トップページ山行リスト(日付)>オバケ沢・木ノ又大日_記録20090905


オバケ沢・木ノ又大日

 山行日
2009年9月5日(土)       晴        同行者:丹沢写真館さん、AOKさん
 コース
塩水橋(7:22)〜<本谷林道>〜(8:24)キュウハ沢出合(8:36)〜(9:51)オバケ沢出合(9:57)〜<オバケ沢>〜(14:45)塔ノ岳・木ノ又大日間の表尾根〜(14:59)木ノ又大日〜(15:01)木ノ又小屋(15:32)〜(15:41)新大日(15:43)〜(17:01)上ノ丸(17:04)〜<北尾根>〜(17:57)本谷吊橋(18:21)〜<本谷林道>〜(18:44)塩水橋
 7月末に突如、発症した神経痛のため、8月の登山計画は、シダンゴ山だけで、他は、全て計画中止になりました。9月に入り、ようやく神経痛も治まり(といっても、まだ少し右肩と右肘には違和感があります)、そろそろいいだろうと、久々の本格山行に参画しました。
 今回は、丹沢の一部地域にしか生息しないと言われていますサガミジョウロウホトトギス(相模上臈杜鵑草)の花を観賞することを目的とし、丹沢写真館さん、AOKさんとともにオバケ沢を遡行しました。
 詳しくは、以下をご覧下さい。 


 今回も、丹沢写真館さんの車に同乗させて戴き、一路、塩水橋へ。
 塩水橋には、すでにAOKさんが到着済だった。 
 早速、出発となった。(7:22)

 本谷林道入口には、既に自家用車が一列に隙間なく並んで駐車している。まだ7時過ぎなのに、既にこれほどの登山者が入っているというのが、ちょっと信じられない。
 本谷林道に入ると、勾配が急になり、息が切れてくる。
[塩水橋を出発]

 歩きながら、AOKさんと、今月、閉店することになった横浜の登山店について話をする。
 私にとって25年前ぐらいに初めて皮革の登山靴を買ったのが、この店だった。その後も、東京より近いという事もあり、チョコチョコ訪れていたが、今回、閉店のハガキを受取ってビックリしたと話すと、AOKさんも、既に閉店の事をご存知で、
 「残念ですね〜。あの店は、馴染みの店で、いくつか忘れられない経験があります。」
ということで、いろいろと話を聞く。

 以前、ある登山用品を購入しようと店を訪れ、展示棚にないので店員に個別注文しようとしたら、
 「その製品は、売らない」
と言われたそうな。訳を聞くと、店員曰く、
 「よく売れている商品だが、クレームも多い。」
との事。それゆえ、店としては仕入れていないとのことだった。
 また、ストックを買いに訪れた時は、店員といろいろ山話をした結果、
 「まだストックを使って山に行くレベルでない。まずは、ストック無しで山に行きなさい。」
と言われ、ストックを買わずに帰ってこられたそうな。
 「とにかく店員さんがスペシャリストでしたね〜。」
と、AOKさん。
 「お客さん第一の店だったんですね〜。」
と、私。

 7:51、天王寺尾根への登山口分岐点に到着。
 分岐点横の沢には、新しい砂防ダムのようなコンクリート物が出来ていた。このコンクリート物のため、従来、沢沿いにあった登山道が変更されているようだ。それを見た後、林道を歩き続ける。
[天王寺尾根登山入口にて]

 林道の道幅が狭くなった。
 朝方、曇っていたが、陽が照ってきた。今日は、いい天気になりそうだ。
[本谷林道を進む]

 8:24、キュウハ沢に到着。
 ここで、朝食タイムとした。丹沢写真館さんから、冷やしたレトルトのお粥を戴く。レトルトというと温めるというイメージがあるが、レトルトパックの説明文を読むと、このままでも食べれると記載されてあり、暑い時にひんやりしたお粥は、食べ易く、これは、意外だった。

