トップページ山行リスト(日付)>大洞山・三国山_記録20070811


大洞山・三国山

 山行日
2007年8月11日(土)       晴        単独行
 コース
籠坂峠(8:50)〜(9:16)天狗ブナ(10:10)〜(10:31)アザミ平〜(11:25)大洞山(11:45)〜(12:55)ヅナ峠(12:32)〜(12:45)三国山(13:18)〜(13:29)ヅナ峠(13:34)〜(14:33)国道413号線合流点〜(15:07)旭日丘
 ハンス・シュトルテ氏の著作「続々丹沢夜話」に登場する「天狗ブナ」を見物したのは、早いもので、もう2年前になります。あの時、何を勘違いしたのか、中型カメラの中望遠レンズだけしか持たず、天狗ブナの部分的な撮影アングルになってしまったことを思い出しました。
 ということで、今回は、広角レンズを持参し、再度、天狗ブナ撮影にチャレンジしてきました。その後、大洞山経由で三国山まで行き、神奈川県に一足だけ入れた後、ヅナ峠(ヅナサカ峠)まで戻り、そこから未踏ルートの山中湖方面に下って行きました。
 その下っていく途中、ちょっとしたサプライズがありました。
 詳しくは、下記報告をご覧下さい。


 国府津7:08発の御殿場線は、終点御殿場に7:54着。
 ホームに降りた瞬間、強烈な太陽光線と熱気がエアコン車内から出た体を襲う。
 「信じられないほどの暑さだ。こりゃ、先が思いやられる。」、そう思いながら、駅の階段を下って、バス停に向かう。
 河口湖駅行きのバス停の前で、一つ向こうのレーンにあるバス停に視点を移すと、そこには、8:05発出発予定の「上野」行きのバスが目に入った。
 昨年まで、あのバスは、明神峠経由上野行きだったのだが、今年は、期間が短縮され、8・9月の日曜・祝日運行のみ。(そんな訳で、今日(土曜)は、バスの側面掲示板に「明神峠」の表示は、無かった)
 「なんで、8月、9月の運行なのだろう。どうせなら、サンショウバラが咲く頃も運行すればいいのに」、そんな意見が心に浮かぶ。
 「そういえば....
  そうだ、s-okさんと偶然、出会えたのも、あの明神峠行きバスの中だった。確か2年ぐらい前だった。」、そんな思い出も浮かぶ。
 8:10、河口湖駅行きのバスは、定刻通り、出発した。

 8:46、籠坂峠着。下車したのは、私一人だった。登山姿の乗客は、他に居なかったから当然かもしれない。
 路上にある電光掲示板に只今の気温が表示されている。24℃だった。バス停の前は、日が当たり、確かに汗が出るほど暑いが、道の反対側に渡り、日陰に入ると、思った以上に涼しい。これなら歩くのも苦にならない。
 舗装された坂道を登り、登山口となる墓地に向かう。
 すると、背後から中高年のご夫婦ハイカーがさっと、追い抜いていく。こんな時季だが、三国山稜を歩く人は、自分だけでは、ないようだ。
[籠坂峠バス停にて]

 登りきれば、墓地の入口である。(8:55)
 三国山稜の登山口へは、墓地の中を通っていく。振り返れば、赤黒っぽい富士山が姿を現していた。(写真下)
 8:58、登山道入口。入口には、「クマ出没注意」、「植物の採取禁止」などの文字板が立ち並ぶ。
[墓地の中を通過(振り返って撮影)]

 9:11、立山方面との分岐点に到着。(写真下)
 今日は、天狗ブナ訪問のため、左の道を進む。
 
 確か、山道が窪地になり、道の左側が壁のように高くなってくると、天狗ブナが立っていたと記憶していたので、左ばかり注意しながら進む。そんな時、前方から一人の中年のオジサンが小走りに下ってきた。
 挨拶しようと思ったら、オジサンは、左側の斜面に駆け上がっていった。すると、その先に幹が極太の天狗ブナが視界に入った。このオジサンもどうやら天狗ブナが目的だったようで、ザックを下ろすとすぐに一眼レフで撮影し始めた。
 こちらも三脚を伸ばしたり、フィルムを装填したりと撮影準備にとりかかる。
[分岐点にて]

