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裸山丸・東沢乗越

 山行日
2008年11月23日(日)       快晴     同行者:イガイガさん
 コース
玄倉林道ゲート(7:35)〜(8:09)女郎小屋沢出合〜(8:59)836m峰〜(9:44)モチコシ沢横断(9:48)〜(11:08)裸山丸(11:17)〜(11:25)モチコシノ頭(11:33)〜(11:42)東沢乗越(11:46)〜(12:03)東沢湧水口〜鉱山跡〜(13:03)東沢乗越(13:07)〜(13:13)モチコシノ頭(13:16)〜(14:01)女郎小屋ノ頭(14:12)〜(15:26)女郎小屋沢二俣(15:33)〜(15:59)女郎小屋沢出合(16:08)〜(16:41)玄倉林道ゲート
 今回は、イガイガさんとのコラボ山行を報告致します。
 きっかけは、今月の第2回ニカニカ集会の帰り、イガイガさんの車に同乗させて戴いたことから始まります。その時、いろいろと話が弾み、今回のコラボ山行を計画させてもらいました。

 事前にイガイガさんからコースに対する候補をいくつか挙げて戴いたメールを受信し、「お好きなコースを」ということでしたので、この際、なかなか単独では踏込めない、東沢乗越エリアをリクエストしました。
 その後、イガイガさんから、今回のコース地図付きのメールを受取り、エリアを徹底研究。イガイガさんのブログレポートも集中的に読み漁りました。 ....もう前夜は、小学生の遠足気分でコーフン気味。

 今までイガイガさんの丹沢エリア山行に関しては、単独行ばかりで、その装備、スタイル等は、一切ベールに包まれておりましたが、今回、この花立小僧が、同行しましたので、イガイガさんご自身のブログでは、披露されていないことについてもレポートしていきたいと思っております。
 (イガイガさん非公認)

 今回は、花立小僧が丹沢を歩き始めてちょうど300回目の山行となりましたが、お蔭様で、この上ない、非常に印象深い山行となりました。 


 いつも電車で丹沢に行く時の途中駅で下車し、イガイガさんと待ち合わせ。
 予定通り、集合時刻に合流し、イガイガさんの愛車で、レッツゴー。....まだ真っ暗だった。

 夜が明け、富士山を正面に見ながら西丹沢に向かう。....R246もスムーズ
 車中、イガイガさんの丹沢情報リソースは、いったいどこから入手されているのか、いきなり核心の質問に入った。
 ....なんと、図書館らしいです。
[車窓からの富士]

 7:23、玄倉林道ゲート前の駐車場に到着。既に車が、3〜4台、駐車していた。
 ここで、ザックの中身を整理して、不要な物は、車に置いていく。
  ....一応、渓流シューズとかも持参してきた。
 イガイガさんからは、ストックは不要ですよと事前に言われていたが、これは、武士の魂のような物なので1本、携行させてもらうよう依頼した。
 ....下りの時、楽だし。
 花立小僧としては、クマに対する護身用も兼ねているのだが、シチミさんに言わると、ダメですよとの事。
  ....第1回ニカニカ集会の時にヒアリング。でも素手よりは、マシでは?

 イガイガさんのザックの中身は、三脚、水、ライト、食料ぐらいしか入っていないとの事で、外見上も、ものすごくスカスカ状態だ。
[玄倉林道ゲート前駐車場にて...車体までボカシを入れたのは初めて

 7:35、出発。
 今年の紅葉が遅いのか、玄倉川の両岸では、まだ紅葉が楽しめた。
 イガイガさんから、ここがビュウポイントですよと教えられ、左手を見ると、紅葉した大タル丸方面に朝日が当たっていた。
 早速、デジカメ撮影を開始。
 ちなみにイガイガさんは、デジカメケースを左の腰の辺りにつけられている。
 花立小僧は、首からコンパクトカメラをぶら下げ、胸ポケットの中にカメラを入れている。

