トップページ山行リスト(日付)>裸山丸・大タル丸_記録20090922


裸山丸・大タル丸

 山行日
2009年9月22日(火)       晴後曇り    同行者:丹沢写真館さん
 コース
玄倉林道ゲート(6:52)〜(7:30)女郎小屋沢出合(7:40)〜(8:49)836m峰〜<836m峰東尾根>〜(9:26)モチコシ沢・裸山沢分岐点(9:54)〜<裸山沢右岸尾根>〜(11:39)裸山丸(12:17)〜(12:27)モチコシノ頭(12:31)〜(13:08)女郎小屋ノ頭(13:16)〜(13:46)大タル丸(13:56)〜(14:25)オオタギリ〜(14:34)白ザレのピーク(15:02)〜(15:12)ワナバノ頭(15:15)〜(15:20)936m地点〜<赤棚ノ沢左岸尾根>〜(16:34)女郎小屋沢出合(16:45)〜(17:19)玄倉林道ゲート
 今回は、西丹沢の大タル丸・女郎小屋ノ頭といった「ドーガク尾根」の山行です。
 この周辺は、インターネットの影響で、かなり有名になってしまいました。ですが、この「ドーガク尾根」は、大タギリ、女郎小屋沢乗越等の難所が待構えており、地形は複雑で、安易に単独では、入り込めない山域です。そんな折、丹沢写真館さんと、このエリアを周回することができました。
 詳細は、下記をご覧下さい。   


 今回も丹沢写真館さんの車に乗せて戴く。
 7時前に到着した玄倉林道ゲート前には、既に車が何台か駐車していた。
 上空は、鰯雲のような雲と青空が見えている。
  ....天気は良さそう。

 6:52、出発。話しながら歩いていると、後方から男性2人組に追い抜かれた。スタイルから見て渓流釣の人たちのようだ。
. ...釣場に向かう釣り人は、やはり足が速い。
[今回のスタート地点:玄倉林道ゲート]

 7:23、玄倉林道から外れ、玄倉川を渡るため、左の踏跡に入る。(写真下)
 ここには、大きなショベルカーが駐車していた。そういえば、ほぼ1年前、イガイガさんと、こうやって玄倉川を渡った時も、ショベルカーがあったのを思い出した。
[玄倉川に下りていく]

 玄倉川に下り立つと、やはり、今回も川の水量は、大したことなく、靴を濡らすことなく簡単に対岸に渡ることができた。(写真下左)
 7:30、女郎小屋沢出合に到着し、ここでザックを下ろして小休止。
 丹沢写真館さんから朝粥の差し入れを戴く。(写真下右)
. ....毎々ありがとうございます。

 これから取り付く836m峰(松田警察署の「西丹沢頂稜河川土地名称図」では、日向山と記されている)への斜面をよ〜く見ると、左寄りの斜面には、その昔、道があり、それが、崩れてしまい、登り口が消えてしまったように思えた。
  ....まあ、どこから登っても斜面が急なのは、同じ

 7:40、ザックを背負って出発。
[玄倉川(上流側の眺め)] [朝食用の梅粥]

 登り始めて3分程度で、左手にシカ柵が現れた。
 「この先で、シカ柵に穴があり、以前は、植林帯の中に入れたのですが。」
と丹沢写真館さん。だが、何分か進んでも、穴らしい穴は、見当たらない。
 結局、諦めてシカ柵の外側の急斜面を登っていく。
[836m峰への登り(振り返って撮影)]

 1時間ちょっとで、延々と続いた急斜面の登りが終わり、傾斜が緩くなってきたと思ったら、前方にピークが見えてきた。
 ピーク手前には、比較的新しい保護柵が出来ている。ここで右折し、保護柵沿いに進んでいく。
[836m峰のピークが見えてきた]

 保護柵を左手に見ながら、ピークを迂回するように進む。
 どうも人がいろいろ通っているようで、踏跡が明瞭なルートとなっていた。
[ピーク手前から右手に回る]

 8:57、右手にはっきりした尾根が派生しているのを発見。
 地図で確認し、これがどうやら目的の836m峰の東尾根(仮称)のようだ。
 ここで小休止し、持参したペットボトル1本めの水を初めて一口飲む。
[東尾根を発見]

 9:00、保護柵から離れ、東にのびている尾根を下っていく。
 白ザレの斜面が現れ、西丹沢らしい雰囲気だ。(写真下左)
  ....そういえば、先ほどの登りでは、白ザレの斜面は、なかったような。