 8:36、ここからは、山道経由で大日沢へ向かう。
 まだ暑いから、ヒルが出そうだな〜と思いながら、斜面をジグザグに登っていく。
 先頭を歩いていると、背後の丹沢写真館さんから、
 「いたっ!!」
とのヒル発見の知らせが。
 立止まって、自分の足下を見ると、靴底近くに左2匹、右に1匹発見。すぐに成敗。
 それほど大きいヒルではなかったが、やはり気持ちのいいものではない。
  ....これが嫌で、東丹沢を避けていたのだが。

 8:59、尾根筋の分岐点で小休止。(写真下) ヒルチェックをした後、すぐに歩き始める。
 このまま尾根筋に登っていけば、三角ノ頭に行けるが、今回は、左の作業道に入った。
[ピンク:今回のルート、黄色:三角ノ頭へ]

 分岐直後は、水平に進むが、そのうち下りに変わった。
 滑りそうになりながら注意して下っていくと、眼下に木の橋が見えてきた。
  ....この後、木橋がツルツル滑り、極めてスリリング。
[沢に下っていく]

 三角沢を渡った後、経路が崩壊している箇所があった。
 この経路は、年月が経てば、他の箇所も同様に崩れていきそうだ。
[崩壊したトラバース路(振り返って撮影)]

 9:25、経路は、沢の左岸に出た。
 樹林と石がゴロゴロしている左岸を歩いていくと、再び、経路を発見する。
 すると、またしても木橋が。
 これまた濡れているので、先ほどと同様、ツルツル状態だった。
  ....よくもまあこれだけツルツル状態になるものだと感心してしまう。
[またも木橋(振り返って撮影)]

 再び、沢沿いを歩いていく。
 このあたりの左岸は、苔むした岩と林の光景が広がり、山奥深いイメージが湧いてくる。
 ここまで来たら、ヒルは見かけないようになった。どうやらヒルゾーンは脱出したようだ。
[沢の左岸を遡る]

 9:39、左岸の経路から外れ、沢の流れが近づいた所で右岸に渡る。
 渡らずに左岸の経路をそのまま進んでいくと、登りになって三角ノ頭に向かうと丹沢写真館さんから聞く。
[沢沿いに進む]

 9:51、オバケ沢出合に到着。
 目の前には、大日沢とオバケ沢の間の尾根が見える。この尾根は、今年1月末に下ってきた尾根だ。その時は、このあたり、石がゴロゴロしている上に雪がまだ残っていて、ズボズボと雪の中に足をとられながら、恐る恐る沢沿いを歩いた記憶がある。
 ここから、いよいよ右のオバケ沢に進んでいく。
[大日沢との合流点]

 10:09、前方にナメ滝が見えてきた。
 この滝は、左岸に巻道があり、簡単に越えることが出来た。
[ナメ滝が出現] [ナメ滝を見下ろす]

 10:17、前方に石積みの堰堤が見えた。
 近づいてよく見ると、堰堤の下半分は、自然の滝のようだ。その上にうまいこと、大石を積み上げて堰堤の形にしているのが分かった。
 ここも左岸から巻いていく。

 堰堤の上では、沢の流れは、右岸の岩壁下を通っている。丹沢写真館さんの話では、以前の沢の流れとは、全然違っているとの事だ。昔は、左岸寄りに流れがあったそうだ。そこで左岸側を見てみるが、今は、完全に涸沢状態になっていた。