 それほど、歩くペースを上げることなく、普通のスピードで歩いていく。
 以前、この林道で、ある人に追い越され、花立小僧としては、その人をペースメーカーにして歩こうとしたら、ものすごく速く、追いつけなかった話(後で、その方は、s-okさんと判明)などをしているうちに女郎小屋沢への下り口に到着した。
[玄倉林道を歩く...イガイガさん、いよいよ登場

 8:02、パワーショベルが置いてある所から林道を離れ、玄倉川に下っていく。

 玄倉川の河原に出ると、どこが本流だと思っているうちに本流を越えていた。殆ど水量が無いに等しい状態だ。
  ....ちょっと予想外。

 この渡渉のためにもストックは、有用だと思っていたのだが。
[水量のない玄倉川(上流側)]

 対岸に渡り、地図で確認すると、836m峰頂上まで約330mぐらいの高度差だ。
  「1時間ぐらいですかね〜」
  「さて取り付きますか」
と、適当な場所を探していると、テープが一箇所あった。
  「では、ここから」
と登り始める。
 ちなみにテープは、この先、見掛けなかった。...何故か、ここだけあった。

 初っ端から、二本足だけでは登れない急斜面となった。 ....さすがイガイガワールド。
 手で木の幹などを掴みながら登っていく。
[836m峰斜面に取り付く(イガイガさん撮影)]

 いくら登っても、斜面の角度は、一定状態で、両手両足を使っての登りだ。
 当初、ストックをザックの横に付けていたのだが、途中で、ストックを取り出す。
  ....いきなり前言撤回で登りの時も使用。


 ふと見ると、イガイガさんは、急斜面の時、ドライバ−を利用されていた。
 細めの木の根っこが進路方向に対し、直角に伸びていた場合、花立小僧は、指に根っこを引っ掛けて登るが、イガイガさんは、根の先の地面にドライバ−を突刺し、そのドライバ−を根っこに当てて登られていた。(根っこは、ストッパーのような役目)
[急登が続く(振り返って撮影)]]

 8:59、シカ柵だらけの836m峰(頂上付近)に到着。
 ここでは、西側に見えた富士山の秀麗な姿にデジカメ撮影。

 よく見たら、イガイガさんは、水分補給にハイドレーションシステムを使用されていた。ザックを下ろさずにいつでも水が飲めるようになっている。
 また、メモは、取られないようだ。
 最近では、デジカメの撮影記録で時刻がわかるので、確かにメモを取る必要性は、減っている。花立小僧は、デジカメ撮影の時でも、前方の光景なのか、後方の光景なのか、後でわからなくなる場合があるので、そういった場合、メモを取るようにしている。

 富士山撮影を終えたところで、下ることにした。
 しかし、この先、下っていく方向に悩む。 ....どの方向も急斜面。
 だが、イガイガさんは、急斜面でも何事もないかのようにスタスタと下っていってしまう。(写真下)
 こちらは、腰が引けている状態なのに。
 ...ちょうどスキーの初心者と上級者の違いのようだ。

 9:26、モミの木が1本、立っている鞍部に到着。
 ここで右折し、モチコシ沢に下っていくのだが、まだまだ急斜面が続いている。
 「どこだったかな〜」
と呟きながら、イガイガさんがルートを周辺探索。
[モミの木が立つ鞍部が見えてきた]

 その探索の結果、「これがルートだ」とイガイガさん、指を差されるが、そのトラバースルートは、どう見ても途中、西丹沢名物の石英閃緑岩が砂化して、ザレとなっている箇所だ。左下を見ると、滑落の際は、20m以上、間違いなく滑っていくような状況。
 先ず始めにイガイガさんが、右手にドライバーを持って慎重に前進していく。
 途中、確保のためにドライバーを斜面に突き刺す。
 その時、この花立小僧は、見たのだ。イガイガさんの奥義を!!!
 
