トップページ山行リスト(日付)>宝尾根・大山三峰山_記録20070310


宝尾根・大山三峰山

 山行日
2007年3月10日(土)      晴  単独行
 コース
煤ヶ谷(7:38)〜鳥屋待沢出合(8:05)〜(9:24)512m地点(9:30)〜(9:43)モミ?の木(10:18)〜(10:59)777m地点(11:02)〜(12:02)七沢山〜(12:30)大山三峰山(13:03)〜(14:29)物見峠分岐〜(15:58)正住禅寺〜(16:04)煤ヶ谷
 花粉症もひとまず治まり(前回の鍋割山から大倉に下る時、完璧な花粉症状態でした)、前回の丹沢山行から一ヶ月振りの山行となりました。今回は、宝尾根経由での大山三峰山。この尾根は、かなり前に丹沢のバリルートを調べ始めた頃、確か月刊誌「新ハイキング」で見つけたのが最初でした。まだs-okさんのHPも知らなかった頃の話です。この度、ようやくその機会が訪れました。
 その結果は、如何に。下記をご覧下さい。


 本厚木駅で、宮ヶ瀬行き6:55発のバスに乗車。乗客は、9人程度。運転士は、新人らしく、車内には、運転士(指導運転士の腕章がついていた)も乗車していた。早朝ゆえに交通量も客先も少ないので、指導しやすいということだろうか。

 7:34、煤ヶ谷到着。下車したのは自分一人。いつものようにスタート地点でのバス停をデジカメ撮影して出発。(写真下)
 今日は、中型カメラ&標準三脚(但し、カーボンで軽量)を担いでいるのでザックは、ちょっと重め。
[煤ヶ谷バス停]

 谷太郎川沿いを歩いていく。暦の上では、春だということで、今回、冬用の上着は、やめて、薄着を着用したが、さすがにこの時間だと寒さを感じる。
 
 車道は、意外に道幅が狭い。最初の沢、水ノ尻沢に架かる橋を渡る。すぐに川の対岸にキャンプ場が現れる。今は、誰もいない静寂なキャンプ場だ。大勢のキャンパーがアウトドアを楽しんでいるような光景を想像して歩いていたら、いつのまにか不動沢を渡っていた。

 その後、立派なトイレがあった。その手前に何やら注意書きが。
 「熊出没注意!」
 最近、この周辺で、ツキノワグマが出没するらしい。ちょっとドッキリ。そういえば、昨年末、秦野駅で、熊出没注意(松田町寄、秦野市菩提、伊勢原市三ノ宮・坪ノ内にて)の掲示板が出ていたのを思い出した。

 8:05、鳥屋待沢を渡る手前で、立止まる。ここでs-okさんやM-Kさんが権現橋の写真を撮られていることを思い出した。それならば自分も、と思い、デジカメ撮影を実施。(写真下)
 そんな時、一人の男性登山者が鳥屋待沢の左岸の山道に入っていく姿を見かけた。沢登り風のスタイルではなかったので、惣久経路を登られるのかなと思いつつ、後姿を目で追う。
[鳥屋待沢出合にて]

 さて、どこから登ろうかと橋を渡ったところで思案。目の前の斜面は、ちょっと急である。やはり、「清川宝の山」の石柱地点から登ろうと、谷太郎川の上流に向かう。

 すぐに石柱が見つかるかどうか不安だったが、全くの杞憂だった。道路からそう遠くないところに立っており、すぐに見つかった。ここで、ストックを1本、ザックから取り出す。しかしながら、このストック、3段に伸ばすことができなかった。最下段の部分が固く締まり、全く回せないのである。(但し、今まで何度か経験していて、自宅にてペンチを使って直している)「安物なのでしょうがないか」とブツブツ独り言を言いながら、2段しか伸びないストックを右手に掴んで、いざ出発。(8:16)
 なお、私の記憶が正しければ、この「宝の山」の石柱が立っているから、この尾根を宝尾根と呼ぶようになったと記憶している。
[清川宝の山の石柱]