 時計回りに一周しながら、撮影していく。2年前の印象と変わっていない、重量感溢れるブナの巨木だ。今回は、多くの葉をつけているためか、エネルギーが蓄えられているようで、より一層、生命力の強さを感じる。
 結局、オジサンとともに約1時間、撮影し続けた。
 天狗ブナを広角で撮影するという目的を達したので、三国山に向かって出発する。(10:10)
 山道は、幸いにも、ずっと木陰となっていた。直射日光を受けない分、余り暑さは、感じない。
[天狗ブナを訪問]

 緑のトンネルを過ぎて、左手に突如、小広場が広がった。(写真下)
 太陽光線が眩しい。
 小広場の向こうに大洞山、1366m峰が緩やかな斜面を見せている。何となく長閑な雰囲気を醸し出す。
[左奥:大洞山、右手前:1366m峰]

 その小広場の直ぐ先が、アザミ平だった。(10:31)
 このあたりも小山町在住のI翁の手作り道標が立っている。(写真下)
 このアザミ平では、ついに直射日光を浴びるハメに。
 木陰は、ないかと、左右の木立を見ていたら、意外にも樅の木(それほど高くはないが)が、目に付いた。
[I翁による「あざみ平」道標]

 10:40、左手に進める道らしき箇所を発見。ちょっと寄道してみる。
 左手には、富士山が顔を出している。朝は、雲が無かったが、この時間になって山頂付近に雲が湧き始めた。
[左手を見れば、富士が顔を出す]

 さらに進んでいくと、山中湖も見え始めた。(写真下)
 ここが、三国山までの山稜コースで、唯一、湖の見える箇所かもしれない。
 10:47、来た道を引き返し、元の山道に戻る。
[山中湖が見えた]

 再び樹林帯に突入。やはり、今日のような天気は、木陰が一番。直接、太陽光に当たるのでは、大違いだ。ブナの木を眺めながら、緩やかな登り道を進む。

 11:09、先ほど眺めた1366m峰のピークに到着。(山道は、ピーク直前で左折する)
 周囲は、木々に覆われ、視界は、広がらない。ちょっと耳障りなのは、南東側のサーキットから聞こえる車のエキゾースト音。

 1366m峰のピークを下った後、緩い登りとなる。その登りが終わる箇所に、角取神社奥の院入口の看板がある。神社は、右手の斜面を下った先にあるのだろうか。

 フラットな道を直進していくと、11:25、大洞山山頂に到着した。(写真下) 木陰を探し、木の根っこに腰を下ろして、小休止。時々、背中に風が当たり、心地よい。ひと気のない世界だ。天狗ブナの撮影後、誰にも会っていない。だが、目前の緑の世界が孤独感を和ませてくれる。そのまま横になりたくなる気持ちを抑え、出発することにした。(11:45)
[大洞山山頂に到着]

 ふと立止まって、周囲を見渡せば、ブナが混在する広葉樹林。左も右も、緑の木、木ばかり。遠景も木立に邪魔され、見えない。
[緑の樹林帯パート1]

 緩いアップダウンを繰り返すと、前方に見覚えのある道標が見えてきた。ヅナ峠(ヅナサカ峠)だ。
 ここにもI翁のユニークな道標が立っている。
[ヅナ峠に到着]

 この先の三国山に向かう。直ぐに着くかと思ったら、なかなか着かない。こんなに距離があったかなと思いつつ、殆どフラットな道を進む。
 周囲のブナの樹高が「おっ!」と思わせるぐらい、高くなってきたところ、12:45、ようやく三国山頂上に着いた。(写真下)
 ついさっきまで、山頂から人の声が聞こえていたのに、着いた時には、誰も居なかった。ここは、明神峠、三国峠、籠坂峠の三方向から登れる。去った人は、どうやら明神峠か三国峠に向かったようだ。
 ここで、昼食とする。山頂のベンチ(単に板が置いてある程度だが)に腰掛け、オニギリを口に入れる。その時、目の前に蝶が飛んできた。よく見ると、モンシロチョウがあちこちで飛び回っている。「蝶なんて、今、住んでいる街では、殆ど見られなくなったなあ〜。」と独り言。再びオニギリに食いつく。
[三国山頂上に到着]