 10:43、前方に滝が見えてきた。 (写真下)
 ここは、左岸から倒木をくぐった後、ホールドの少ない岩壁を両手両足を使って強引に登っていく。

 その滝のすぐ上にまた滝(5mぐらい)が見えた。
 この滝の下でコーヒータイムとした。丹沢写真館さんからアイスコーヒーをご馳走になる。
 アイスコーヒーを飲みながら、周囲を見ると、メインの滝の左側に細い一筋の水が落ちており、小沢がある事に気がつく。
 その沢の間の岩壁を見上げる。そうやって見つめているうちに、将来、尾根を下ってきて岩壁の上に立った自分の姿が見えてきた。
 「最後が滝の上という最悪のシナリオだ!」と、パニックに陥り、その後、登り返すような自分の後姿を何故か想像してしまった。
....精神的に何か問題ありか?
[前方に滝が見えてきた]

 滝の下でゆっくり休憩した後、出発。(11:17)
 左岸の斜面を登っていき、滝を巻いていく。
[左岸から巻く]

 15分ぐらい歩いていくと、小滝が現れ、左岸から登っていこうとすると、ホールドの少ない濡れた岩場に出遭う。高度感は、ない場所だが、滑って落ちたらドボンだ。
 だが、丹沢写真館さんは、あっさり通過。残り2名は、安全第一(ドボン回避)で、丹沢写真館さんからロープを出してもらい、通過。
 この後、滝らしい滝は、現れなくなった。
[ロープを使用して通過]

 12:12、枝沢の合流点に到着。ここで小休止。
 1本目のぺットボトルを空にし、続けて2本目を飲む。今日は、身体が水分を欲しがっているようだ。
[沢の分岐点にて(小休止)]

 沢がだいぶ源流の様相になってきた。傾斜が、だんだんキツクなっていく。
 やがて、涸沢(伏流?)になった。
[まだまだ沢は続いている]

 適当に枝沢に入る。
 このあたりは、岩がボロボロで、体重を岩にかけるのが恐ろしく感じる。
 「だいたい、相模上臈杜鵑草は、こんな崖に咲いているんですよね。」
と、丹沢写真館さん。そんな会話をしている最中に
 「あっ、あった!、あった!」
と、丹沢写真館さん。
 教えてもらった箇所には、一つの黄色い花が咲いていた。
 そこで、視線をもう少し崖側に向けてみる。
 「ここで、休憩しましょう。」
と、撮影タイムに入る。
[涸沢を登っていく]

 十分撮影した後、さらに上流を目指す。
 すると、崖下に、またしても相模上臈杜鵑草を発見。今度は、手に取れるぐらい近い距離で、何本か咲いていた。ここで撮影タイム第二弾となった。
 この後、さらに急斜面となった。(写真下)
[稜線手前での急斜面]

 エイヤ〜と急斜面を登りきると、表尾根の一般登山道に飛び出した。(14:45)
 ここから、木ノ又小屋を目指す。
[木ノ又小屋に向かう]

 木ノ又小屋に行く途中、右手に5頭のシカに遭遇する。
 人馴れしたシカのようで、カメラを近づけても全く逃げず、草を食べ続けている。
 シカの捕獲が進んでいる昨今、これほど人を恐れないシカが、未だ生き残っているのは、珍しいことかもしれない。
[人馴れしたシカの群れ]

 14:59、木ノ又大日のピークを通過。ここは、あまり、山のピークという感じのしない場所だ。
 この道標がなければ、木ノ又大日だと、気がつかないかもしれない。
[木ノ又大日]

 15:01、遅い昼食をとる。冷凍したゼリーを取り出したが、すでに半分以上、解けていた。
 食後、AOKさんが足のストレッチをされていたので、私は、右肩のストレッチを行う。まだ、神経痛は、全快と言えず、右肩痛が残っているのがわかった。
 約30分休憩した後、出発。
[木ノ又小屋の前で休憩]

 新大日へ向かう。
 今日は、遠景は、霞んでいたが、近めの秦野盆地や三ノ塔は、よく見えた。
 時間が遅いせいか、すれ違う登山者は、居なかった。
[新大日に向かう]

