トップページ山行リスト(日付)>大野山_記録20090705


大野山

 山行日
2009年7月5日(日)       曇り       単独行
 コース
湯本平(8:10)〜(9:16)湯本平分岐(9:19)〜(9:32)イヌクビリ(9:35)〜(9:44)大野山(10:09)〜(10:15)展望歩道橋(10:56)〜(11:04)まきば館11:19)〜(11:55)深沢三差路(12:10)〜(12:50)大野山登山口〜(13:12)大野山入口〜(13:37)さくらの湯(14:26)〜(14:30)山北
 中型カメラをかついで、久々に大野山へ行ってきました。
 今日は、天気が怪しく、途中で雨が降ってもいいように後半は、車道の多いコースとしました。
そんな悪天候を想定したコースでしたが、意外にも、いろいろな出来事に遭遇し、感慨深い山行となりました。
 詳細は、下記をご覧下さい。


 谷峨駅で西丹沢行きのバスを待つ。
 同じバスを待つ登山者は、他に4名。だが、バス車内は、予想していた以上に登山者の姿を見る。

 8:10、ただ一人、湯本平で下車。
 ザックをバス停に置き、いつもの記念撮影を終える。周囲を見渡すと、自販機が目に入り、缶コーラを買って飲み干す。今日は何故かコーヒーというより、コーラが飲みたくなった。
 やはり、ジワジワと忍び寄る暑さのせいかもしれない。
 「さて、ボチボチ行きますか。」
 単独行なのに何故か、そんな言葉が思わず出てしまう。
[今回のスタート地点:湯本平]

 谷峨に戻る方向に進む。
 「あれっ、ここだっけ?」
 以前は、このあたりに道標があったような気がしたのだが、見当たらなかった。
 「まあ、道は知っているし」
と、自動車修理工場のような店の前で左折し、登り坂を進む。
[少し戻って左折する]

 途中、道標を見つけ、正しいルートを歩いていることを確信する。(写真下)
 その後、進んでいくと、前方にやたらと車が駐車していることに気がつく。どうもハンターの車が集合しているようだ。大野山でも有害獣駆除が行われているらしい。
[途中で見つけた道標]

 さらに進んでいく。林道の左右は、樹林帯で、すでに人家は、振り返っても見えなくなっていた。
 すると、不意に前方から犬4頭を連れた男性2人組とすれ違う。
 犬4頭は、黒っぽいのが2頭、白っぽいのが2頭で、どれも狩猟犬だった。

 挨拶して、すれ違った瞬間、もしやと思い、慌てて追いかける。
  「すみません。失礼ですが、こちらのワンちゃんは、あちらの・・・・」
 と聞くと、
  「おお、あの時の方でしたか。」
 と年配の男性の方が答えてくれた。
 よく顔を見れば、あの時のオジサンだった。
  「すみません、どのワンちゃんですか。」
 と尋ねると、
  「こいつですよ。」
 と1頭を他の犬と別にしてくれた。
  「撮影させてもらっていいでしょうか。」
 了承を得たところで、デジカメを取り出す。(写真下)
7年ぶりの再会

 何枚か撮影させてもらい、お礼の挨拶後、後姿を見届けた。
 何年振りだろう。もう7年ぐらい前ではないかと思った。(帰宅後、調べたらその記憶が正しいことがわかった)
 7年前、この林道で出会ったのが、さっきのクロだった。(当時、勝手にクロと名付けた)(写真下)
 その時の顛末は、下記。
  「記録2002-5-19 大野山」

 だが、懐かしいワンちゃんに会えたという感動よりも、その成長した姿を見た印象の方が、はるかに大きかった。子犬の時に比べ、なんと精悍な目つきになったことか。愛嬌のあった子犬のイメージは、完全に払拭されてしまった。
 光陰矢の如し。
 ウ〜ム、時は、もうそんなに過ぎていたのか....と痛感。
[7年前の姿]

 その後も林道を歩いていたのだが、歩く視点は、曖昧で相変わらず、時の流れというものを考えていた。そんな訳で、ハッと気がついたら、既に登山道との分岐点に着いていた。
   ....今日は、結構、シリアスですよん。


 ここからは、林道を離れて左の植林帯に入る。
 何だか一気に暑くなってきた感じだ。
[林道を左折し、登山道に入る]