 <イガイガ奥義>
 右手に持ったドライバーが、ものすごい頻度で斜面に繰り返し、突き刺さっていく。
 その間、2本の足が交互に進んでいく。両足と右手は、非同期。
 アッと言う間にイガイガさん、トラバース成功となった。
 不肖、花立小僧、この奥義に
   「ドライバー百裂拳」
と名付けさせてもらった。
[あれがルートだと指差すイガイガさん...この後、イガイガさんの奥義が炸裂

 イガイガさんがパスされた後に続いて、この花立小僧もトラバースに挑戦。
 このサイトで、何度か申して上げているが、私は、一本橋と急斜面のトラバースを大の苦手としている。
  ....それ以外にもあるけど。

 イガイガさんに言われてドライバーを持参してきたが、あそこまでの奥義はできないので、使い慣れたストックを短くしてピッケル代わりに使用し、慎重にトラバースしていく。
 落葉が積まれた砂地ではあるが、30cmぐらい滑ると、どうにか足が止まり、それ以上は、滑らなくなる。
  ...あくまでもそうであって欲しいという希望を含んだ表現。

 ようやくトラバースに成功した。
 おそらくイガイガさんの時より、4、5倍の時間を要していたと思う。

 その後は、先程のようなスリルのある箇所はなく、無事、沢に下っていくことができた。

 モチコシ沢に交差する直前で、前方にモチコシ沢遡行の単独男性を見かけた。
 こんな時期にこんな場所で人に出会うなど、全くの予想外だ。挨拶をした後、後姿を目で追う。
 モチコシ沢も先程の玄倉川と同様、流れは、チョロチョロの状で、渡渉には全く問題がなかった。

 渡った先に涸沢があり、その沢に少し入ったところで、右手斜面に取り付いた。
 またしても両手両足で登らなければならない急登だ。
 幸い、3、4分で、尾根筋に乗ることが出来た。
[モチコシ沢を横断(上流側を望む)]

 尾根筋に乗ってしまうと、後は、裸山丸のピークまで迷うことはなかった。
 だが、この尾根も先程の836m峰と同様、両手両足使用の登山スタイルだ。
 たまにドッジボールぐらいの石が手掛りになることがあるが、浮石の可能性が高く、怖くて体重をかけられなかった。
 なお、登り始めは、周囲に紅葉した樹林帯もあり、目を和ませてくれた。
[ドライバー利用のイガイガさん]

 ようやく手を使用しなくて済みそうだとホッとすると、すぐさま、元の急斜面に戻ってしまう。
 ちっとも可愛くない尾根だ。

 だが、特徴ある左右の尾根(左手:女郎小屋ノ頭に続く、右手:向山ノ頭に続く)が木立の間から見えるので、自分が登っていく高度が相対的にわかりやすく、それが励みになった。
 ....直登ルート一本なので、ジグザグに登るといった無駄な歩行距離も無し。

[一瞬、斜面が緩くなった...偽りの緩斜面だった

 今度こそ緩斜面が続くかと思った地点は、約960m地点で、左手に小さな枝尾根が出ていた。
 ちょっとここで、私は、靴を脱ぎ、中の小石を取り除く。
 今日は、トレイル用シューズで軽量化したのだが、スパッツは、暑苦しいのでしていなかった。
 イガイガさんは?と、見てみると、靴は、同様なのだが、ズボンの中にスパッツを装着されていた。
  ....よって外観上は、スパッツなしに見える。

 イガイガさんが、地図で現在位置を確認されている。
 イガイガさんの地図は、ご自分でプリントアウトされたもので、チョコチョコと、コース途中の標高が書き加えてあった。これならば、すぐに標高がわかり、便利だ。
[傾斜が緩くなり、地図を見るイガイガさん]

