トップページ山行リスト(日付)>水ノ木沢・ブナノ丸_記録20100502


水ノ木沢・ブナノ丸

 山行日
2010年5月2日(日)       快晴       同行者:イガイガさん
 コース
山伏トンネル入口(東側)(7:48)〜(8:32)大棚ノ頭の下〜<西丸北東尾根>〜(9:25)樅の木橋〜(9:41)菰釣橋手前丁字路〜(9:48)大洞橋〜(10:09)入渓点(10:25)〜<水ノ木沢>〜(14:20)ブナノ丸〜(14:40)油沢ノ頭(14:46)〜(14:57)樅ノ木沢の頭〜(15:33)石保土山(15:37)〜(15:57)大棚ノ頭の下〜(16:11)山伏トンネル入口(東側)
 先日、神奈川県の某小田急沿線界隈で、急遽、丹沢ネット仲間での飲み会が行われ、そこで、イガイガさんとのコラボ山行が企画されました。イガイガさんとのコラボと言えば、2008年秋、西丹沢でのイガイガワールド山行以来、2回目です。
 コラボ山行の行先は、西丹沢の水ノ木沢に決定しました。イガイガさんは、以前、水ノ木沢でデジカメを水没させ、今回は、そのリベンジ。私は、ナメが美しいと聞いていた沢でしたので、是非一度行ってみたいと思っていました。
 詳細は、以下をご覧下さい。 


 小田急某駅にてイガイガさんと待ち合わせ、車に同乗させていただく。
 車中では、もっぱら、丹沢の話題。
  ....酒が入っていないと、すばらしく高尚?な話に

 丹沢の地名で、イガイガさんが、以前、地図か何かで、早戸川林道上に「三明橋」という表記を見つけられたそうな。
 「これは、三日月橋の誤りですね。」
 「縦書きで、三日月橋と書かれてあれば、こんな間違いは、起こりえなかったかもしれませんね〜。」
 「この誤りが、メジャーな登山地図だったら、いつの間にか、三日月橋が、三明橋と呼ばれることもありえますね。」
 それに引き続き、西丹沢の地名に及ぶ。
 「松田警察署の西丹沢頂稜河川土地名称図と、メジャーな昭文社の山と高原地図28「丹沢」との名称の違いも結構、ありますね。」
 「今回の西丹沢で言えば、昭文社が沖ビリ沢と記しているのは、頂稜地図だと、山伏沢となっており、沖ビリ沢は、もう一つ南側の沢になっています。」 
 「樅ノ木沢ノ頭のピークも違っていますし。」
 「樅ノ木沢ノ頭は、どう見ても昭文社の方は、おかしいですよね。樅ノ木沢の源頭部とは、ちょっとずれていますね。昭文社で言う油沢ノ頭が、頂稜図では、樅ノ木沢ノ頭となっていますが、この方が樅ノ木沢の位置から見て、素直ですね。」
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 そんな話をしていたら、車は、道志みち(R413)に入った。
 ゴールデンウィークだというのに交通量は、それほど多くない。渋滞を経験せずに山伏トンネル手前に到着した。(7:40)
 今回は、車ということもあり、着替や雨具は、車に置かせてもらい、軽量化を図る。とは言うものの、ザックの中には、いざと言う時のために薄いフリース(オレンジ色の派手なヤツ)と、ウィンドブレーカを入れておいた。
 7:48、出発。
 イガイガさんは、何かバランスが悪いようだ。尋ねてみると、今日は、いつもより重い装備になっているらしい。
  ....沢靴などが、重くしている原因とのこと。

 7:55、稜線に出た。ここらあたりが、かつての山伏峠だろうか。少し進むと、送電鉄塔の下に到着。この鉄塔は、西群馬幹線のものだった。
 ここで、右手を見る。
[山伏トンネルを出発し、稜線に向かう]

 8:08、大棚ノ頭下の分岐点に到着。ここで東海自然歩道の案内板を見た後、左折する。
 またしても大きな送電鉄塔の下にやってきた。ここの送電鉄塔は、なんと佐久間東幹線。今年は、この幹線に対し、本当に縁があるなと思う。
  ....意識していないのに仏果山、八菅山、三国山と、よく当たりました。