 9:07、左手に送電線鉄塔を見つけた。この送電線は、西ヶ尾の北側を通り、大倉尾根を横切っていく、馴染み深い送電線である。
 鉄塔Noを確認するため、近寄ってみる。鉄塔の銘板には、「新秦野線19」とあった。
 残念ながら、広大な風景とは言えなかったが、遠景をちょっぴり眺め、銘板を撮影した後、山道に戻る。
[新秦野線19 鉄塔]

 やがて左手だけが植林帯となり、自然林の中をトラバース気味に進む。前方に稜線が見えてくれば、林道合流点だったなと、過去の記憶が蘇る。

 9:16、林道合流点に到着。
 だが、林道合流点に立っていた道標の位置は、以前と違っているような気がした。
 (7年前とは、ちょっと印象が異なっていた)
 ここで小休止。
 風もなく、休んでいてもそれほど心地のいい場所ではない。
 凍らせたペットボトルの解けた水を飲んだだけで出発。(9:19)
[林道に出る(合流点で小休止)]

 ほぼ水平な林道を歩いていたら、7年前のクロを思い出した。
 あの時、自分の歩行ペースを全く変えなかったが、子犬は、見事、自力でついてきて、よく歩くな〜と感心したものだった。
 左手前方の景色が広がった。
 気がつけば、未舗装路が舗装路に変わっており、目の前がイヌクビリだった。

 9:32、イヌクビリ到着。
 「ここには、確かベンチがあった筈だが...」
 と呟くが、現実には、ベンチは消えていた。
  ....ここでも時の経過を思い知る。

 見れば、この十字路に先ほどのハンターの車が集まっていた。だが、すぐに各自バラバラの方向へ散っていった。これから、いよいよ発砲かなと思ったが、結局、この日は、特に発砲の音を聞くことはなかった。
 頂上を目指す。
 本来であれば、広大な牧場を見下ろした光景が広がるのだが、今日はガスがかかっており、あまりパッとしなかった。
[イヌクビリに到着]

 大野山の一番高そうな地点に到着。(9:44)
 一番高いと思われる場所には、祠があった。竜集大権現社という。ここは、南北朝の時代、南朝の武将が旗揚げのとき、まつったものと伝えられている。(注1)
 だが、現場には、この祠が何であるのか、説明しているような看板はない。訪れたハイカーには、この祠が何であるか、全くわからない状況にある。

(注1)出典:「かながわ山紀行」植木知司(かもめ文庫:神奈川新聞社 1991年)
[山頂にある祠]

 その大権現の奥に小さなベンチがあった。
 「ここで、いいだろう。」
 ということで、ちょっと時間的には早いがランチタイムとした。オニギリの他、凍らせたゼリーを食べる。すでに半分解けかかっている状態だったが、冷たくて、頭熱が下がる思いだ。(写真下)
 本来であれば、丹沢湖を見下ろし、檜洞丸や大室山方面の山並を眺めつつ、ゼリーを味わうことができるのだが、今日の視点は、ゼリーばかり。
 視界は、全く期待外れだが、こんな天気でも他に何組かのハイカーが休憩中だった。大野山は、車でも登ってこれるのだが、意外にも下から登ってくるハイカーが目立った。
[山頂にて半分凍ったゼリーを食べる]

 この後、山名表示板の所で記念撮影し、東屋まで戻ると、「絶景」のカンバンを発見。(写真下左)
 カンバンを読むと、この先に絶景が見える場所があるようだ。
 「そんな所って、あったっけ?」
 カンバンの裏にまわり、農道に出る。どうやら、以前、通行禁止だった農道が開放されたらしい。
 農道を歩いていくと、目の前に牧場が広がる。(写真下右)
[絶景の看板] [山頂から南東側に下っていく農道]

 10:15、牛舎の近づくと、目の前に木製の歩道橋が現れる。この歩道橋の上が、どうやら絶景が見える場所のようだ。だが、今日は、ガスが立ち込め、手前の斜面しか見えない。
 ここで、三脚を取り出し、中型カメラをセットする。今日は、ガスに包まれた手前の草原を被写体にしようと決めた。
 しかし、徐々にガスが濃くなり、視界が極端に狭まっていく。
 ....殆どガスを撮影しているようなもの。

 20頭以上の牛がいる場所で、一通り撮影終了し、出発。(10:56)
 歩道橋の反対側に進むことにし、このまま大野山を下ることにした。
[歩道橋の上から撮影]

 ここは、晴れていれば、富士山も見えるのかなと思いつつ、滑らないように木の階段を下っていく。
 その先は、草原状の中の1本道だ。(写真下)
[歩道橋から進行方向の山道方面を撮影]

