トップページ山行リスト(日付)>鍋割峠・塔ノ岳_記録20080223


鍋割峠・塔ノ岳
 山行日
2008年2月23日(土)     晴後雪後曇   単独行
 コース
寄大橋(7:16)〜(9:29)鍋割峠(9:45)〜(10:08)鍋割山北尾根分岐〜<オガラ沢(尾根)コース>〜(11:35)尊仏ノ土平〜(15:07)塔ノ岳(15:18)〜(15:37)花立〜(16:35)堀山の家〜(17:08)駒止茶屋〜(18:25)大倉
 前回、雨山峠に着くのが遅かったため、塔ノ岳に向かうのを諦めましたが、今回は、予定通り、塔ノ岳に登ってきました。但し、今回は、雨山峠でなく、鍋割峠から鍋割山北尾根を下って尊仏ノ土平へのルートを選択。また、中型カメラ・三脚も持たないで軽量化を図りました。

 前回の山行以降、丹沢では、ますます積雪量が増えましたが、結果的には、予定通り歩けました。
 でも、いろいろなことがありました。
 詳しくは、以下をご覧下さい。


 渋沢駅にて下車。ホットな缶コーヒーを飲んで、タクシーに乗り込む。
 寄大橋には、7:14着。
 今回は、デジカメ撮影後、すぐに出発する。(7:16)
[寄大橋にて]

 前回は、久々のルートだったこともあり、周囲を見渡し、デジカメで撮影しながら歩いてしまったが、今回は、歩くことに専念。
 7:39、周遊歩道A(寄沢右岸に続く)との分岐点に到着。ここから山道となる。
 まだ前回同様、測量用テープについての注意書きがあった。
 今回は、ザックが軽い(前回より、カメラ・三脚がないのでマイナス5kgぐらい)ので、ペースも速く歩ける。寄沢を幾度か、渡った後、左岸沿いに進む。8:04、振り返ると、シダンゴ山が目に入った
[周遊歩道Aとの分岐点] [振り向いてシダンゴ山を眺める]

 沢を渡り、クサリ場を登っていく。このあたり、まだ測量用のテープが残っていた。
 8:19、前回、雪でルートが分からなかった場所に到着。今回は、雪が解けていたため、あっさり目前に橋が2つあることに気がつく。(写真下)
 前回同様の橋を渡ろうとしたら、凍結した雪のせいで片足が滑りそうになった。という訳で、さっさともう一つの橋に向かう。(右奥の橋には雪が残っていなかった)
[前回、雪景色だった場所]

 崩れかかった斜面を登り、尾根に上がると、ベンチのある場所に出る。ここも前回より雪が少ない。(写真下左)
 前回山行の後、丹沢には雪が結構、降った筈だが、どうも、その後の好天気で雪は解けてしまったようだと推察。これなら、この先の雪も、たいしたことないかと思った。(これがそもそもの間違いに、後ほど気がつく)

 8:35、寄コシバ沢に到着。(写真下右)
 前回は、雨山峠に向かったが、今回は、この沢を登り、鍋割峠に向かうことにする。
 前回は、寄大橋を7:20発で、ここが9:09。今回は、7:16発で、8:35着。前回よりも30分早い。今回の歩行スピードが速いというより、前回、如何に遅かったかと、改めて認識。
[尾根に登ったらベンチが] [寄コシバ沢]

 この沢を通るのも、調べてみたら、97年9月以来だった。このため、沢を登っている間、殆ど初めて歩いているかのような印象だった。

 突然、右岸で落石が起きた。どうやらシカが驚いて逃げていく時、石を落としていったようだ。そんな訳で、端を歩かず、ほぼ中央を歩いていく。
 この沢の途中で、右岸に取り付くのがコースなので、左側に注意して登っていく。 
[寄コシバ沢を登っていく]

 約20分、歩き続けていくと、沢の幅が広がり、沢の分岐に到着。(写真下)
 あれっ、沢が分岐したような記憶は、今までの経験上、無かったので、ひょっとしたら、左手の斜面に取り付く場所を行き過ぎてしまったかと、再度、地図で確認する。
[沢が分岐する]

 次に周囲を360度、見渡す。(ここがポイント。う〜む、大室山以降、学習しているな〜と感じる今日この頃

 すると、真横の左手の斜面下に赤ペンキの○印が付いている大石を発見。(写真下左)
 ここで沢を横切り、左斜面に取り付く。
 急斜面をジグザグに登っていく。このあたり、昔、スズタケの中を歩いていった記憶があるのだが、今はどうだろう。全くスズタケのような草は、見当たらない。

