トップページ山行リスト(日付)>塔ノ岳・行者ヶ岳_記録20080705


塔ノ岳・行者ヶ岳

 山行日
2008年7月5日(土)・6日(日)     晴     単独行
 コース
大倉(23:35)〜(1:17)駒止茶屋〜(2:24)堀山の家(2:27)〜(4:37)花立(4:54)〜(5:23)塔ノ岳(8:17)〜(8:42)新大日(8:48)〜(9:28)行者ヶ岳(9:38)〜<北東尾根>〜(10:52)林道終点(11:05)〜(11:41)丹沢ホーム(12:31)〜(13:37)門戸口〜(13:52)富士見橋(14:10)〜(14:28)ヤビツ峠
 今回は、久々の夜間登山です。調べてみましたら、1992年に塔ノ岳に初めて夜間、大倉尾根を登り、続いて2001年に二俣から後沢乗越経由で鍋割山に登っていました。今回が3回目となります。
 但し、前回までの2回は、朝日の撮影のために夜間に登ったという理由がありましたが、今回は、そうではなく、単に昼間が暑かったからという、ぐうたらな理由でした。
 
 今回もいろいろとビックリすることが....
 詳細は、下記をご覧下さい。 


 6月の山行は、仕事や悪天候のため、結局1回しかできなかった。それゆえ、7月最初の週末には、山行を決意していたのだが、7/5(土)の早朝、目が覚めたものの、平日の疲れがドッと出たようで、起きれず.....
 だが、それでも7時には、目が覚め、少し遅れて出発しようか...と思い、仕度をするところまで、行動に移したのだが、外の暑さに完全にノックアウト。
 そんな訳で午前中は、外に出ることもなく、ダラダラと過ごしてしまった。

 結局、今日の予定を変更し、午後は、買物のために外出。こんな日に登っていたら、熱中症にかかりそうだなぁと思いながら、日陰を探しながら、街を歩く。
 夕方、帰宅し、明日こそはと、山の準備をしていたが、ここで、ハッと気がついた。
 この際、夜に登るか...。
 これは、いいアイディアだ。夜ならば、比較的、涼しい登山になるだろう。
 ....このときは、単純にそう思った。

 夜間登山といえば、高校生の頃、父に連れられて、夏休みに富士山を登ったのが最初。山らしい山に登ったのは、このときの富士山が初めてだったので、私の登山経験は、いきなり夜間登山だったことになる。五合目を夜9時に出発し、そのまま徹夜で山頂を目指すという、至って単純な山行だった。その時は、確か、昼間は、日光を遮るものがなく暑いから、夜、登るのだと教えられた。
 だが、富士山の場合、夜間登山の落とし穴は、別の所にあったのだ。確かに暑くはなかったのだが、山頂に到着し、ご来光をじっと待っているとき、外気温は、確か零度近かった。
 ....なんたって真夏で零度! はっきり言って、寒すぎ...

 この時、夜間登山は、登った後の温度対策がポイントであるということを痛感。
 
 現在では、丹沢みやま山荘のHPで「丹沢山山頂の気象情報」が入手できる。ここには、最近の天候の他、最低気温と最高気温が表示されている。これを見る限り、今夜は、山頂でも10度以下になることはないだろうと、シュラフカバー等は、持参せず、雨具・ウィンドブレーカまでとした。
 ...普段と変わらん

 また、予備のライトを確認(2002年、ライトで事件あり...これも大倉尾根だった)し、電池を多めにザックの上蓋に入れる。
 だが、いろいろ雑用が入り、結局、出発したのは、21時となってしまった。
  ....この時間帯での出発は、難しい。

 渋沢駅には、22:50着。大倉行きのバスは、20時台で終了(注)しているのでタクシーで大倉へ。

 23:07、大倉に到着。正直言って、もっと明るいかと思ったが、街灯は1箇所で、トイレも真っ暗。自販機の照明が唯一の明かりとなっていた。(写真下)
 ここで、スパッツを装着したり、ストックを取出す。
 明るい自販機に敬意を表して、缶飲料を買って一気飲み。
 23:35、いよいよ出発。

(注)土休日は、20時20分、平日は、21時27分が最終(2008-7-5現時点)
[出発前:大倉バス停にて]

 車道から登山口に入る。ここで、街灯もなくなり、前方は、真っ暗状態となる。明かりは、ヘッドライト1つだけ。これを頼りに進んでいく。

 23:56、観音茶屋を通過。時間的には順調な滑り出し。
 だが、この先、雑事場平でのベンチまでが、長く感じた。

 日付が変わって、6日となる。
 0:14〜0:18、雑事場平のベンチで小休止。立止まると、背中の汗が一気に噴出すのがわかる。風が無いのがつらいところ。
 ライトに虫が寄ってくるかと思っていたが、そんなこともなかった。蚊もいないようだ。
[真っ暗な道]

 0:22、見晴茶屋の前に出た。小屋の中にランプが点いているのがわかる。静かに通過。
 ここから一本松跡まで、登りが続く。
 だが、ペースが上がらない。どうやら、すでに暑さで参っているようだ。登りがきつくなると、極端に遅くなる。
 日が照っていなくとも外気温は、やはり暑かった。
 ....今夜も熱帯夜か?