 ようやく裸山丸の頂上が近づいてきた。
 モチコシ沢からの標高差約400mを登っての登頂だ。

 このあたりの木々は、すでに落葉し、冬木立となっていた。山頂に近づくにつれて、鼓動が高まっていく。
[裸山丸頂上手前]

 11:08、裸山丸頂上に到着。(〜11:17) (写真下左)
 ザックを下ろし、周囲を見渡す。木立の向こうには、同角ノ頭、石小屋ノ頭などが聳え立つ。
 何か山頂とわかる物は、ないかと探したところ、黄色いテープの上に「裸山丸」の文字を発見した。(写真下右)
[裸山丸頂上にて] [黄色いテープあり]

 裸山丸のピークからモチコシノ頭に向かう。
 モチコシノ頭方面を立木の間から眺めてみても、どこがモチコシノ頭か、よくわからない。モチコシノ頭の標高が低く、ピークが同じような樹林帯のせいか、どうやら周囲の光景に完全に紛れ込んでしまっている。
 ...カメレオンのようなモチコシノ頭
 磁石で方角を定めた後、下っていく。

 11:25、モチコシノ頭頂上に到着。(〜11:33) 
 小さなピークだが、ここも東西南北、どの方角も同じような立木の光景となっていた。これでは、どちらに下っていいのか、全くわからない。
 昔からある道標は、バラバラに地面に置かれ、もはや道標の役目を終えていた。(写真下)
[モチコシノ頭にて...バラバラとなった道標の一部を集めて撮影]

 モチコシノ頭から東沢乗越へと下っていく。
 イガイガさんは、白ザレの下りを滑るという認識が無いかの如く、スイスイと下っていかれる。
 花立小僧は、一歩一歩、足下を確かめて下っていく。歩き難い急斜面だが、ここは通行人が多いのか、比較的、掴まるべき立木や根っこが見つけやすいルートだった。だが、白ザレで滑りやすいことに変わりはない。
[東沢乗越に下っていく]

 11:42、東沢乗越に着いた。
 事前情報では東沢に下っていく場合、左に見えている源頭部分の樋状急斜面をそのまま下っていくのが、ルートのようだが、見下ろしただけでも結構、ビビってしまった。

 「この左手の東沢源頭を下っていくのですか?」
とイガイガさんに尋ねますと、
 「NO」
とのご返事。
 「東沢の右岸の斜面をトラバースするルートを辿ります」
とのこと。
 ...またトラバース路で、もっとビビる。
[東沢乗越にて]

 確かにこのトラバースルート(実際は水平ではなく、下っていく)もルートのようで、テープが所々見られた。だが、誰も歩いた形跡がなかった。
 イガイガさんは、この辺り、鉱山を探すために歩き回っているので、このトラバースに慣れているようだ。ここで、またまたイガイガ奥義の第二弾が炸裂した。

 <イガイガ奥義:第二弾>
 落葉が積もっている砂ザレ急斜面でも、イガイガさんは、スタスタと下っていかれる。全く普段通りの歩行のように見える。だが、一歩間違えれば、東沢に急落下だ。
 不肖、花立小僧、この奥義、
   「連続抜重歩行」
と名付けさせていただく。
 これは、自己の体重を限りなくゼロにして歩いてしまう奥義だ。実際は、滑っていく片足を無視して、もう一方の足を前に出していく。出した片足に体重を移し、滑っていた方の足を上げる。と同時に体重をかけた足が滑り出す。だが、スピードが乗らないうちに、他方の足を前に出す。その繰り返しだ。
 ....これが、あたかも滑っていないかのように見えるのだ。
[ここでもイガイガさん奥義、炸裂]

 体重差は、それほどない筈だが、こちらは、ズルズルと足が滑っていくと、止まるまで、その体勢を保持してしまう。ということで、イガイガさんとは、ここでかなり差をつけられてしまった。
 ...その度にイガイガさんに待ってもらっていた。

