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鍋割山

 山行日
2008年10月3日(金)        曇        単独行
 コース
寄(7:40)〜(8:12)寄大橋(8:16)〜<後沢右岸尾根>〜(10:38)一般登山道合流点(10:42)〜(11:20)鍋割山(12:54)〜(13:27)小丸〜(13:46)二俣分岐〜(15:18)二俣〜(16:20)大倉
 平日なのですが、仕事が休みでしたので、鍋割山に行ってきました。今回は、後沢右岸尾根のバリエーションルートを歩き、鍋割山の山頂北側で、ブナ林を堪能してきました。

 山は、十分、秋を感じさせる外気に包まれていました。
 他にもいろいろ楽しんできました。
 以下、詳細をご覧下さい。 


 平日の新松田駅前で、寄行きのバスを待つ。登山姿の人は、西丹沢行きバスを待つ3人のみ。周囲は、駅に向かう通勤・通学客ばかり。そんな光景を眺めていると、平日に山に行くのは、どうも落ち着かない。
 7:13、寄行きのバスが発車。乗客は、全部で7人。登山姿は、やはりというか自分ひとり。

 終点、寄に到着。(7:36) 
 降りたのは、私ひとりだけだった。
 準備体操を3分間、実施。(ちょっとアキレス腱を伸ばす程度の運動だが)
 7:40、バスが折り返して、新松田に出発するのと同時に、こちらも歩き始める。

 天気予報では、今日は、晴れのはずだが、上空は、雲に覆われている。
 だが、このため、暑くもなく、これから歩く身としては、嬉しい限り。
[今回は、寄バス停がスタート地点]

 8:12、左に寄大橋が見えてきた所で、車道上には、散乱した多くのイガと栗の実(1つだけ)が転がっていた。見上げれば、栗の木の枝が伸びている。山栗の小さい実は、山中でもよく見かけるが、こんな立派な実がなっていることにビックリ。(写真下左)
 ....これは栽培品種?


 ゲートの横を通り抜け、やどりき水源林の周遊歩道に足を入れる。(写真下右)
[イガ発見] [寄大橋を左に見て、ゲートにぶつかる]

 右手の小屋を過ぎると、一本の標柱が目に入った。(写真下)
 近づいてみると
   「かながわの美林50選 森村山林のヒノキ林」
と記されている。
 「かながわの美林50選」がここにもあったかと、周囲を見渡すが、正直なところ、それほど感動を覚えず。これは、「かながわの美林50選」と言えば、奥野大平のケヤキ林の印象(樹高のある真っ直ぐな幹と枝振り)が強かったせいかもしれない。
[「かながわの美林50選」の標柱]

 8:34、右手に「やどりき水源林」の周遊歩道案内図をカンバンを見る。(写真下)
 これを見ると、後沢右岸尾根の取り付き場所であるボランティア林Aには、3箇所の入口が記載されてあった。ここから一番遠い入口の分岐点は、見覚えがあったので、あそこなら間違いないだろうということで、一番遠い入口を目標に進むことにした。
[やどりき水源林 周遊歩道案内図のカンバン]

 このあたり、やたらと「かながわ水源の森林づくり事業に協力しています」という企業のカンバンが目立つ。以前は、それほどでもなかったが、最近の地球環境問題を反映してだろうか。

 すると、前方にロープが。
 通常ルートが閉鎖され、迂回路が用意されてあった。(写真下)
 「あれっ、これで、ボランティア林A入口は、変わっていないだろうか?」
 いや、もっと悲観的に
 「伐採中で、立入禁止となっていないだろうか?」
と一瞬、心配になった。
[植林伐採で、迂回路が出来ていた]

 通常ルートより山側に作られた迂回路を進んでいく。
 通行禁止となっていた左手の周遊道は、集材場となっており、一人の作業員が伐採された丸太を玉切りしている最中だった。
 どうやら、迂回路は、この作業エリアだけのためのようで、ひと安心。
[丸太を玉切りしている作業を見る]

 迂回路から従来の山道に合流した。
 斜面を登っていき、8:55、ボランティア林Aへの道標に出会う。(写真下左)
 シカ柵扉の直前だった。
 ここで、右折し、いよいよボランティア林Aへ。

 すると、すぐに「この先 作業用径路 迷いやすく危険です」の標識が。(写真下右)
[ここでボランティア林Aに入る] [この先作業経路]

 まだ、ボランティア林Aの道標から、10mも歩いていない地点だった。
 あれっ、途中、どこか分岐点があったか?と思い、振り返ってみるが、どう見ても分岐点などない。
 ボランティア林Aへの道も、道標が立っているくらいだから、整備された山道だと思っていたので、ちょっとビックリ。
 ということで、そのまま、この作業用径路を進んでいく。

 急斜面の植林帯の中をジグザグに登っていく。それほど荒れた道ではない。立派な作業用径路だ。(写真下左)

