写真下右) 人が近づいても人馴れしていて、逃げないシカだった。

 花立〜金冷シ間の馬ノ背も、例年であれば、この時季、凍結した山道となるのだが、今年は、全然雪がない。ただよく見ると、右手の斜面に少し雪が残っていた。しかし、この暖冬だと、消えてしまうのも時間の問題だろう。ここでも別のシカ2頭を左手斜面に見る。
[花立山頂もガスの中] [ガスの中でシカと遭遇]

 11:30、塔ノ岳山頂に到着。山頂には、10人ぐらいの登山者が休憩していた。今まで無風だったが、さすがにここでは、西風が吹いていた。そのためか、休憩している登山者は、東側に座っている人が多かった。
 山頂での記念撮影後、尊仏山荘に入る。
 小屋のご主人、花立さんが受付をされていた。挨拶して、コーヒー(父)、カップヌードル(私)を注文。その後、小屋内に続々と、お客さんが到着。混んできたので、そろそろ出ようと席を立つ。
 別れ際に花立さんに挨拶すると
 「似てますね〜。さすが親子ですね。」
と、笑顔で言われてしまう。
[塔ノ岳山頂に到着]

 12:04、山頂を出発。この時間であれば、鍋割山には、13時過ぎに着いてしまい、まだ早いな〜と二人で話すものの、歩き始める。
 父を先頭に後ろからデジカメで撮影しながら歩く。

 左手にガスの中から花立が現れた。(写真下)
 今日初めて、山らしい山が眺められた一瞬だった。
[花立が現れた]

 金冷シまで、来た道を戻り、ここから直進し、鍋割山稜に進む。
 木道を下っていき、山道を歩いていくと、左手の視界が広がる箇所に出る。しかし、ガスで、すぐ先の花立すら、見えなくなっていた。(写真下)
[大丸に向かう山道にて]

 12:40、大丸に到着。
 その先で、中高年の7人パーティとすれ違う。その中のお一人から
  「失礼ですが、お二人は、親戚の方ですか」
と質問される。
  「親子です。」
と父が返答。
  「いや〜失礼しました。よく似ていらっしゃる。」
とのコメント。
 父と二人でビックリしながら、この団体さんの後姿を見送る。
 「今日は、どういう訳か、よく似ていると言われるな〜」
と父。

 街中で一緒に歩くということは、殆どないのだが、思えば、山で、この7、8年、父とは、一緒に歩いている。丹沢や、奥秩父(金峰山)、南ア(赤石岳・悪沢岳)など。だが、一度も親子ですか?と尋ねられることはなかった。むしろ、「親子です」というと、驚かれるケースの方が多かった。
 二人ともそういう認識だったので、今回、2回も「似ていますね」と言われたことに驚きを隠せない。
  「やはり、親父の顔が柔和になったせいだね」と私。
  「おまえが、年をとったということだ」と父。
  「いや、親父が・・・」
  「おまえが、・・・」
と、互いに言い返しながら、ブナ林の中を歩いていく。

 前回、見落としてしまった変形ブナだったが、今回は、注意して歩いていたので、すぐに気がついた。(12:51)
 ここで、デジカメ撮影。この変形ブナは、見る場所によって、かなり形が変わる。だが、一番印象深いアングルは、写真下のように右奥に別のブナを配置した構図ではないだろうか。
 そんなことを思いながら、デジカメのシャッターを押す。
[変形ブナを撮影]

 13:21、小丸ピークに到着。(写真下左)
 前回、父と一緒に歩いた時も、確かガスの中だったのを思い出す。今回も同様だ。樹高が高いことと、木々の密集度合い、それに立ち込めるガスが、何ともいえない趣を醸し出している。ここは、何回訪れても、飽きない場所だ。

 小丸のピークから10分弱、歩いた所にベンチがある。まだ時間があるので、ここで休憩することにした。(13:29〜14:22)
 ザックから伊予柑を取り出す。(写真下右)
 伊予柑を食べながら、父と、山の話をする。
 山の話題が、八ヶ岳になる。八ヶ岳は、父にとって忘れ難き山域だ。厳冬の赤岳に単独登頂した後、下山途中、中岳に下る箇所で滑落した経験を持っている。無茶苦茶な山行の典型的な例だろう。もう50年以上の前の話である。装備の点では、今と比較にならない程の時代だ。
 「いや〜、若気の至りだな」
と弁明する父。
 そういえば、私自身、八ヶ岳は、もう30年以上、行っていない。「今年の夏に行ってみるか」、目の前に湧くガスを眺めながら、ふとそう思った。
 出発する時も、ガスの状況は変わらない。
[小丸にて] [ベンチにて休憩]