 段々、傾斜が緩くなってくると、峠は近い。もうすぐだと思いながらも、疲れが出てきたせいか、かなりのペースダウン。(写真下右)
[左手の大石に赤ペンキを発見] [峠を目指す]

 ちょっとヘロヘロになりながら、鍋割峠に到着。(9:29)
 小休止し、アイゼンを装着する。
 この峠の道標が立っている箇所には、稜線沿いのためか、積雪量は、そこそこあった。

 大昔、ここから北尾根方面には、道が続いていたが、今は、途中で沢が崩れ、歩けない状況になっていると聞く。
 その方向に少し歩いてみると、トレースがあった。
 「おやっ、ひょっとして北尾根に通じるのか?」
と思って、そのトレースをよく見てみると、シカが何頭も歩いたためにできたトレースだと分かった。やはり、人は、歩いていないようだ。
 
 ここから鍋割山方面に進む。トレースは見当たらず、急登が始まる。(9:45)
[鍋割峠にて]

 一旦登って、また下ることが分かっているので、精神的にもキツイ。急登で息が切れる。

 10:08、ようやく北尾根分岐点に到着。(写真下)
 「この先ユーシン方面 踏跡不明瞭箇所あり 通行厳重注意」の看板あり。
 ここで、ストックを取り出し、鍋割山山頂ルートを外れ、北側斜面を下っていくことにする。
 いよいよ北尾根のバリルートへ突入。
[鍋割山北尾根分岐点にて]

 雪のおかげで、逆に下りやすい。
 だが、ここも人が通ったトレースはなく、シカのトレースがあるだけだった。
 時々、木の幹に赤ペンキでルートが記されている。
 木立の間に三角形の山が見えた。蛭ヶ岳にしては、山が小さいなと思ったら、臼ヶ岳だと分かった。
[北尾根に向かって下っていく]

 鞍部に到着。無雪期とは違って、鍋割峠寄りのルートで斜面を下ってきた。シカのトレース沿いに下ったのであるが、シカも雪の少ない箇所を選んで歩いているのがよくわかった。
[鞍部にて]

 鞍部から直進し、尾根の背筋を進んでいく。
 途中、雪の間から、一部、根っこが見えたので、何気なく視点を移すと、根っこの間から、下のガレ場が見えた。(写真下)
 こりゃ、知らないで雪の上を歩き、根っこが折れたら、滑落してしまうと、ちょっとドキッとしてしまった。(天然の落とし穴のようだ)
[根の下は、空洞]

 尾根の小ピークに到着。(10:37)
 ここがオガラ沢コースの(沢/尾根)分岐点だ。
 左折は、赤ペンキで、沢道キケンと書かれてある。今回は、以前通ったことのある尾根コースを選択。右側に進む。
[オガラ沢の沢コース/尾根コースの分岐点]

 尾根を下っていく。人のトレースは、やはり無かったが、シカのトレースは、続いていた。
 下っている途中で、冷たい風が時折、吹くため、アウターを着用。(寄沢を渡る頃から、脱いだままだった)

 10:58、塔ノ岳の展望地に出た。
[尾根コースを下っていく]

 尾根の背筋を下っていくと、そのうち、登りに転じた。
 これは、行き過ぎたということで、すぐに戻る。
 オガラ沢尾根コースとしては、途中で西側の斜面を下り、オガラ沢に出るのが本来のコースなのだが、戻るとき、東側の鍋割沢方面の斜面を見たら、簡単に下れそうだったので、この斜面を下っていく。(こちらの方が尊仏ノ土平に近いことも理由の一つ)

 このあたり、シカ等のトレースも見当たらない。一面、積もったままの雪の斜面だ。
 積雪は、それなりにあり、ツボ足状態で、下っていく。
[鍋割沢に下る]

 河原に出る手前で雪に覆われた林道に飛び出た。ここを右に進むと、道は、すぐに河原へ下るようになる。このあたりが林道終点のようで、尊仏ノ土平とわかった。

 沢を渡る手前に道標[塔ノ岳:2.7km、ユーシン:3.5km]があり、ザックを下ろしてデジカメ撮影。(11:26) (写真下) 
[尊仏ノ土平あたり(大丸方面を眺める)]

 河原を渡り、「塔ノ岳」と書かれた看板には、「尊仏の土平」という文字が手書きで薄く書かれてあった。(11:35)

 その先で尾根の斜面に取り付く。(写真下)
 道標には、[塔ノ岳:2.6km、ユーシン3.6km]と記載。
 このあたりは、雪が消えていた。このため、アイゼンを外して出発する。(11:38〜11:47)
[塔ノ岳の尾根に取り付く]