 9:20、丁字路に到着。道標が立っていた。どうやらルートは間違えていなかった。(写真下右)
 直進していくと、ボランティア林Aを一周することになる。ここは、左折して、尾根を登るように進んでいく。
[植林帯の中に作業道があった] [道標あり]

 植林帯の中は、振り返っても周囲の視界が広がらないので、どの程度、登ったのかもよくわからない。黙々と、相変わらずのジグザグ道を歩いていくと、右手に大岩が現れた。(写真下)
 何で、ここだけ、大岩があるのか不思議だ。
[右手に大岩を見る]

 傾斜が緩くなってきた。すると、正面にベンチが現れる。(9:34)
 何で、こんな所にベンチが?との思いが一瞬、過ぎったが、ちょうどいい時間だったので、休憩することにした。ベンチに腰掛け、谷側を眺める。といっても、目の前の植林しか見えないのだが。

 ヒルがついているかなと足下を見るが、今日は、涼しいせいか、ついていなかった。そろそろ、ヒルのシーズンも終了かと思うと、ワクワクする。
 ....問題は、クマ。
[ベンチに到着]

 9:40、ベンチを出発。
 正面の緩やかなピークを目指す。ピーク直前に、シカ柵が現れる。(写真下左)
 シカ柵の枠には、「鍋割山⇒」の手書き文字が。(写真下右)
[ピーク手前で、シカ柵を通過] [手書き文字あり]

 シカ柵を通過した、すぐ先が1/25000地形図上の762mピークだった。(写真下)
 幹に巻かれたテープには、「762m峰」と書かれてある。
 ただ、ここも360度、周りは植林帯で、残念ながら、視界は広がらず。
[シカ柵を出たところが、762mピーク]

 762mピークを後にし、緩い斜面を下っていく。
 このあたりは、非常に歩きやすい所だ。
[762mピークを下っていく]

 歩きやすい斜面は、すぐに終了。
 再び、急斜面にとりつく。正面を見上げると、チラッと鍋割山方面の山並が見えたが、まだ遥か上だった。あそこまで登るのかと思うと、ちょっと溜息が出る。
 小さなジグザグ道を進む。階段でないせいか、歩きやすく、息が切れないのが、嬉しい。
[再び急登が始まる]

 10:04、シカ柵にぶつかる。蝶番の外れた扉が柵にもたれ掛かっていた。(写真下)
 踏跡は、柵の向こうに続いているものと、シカ柵の手前で右折(山側の方向)し、柵沿いに続いているものに分岐していた。
 さて、どちらがいいか?と悩んだが、柵の向こうに続いている方が若干、高度があったので、そちらを選択。
 結果は、10分ぐらい歩いた先で、結局、合流した。
 (但し、シカ柵沿いに進むと、斜面の直登となり、シカ柵が途切れている箇所を見逃すと、ルートから外れてしまう。それゆえ、ルート的には、柵を越すのが正解だった。)
[シカ柵の向こうへ]

 10:24、正面の登りが、自然林となる。新緑のような明るい緑が目に入る。
 すると、斜度も一段と急になった。ジグザグだった道も、例外部分が出てきて、細くて直登するような場合も出てくる。下りの場合であれば、緊張するな〜と思いながら、目の前のルートだけを見て、一歩一歩、足を前に出す。
[植林帯が切れて、自然林が正面に現れる]

 ふと左を見ると、何かぶら下がっており、下には、バラ線が張ってあった。(写真下)
 いったい何だろうと思ったら、注意書きが、貼られてあった。
 どうやら、野生動物の調査のための仕掛けらしい。動物の体毛を有刺鉄線で採取するようだ。ぶら下がっているのは、食物の匂いでも発する容器だろうか。
[何やら怪しいもの?]

 正面の自然林が急過ぎて、ちょっと直登はキツイなと思っていたら、踏跡は、右へトラバースするように続いていた。(写真下)
 この右へ曲がっていく踏跡を進んでいくと、再び植林帯となった。
 だが、それも長くは、なかった。
[正面を登らず、右手にトラバースしていく]

 10:38、一般登山道に出た。
 すぐ先の木の幹には1000mと赤ペンキで書かれてある。標高1000m地点のようだ。ここでザックを下ろし、しばし休憩。(写真下) (〜10:42)
 さすがに平日だけのことはある。この時間帯だから、登ってくるハイカーと出会うかなと思っていたのだが、人影は見当たらず。

 その後、山道の途中で、マムシ草の実(まだ青かった)をデジカメ撮影していたら、2人組、3人組とハイカーに追い抜かれた。平日でも、それなりに登ってくるハイカーは、いるなと考えを訂正。
[一般登山道に出た。(標高1000m地点)]