 ガスの中、歩き続け、14:48、鍋割山山頂に到着。(写真下)
 小屋に入って、山荘の主である草野さんご夫妻に挨拶する。
 父と缶ビールで、とりあえず乾杯。
 まだ夕食には、時間があるので、一人、中型カメラ・三脚を担いで、外に出る。小丸方面に少し戻るように歩き、北側斜面のブナ林をガスの中、撮影する。高さのある立派なブナの大木群だった。

 17:20、夕食スタート。
 缶ビールで再度、乾杯。夕食には、オデン、天ぷら、鰻丼と豪華なメニューが並ぶ。その後、アルコールは、樽酒に切り替わる。
 父もえらく飲んでいる。いやはや、賑やかなひと時だった。
 夕食・飲み会の団欒が終了し、布団に入るが、すぐさま眠ってしまった。
[鍋割山頂上の鍋割山荘前にて]

<第2日>
 6:15、起床。ぐっすり寝ることが出来たおかげで、気持ちよく目覚める。
 外に出て、日の出を待つ。
 6:37、雲の上から朝日が昇る。(写真下左) また、西側の富士山も雲ひとつなく、頭の部分に朝日を浴びている。(写真下右)
 今日は、昨日と打って変わって、雲ひとつない。いい天気になりそうだ。

 6:40、朝食。あれだけ、昨晩飲んだのだが、朝の食事が美味しい。温かいご飯に焼いた鮭の切身と熱い味噌汁が食欲を注ぐ。
 ゆっくり出発の準備を行ない、7:45、草野ご夫妻に挨拶し、小屋を出発する。
 今日は、下っていくだけである。
[日の出を撮影] [朝日を浴びた富士山]

 途中、視界の広がる場所に出る。(写真下)
 ここで、富士山をバックに記念撮影したり、箱根方面を撮影する。
 先週登った檜岳の南東尾根のルートが、よく見える。ここから見ると、やはり、753m峰から先の登りが急なのがよくわかる。
[箱根方面を眺望]

 最初は、気にしていなかったのだが、そのうち、すれ違う登山者の多さに驚く。今日は、3連休の中日。天気がいいことを予想して、昨日からシフトされたのだろうか。
 8:38、前方に栗ノ木洞のピークを見ながら下っていく。(写真下)
[栗ノ木洞のピークを見ながら下る]

 昨日と違って、太陽光線が眩しい。今日も風が吹いている訳ではないので、下っていくうちに、暑くなってくる。
 8:49、後沢乗越着。それほど疲れている訳ではないので、さっさと通過する。(写真下左)
 先頭を歩く父のステップも快調だ。昨晩、あれほど飲んでいるのに全くその影響が出ていない。デジカメ撮影しているうちに離されてしまう。(写真下右)
[後沢乗越を通過] [後沢乗越沢に沿って下っていく]

 9:35、二俣着。
 ここでも、特段、休憩することも無く、通過していく。(写真下)

 林道を歩いている途中で、野鳥の鳴声がすると思って、あたりを見渡していると、何とその鳴声は、カエルだった。冬眠後のカエルだろうか。それとも暖冬のため、冬眠していないのだろうか。とにかく、鳴声がカエルだったことに仰天してしまった。
[二俣の道標]

 10:30、西山林道から大倉への分岐点に到着。(写真下左) 道標通りであれば、ここで左折するのだが、個人的には、この先の左折路は、回り道に思えて仕方がない。それゆえ、いつもここは、直進している。今日も直進した。

 その後、丁字路に出る。そこを左折し、左に大倉尾根、表尾根を眺めながら、緩く下っていく。次の丁字路は、直進する。(右に進むと、堀川の方に出る)
 道は、全て舗装路だ。そのうち、道は、U字に曲がり、登りになる。(この登りに父が、クレームをつけるが、たいした登りではない)
 登りきったら、丁字路にぶつかる。ここが、先ほどの大倉分岐点からの道と合流するところである。ここは、右折する。
 左後方を眺めれば、青空の下、表尾根方面が見える。(写真下右)
[西山林道をまだ直進] [表尾根方面を眺める]

 10:46、大倉バス停着。中途半端な時間ということもあり、バス停付近の人影は、まばら。
 11:15のバスを二人して待った。
 [大倉バス停にて]


 今回も、無事、帰路につくことができました。しかしながら、今回もよく飲みました。あれだけ飲んで、翌日ケロッとしている父が信じられません。鉄の肝臓を持っているようです。

 【注意】
 今年3月1日から8月31日まで、二俣〜後沢乗越間の林道・山道が、国有林の森林伐採(間伐)のために通行止めになります。詳細は、鍋割山荘のHP等をご参照下さい。



※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。