 植林帯を登っていく。
 12:04、道標[塔ノ岳:2.0km、ユーシン:4.2km] (写真下)
 ここから、雪が現れ、山道も急登となった。

 人のトレースは、全く見当たらなかったが、時折、シカと思われるトレースがついていた。
 雪が深くなり、ちょっと歩くのが難儀になる。雪の吹き溜まりに当たると、ヒザ上まで足が沈むことがあった。
[この先、雪が出てきて急登となる]

 12:38、急登が終わり、前方が開けた。(写真下)
 ブナの大木が目立つ。

 斜面が緩くなったので、これでぺースが上がるかと思ったが、時々吹き荒れる右手(南側)からの強風が、半端でなかったため、そう簡単に進めず。
 強風が吹くと、枯葉から土埃、小枝などが飛んできて、目も開けられなくなる。
 (但し、雪は固まっていたため、雪煙とはならず)
 このため、風が吹くと、大木に隠れて、風を避けるようになった。
 久々にボリュームのある風音を聞かされる。ジェット機が飛び立つような音だった。
 (下山後、春一番が都会でも吹いていたことを知る)
[フラットになった]

 13:00、左手にベンチを発見。だが、休憩せず、パスする。
 すごい風だと思いながらも、進もうとするが、段々、積雪量も増えてきた。コンスタントにヒザ下まで、沈むようになる。

 13:25、道標[塔ノ岳:0.8km、ユーシン:5.4km]
 この道標の先で、斜面トラバースとなったので、アイゼンを再び装着。

 13:39、小ピークの右を巻くと、正面に塔ノ岳が現れた。(写真下)
[前方の塔ノ岳を見上げる]

 13:45、木道が雪で埋まっている箇所に着いた。
 だが、よく見ると、木道の一部は、雪から出ていたので、腰を下ろし、小休止とした。ここでは、風が全く当たらなかった。条件がいいので、ついでに昼食とした。(今日は、朝食タップリだったので、それほど空腹感は無かった)

 振り返ると、木立の間に不動ノ峰が見渡せる。
 2月で風の強い日だからだろうか。こんな時間なのにこれらの山々が、まだクリアに見えているのが、嬉しい。
 13:55、出発する。
[木道のところで、休憩]

 14:06、特別保護地区の看板を通過。
 雪が多くなってきた。やはり、標高が高くなると、侮れなくなった。好天が続いたとはいえ、気温が低い分、雪が解けていない。

 14:23、道標発見。[塔ノ岳:0.4km、ユーシン:5.8km] (写真下)
 急斜面になると、ヒザ上まで潜るようになった。このため、手前の雪を踏み固めて、登るようになっていく。

 14:37、ロープが張ってあり、それに札がぶら下がっていた。振り返って見れば、ユーシンロッジ休業、ユーシン渓谷通行止を塔ノ岳から下った登山者に対して知らせるものだった。
[トレースは、なく、積雪は、ヒザ上となる]

 14:42、塔ノ岳の水場に到着。ここまで来れば、一安心。この先は、トレースが付いている。
 水場の水は、2箇所あったが、両方ともチョロチョロと流れているだけだった。

 振り返ってみると、檜洞丸の上空に雲があり、モヤがかかっているように見える。おそらく山頂付近では、雪が降っているのだろう。
 14:48、出発。
[水場に出た

 15:07、塔ノ岳頂上到着。
 頂上に着いた頃には、西側の風景は、完璧にガスに覆われてしまった。(写真下)
 だが、大山方面は、まだよく見えており、厚木・伊勢原方面は、晴れているのがよくわかる。

 そのうち、雪が降ってきた。先ほど檜洞丸上空にいた雪雲がここまでやってきたようだ。ザックカバーを取り出す。今回は、時間もないので、小屋には寄らず、下ることにした。
 15:18、山頂を後にする。
[塔ノ岳山頂にて]

 金冷シの手前にて、登ってこられた単独のおじさんに写真撮影を頼まれる。
 おじさんのデジカメを返す際、話をすると、おじさんの口から
 「今日は、2月23日なので、塔ノ岳からダイヤモンド富士が見られる日なんですよ。小屋も人が多いでしょうね。」
と、ダイヤモンド富士という言葉が出た。
 「そうでしたね。『富士山、遠いな』だから、2月23日、10月17日が、塔ノ岳でのダイヤモンド富士の日ですね。」
と言い終わった後、すっかり、今日がその日ということは、忘れていた。知っていたら、小屋に泊まってもよかったかなと内心、思ってしまった。