 鍋割山に到着。(11:20) 
 山頂には、10人程度のハイカーが休憩中だった。 
....ちょっとビックリ。

 山頂に建つ鍋割山荘に入り、山荘のご主人草野さんに挨拶。
 早速、鍋焼うどんを注文。
 うどんができるまで、山荘内には、他の客も居なかったので、しばし雑談。(昨年、豊作だったキノコについて、今年の出来具合などを聞いてみた)
 できた鍋焼うどんを持って、再び外に出ると、外気温は低く感じられ、急に背中の汗が引いてくる。

 鍋焼うどんを食べながら、相模湾を眺める。今日は、うっすらと湾が見え、真鶴半島も霞んだ状態だった。やはり、平日は静かだな〜と思いながら、具の一つ、カボチャの天ぷらを口に入れる。
 食べ終わった後、草野さんに挨拶して出発。(12:00)
[鍋割山荘に到着] [名物鍋焼うどんを食べる]

 山荘の北側に回って、小丸方面に向かう。
 山荘の裏手には、まだ広葉樹の翠緑が素晴らしい。

 ここで、中型カメラをザックから取り出し、撮影開始。この樹林を撮影後、北側斜面の獣道を進み、ブナを撮影する。
 小型の三脚を担いで、ブナ撮影すること小1時間。先月の大山以来のブナ撮影だ。
 ....最近は、山岳風景よりもブナ撮影の方が多い。
[鍋割山荘の裏手にて]

 カメラをザックにしまい込み、鍋割山を出発する。(12:54)
 この鍋割山から大丸までは、丹沢でも手軽にブナ林が観賞できる貴重なエリアだ。そんな訳で、何度訪れても飽きない。

 すぐさま、左手に蛭ヶ岳、不動峰の見える展望箇所を通過。
 これら奥の山々の頭部分は、ガスで覆われていおり、眼下の箒杉沢、鍋割沢あたりが見えるだけ。
[鍋割山から小丸に向かう]

 15:20、小丸への登り途中にあるベンチで小休止。(〜15:25)
 目の前に立っているブナの葉は、すでに黄葉し始めていた。(写真下)
 別に急ぐ必要はないので、ボケーと、ブナを見入っていた。...至福のひととき。
[黄葉し始めたブナ]

 小丸のピークに到着。(13:27)
 デジカメで撮影していたら、日が射し込んできた。ようやく天気予報通り、晴れてくるようだ。

 先程の草野さんとの話を思い出す。昨日もこんな雲のある天気だったとのこと。(下界では、昨日、いい天気だったのに) やはり、山の天気は、低山とはいえ、下界通りとは、ならないようだ。
 [小丸山頂で、日が射し込んできた]

 13:46、二俣分岐点に到着。
 ここで、今回は、右折し、二俣へ下ることにした。
 このルートは、確か今年4月に父と下ったことを思い出した。
 [二俣への分岐点で右折する]

 下り始めは、前回、馬酔木の花に囲まれながら、ジグザグに下った記憶があったが、その先の記憶は、完全に消えていた。
 特に後半、こんなに長い下りだったっけと、ちょっと自分の記憶違いに唖然とする。まだ半年しか経っていないのに。
 14:48〜14:52、水分補給のために小休止。
 [歩きやすい斜面]

 15:12、二俣手前の林道にようやく合流。
 15:17、勘七ノ沢を通過。(写真下)
 沢の水量は、多くなかった。
 15:18、二俣の道標を通過。ここからは、ひたすら林道を下っていくだけだ。
 [勘七ノ沢を渡る]

 結局、誰にも会わなかった林道歩きの後、16:20、大倉バス停着。
 バス停裏の広場では、中学校のイベントがあったようで、多くの中学生で溢れていた。
 バスは、既に到着していたが、靴などを洗いたかったので、1本パス。
 靴、ストック、顔や腕を洗った後、バス停に向かうと、次のバスは、16:52。
 時計を見ると16:30。20分あれば、食べれるかと、正面の蕎麦屋(さか間)へ。
 生ビールと、せいろを注文。
  ....きょうは、鍋焼うどん、手打ち蕎麦とグルメな山行


 最後に蕎麦湯を一気飲みし、急いでバス停へ。運転手に乗りますというアクション(ただバスに向かって走っているだけ!)を見せることで、無事、16:52のバスに乗車できた。
[大倉に到着] [生ビールと、せいろを注文]


 後沢右岸尾根は、M-Kさんやmassyさんの記録を参考にさせていただきました。ありがとうございました。
 このルート、植林帯が多いのは、檜岳周辺と同様ですが、途中、ベンチがあったことには驚きを隠せませんでした。まだまだ、この寄周辺は、未踏ルートが多くあり、楽しみなエリアです。

 また、今回は、熱々の鍋焼うどん、手打ち蕎麦と、麺類好きの私として、なかなか美味しい山行でした。



※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。