 ここからは、手前の西丸のピークが目立つ。その奥には、箱根の山並が見える。ボーと、立止まって遠景を眺める。おっと、イガイガさんから、「さっさと行こう。」と催促されてしまった。
[送電線鉄塔下にて西丸方面を眺める]

 北東へ稜線を進み、ちょっとした登りを終えると、尾根の先端に出た。ベンチが置いてあり、頂稜地図では、「要所小屋ノ頭」と記載されている所だ。ここで、東海自然歩道から外れ、西丸に続いている南東尾根を下っていく。
 この尾根は、久々の訪問で、2006年5月の西丸・東丸の山行以来だ。最初は、いい道なのだが、そのうち、ササヤブの中を歩くようになるのは、以前と変わらない。だが、足下には、踏跡があるので、上半身に掛かってくるササヤブを掻き分ければいい。そんな訳で、今回も迷うようなことは、なかった。
 8:32、西丸への登り手前にて、分岐点到着。手製の小さな道標が木にくくりつけてあるのだが、もう何て書いてあるのか良くわからない。ここで、西丸ピークに行かず、左側の斜面を下っていく。
[西丸へのササヤブ]

 すぐ先でトラバース路にぶつかる。これを右に進む。
 途中、崩れている箇所があったが、スリル感なく、通過。それ以外は、歩き易い径路だった。このあたり、イガイガさんのペースが速い。撮影していると、すぐに離されてしまう。(写真下)
 8:39、右上から尾根が左下へと続いている所に出た。右手は、西丸のピークだ。ここで左折し、尾根の背筋沿いを下っていく。
 途中、何度か、右手に径路が分かれていったが、その方向には進まず、常に尾根筋から外れないように進んだ。

 8:52、1/25000地形図上の1004m地点を通過。
 今まで通り、東北東に向かい、前方が急斜面になったところで、植林帯の中、下りやすい斜面の南東方面に下っていく。
[西丸北側をトラバース]

 やがて、水の流れが耳に入ってきて、左手に沢が見えてきた。下りやすいルートを探しながら進み、9:06、金山沢に下り立った。
 「いいペースですね。」と、イガイガさんと話ながら、歩いていく。沢の右岸を歩いていたが、途中で、沢を渡るように踏跡が続いていた。
[金山沢に下り立つ]

 沢を渡り、ものの2、3分で、正面に大石を見る。(写真下)
 「ここが、林道終点ですよ。」
とイガイガさん。
 確かに前方をよく見れば、この先から林道っぽい道が続いていた。
[金山沢を渡り、左岸を歩くと大石が]

 この後は、ほとんど水平に思える林道歩きとなった。
 9:25、樅の木橋を渡る。
 ちなみに山と高原地図28「丹沢」では、「樅ノ木沢橋」と書かれてあるが、現地の銘板では、「樅の木橋」と書かれてあった。
[林道を歩く]

 9:41、丁字路に到着。右手を見たら、すぐ先に菰釣橋が見えた。その角に一人の年配の男性が腰を下ろして休憩中だった。挨拶して、左折していく。
 「このあたりですよ。馬頭観音を見たのは。」
とイガイガさんから教えられる。
 「馬頭観音ですか?」
 自称馬頭観音愛好研究家の私としては、聞き逃せない言葉だった。
[菰釣橋手前で左折]

 右手の、少し林道から離れた低い所で、大石の上に建てられた石碑を発見。その石碑からは、馬頭観世音という文字が読取れた。手前には、お地蔵さんだろうか、石仏が、やはり大石の上にあった。こんな作りから見て、比較的新しい時代の観音様のようだ。(写真下)
 以前、織戸峠から下ってきた時、この林道は、逆方向で歩いたことがあったが、このような馬頭観音があったとは、全く気がつかなかった。参拝して、再び林道に戻る。
[馬頭観音を参拝]

 林道を進むと、先程、菰釣橋手前で休憩していた男性が前方を歩いていた。どうやら馬頭観音を参拝している時、我々は、追い越されたようだ。単独の沢屋さんのようだ。ザックの他、ヘルメットが見えた。
 その単独男性は、崩壊地の先で左手の水ノ木沢に下っていった。どうやら、ここから沢歩きのようだ。我々は、まだ林道が続いているので、そのまま林道を進む。