 足を止め、いちいち前方を確認しないと下っていけないというレベルの斜面ではなく、意外にもスタスタと下っていける。(写真下右) 
 この東尾根ルート情報は、ネットでも見かけたことがなく、このためザックには急斜面用にと、ロープ等を持参してきた。
 ただ注意すべきは、後半、南側に進んでしまうと、モチコシの大滝側に下ってしまい、焦ることになる。そんな訳で磁石での方向確認は、必須だ。
[尾根を下っていく] [意外に歩きやすい急斜面]

 9:24、前方に沢が見えた。(写真下)
 どうやらモチコシ沢のようだ。沢までのルートを目で確認すると、問題なく下っていけそうなのが分かった。
  ....結局、ロープは使用せず。
[モチコシ沢が見えてきた]

 9:26、無事、沢に下り立つ。
 ちょうど沢に出た所は、モチコシ沢と裸山沢との分岐点手前だった。
 予定していた場所に出て、ひと安心。
[モチコシ沢(左)と裸山沢(右)の眺め]

 ここでコーヒータイムとし、丹沢写真館さんからアイスコーヒーを戴く。
 一段落した後、下流側に散歩してみる。すぐ先が、モチコシ沢の滝上だった。

 9:54、ザックを背負い、歩き始める。
 今回は、目の前のモチコシ沢と裸山沢の間の尾根を登っていく予定だ。
[沢にてコーヒータイム] [裸山沢に向かいます]

 裸山沢に入っていき、どこか登れるような箇所はないかと、左手の斜面に着目。このまま裸山沢を進むと、小滝があり、そこまでには見つけたいところだ。
 「このあたりを登りましょう。」と丹沢写真館さん。
 見れば、傾斜がまだ緩く、登っていけそうな箇所だ。ということで、取り付いてみる。

 取り付いて5mも登らないうちに踏跡を発見。どうやら、沢に下っていく最後の箇所だけが崩れていたようだ。幸いにも、取り付いて5分後には、尾根の背筋に乗ることができた。
[裸山沢右岸尾根に取り付き、尾根の背筋に乗る]

 登り始め7、8分で、白ザレの急斜面となった。(写真下)
 だが、それほど苦にはならない。まだ登りやすいレベルだ。

 10:18、左手にから枝尾根が合流した。
 この尾根が昨年秋、イガイガさんと一緒に登った時の尾根だと分かった。
[裸山沢右岸尾根の急斜面1(振り返って撮影)]

 10:33〜10:43、尾根の途中で小休止。
 「先ほどの836m峰での登りといい、この尾根もキツイですね。」
 「ですが、この尾根は、変化があって気に入りました。」と丹沢写真館さん。
 1/25000地形図で確認すると、この裸山沢右岸尾根は、先ほどのモチコシ沢・裸山沢分岐点から裸山丸頂上まで、標高差約500m弱あり、ほぼ直登。
 だが、植林がなく、自然のままなので、気分がいいのは確かだ。
  ....だが、キツイ。


 周囲を振り返っているとき、日が照ってきた。天気は持ちそうだ。
 息もハアハア、直登が続き、11:05〜11:10で、再び小休止。
  ....アキレス腱が伸びそう。
[裸山沢右岸尾根の急斜面2]

 11:30、正面に大岩が現れた。
 横から見ると、平らな板状の岩が垂直に立ったように見える。
 休憩がてら、大岩を撮影。(写真下)
[途中で大岩を見る]

 11:37、前方に頂上が見えてきた。(写真下)
 このあたりも直登に変わりはないが、傾斜が緩くなり、自然林の中のプロムナードといった感じだ。
[山頂へのプロムナード]

 11:39、裸山丸頂上に到着。
 黄色いテープに手書きで「裸山丸」と書かれてあった。(写真下左)
 ここでランチタイムとした。(写真下右)
 先ほどまで日が照っていたのだが、いつの間にか陰ってしまった。
[裸山丸頂上の手書き文字] [頂上でのランチタイム]

 12:17、裸山丸を出発。
 前回もそうだったが、前方を見下ろしても、モチコシノ頭がどこなのか、よくわからない。手前の斜面も樹林帯で、モチコシノ頭自体も同じような樹林帯ということもあり、モチコシノ頭は、カメレオンのように周囲と見分けがつかなくなっている。
[モチコシノ頭に向かう]