 「まあ、こんな天気ですから、今日は、どうでしょうね。」
と、おじさんは、雪が降ってガスに覆われた状況にちょっと残念そうな表情。

 そんな会話をして、おじさんと別れるが、「ダイヤモンド富士」という言葉が頭の中を過ぎる。
 まだ自分自身、ダイヤモンド富士なるものを丹沢でも、どこでも見たことはなかった。
 今日、泊まれば、土曜日だし、条件は、バッチリだったな〜と、ちょっと後悔の念が。但し、このガスでは、ダイヤモンド富士にはならないな〜と、小屋に泊まらなかったことの方が正解だと、自己を合理化。

 
15:37、花立を通過。
 花立の下りでも、まだ雪が本格的に降っている。(写真下)
[花立からの下り(雪が降り続ける)]

 だが、時間が経つと、いつの間にか、雪が止んだ。止んだと思ったら、雪雲自体が消えていた。
 そして、前方には、よく晴れた秦野盆地が見えた。
 「ありゃりゃ、これだったら、小屋に泊まって撮影した方がよかったか」と後悔の念が大きくなってきた。
 16:25、堀山の家を通過。
[雪雲が消え、晴れてしまった]

 16:48、富士見平(いつ頃から、こう呼ばれるようになったか知らないが)で、期待しながら富士山方面を眺める。
 すると、残念ながら、雲が多く、富士山の手前には、雲がかかっていた。やはり、今日は、ダイヤモンド富士にはならないか、と思いながら、デジカメを取出して撮影。(写真下)
 だが、強烈な西風で、撮影もままならない。

 その後、反対側の三ノ塔も撮影し、デジカメを胸に入れ、再び富士山を見た時が、この光景。
[だが、富士山の頭部は、雲に覆われていた]

 意識して、西側を見ながら下ったのだが、いつ太陽が富士山にかかったのか、分からないまま、日が沈んでしまった。
 果たして、塔ノ岳山頂では、ダイヤモンド富士は、見えたのだろうか。

 結局、大倉尾根の下りは、雪が止んでからというものの、「ダイヤモンド富士」が気になり、スローペースとなってしまった。
 17:43、雑事場のベンチ到着。薄暗くなったので、ヘッドランプを装着。
 ライト頼りに下っていくので、歩行スピードは、一段と低速状態。
[雑事場にて日没状態となった]

 18:25、大倉バス停に無事到着。
 風はなく、穏やかな状態だった。

 18:38、バスは、ごく少数の登山者を乗せて発車。
 [大倉バス停に無事、到着]


 今日は、以下のような構成になっておりました。
   第1部(鍋割峠まで) :時間を意識した登山
   第2部(尊仏の土平まで) :バリルートの下りで楽しい山行
   第3部(塔ノ岳まで)  :強風、積雪でハードだった雪山登山
   第4部(大倉まで) :ダイヤモンド富士のため、小屋に泊まった方がよかった/よくないという
 葛藤の続いた山行。

 ですが、やはり印象的なのは、第3部でしょう。
 ちょっと気になりましたので、尊仏ノ土平の先ぐらいから塔ノ岳まで休憩時間(アイゼン装着時間、昼食時間等)を引いた歩行時間だけ(多少、撮影時間は含まれますが)を整理してみました。
  道標(塔ノ岳:2.5km)→道標(塔ノ岳:2.0km):500m 17分(雪なし、通常の登り道)
  道標(塔ノ岳:2.0km)→道標(塔ノ岳:1.5km):500m 37分(急登あり、雪あり、強風あり)
  道標(塔ノ岳:1.5km)→道標(塔ノ岳:1.1km):400m 17分(雪あり、強風あり、緩やかな登り)
  道標(塔ノ岳:1.1km)→道標(塔ノ岳:0.8km):300m 14分(雪あり、緩やかな登り)
  道標(塔ノ岳:0.8km)→道標(塔ノ岳:0.4km):400m 39分(雪あり、急登あり)
  道標(塔ノ岳:0.4km)→道標(塔ノ岳:0.1km):300m 31分(雪あり、急登あり、水場の先は、トレースあり)
  道標(塔ノ岳:0.1km)→塔ノ岳                      :100m   3分(雪あり、トレースあり)
  -------------------------------------------------------------------------------------------
                          計 158分(休憩時間除く)

となります。
 ちなみに山と高原地図28「丹沢」(昭文社:2007)では、上記尊仏ノ土平→塔ノ岳のコースタイム:90分

 このように見ますと、やはり、道標(塔ノ岳:0.4km)前後が、積雪量が多く(但し、腰まで沈むケース無し)、トレースの無い急斜面だったため、一番、時間がかかっています。丹沢とはいえ、トレースの無い雪山は、侮れないことを再認識しました。

 ・・・・ちょうど10年前、丹沢北部の黍殻山に登ろうとした際、大雪で腰まで沈み、撤退したことを思い出しました。



※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。