 さて、これからのルートだが、やはり未踏のルートを採用することにし、ヅナ峠に戻って、山中湖に下るルートとした。
 13:18、山頂を出発。
 すると、直ぐに4人の中高年パーティとすれ違う。猛暑の中、同類の人々に出会えたことに一人満足。

 13:29、ヅナ峠(ヅナサカ峠)に再び戻った。ここで、右折し、山中湖に下るルートに入る。
 1/25000地形図で見ると、三国山稜の山中湖側斜面は、等高線の間隔が広い。非常に緩い斜面であることがわかる。
[再びヅナ峠]

 山中湖に向かうルートは、ブナ?の大木の横を通り過ぎる。(写真下)
 このブナ?は、道標側から見ると、真っ直ぐに枝が伸びているように見えるのだが、裏手に回って、この木を眺めると、幹が複雑に曲がっている。二面性をもった樹木だ。
[ヅナ峠付近のブナ?]

 時々、踏跡が、草に覆われるため、立止まることになるが、その先を見ることで、どうにかルートを見出すことができた。
 1/25000地形図だと、この道は、破線で記載されている。だが、今から進んでいく方向と、地図に記載されている方向は、どうも異なるようだ。実際の道は、地図記載のように三国峠寄りに進んでいかない。踏跡に沿って進んでいくと、北西の方向に進んでいくことになる。
[山中湖方面への踏跡をたどる]

 緩やかな斜面を下っていく。周囲は、さっきの稜線歩きと同様、緑の世界である。
 首に掛けたデジカメを取り出し、撮影しては、歩くということを繰り返す。
 そんな折、右手に視線を向けたら、思わず、息を呑んだ。 
[緑の樹林帯パート2を歩く]

 先ほどの光景が脳裏に残っているせいか、鼓動がまだ落ち着かない。
 相変わらず、緩斜面を下っていく。
 14:08、前方に家屋を発見。どうやら、別荘地に出たようだ。

 14:10、別荘地の車道に出た。振り返ると、笹ヤブの中から出たように見える。これでは、逆方向でヅナ峠を目指した場合、ここでルートを見失うのは、必至である。
[別荘地の道路に出た]

 車道を下っていく。方向がよくわかないまま、磁石も出さずに下り方向優先で、進んでいくと、途中で道が太くなった。
 14:33、湖畔にある国道に出た。出た瞬間、木陰もなくなり、灼熱光線を浴びるハメに。
 国道を旭日丘方面に歩いていく。
 この光線では、避暑地という雰囲気ではないな〜と思うが、湖畔の木陰では、シートを敷いて休んでいる家族連れも多い。木陰に入ると、湖が目の前だけに、涼しいのだろう。
[湖畔の国道に出て、富士を仰ぐ]

 15:07、旭日丘バス停に到着。
 バスのダイヤを見ると、次は、15:18だった。これは、ちょうどいいと思ったが、案の定、交通量が多いせいか、バスの到着は、遅れた。(実際にやってきたのは、15:38)

 バスの車内は、空いていた。席に座ると、いつの間にか眠ってしまった。気がついた時は、既に御殿場駅だった。
 [旭日丘バス停にて]



 今回、出会った花や昆虫
[カワラナデシコ] [ヤマホタルブクロ?] [オニヤンマ]

 帰宅後、「峠のむこうへ」さんが、ご自身のHP(※1)で、このヅナ峠〜別荘地までのルートをレポートされていたことを思い出し、アクセスしてみました。すると、上記の三国山稜からの下りで遭遇したブナの巨木について、なんと写真が掲載されていました。そんな訳で、このブナの存在は、案外、知られた存在だったかもしれません。(知らなかったのは、自分だけ?)
 
 今回は、そんな訳で、巨大ブナに始まり、巨大ブナで終わる山行となり、とても印象深いものとなりました。


 ※1) HP「峠のむこうへ」 三国山稜・ヅナ坂峠探訪/ヅナ坂峠(綱峠)道・三国峠旧道



※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。