 とにかく、斜面は急で、木とか根っことか、手で確保するものが無いのだ。
 また、登りであれば、それほど恐怖心が湧かないのだが、急な下りだ。ラッキーなことと言えば、ストックをピッケル代わりに使うと、目一杯、ストックが地面に突き刺さるということだ。
 ...だけど、抜くのが大変。

 ようやく東沢(涸沢)に下り立った。(写真下)
 ここからは、傾斜が緩く、今までの事を思えば、駆け足で進めるような気がしてきた。
[東沢(涸沢状態)に下る]

 「ここが東沢湧水口です。」
とイガイガさんから説明され、人間一人が入れる程度の穴からコンコンと水が出てくるのが見えた。(12:03) イガイガさんは、ザックを置いてハイドレーションシステム用の水筒に水を汲みに行かれた。(写真下)
 ここで時間もちょうどいいので昼食とした。
 食事を終える頃になると、ここは、ちょうど日蔭になっており、身体が冷えてきた。ザックの中からテルモスを取り出し、インスタントコーヒーを2人分、作る。
 コーヒーを飲んだ後、
 「さて、これから鉱山見物と行きましょう」
と誘われ、イガイガさんの後を追っていく。
[東沢湧水口にてイガイガさんが水を汲む光景]

 「これです。」
と言われて見ると、レールのような太い鉄線が地面から露出していた。
 その先に目を向けると、小さな穴が見えた。(写真下左)
 穴の入口左には、説明板が掲げてあった。
  ....いったい誰が読むのだろう?


 説明板によると
  鉱山名「丹沢鉱山」とあり、昭和24年に試掘され、その後、昭和30年に面積を増やし、昭和34年に本格的な採掘となったとの事。実際には、孔雀石、黄銅鉱、輝銅鉱などが採掘され、銅の含有量12%と高品位であったと記されていた。(金は、採れていなかったようだ)

 イガイガさんが中に入って行かれ、その後からついていく。
 中で左にカーブしていたが、その先10mぐらいで落盤のため、行き止まりのようだ。足下にはレールがまだ敷かれたままだ。当時の採掘が偲ばれる。
 その後、無臭のガスが発生していたら、気がつかず酸欠になるのではないかと思い、私は、ひたすら入口付近にいた。
 ....イガイガさんは、覚悟して、まだ中で撮影中。


 天井を見ると、石英閃緑岩そのものだ。この天井とレール跡を見ながら、昭和30年代にこんな場所で掘って、どうやって鉱物を運んだのだろうと、そんなことばかりを考えていた。
[丹沢鉱山入口] [鉱山の中にて(振り返って撮影)]

 再び東沢乗越に戻ってきた。(13:03)
 ここから再び、モチコシノ頭に向かう。
 東沢乗越には、「モチコシ沢大棚」と書かれた方向を示す道標があったが、モチコシ沢を下る人など、今でも居るのだろうか?
[再び東沢乗越(東沢源頭を見下ろす)] [道標あり]

 再びモチコシノ頭を訪れた。(13:13)
 東沢乗越から登ってきた訳だが、先程下った時間と比べて今回の登り時間の方が短いことに気がついた。 ....丹沢を歩き続けて17年、初の出来事だ。

 ここから女郎小屋ノ頭に向かう。
 だが、イガイガさん、再び東沢乗越へ下る方向へ進んでいた。
 「イガイガさん、違いますよ〜」
と声を掛け、再び山頂で、方角を確認。
 今度は、間違いなく女郎小屋ノ頭に向かっていく。
 イガイガさんは、以前もこのモチコシノ頭で下る方向を間違えられたらしい。無理もない。ガスっていたり、新緑シーズン(葉が密)であったら、おそらく間違えること必至だ。
...でも今日は快晴で、木立の間から同角ノ頭は見えているし、この間違いは、イガイガさんのマイナスポイントですナ〜。
[再びモチコシノ頭]