 新大日からは、表尾根を外れ、長尾尾根に進む。
 新大日からの下りで、難儀したのが、この埋め込み丸太。(写真下)
 段差を低くするために設置されているが、濡れているせいで、メチャクチャ滑る。進路方向に滑れば、まだ予測がつくのだが、真横に滑る場合もあり、油断できない。
[長尾尾根では、滑る丸太に苦慮]

 長尾尾根では、殆どの場合、左手が自然林、右手が植林帯という状況が続く。
 ちょうど西日が左後方から林に当たっていた。
[長尾尾根を進む]

 長尾尾根も1004m地点を過ぎ、下りが続くようになると、今まで続いていた光景が、ガラッと変わり、通常の植林帯となった。
 上ノ丸のピークを右から巻く様に登山道は、続いているが、ここで登山道を外れ、そのまま尾根の背筋沿いに登り、上ノ丸のピークを目指す。(写真下)
[上ノ丸のピークに向かう]

 17:01、上ノ丸頂上に到着。
 何の変哲もない植林帯で囲まれたピークだ。正面にはシカ柵が続いていた。
 結局、ペットボトルで水を一口飲んだだけで、すぐに出発。 
[上ノ丸ピークにて]

 シカ柵の左側を進んでいく。(写真下)
 緩やかな下りだ。
 シカ柵の角まで来ると、左手には植生保護柵が出てきた。
 薄暗い植林帯の中を下って行く。
[上ノ丸ピークから北へ]

 下っていく途中、丹沢山方面の視界が広がった。(写真下)

 さらに下っていくと、その先に尾根が続いているのが分かった。
 その尾根の先端まで来たところで、地図で進路方向を確認し、北側に下っていく。(地図では、この方向に尾根が続く)
 下りきった後、少し登り返すと、左手に保護柵を発見。その保護柵を左に見ながら、進んでいく。
[丹沢山方面の視界が広がった]

 17:18、少し登って、小ピークに到着。しかし、地図上では、小ピークの表記はない。その先を下っていくと、アセビ群落のある尾根の背筋を進むことになった。
 その尾根の先端につく直前に大きなキノコを発見。(写真下)
 整った傘の形をしたキノコだ。カラカサタケのようだ。

 だいぶ薄暗くなってきた。植林帯の中に作業経路があり、そのジグザグに続く道を辿っていく。この先、経路が見えないと思っていたら、本谷吊橋に続く登山道に飛び出た。(17:40)
[見事なキノコを撮影中の丹沢写真館さん]

 暗くなる前に林道に出たいので、サッササッサと進んでいく。
 最初は、トラバース路ばかりだったが、17:44、ジグザグの下降路となった。
 なかなか沢が見えないな〜と思っていたら、いきなり近くに見えたので、ビックリ。(17:50)
 沢にぶつかると、下流方向に山道が続いていた。
 堰堤の横を通過し、右岸沿いに進んでいくと、吊橋の入口が見えてきた。(17:53)

 吊橋を渡ったところで、小休止。
 だが、ここでトラブル発生。
 下りの時もヒルゾーンを通過しており、ヒル攻撃を受けていた。
 そんな訳で、どんどん暗くなっていく折、急遽、3人で、ヒルチェック。
 ヒル退治を終えたときには、すでに真っ暗になっていた。
  ....右足首に2箇所、被弾


 真っ暗な林道を下っていく。3人でペチャクチャ話していたら、時間は、アッという間に過ぎ、18:44、無事、塩水橋に到着した。
 [スタート地点の塩水橋に到着]


 今回、幸いにも、初めて相模上臈杜鵑草を見ることが出来ました。
 丹沢の一部地域でしか、見られない草花(場所も崖のような所)ですし、花が咲いている期間も限られています。
 そういった意味で、今日の感動は、忘れられないでしょう。
 毎年、相模上臈杜鵑草に出合えれば....そんな事を思った1日でした。

 丹沢写真館さん、AOKさん
 ご同行有難うございました。今後とも宜しくお願い致します。



※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。