 長く伸びないストック(ピッケル程度の長さだった)だったが、この方が、かえって急斜面を登るには都合が良かった。

 8:27、急斜面を登って尾根の突端に到着。この先からは、登りが緩くなる。
 8:31、最初の小ピークに到着。(写真下) 
 1/25000地形図を首にぶら下げながら、尾根筋を登っていく。
[最初の小ピーク]

 8:58、植林帯の中にモミの大木を発見。その後、モミの木が目立つようになってきた。
 このあたりは、踏跡程度で、道らしい道は、ないが、尾根に乗って進めばいいので迷うことはない。所々で、ピンクのテープと黄色のテープを見かける。
[植林の中、モミの大木と出会う]

 植林帯の中、踏跡を見失う。とにかく直登する方向への進路をとった。
 9:14、大きな石の右側を通過。登りに息が切れる。

 9:18、左手には木立の向こうに鐘ヶ岳が高く聳える。(写真下)
 左が自然林、右が植林といった境界を登っていく。

 9:21、ピークについたと思ったら、尾根の先端のような箇所だった。ここから登りも緩やかになっている。その先がピークのようだ。
[鐘ヶ岳がまだ高い]

 9:24、小ピークに到着。「水源の森林 神奈川県」の赤頭白杭(K20)が立っていた。地図と照合すると512m地点のようだ。
 ペットボトルを一口飲んで、9:30出発。
[512m地点?]

 9:43、形の良いモミの木(ツガ?)に遭遇。ということで、ザックから中型カメラを取り出して撮影開始。見上げた時の枝ぶりが、何とも印象的。結局、木の周りで約40分間、撮り続けた。
 また周囲には、薄黄色の花が咲いていた。(写真下)

 花には、全く疎いので、薄黄色の花を帰宅後、インターネットで調べてみた。どうやら、あの花は、シキミ(樒)らしかった。シキミの説明は、以下の通り。
 『シキミ(樒)は東北地方南部以南の山林に自生するシキミ科(かつてはモクレン科に分類されていた)の常緑高木である。有毒。仏事に用いるため寺院に植栽される。シキミの語源は、実の形から「敷き実」、あるいは有毒なので「悪しき実」からといわれる。植物体全体にアニサチンなどの有毒物質を含み、特に果実に多く、食べれば死亡する可能性がある程度に有毒である。』・・・出典: 『ウィキペディア(Wikipedia)』
 ちょっと毒物扱いの木になっていて、尾根の片隅で薄黄色の花を咲かせている姿だけしか知らない私としては、シキミに同情。
[モミ(ツガ?)の木を撮影] [薄黄色の花]

 撮影終了後、歩き出すと、すぐに急斜面となった。そのうち、どこがルートか分らなくなる。とにかく目の前の斜面を直登していく。この斜面は、左からの尾根に合流するような感じで、登り切った時点で左側からの尾根に乗ったことになり、その後、右に進んでいく。
 するとササヤブの間を歩くような道があり、そこを抜けると、立派な山道に出た。この丁字路は、s-okさん、M-KさんのHPでも見た記憶のある場所だった。

 ※逆コースの場合、直進しないように左側に赤テープなどのマーキングがしてある。
[立派な山道に出る(振り返って撮影)]

 丁字路から歩き始めると、すぐにダブルストックの単独男性とすれ違う。こんな所で人と出会うというのも珍しい。挨拶した後、「あれっ」と思った。今の人は、今朝、権現橋のところで、「惣久経路を登るのではないか」と思った人だった。しかし、ここで大きな疑問が残る。惣久経路の後、三峰山を登り、宝尾根を下って来られたと推察できるが、こんな時間にここまで来れるだろうか、2時間20分しか経っていない。すごい歩行スピードだ。果たして可能なのだろうか、そのことばかりを考えながら登る。

 10:54、平坦な風景が広がる。
 「これは、すごい!」
 目の前に広がるのは、フラットな地形に自然林の眺め。「ここが本当に尾根の上?」と思えるほど、尾根の巾が広がっている。「これを見たら、宝尾根のファンになってしまうなぁ」と思えるほど、痛く感動。ここは、まさに「登ってきて良かった」と思える場所なのだ。
 デジカメで撮影するも、全体が入らない。もっと広角なレンズが欲しいと地団駄を踏む。
[本当に尾根の上?]