 今回、林道を歩いて気がついたのだが、なんと倒木の多いことか。(写真下)
 今年の冬、倒れた木ではないかと思う。雪のせいだろうか。痛々しい姿だ。林道に倒れたままになっているので、全て障害物と化している。
[白ザレの林道に倒木あり]

 林道は、前方で右へのヘアピンカーブとなっており、沢から離れていくようだ。足下には、石標があり、「昭和57年度 菰釣山林道新設工事起点」と書かれてあった。(10:09)(写真下)
 「この先が、入渓点です。」
 イガイガさんは、ヘアピンカーブを曲がらず、直進し、緩やかな斜面を下っていく。
 正面は、水ノ木沢だ。ここで沢仕度に入る。
 10:25、出発。
 ここから私は、沢靴を履き、ヘルメットを被り、ネオプレーンのスパッツを着け、「なんちゃって沢屋姿」(イガイガさん命名)となる。
[菰釣山林道起点]

 まずは、沢靴で、水の中に入ってみる。それほど、冷たくない。これならば、いくらでもジャブジャブできると、一安心。
 水ノ木沢といえども、最初は、ゴーロ歩きとなる。(写真下)
 北に向かう沢なので、明るいのが何と言ってもいい。
[水ノ木沢に入る]

 ようやく、滝らしい滝が、前方に見えた。(10:38)
 3mぐらいだろうか。手前は、ナメが続いている。ようやく水ノ木沢らしくなってきたようだ。ここで二人して滝の撮影タイム。
 その後、前方の滝は、右から小さく巻いていく。
[最初の滝らしい滝が奥に見えた(イガイガさん撮影)]

 続いて、似たような滝が現れた。(10:44)(写真下)
 ここも右から小さく巻いていく。この先、小さなゴルジュとなるが、左岸の少し高い岩場をトラバースして行った。
 10:52、沢が分岐する。ここは、右手の沢を進む。
[2番目の滝]

 右下に滝が見えてきた。滝壺が深そうな滝である。(写真下)
 高さは、4mぐらいだろうか。イガイガさんが、三脚を取り出す。スローシャッターで、水の流れを表現するのが狙いだ。
 撮影を終え、ここも無理をせず、左(右岸)の植林帯を登り、大きく巻く。すぐには、沢に下りず、植林の中を進んでいき、5分ぐらい経った後、沢に下り立った。
[3番目の滝]

 11:13、沢が分岐していた。(写真下)
 地図で確認する。どうやら梅ノ木沢(右)との分岐と判断するものの、自信が無い。梅ノ木沢の一つ手前の沢の分岐かもしれなかった。
 「まあ、いずれにしても左ですから、左に行きましょう。」
と、左の沢へ。
 ここが梅ノ木沢であれば、この先で、10m滝が現れる筈と思いながら進んでいくと、前方に10m滝が現れた。やはり、先程の分岐は、梅ノ木沢だと確信する。
[梅ノ木沢?との分岐点]

 10m滝の撮影を終え、流れの右側を登る。(11:24)
 先行のイガイガさんを撮影。(写真下)
 階段状の岩になっているので、ホールド、スタンスは、楽に見つかる。だが、最後の落口には、手掛りがなく、ツルツルだった。ここは、無理をせず、イガイガさんからお助けロープを出してもらった。
. ....今回は、風車の弥七と一緒のうっかり八兵衛気分。

 事前情報によれば、この10m滝を越えると、本日の目的であるナメ歩きは、近い。
[10m滝を登るイガイガさん]

 11:42、ナメ滝の下に到着。10mぐらいの高さだろうか。先程の10m滝と違って、傾斜は緩い。滝下に立って、イガイガさんのカメラ被写体となる。(写真下)
 ここでも撮影タイムだ。イガイガさんと、ナメ滝を撮影し続ける。
[ナメ滝が現れる(イガイガさん撮影)]

 ナメ滝は、左側を登っていく。
 ひょいと登り終えた滝の先には、明るくて素晴らしいナメが続いていた。(写真下)
 「これは、歩いていて気持ちがいい」
 暑い盛りであれば、水着姿で、ナメの上で腰を下ろしてみたいところだ。
[気分のいい、明るいナメが続く]