 これでは、塔ノ岳山頂までが、いいところだなぁと思いつつ、どこで休むかを考えながら、ゆっくりと登っていく。

 0:45、一本松跡の先にあるベンチにて休憩。ベンチの上や地面など、十分にチェック。ヒルや虫がいないことを確認してから、ベンチ上で横になる。何やら遠く西側の方から、ピー(結構長い)という音を断続的に聞く。鳥?獣?、いったい何だろうと思う。少なくともクマでは、なかろうと、楽観的に考える。
 1:03、出発。ここで、やはり、先ほどの音が気になり、クマ鈴を取り出す。だが、必要以上に響くので、鈴を直接、手で握るようにして音量を制御しながら歩く。

 駒止茶屋の先のベンチに到着すると、またまた休憩。(1:20) 
 やはり、暑さのせいで、ベンチがある度に休んでしまう、ぐうたらな歩きになってしまった。
 ....精神力弱し


 ここでもベンチ上で横になる。見上げると、木立の間から星が見えた。夏の夜空で、これほど多くの星を見るのは、何年振りだろうと思うほど、印象的な夜空だった。ここで、このまま寝るか...とウトウトしていたが、40分ぐらい経つと、背中が冷えてきて目が覚める。
 やはり、歩こうと出発。(2:02)

 もうすぐ堀山の家というところで、前方で何か音がした。
 おやっと、思ってライトを当てる。

 2:24、堀山の家の前のベンチに到着。(写真下)
 ここは、ザックを下ろすものの、音を立てたくないため、3分間だけの休憩。
 相変わらず立止まると、背中から汗が噴出す。
[ベンチで小休止]

 2:52、ベンチ到着。
 ザックを下ろし、ベンチに腰掛けようとしたら、ベンチは、濡れていた。このため、ビニールシートを敷いて、横になる。ここで仰向けになって、上空を眺めると、さっきのベンチよりも、周囲の木立が邪魔にならず、夜空の星に迫力がある。
 時計をみると、3時。このあたりで仮眠するかと、ザックを枕に寝る体勢をとる。順調に登っていれば、夜間といえども、塔ノ岳山頂ぐらいには、着いている頃の時刻だ。

 3:30ぐらいに目が覚める。いつの間にか上空は、ガスに覆われているらしく、星空が消えていた。
 3:40になると、ライトなしで、周囲が見え始めた。幾分、寝たおかげで、頭もスカッとしている。
[これで何度目???]

 3:55、シートを畳んで、ベンチを出発。
 辺りから騒がしいぐらい、鳥の鳴声が聞こえる。今までの静寂がウソのようだ。
 標高が上がったせいもあるだろうが、ここに来てようやく涼しく感じるようになった。
 この涼しさを求めて、夜間登山を実行したのだが、今回は、全くハズレ状態。

 花立山荘下の階段を登るころは、だいぶ明るくなってきた。(写真下)
 ここで、朝日が出てくる方角を考える。冬であれば、大山寄りから朝日は、昇ってくるはずだが、この季節では、北寄りになるはずで、ご来光を拝むつもりだと、最低でも花立までは、登らないとダメなことに気がつく。
[だいぶ明るくなった(写真上では、まだ暗いが実際は、もっと明るい)]

 人間とは、素晴らしいもので、目的があるとピッチが上がる。
 花立山荘で少し休憩した後、一気に花立まで登る。塔ノ岳が視界に入った。(写真下)

 4:37、まだ朝日は出ていない。
 ここでザックを下ろして、表尾根方向を眺める。ちょっと靄がかかっており、空は、それほど赤く染まっていなかった。だが、ものの5分もしないうちに空が染まり始めた。
 西側に目を向けるが、富士山は、霞んでしまい、写真にはならない。肉眼でどうにか見える程度だった。
 撮影のため、立止まっていると、ブヨが手の周りに寄ってくる。今回、初めての虫攻撃だ。(結果的にここで数箇所、手の甲や、手首周りに刺された。長袖だったから、この程度で済んだが、半袖であれば、かなり刺されただろう。)
 4:54、花立を出発。
[もうすぐ日の出]