  最初は、ごく普通の下りだったが、一箇所、急な下りとなり、木の根っこなどを掴みながら、下っていく。(写真下左)
 その後、小さく登り返す。(写真下右) すると、モチコシノ頭頂上が見えてきた。
[急な下り] [モチコシノ頭への登り返し(振り返って撮影)]

 12:27、モチコシノ頭到着。
 この頂上も裸山丸と同様、樹林に蔽われ、残念ながら、遠景を眺望することはできない。
 ここの道標は、バラバラになっており、既に道標の役目を終えていた。一部は、山頂の地面に置かれ(写真下左)、その他の一部は、東沢乗越方面の木にくくりつけてあった。(写真下右)
[モチコシの頭にて] [道標]

 モチコシノ頭を後にして、女郎小屋ノ頭に向かう。(12:31)
 先ずは、女郎小屋ノ頭に向かう方向を確認。ここは、方向感覚に迷いが出るところ。何せ360度、同じように見えてしまう。 
  ....初めてのときは、要注意


 小さなキレットを2つ通過し、無名のピークへと進む。(写真下左、右)
[小さなキレットを通過(振り返って撮影)] [無名のピークに向かう]

 12:55、無名のピークに到着。ここのピークになんで名前がないのか不思議だ。ピークのエリアは狭く、人の背よりも低い、幹の折れた木が1本、立っていた。
 そのピークを過ぎれば、下りとなり、女郎小屋ノ頭との鞍部に出た。(写真下)
 以前通った時、ここの鞍部もスリルがあったような記憶があったのだが、今回は、あっさり通過してしまった。
[女郎小屋ノ頭手前の鞍部]

 女郎小屋ノ頭のピーク手前にて案内プレートを発見。確か、昨年秋にも見た記憶あり。 
 「ドーカク尾根」とは、吉田喜久治氏が名付親のようだ。ですが、この便宜称とはなんぞや?ということで、帰宅後、調査。
 「丹澤記」吉田喜久治(岳書房:1983年)で、理解した。
 30頁:『(前略)ドーガク尾根とは、東沢打越、モチコシノ沢ノ頭、丈量小屋沢ノ頭、大タギレ、小タギレ、芋ノ沢頭とのび小川のドウに至る尾根の、私だけの便宜称である。』

 ※上記大タギレ、小タギレとあるが、ここ以外は、大タギリ、小タギリと記載されており、タギレは、誤植かもしれない。
 ※正確には、「ドーガク尾根」のようだ。現地のプレートでは、濁点がちょうどボルトと重なっていたのかもしれない。 
  ....小タギリとは、どこ?
[便宜称 ドーカク尾根]

 13:08、女郎小屋ノ頭ピークに着いた。
 頂上エリアは、広く、ブナの木が目立つ。
 水分補給し、いよいよ自己未踏の大タル丸、大タギリへのルートに入る。
[女郎小屋ノ頭頂上にて]

 女郎小屋ノ頭から丹沢写真館さんの後をついていく。
 最初は、ごく普通の斜面。続いて、白ザレの斜面に変わった。
 どんどん下って行くと、前方の視界が開けてきた。
 その後、右斜め前方に大きく下っていき、ある地点で、左へ斜め前方に下っていく。白ザレの斜面で、滑りやすい箇所だ。
 すると、前方に鞍部が見えてきた。残置ロープが1本ぶら下がっている。このロープを使って、下っていく。(写真下)
[女郎小屋沢乗越に下る]

 途中に支点が無く、長いロープなので、鞍部に近づくころになると、ブラブラと左右に振られる。このとき、うまく鞍部の地に近づいてロープを放さないと、右側の沢に落ちそうになる。

 鞍部に着いた。
 左右は、よく似た光景で、細い溝状の沢が直線的に続いている。(写真下)
 足下は、白ザレの地面で、年月の経過とともに、さらに削られていくようだ。
[女郎小屋沢を見下ろす]

 反対側に登るには、短いお助け紐が用意されてあり、これを利用して、白ザレの滑りやすい斜面を登っていく。
 急斜面を登っていくと、小ピーク手前に左手に巻道があった。
 だが、その巻道を無視して直進すると、樹林とササヤブの中の小ピークに着いた。
 (丹沢写真館さんは、巻道を進む)
 このまま、直進して下ろうと思ったが、急斜面になっており、結局、引き返し、途中で先ほどの巻道に出て、下っていく。