 尾根上の楽園を歩いていく。
 ここは、新緑の時もいいだろうなぁと思いつつ、周囲の風景を堪能しながら進む。

 10:59、このあたりが、777mピークだろうと、勝手に解釈する。それほどフラットな地形で、どこがピークなのか、よく分らない所だ。ザックを下ろして小休止。(写真下)
[777m地点付近(振り返って撮影)]

 こんなに気分のいい尾根歩きは、久々だと、足取りも軽かった。
 しかしながら、777m地点を過ぎて、尾根が段々痩せてきた。両側がガレている。ちょっと、今までのムードとは、ガラリと変わった様相を見せ始める。木が密集している箇所もあり、ザックのサイドに括りつけている三脚が木の枝に当たったり(ザックより三脚の方が高いため)して、難儀な歩行となる。
[ヤセ尾根が続く]

 11:23、ロープが現れた。続けて2本目のロープが現れる。(写真下)
 このあたりは、確かにスリルあり。ここまで、ヒヤッとする箇所が2、3度あった。一歩、間違うと滑落するのは必至である。また、ロープの信頼度が全くわからないので、ロープに依存し過ぎるのも禁物だ。

 その後もスリルあるゾーンが続く。特にザックが重かったり、悪天候の時は、危険ゾーンといえる箇所だ。全く休憩する気になれない。さっさと通過したいという気になってしまう。

 11:42、だいぶ七沢山(一般登山道合流点)も近づいてきた。しかし、目の前には、急登が待ち受けていた。ここでもザックサイドの三脚が木の枝に当たり、緊張する。
 相変わらず、ヤセ尾根である。ロープがまた出現する。 
[ロープが現れる]

 12:02、一般登山道に合流し、七沢山のピークに到着した。
 ザックを下ろして、登ってきた箇所を振り返る。
 いやはや前半の楽園の尾根歩きから、一転して後半は、スリリングなヤセ尾根の急登に変わるという極端な二面性を持つルートだった。

 デジカメ撮影して、再びザックを担ぐ。(写真下)
 ここからは、一般登山道だ。安心して歩けると思ったが、クサリだらけの山道になっていた。
 「こんなにクサリ場が続いたっけ」と思いながら、三峰山に向かう。実は、今回で三峰山は、3回目。だが、過去2回は、いずれも北から南へのコースで歩いている。逆コースは、初めてだった。
[七沢山に出た。(振り返って撮影)]

 12:22、小ピークに到着。三峰山の頂上は、すぐ目の前に見えるが、道は険しい。
 
 急な階段上のヤセ尾根を登っていく。頭上から人の声が聞こえてきて、山頂が近いのがわかった。12:30、ようやく三峰山頂上に到着。(写真下)
 10人ぐらいの登山者が、狭い頂上の標識周りで休憩していた。頂上手前ですれ違ったパーティがベンチを使用していたらしく、ベンチが空いていたので使用させてもらう。
 時間もちょうどいいので、昼食とする。西側には、ちょっと霞んだ丹沢山が眺められた。
 食べてるうちに、パーティは、次々と出発していく。やはり、皆、南側に向かう。三峰山は、やはり南下するコースを選択する人が圧倒的に多いようだ。
 食べ終わって出発する頃、一人のオジサンが北側から到着。
 13:03、北に向かって出発する。
[三峰山頂上にて]