 馬ノ背では、斜光線によって幹が光る樹林帯の中を歩き、気分が和らぐ。だが、気温が段々、上がってくるのもわかった。

 塔ノ岳への登りでは、ヘロヘロ状態。最後は、ゆっくり一歩一歩、木の階段を登っていく。

 5:23、塔ノ岳山頂到着。
 結局、山頂まで誰にも会わなかった。 .....当たり前か

 ザックを下ろして、撮影開始。大山方面を撮影する。
 撮影中、ここでもブヨの攻撃を受けた。 ....ブヨは山頂が好き?
[塔ノ岳頂上にて]

 撮影が一段落した所で、尊仏山荘に入る。
 山小屋内は、出発した登山客が出てしまい、ガランとした様子。(山頂で撮影している間、幾人かが小屋を出発していった)
 小屋のご主人、花立さんに挨拶し、しばし雑談。
 「昨日の夜から登り始めました。」と言うと、「外人さんと会わなかった?」との質問。さすがは、山のご主人。夜、登って来たことに対しての返答が予想外の質問だった。この時期、夜登ってくるのは、外人さんが多いらしい。やはり、富士山の影響だろうか。

 小屋の窓から、山頂には、大学生らしきグループが登ってきて、休憩しているのが見えた。
 そのうち、彼らの2、3人が小屋に水を買いに来た。聞けば、やはり大学生で、朝、大倉を発って三ノ塔経由で到着。この後、鍋割山、檜岳と縦走し、高松山まで行くという。これまた長丁場な行程だ。

 小屋の中で、缶サイダーを注文し、その後、ホットコーヒーも注文。朝食用のパンも食べ、ゆっくりしてしまった。
 だが、今日もこの暑さで、どうもこの奥に向かう気力が湧かない。
 そこで、表尾根を下ることにした。
 8:17、塔ノ岳を出発。 ....どれだけ休憩したことか...

 8:42、新大日に到着。(写真下)
 ここで、小休止していると、7人の大学生パーティとすれ違う。

 8:58、書策小屋に立ち寄る。屋根が飛んでおり、室内も汚れている。
 既に人の住める状況では、なくなっていた。
[新大日にて小休止]

 9:09、政次郎ノ頭を下る時になって、前方がガスに覆われ始めた。(写真下)
 涼しい風でも吹いてくれたらと思ってガスの中に入るが、さほど気温が低い訳でもなかった。
 この後、クサリ場を何箇所か通るが、反対側からの登山者が居ないので楽々と通過。
[ガスが前方に広がる]

 9:28、行者ヶ岳に到着。
 ここで、ペットボトル500ml、2本目が空となった。
 クマ鈴を取り出し、北東尾根に突き進む。
[行者ヶ岳山頂:暑くなった]

 この尾根の最初の部分は、ヤゲン沢側から登ったことがあるので、ルートに迷いは、なかった。
 尾根の背筋を歩けばいいのだが、単純に尾根筋が歩けない箇所がある。そんな場合は、右手の斜面に少し下って、歩けばいい。
 そして、目の前に3、4mの急斜面が現れたら、それを強引に登る。
 登った先は、左手にガレ場が続くルートとなる
[細い尾根となる]

 9:46、ガレ場にて、左側の視界が広がる。あいにく表尾根側は、ガスでよく見えない。だが、その右手の長尾尾根は、どっしりとした緑の屏風のように北東に続いていた。
 このガレ場、左の沢に滑り落ちてしまうと、途中で停止することは、まずできない。スリルがそれなりにある場所だ。特に悪天候の場合は、要注意だ。
[視界の広がるガレ場]

 ガレ場を過ぎると、心地よい緑の樹林帯の中を下っていく。
 この辺り、踏跡は、はっきりしていない。

 9:53、右手にガレ場を見る。そのガレ場の奥に支尾根が派生している。以前、その派生した支尾根を途中から登った記憶が蘇る。
 相変わらず、磁石の指す北東を進んでいく。
[木陰の道]

 10:03、左側がガケになった。(写真下)
 右側の斜面にシフトして通過する。
 この後、尾根の巾が広がり、とても気持ちのいい下りとなる。
 
 10:20、尾根の突端のような箇所に出た。右側に支尾根が出ているが、磁石で確認し、ここも北東に向かって進んでいく。

 10:27、だいぶ下ったなぁと思っていたら、前方に人影が。
 こんな場所で、単独の登山者と出会うとは、予想外だったので思わずドッキリ。
 挨拶を交わして、すれ違う。
[左は、ガケ]