 その先の、小さな鞍部の所で丹沢写真館さんと合流。
 ここで振り返ると、先ほど直進して下ろうとした斜面にルートっぽい踏跡が2つ見えた。
 丹沢写真館さん曰く、
 「逆コースの場合、この斜面に2つ、左右それぞれに踏跡がありますが、左の踏跡に入ると、上の小ピークから左の方に行ってしまい、女郎小屋沢乗越に出られなくなる可能性大。右は、小ピークを通るので、先ほどの女郎小屋沢乗越に出られるでしょう。ですが、今回、明瞭な巻道が出来ていましたから、一番右の巻道が近くて間違えないでしょう。」
との事。

 ヤセ尾根を登っていく。この付近が、地図上の1031m地点だろうか。
 「山と高原地図28 丹沢」(昭文社:2009)では、この1031m地点が「大タル丸」と表記されているが、どこがピークかよくわからない。(写真下)
[1031m地点は、このあたり?]

 さらに進んでいくと、よく知られている苔むした岩が現れた。(写真下)
  ....憧れの場所


 苔岩の横でザックを下ろす。振り返って、ザックと苔岩を入れて記念撮影。
 ここで、もっとゆっくりしたいところだが、この先、大タギリを控えているので撮影だけにとどめ、小休止は、大タギリを過ぎてからということにした。
[去り難い苔岩エリア(振返って撮影)]

 大タル丸の苔岩を後にし、斜面を下っていく。地図と磁石で方向を確認し、南西方向に進路を取る。
 斜面が急になると、白ザレが目立ってきた。このあたり、踏跡らしきものは見つからない。白ザレのため、消えてしまうのだろうか。
 また、前方に鞍部がある筈だが、樹林のため、よくわからない。
 そんな状況なので、次回、この下りを通る場合、正直言って、正しく下っていける自信がない。
  ....たぶん、3回目でも、4回目でも同じ。
[大タギリに向かって下っていく]

 「あった。あった。」と丹沢写真館さん。見事、ロープのある場所に到着。
 ロープがあるので、ルートだとわかるが、ロープがなければ、この下が、大タギリだとは、おそらく気がつかないだろう。
 ここでも、どこが鞍部なのか、樹林やササで、全く見えないのだ。 
 一人ずつ、ロープを使用して下っていく。
[1本めのロープ]

 2本めのロープに掴まる。このあたりは、超急斜面で、足掛かりを確かめながら、下っていく。
 最初は、ササや木があったのだが、途中から、岩だけになり、ようやく、この先が大タギリだと分かってきた。
 しかし、この岩、ツルツル状態の部分が目立つ。人が通ることで、足掛かりが、どんどん磨耗してしまったような感じだ。
[2本めのロープ]

 ここも女郎小屋沢乗越のロープと同様、途中に支点のない、長いロープなので、下に行くほど、左右に振られる。こんなに振られるのは、北アルプスなどでは、ありえないケースだ。(写真下)

 14:25、大タギリに到着。
 ここも、先ほどの女郎小屋沢乗越と同様、左右は、細い溝状の沢が続いていた。
 振り返ってみる。
[大タギリが見えた]

 さて、ここから登り返すが、前方は、垂直に近い登りだった。
 以前、水無川本谷F3の巻道用のクサリがこんな感じだったことを思い出した。その時は、確か腕力だけで登っていったような記憶が残っている。
 今、目の前にあるのは、クサリではなく、ロープだが、結果的に同じで、最後はゴボウで登っていく。
 登り終え、ロープが固定されてあった木の幹を見た瞬間、意外に細かったことに気がついた。ちょっと鳥肌が立ってしまった。
  ....確か、ここのロープだったと記憶。
[大タギリからの登り]

 細い踏跡を登っていくと、白ザレのピークに飛び出した。(14:34) (写真下左)
 ここで、小休止。おやつタイムとした。ザックから、コーヒーゼリーや、生八橋(栗バージョン)を取り出す。(写真下右) 
 本日のルートについて、二人で喋っていると、なにやら雨音が聞こえてきた。
 「これは、イカン」ということで、出発の仕度に入る。(15:02)
[白ザレのピークに到着(振り返って撮影)] [おやつタイム]

 白ザレのピークを下っていくと、広い鞍部に出た。
 ここを右に進み、左斜面に小ピークを見ながら進むと、細い木の幹に青い道標が取り付けてあった。直進していくと、小川谷方面に下ってしまうので、ここは、道標に従って左折し、斜面を登っていく。
 登っていくと、ササと木の混じった小ピークに出た。(写真下)
 ここが、1/25000地形図上でいう936m地点の北側にあるピークのようで、ワナバノ頭と呼ばれる所のようだ。
[ワナバノ頭?]