 相変わらずの急斜面降下だ。だが、木が多いので、手が使えれば、問題ない。小さな鞍部を2つ通り過ぎた後、急な登り返しとなった。
[モチコシノ頭を下っていく]

 ピークが細長い、女郎小屋ノ頭とモチコシノ頭の間にある名無しのピークを通過する。
 逆光気味に女郎小屋ノ頭が既に目の前に見えた。(写真下)

 このピークを終え、下っていくと、ちょっとしたキレットに出て、登り返す。
 このキレット通過も一瞬、ヒヤっとしたが、今までの経験上、どうやら慣れてしまったようだ。
[無名のピークから女郎小屋ノ頭を望む]

 14:01、女郎小屋ノ頭に到着。
 いままで二人の入った記念撮影をしていなかったので、ここでセルフにて撮影。(写真下)

 ここからは、真っ直ぐ南西に続く尾根を進み、女郎小屋沢の本流と右俣との合流点まで一気に下っていくというのが、先程の昼食時に考えた帰路のコースでだ。
 早速、実行に移す。(14:12)
[女郎小屋ノ頭にて記念撮影  右:イガイガさん]

 久しぶりというか、いや、今回初めての余裕のある下りだ。
 急斜面でない、尾根巾はゆったりしているということで、スピードをつけて下り、多少滑っても、問題なしという、気分のいい尾根下りが続く。

 スキーで手頃な緩斜面をターンしながら滑っていく、そんなような錯覚に陥る。
[女郎小屋ノ頭から南西尾根を下っていく]

 事前調査(丹沢写真館さん、本当にありがとうございます)により、この先、大石があり、その後、枯れたブナの倒木がある所が、836m峰への分岐点であるということを知っていたので、今後のためにも、それを確認しながら下っていく。
 14:25、大石を発見。
 14:27、枯れたブナ倒木を発見。
 ちょっと左手を見下ろしてみたが、ここが分岐?と思えるような場所だ。実際、派生している尾根には、ここから80mぐらい下らないと分岐していない訳で、これは、地図と事前知識がないと、分岐点は、絶対わからないだろうと思った。
 今回は、このまま尾根を直進していく。
[分岐点にて]

 その後、岩石群が現れ、尾根が途切れているような場所となった。
 この先、下っていけるのか?と、少し心配な気分だ。
 イガイガさんも、ちょっとルートが見えない様子だった。
 「先程の分岐点まで引き返しますか?」
とジャブを打ってみる。
 「いやいや、下れる筈ですから、進んでみましょう」
と予想された通りのイガイガさんの回答だ。確かに私自身の事前調査でも、下れないことはない筈だった。
 ということで、岩が突起したような部分の右側に周り、急な斜面を下っていく。
 すると、なんてことはなく、突起部分の下に出ることが出来た。 
  ...この辺り、下降に集中しすぎて写真無し。

 地図の通り、尾根は、その先まだ続いていた。
 その後、南側と南西側に尾根が分かれるように見える箇所があり、ちょっと悩む。
 イガイガさんは、30mぐらい東西にトラバースしながら、進路を調査されていた。
 結局、ここは、南西だ!ということで、そちらを下っていく。...大正解。

 ちなみにあの岩石群を通過してから、かなり急斜面が続いている。嫌らしいのは、ソフトボールぐらいの石が殆ど浮石で、まともに踏めないということだ。万が一、落石させてしまうと、前方のイガイガさんへの直撃にもなりかねない。
 ここは慎重に両手両足を使い、場合によっては、木の幹を抱きかかえるようにして身体を回し、下っていく。...アゴを擦ったケースあり。
[尾根といえども急斜面となる]