 ナメが左に曲がる所で、ちょうど昼になったので、ランチタイムとした。(11:58)
 この時、下流から、先程の単独男性が到着。挨拶を交わして、話をする。沢靴の話や、釣師の話など。
 ここ世附川流域の場合、釣師は、朝早くから浅瀬で沢割りを終え、林道を延々と歩いて目的の沢に入っている。なるべくならば、お互い会わないでおきたいところだ。
 沢に慣れた姿の単独男性は、「お先に」と、先に出発。
[ナメの途中で昼食とした]

 ランチタイムを終え、出発。(12:26)
 すぐ先で沢は、左にカーブしている。すぐにナメ滝が現れる。先程のナメ滝よりも傾斜が緩い。そんな訳で、どこでも登っていけそうな感じだ。
 「いいところだな〜」と、思わずシャッターを何回も押下。
[次のナメ滝を進む]

 いつまでもこんな感じで歩いていたい、そう思うのだった。
 だが、よく考えてみたら、ここまでそんなに高度を稼いでいないような感じである。先日の葛葉川と比べると、本当にそう思う。緩やかな斜度で、ナメ多し、ヒルなしが西丹沢の特長だろうか。
[ナメ滝を登りきったあたり(イガイガさん撮影)]

 沢の分岐が多くなった。右、左、右、左と進んでいく。地図を見ながら、北方向をメインに進む。
 やがて水量が減り、沢靴では歩きにくくなった。ということで、13:12、途中で沢靴からトレランシューズに履き替える。
[やがて水が涸れてきた]

 沢がまた二分する。このあたりまで来たらどこを登っても同じように思える。
 段々、傾斜がきつくなってきた。ハッと、気がついたのだが、この沢の源頭部には、ガレがなかった。いきなり、土の斜面になった。沢の詰めは、たいていガレというイメージが丹沢の中にできていた自分にとって、この源頭部は、嬉しい限りだ。
 土の斜面の向こうは、ササヤブだ。直登より、やや右側の方が、ヤブが薄そうということで、右寄りに登っていく。
[土の斜面になる]

 完全なササヤブに突入。(13:45)
 踏跡も、ケモノ道も見つからなかった。だが、幸いにもササの密度は、それほどでもない。両手を広げ、掻き分けながら前進していく。途中、ササヤブの中で撮影。
 14:11、ようやくササヤブから脱出。出た所は、ブナノ丸頂上から東寄りの登山道だった。ここでザックを下ろし、ヤブの埃を払って、ウガイを実施。
 ガレは無いが、ヤブ漕ぎがあるのが西丹沢の特長か、と記憶にとどめる。
[ササヤブの中を進む]

 稜線に出て、3、4分で、ブナノ丸頂上に到着。視界が広がることもなかったので、そのまま通過。(写真下)
 「ブナノ丸」と現地の道標、及び昭文社の山と高原地図28「丹沢」には、記載されているが、西丹沢頂稜河川土地名称図では、水ノ木沢山(西沢山)と記載されている。
 冒頭の会話の通り、このあたりの地名は、統一が取れておらず、極めてややこしい。
[稜線に出た後、登山道を歩き、ブナノ丸に到着]

 前方にピークが見える。ここの稜線は、約10年振りだった。そんな訳で、こんなにアップダウンがあったとは、全く記憶がなかった。
 イガイガさんは、稜線に上がった途端、ゆっくりモードに。
[ゆっくり歩行のイガイガさん]

 油沢ノ頭、樅ノ木沢ノ頭、西沢ノ頭、石保土山と歩いて、再び佐久間東幹線の送電鉄塔を通り、山伏峠へと向かう。
. ....ピークがある度にアップダウンあり。

 今回、トレイルランナーと、何度かすれ違った。いったい何でだろうとイガイガさんと話していたら、下山後、5月16日に道志村でトレイルレースが開催されることを知った。
[今朝、富士山を見た鉄塔まで戻ってきた]

 16:11、山伏トンネル手前に到着。イガイガさん、長時間の山行、お疲れ様でした。
 [山伏トンネルは、もうすぐ]


 今回は、イガイガさんとの2度目のコラボ山行でした。初回の女郎小屋ノ頭の超辛口山行と比べて、今回は、緊張感を張り詰めた山行ではなく、むしろ、癒し系でした。
 初めて経験した連続のナメとナメ滝、最後のヤブ漕ぎ等、とても印象に残る山行でした。
 イガイガさん、ご同行有難うございました。今後とも宜しくお願い致します。



※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。