 さすが一般登山道だと思えるほど、殆どの箇所にクサリがついている。これでは、維持費が結構かかるだろうなと、何だか普段、思いもつかない評価項目が、頭に浮かんでしまった。
 登ってくるハイカーとすれ違う時は、立止まらないと危険だ。それほど道幅も狭い。
[クサリのある風景(1)] [クサリのある風景(2)]

 北峰への登りを終えたところで、振り返ると三峰山ピークが見えた。(写真下:左峰)
 ここから、緩い登りとなる。

 13:33、北峰を通過。
 その後、本格的な下り道となるが、左手に鍋嵐が姿を見せた。ほぼ同じ高さのピークが3つぐらい見える。辺室山側から続く尾根を見つけ、どれが本当の鍋嵐のピークかを指で追う。
[三峰山ピーク(左)を眺める(振り返って撮影)]

 14:10、左斜面が崩壊している稜線に出る。ここからの眺めは、大山三峰山を登る際の楽しみでもある。塔ノ岳あたりから日高、竜ヶ馬場、丹沢山、丹沢三峰などの山並が一望できる。特に丹沢山の薄っぺらな丸みのピークが印象的だ。しかし、今日、この時間帯では霞んでしまい、ちょっと残念。(写真左下)
 北西側に位置する鍋嵐は、ここからだと、ピークに集まる尾根が痩せて見える。(写真下右)

[逆光気味での丹沢山方面] [鍋嵐方面]

 14:29、物見峠との分岐点を通過。ここから下りとなる。

 14:36、植林帯の間から関東平野方面を眺める。(写真下)
 リズムよく下っていく。14:38、山神さんを参拝するが、すぐに歩き出す。
 このあたり、道標のキロ数表示が異なっていることに気がつく。
 どうも大山三峰山〜煤ヶ谷間を6.0kmとして表示しているものと、同区間を5.0kmとして表示しているものと、2通りのパターンがあるようだ。
[関東平野側を望む]

 物見峠分岐点に着く。ベンチで小休止。(14:53〜14:59)
 だいぶ日が傾いてきた。背中の汗が急激に冷えることで、気温が下がってきたことを感じる。

 15:16、前方左の自然林に西日が当たった光景を見て、思わずデジカメを取り出す。(写真下)
 この自然林は、樹高もあり、枝振りといい、何か木の生命力のようなものを感じた。
[自然林の中を下っていく]

 15:53、登山口にようやく出た。(写真下)
 何やら多くの注意書きが。
  ・ヤマビルご注意
  ・熊出没注意
  ・清川村猟期間のお知らせ
    (登山道は、清川村猟区の区域内なので、猟期間中は、充分注意)

 ちょっと正住禅寺に寄り道した後、煤ヶ谷バス停に向かう。
[登山口に出た]

 16:04、バス停に到着。
 既にバスを待っていた単独のおじさんハイカーに
 「ドンピシャ!」
と言われ、何事かと思ったら、バスダイヤがまさに16:04だった。
 急いでバス停を撮影。(写真下)
 すると、すぐにバスがやってきた。まさにラッキーな出来事だった。
 [煤ヶ谷バス停に到着]


 宝尾根は、前半のゆったりした尾根からは、考えられないような後半のヤセ尾根。極端に異なる今回のケースは、初めての経験でした。改めて山の奥深さを知りました。
 今回もs-okさん、M-KさんのHPを参考にさせていただきました。ありがとうございました。

【追記:2007年3月24日 13:40】
 この報告をUPした後、久々にメールを開きますと、Tさんという方からメールが届いておりました。そのTさんというのが、上記のダブルストックの単独男性の方でした。Tさんのお話ですと、あの日は、
 「権現橋から沢沿いを上がり、少し上流の滝左側の尾根をよじ登り、宝尾根に合流し(777の少し下のピーク辺り)、そのまま下山」
されたととのこと。そうであれば、時間的にも納得することが出来ます。
 Tさん、ご連絡、ありがとうございました。これからも宜しくお願い致します。



※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。