 その後、936m地点らしき箇所を通過し、15:25、芋沢ノ頭方面と、赤棚ノ沢左岸尾根方面との分岐点に出た。今日は、左折し、赤棚ノ沢左岸尾根を下り、女郎小屋沢出合に向かうこととした。
 踏跡がジグザグと続いており、下っていくと、左手に保護柵が現れた。(写真下)

 この後、踏跡不明瞭で、ルートがよくわからなってしまった。
 おそらく左に行き過ぎたと推定し、斜面を右寄りに下っていく。この結果、尾根の背筋にぶつかり、踏跡を発見。どうやら本来のルートに出てこれたようだ。
. ....ここでルートが消えていたのは、この先の前兆!!
[左手に保護柵あり]

 15:37、前方に1本のブナの木があり、南ヘと下っていく。
 15:48、左手にシカ柵が現れた。(写真下)
 よく見ると、手前に新しい植生保護柵が出来ており、その向こうに以前のシカ柵があった。だが、問題なのは、シカ柵に扉がある箇所に手前の保護柵に扉が無いことだ。丹沢写真館さん曰く、以前は、この扉で植林帯内に入り、中に作業径路があるので、簡単に下っていけたとの事。
[左の保護柵沿いに下る]

 「保護柵沿いに下っていきますか。」と、左手に保護柵を見ながら急斜面を下っていく。この場合、柵を掴むことで確保できるので、急斜面といえども、楽に下って行ける。
 そのうち、保護柵が直角に曲がり、斜面を水平にトラバースするように進むことになった。右手の谷側は、急斜面でちょっと落ちたら止まりそうにない。時々、柵から離れるが、だいたい柵沿いに進んでいく。(写真下左)

 途中、柵が右に90度曲がり、急斜面に並行に柵が続くような箇所に遭遇した。その時、柵に掴まって下っていければいいのだが、柵から離れて下っていくしか方法がなかった。慎重に超急斜面を下っていく。木の根っこだけが頼りだ。先ほどの大タギリの下りの時以上に緊張する。
 続いて、シカ柵沿いのトラバース路になった。右手は、はっきり言って崖のようになっていた。また、いつの間にかシカ柵は、古いシカ柵だけになっていた。(写真下右)

 いい加減、トラバースに飽きた頃、シカ柵に穴を発見。ここは、穴を利用して、柵内に入った。
 植林帯内は、立派な作業径路が続いていた。今までの歩行ピッチとは雲泥の差だ。どんどん下っていけた。
 シカ柵にまた穴があいており、そこを通過して尾根を下っていく。
 このあたりは、シカ柵だらけで、シカ柵の中が、別のシカ柵で区切られていた。

 16:30、シカ柵の扉に到着した。ここは、針金を曲げて扉を開け、再び針金で固定する。
 シカ柵の外に出ると、白ザレの斜面だったが、踏跡は、明瞭で、迷うことはなかった。大きなジグザグ路で斜面を下っていくと前方に女郎小屋沢が見えてきた。ここまで来れば、もう安心だ。
[ザレた岩のトラバース] [シカ柵トラバースを途中で諦めた]

 女郎小屋沢出合で、小休止し、玄倉川に向かう。(写真下)
 結局、雨に降られることなく、この後、玄倉林道に上がり、明るいうちに駐車場まで戻って来ることができた。
 [玄倉川に出た]


 大タギリ、女郎小屋沢乗越は、予想通りの難所でした。ですが、その前後の尾根歩きでも、ルートファインディングの難しさを体験しました。おそらく単独で、初めてチャレンジしたら、間違いなくルートを外してしまうでしょう。
 ですが、今日は、最後の赤棚ノ沢左岸尾根の下りの方が、激アツでした。ここは、もう本当にショッパイルートでした。
 丹沢は、最近、シカ柵だけでなく、植生保護柵が設置されるようになり、そのエリアは、急激に増えています。通常、保護柵は、比較的小さなエリアで区切って設置され、その間は、通過できるようにしてあるのですが、古いシカ柵がある場合は、そうとは限らず、今回のように延々続くパターンもありえ、注意が必要なことが分かりました。

 丹沢写真館さん
 ご同行戴き、どうもありがとうございました。
 おかげで、単独では、まず迷ってしまうルートを踏破することができました。



※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。