 さらに農道を下っていく。(写真下)
 車道に出た所にある「まきば館」なる平屋造りの建物に入ってみた。
 スタッフの男性一人が、掲示物の入替え中だった。
 今歩いてきた道(絶景の見える展望歩道橋)を尋ねると3年ぐらい前にできた道だそうだ。
 ....道理で知らないはずだった。

 展示パネルを見学させてもらう。牧場に肥料をヘリで撒いている風景、牧草の保存の仕方、牛の一生etc.。静まった時間が過ぎていった。
[眼下に建屋あり]

 11:19、「まきば館」を出る。
 上空は、今にも雨が降ってきそうな雰囲気だ。まあ、今日は、この後、舗装路の車道を下っていくつもりなので、この先、雨が降ろうとも特に問題ない。

 テクテクと下っていく。すると、意外にも牛の放牧がされており、再び、間近に牛を見ることが出来た。(写真下左、右)
 牛の優しい目に見つめられながら、シャッターを押す。

[放牧中の牛(1)] [放牧中の牛(2)]

 カーブの続く車道を下っていくうちに、人為的のようだが、あることに気がつく

 
無料休憩所が建っている深沢三差路に出た。(11:55)
 前方には、山北方面の視界が広がる場所である。だが、今日は、ガスがかかって遠方の平野部は、はっきりしなかった。空気の澄んだ真冬の頃に訪れて見たい場所である。
 無料休憩所に立ち寄って、アイスクリームを購入。
 ....地元の製品ではなかったけど。
[無料休憩所にて小休止]

 他にデコポンが売られていた。(この大野山産とのこと)
 もうシーズン終了のデコポンである。安価だったので、搾って焼酎に入れるくらいなら出来るだろうと思い、購入。
 ちょっとべンチに置いて記念撮影。(写真下)
  ....梶井基次郎は、檸檬を置いて立ち去ったが、花立小僧は、デコポンを置いたものの、持って帰った。

 上空は、少し明るくなっていた。
 「これならば、今日は、降らないだろう。」
 車道をスタスタと下っていく。
[デコポンを置いて撮影(南東側はだいぶ視界が広がった)]

 舗装路を下っていくと、全く人家が途絶える。周囲は緑一色となる。また沢は見えないが沢音が聞こえる。再び、人家が見えてきた頃は、だいぶ下ってしまっていた。

 12:41、深沢を渡ってすぐ、古宿との分岐点に到着。(写真下)
 逆コースの場合、ここから古宿に行くケースは、少ない。通常は、手前の分岐点で古宿に向かう筈だ。でも、ここにもしっかり、古宿方向を示す道標が立っていた。

 12:46、右手に小さなトイレを発見。「山と高原地図28丹沢」に記載されていないが、キレイなトイレだ。 (注2)

(注2)深沢三差路から少し下った所にある三差路にもトイレあり。
[最初の分岐点にて(振り返って撮影)]

 12:53、左手に古宿からの道が合流する。古宿から下ってきた場合、通常は、ここで合流する。
 誰も歩いていない立派な車道を下っていく。
 ふと、左手を見るとコンクリートで固められた斜面の下に馬頭観音像を発見。(写真下左)
 ....最近、この観音像に興味あり。

 さらにR246に合流する前にも石像が並んでいた。(写真下右)
 よく見れば、ここにも馬頭観音像が。
 思わず撮影。
[コンクリートの壁の中にあった] [R246合流点前にて]

 この後、R246に出るも、すぐに旧道に入り、山北駅に向かう。(写真下)
[山R246に出た]

 途中、御殿場線沿線にもアジサイが咲いていた。
 ゆっくり歩きながら、汗だくの身体のため、今回も「さくらの湯」へ。
 これで日曜午後に2回入ったが、2回ともゆっくりできた。営業的には、厳しいかもしれないが、利用する側としては、混んでいないのが嬉しい。
[沿線にアジサイの花] [さくらの湯へ]

 一風呂浴び、サッパリした気分で、山北駅に向かう。
 雨が降るかと思ったが、結局、傘を差すことなく無事下山となった。
[サッパリした後、御殿場線へ]


 今回は、湯本平で予想外の遭遇があり、その後、牧場からの下り道でも、ちょっと信じられない光景が続いたりと、なかなか心に響く印象的な出来事が続きました。
 大野山は、駅から直接登れる、極めて便利な山ですが、それだけでなく、自分にとって、いつも新たな発見がある山となっています。



※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。