 15:01、ようやく急斜面から抜けた。
 ホッとするのも束の間、今度は、尾根が二つに分かれている。またしても下るべき方向に悩む。
 今までの方向からいうと南西側なのだが、そちらに下ると右俣との合流点前の本流側にぶつかりそうだ。
 南側は、右俣の沢が見え、右俣沿いに下っていくことは、保証されているが、合流前に右俣に下ってしまうかもしれなかった。
 引き返す場合を覚悟し、イガイガさんは、南側を選択。

 いつもの事ながら、沢に下り立つ直前の尾根は、急斜面となり、ハラハラするが、この場合もそうだった。
 まだ下の沢(右俣)とは、高度差がある。
 大丈夫か?と恐る恐る下っていくと、前方が開けて、どうやら下れることが判明した。
 南側を選択して正解だった。
 だが、一箇所、1ステップだけだが、足場が崩れている箇所があり、イガイガさんより、お助けロープを取り出してもらい、安全確保していただいた。

 15:26、無事、女郎小屋沢の本流と右俣の間の二俣に到着。(写真下)
[二俣に出た]

 二俣で、小休止後、左岸のトラバース路を進む。 ...またしてもトラバース。
 女郎小屋ノ頭からの尾根下りで、スリルある箇所は、越えたと思っていたが、このトラバース路もまだまだ、気が抜けない箇所だった。

 特にここは、左岸でのトラバースなので、花立小僧にとって、最上級クラスの苦手パターンだ。と言うのも、ストックは、利き腕の右手で持つからこそ、効果がある。(今までの難所は、何故か右側が山になっていた箇所ばかりだったのでストックの効果大)

 そんな訳で、イガイガワールドは、最後まで緊張の連続だ。(写真下)
[女郎小屋沢左岸を行く....まだまだ続くイガイガワールド

 堰堤2つを越え、15:53、左からの植林帯作業路と合流したところで、ようやく緊張感が緩んだ。

 15:59、再び、女郎小屋沢出合に戻ってきた。
 玄倉川を渡る手前で、イガイガさんと、最後のコーヒーブレイクをとった。
 有難いことにテルモスの湯は、まだ十分適温だった。
[玄倉川に出た]

 振り返ると、大タル丸方面に夕日が当たっていた。(写真下)
 16:08、出発し、玄倉林道に戻り、来た道を戻っていく。

 16:41、ゲート前の駐車場に戻ってきた。
 辺りは、もうだいぶ薄暗くなっていた。
 駐車場では、先着で片付けをしている方が一人いたが、その方は、なんとあのモチコシ沢で出会った人だった。
  ...ビックリ仰天


 17:00頃、無事、イガイガさんの愛車で帰路につく。
 [玄倉川河畔から大タル丸方面を振り返る]


 <番外編>
 帰り道の事。
 今回、珍しく西丹沢の入口である清水橋よりも遥か北部から渋滞に巻き込まれた。イガイガさんとは、丹沢湖でマラソン大会でもあったのかなと話していた。(帰宅後、調べたら、マラソン大会は次週だったので、他の要因のようだ)
 そんな渋滞道にて、イガイガさんの携帯にメールが着信。(イガイガさんは、ブログで公開されているメールアドレス宛てのメールを携帯の方に自動転送されていた)
 開くと、○○さんからで、
 「今日、西丹沢の玄倉林道でイガイガさんの車らしいものを発見しました。今までは、駐車してあった車などに関心は....」
 これを見て、二人で大笑い。
 イガイガさんの愛車は、丹沢では、ずいぶんメジャーになったようです。


 イガイガさん
 イガイガワールドは、身体だけでなく、精神的にも充実したものになりました。山に行って、これだけ頭を使ったのは初めてです。
 記念すべき300回めの丹沢山行が、とても印象深い山行になりました。
 本当にいろいろとお世話になりました。あらためて厚くお礼申し上げます。
 これに懲りず、また宜しくお願い致します。

 皆様
 イガイガさんの奥義見たさに同行したいという山行となりますと、非常に危険ですので、是非、ご注意下さいます様、宜しくお願い致します。




※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。