 この尾根のゴールは、境沢とヤゲン沢の合流点だ。地図では、尾根の途中で東方向に下ることになっている。
 どこで、東に曲がるべきかと前方を見ていたら、北東側が、急斜面になった。ちょっと周囲を見渡すと、右手に赤テープが付いており、そちらの方が斜面としては下り易いようだ。
 地図と見比べ、ここが、どうやら東への曲がるポイントだと確信し、そちらに下っていく。(写真下) 
[ここからルートファインディング]

 植林帯の中を下っていたが、いつの間にか植林帯は、左に分かれていった。
 下っていく途中、モミの大木横を通過。(写真下)
 そのうち左側の斜面が、急になり、この先、本当に下れるのか不安になってきた
[モミの大木(振り返って撮影)]

 黄色いテープのマークがあった。(写真下)
 左は、急斜面で、滑ったら、かなり下まで一気に滑り落ちること必至である。
 その斜面をトラバースするように進んでいく。
[左は急斜面]

 段々、尾根が細くなってきた。踏跡は、明確ではないが、先ほどのテープから、コースは、これで間違いないと判断。
 とにかく、この細い尾根を進むしかないと下っていく。
[本当にここでいいの?]

 前方が植林帯になった。だが、その先が急斜面で見えない。
 果たしてどうなっているのか、踏跡もはっきりしないので、ちょっと不安な状態。
[植林帯の先が見えない]

 植林帯の先まで行くと、急斜面ながら、下れることがわかった、また、この下が、沢の合流点であることも判明。
 予定通りのコースで進んできたことを確信。
[沢が見えた]

 10:52、無事、沢に下り立った。
 予定通り、ヤゲン沢と境沢の合流点で、境沢経由で新大日に向かうルートの道標が立っていた。また、正面の沢(境沢)を渡れば、そこは、林道終点の場所だ。
 周囲にヒルがいるかどうかをじっくり確認。何たって以前、ヒル攻撃にあったのは、この下流のタライ小屋沢と藤熊川が合流する地点だった。そのため、この流域は、ヒル危険ゾーンという先入観がある。
 ストックを沢で洗い、ザックに取り付けて出発。(11:05)
[沢に出る]

 林道終点から下っていくと、舗装路に出た。(写真下)
 ここからは、ヒルも大丈夫だろう。

 舗装路をひたすら歩いていく。
 もうすぐ、札掛かなと思っている頃に、単独行のオジサンとすれ違う。
 聞けば、今から行者ヶ岳に登ると言われる。今、下ってきたルートだ。
 行者ヶ岳へのルートもかなりポピュラーになってきているようだ。
[舗装路となる]

 11:41、丹沢ホームに到着。
 この丹沢ホームの前に自販機があるのを知っていたので、ここの炭酸飲料を楽しみにしていた。冷えていて、最高にスカッとする。
 さて、ここで小休止して、スパッツを外そうとしたら、何とスパッツの上に一匹のヒルを発見。
 コノ〜!と、思わず声が出る。他についていないか、スパッツを外し、靴を脱ぎ、ソックス、ズボンを念入りに調査。だが、どうやら最初の1匹だけのようだ。
 道路を挟んで建屋の反対側の沢に行き、手頃な石とライターでこのヒルを成敗。
 そのヒル退治が一段落した後、この丹沢ホームは、ちょうど12:00から14:00までが食事タイムということを知り、ここで昼食とした。

 定食を注文したが、非常に美味しかった。まだ、ここには泊まったことがないのだが、いつかは宿泊してみたい所だ。
[昼食]

 丹沢ホームを出発。(12:31)
 舗装路を歩いて、札掛吊橋に着く。(写真下)
 吊橋の上で右側を眺めると、藤熊川とタライ小屋沢の合流点が見えるが、そのちょっとタライ小屋沢上流が、ヒルの巣窟だったことを再び思い出した。
 ....ヒルの記憶は残るな〜


 吊橋を渡り、県道に出る。あとは、ひたすら、ヤビツ峠を目指すだけとなった。
[吊橋を渡る]

 途中、富士見山荘で休憩。(13:52〜14:10)
 ペットボトルを購入。今日は、水分補給が第一。

 14:28、ヤビツ峠に到着。
 もう蓑毛まで歩く気力はなかった。14:51発のバスを待つ。
 ちょっと早めの下山時刻ということで、バスは空いていた。
 こうして、今回も無事、帰路につく。 
 [ようやくゴール:暑かった]


 上記のように夜間だからといって、涼しい登山になるとは限りません。気温が下がるのは、やはり明け方近くになってからでした。
 おかげで、今回、大倉尾根最長時間の自己記録を更新したのではないかと思います。

 【追記】
 北東尾根を下っていたとき、途中でお会いした方から、後ほどメールを戴きました。こうして、下山後にもコミュニケーションが続くのは、とても楽しいものです。神奈川県相模原市在住のAOKさん。また、山中でお会いしましょう。



※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。