トップページ山行リスト(日付)>石棚山・石棚沢_記録20100904


石棚山・石棚沢

 山行日
2010年9月4日(土)         晴     同行者:丹沢写真館さん、AOKさん
 コース
仲の沢林道(弥七沢の先)(8:29)〜<弥七沢左岸尾根>〜(10:16)950m圏峰(10:22)〜(10:46)箒沢乗越(11:19)〜(11:39)926m峰(11:50)〜(13:09)1210m峰手前登山道合流点〜(13:40)ヤブ沢ノ頭〜(14:36)石棚山〜<石棚沢右岸尾根>〜<石棚沢>〜(18:20)石棚沢・東沢合流点(18:30)〜<東沢>〜(18:49)西丹沢自然教室〜(19:02)箒沢公園橋
 今回は、丹沢写真館さん、AOKさんとの山行です。ちょっと変わったコースで、なかなか興味深いコースでした。
 詳細は、以下をご覧下さい。


 8:10、弥七沢左岸尾根に取付く場所にて丹沢写真館さんの車から下車。
 道の傍にちょうど車1台が駐車できるスペースがあった。
 仲の沢林道に差し込む光線が強い。今日も暑くなりそうだ。ここで丹沢写真館さんからオニギリの差し入れを戴き、パワー補給。
 8:29、準備を終え、「さあ、行きましょう。」と出発。
[今回のスタート地点:弥七沢左岸尾根下の仲の沢林道]

 林道から斜面を見上げる。(写真下) ちょっと見ただけでは、どこがルートか良くわからない。
 急斜面に取り付き、よく見ると、かすかな踏跡があった。だが、足を踏み込むと、いきなり滑る。西丹沢名物の白ザレの斜面だった。このところ雨も降っていないから、カラカラの砂地のようなものだ。2足だけでは、無理なので、木の幹を掴みながら、高度を稼ぐ。
 途中で、トラロープが垂れ下がっていた。これ幸いと、使用させてもらう。
[弥七沢左岸尾根を見上げる]

 8:40、尾根の背筋に乗った。右手は、すぐ先で尾根が終わっている。下に仲の沢林道ができたために削られた結果だ。
 左の尾根筋を進む。もう、汗が噴出してきた。
 左右に走る経路を横切った後、急斜面に取り付く。これは、キツイ。ペースが落ちる。前方では、タオルで顔の汗を拭うAOKさんの姿が。
[尾根に乗り、尾根の背筋沿いに登る]

 木漏れ日の中、尾根筋を登っていく。このあたり、先頭を歩いていると、やたらとクモ巣攻撃を受ける。だが、すばらしい樹林帯だ。ヤマザクラの大木が目立ち、春のシーズンも期待できそうだ。
 足下には、相変わらず白ザレが続いている。
[尾根上は、自然林で気分良し]

 9:16、前方に小ピークが見えてきた。(写真下) 1/25000地形図で確認すると、710m圏峰だとわかった。ここで、ザックを下ろして小休止。風が吹き抜けて背中が気持ちいい。凍らせたペットボトルを取り出すと、もうだいぶ解けていた。

 小ピークの奥には、シカ柵が続いている。左折して、このシカ柵沿いに下っていく。(9:25)
[前方の小ピークにシカ柵発見]

 小ピークを下ると、すぐに鞍部が見える。(写真下) 左側は、急な崖のようだが、木立のため、よく見えない。ここは、シカ柵を掴みながら進む。
 登り返しも、シカ柵を掴みながら、直登する。左手に経路があったのだが、急斜面で掴むものがない分、こちらの方が、楽だった。
 9:34、右のシカ柵が終了すると同時に左手の視界が広がった。ザレ斜面の上に出たからだ。
 ここで立止まり、ちょっと撮影。

 その先で、今度は、右手の遠方が見えた。
[小ピークを下る]

 9:48、小ピークに到着。
 ここは、4年前、西丹沢県民の森手前から取付いて、登ってきた小ピークだった。あの時は、この先の950m圏峰から南へ進み、大杉山方面に歩いた。今回は、950m峰から北上していく予定だ。
[自然林の中の小ピーク]

 950m圏峰への登りとなる。
 4年前、ここを登ったときは、スズタケだらけだったという記憶があるのだが、今は、全くスズタケが見当たらない。おかげで歩きやすくなった。踏跡は、はっきりしないが、登りなので、とにかく上を目指す。
[950m圏峰への登り(振り返って撮影)]

 10:16、950m圏峰に到着。
 松田警察署の持つ西丹沢頂稜河川土地名称図によれば、ここが「弥七沢ノ頭」と記されている。
 ということで、最近は、ここを「弥七沢ノ頭」と呼ぶ場合が多くなった。それを助長するように手製の標識「弥七沢ノ頭」が、斜めに立っているブナ大木の根元に設置されてあった。(写真下)

 だが、南西側の956m峰を従来から「弥七沢ノ頭」と呼んでおり、それなりに定着している。それゆえ、この標識を見て、ここが956m峰と勘違いしないか、ちょっと不安だ。
[950m圏峰]

 10:22、950m圏峰を出発し、北へ向かう。
 急斜面が続く。まして、白ザレである。
 丹沢で、嫌いなものといえば、1番がヤマビル、2番がダニ、3番が白ザレの下りか。そのくらい自分にとっては、嫌いなものになっている。
  ....ちなみにクマは、嫌いではなく、遭遇したくないだけ


 10:38、途中、尾根が左右にY字分岐していた。AOKさんが、地形図を取り出し、確認。ここは、左に進む。足下を見たら、右側尾根には、枯木で通行止めの合図があった。
[箒沢乗越への下り]

 10:46、鞍部の箒沢乗越に到着。
 左の押出沢側は、岩壁に挟まれた急斜面だが、右手の穴ノ平沢は、緩やかに見える場所だった。
 ここでコーヒータイムとした。このひと時が嬉しい。ただ時間がアッという間に過ぎてしまうのが問題だが。
 前方を見上げれば、急登の続く尾根筋が見える。左後方の斜面(崖である)は、雨とか地震で、そのうち崩れてしまうのではないかと思えるような姿だった。
[箒沢乗越にて小休止]

 11:19、箒沢乗越を後に、急勾配を登る。
 幸いにも、それほど急登は続かず、そのうち、白い岩が目立ち始め、尾根の先端のような場所に到達した。その先に小ピークがあり、そこが、926m峰のようだ。
 立派なブナが立ち並ぶ、自然がタップリと残されたピークだった。ここで小休止。(11:39〜1:50)
 周辺のブナに見惚れ、撮影しながら歩き回る。(写真下)
[926m峰付近]

 12:04、12:06と続けて、小キレットを通過。
. ....マイクロキレットと言った感じ

 ヤセ尾根であり、慎重に通過。土の付いていない木の根の間から、急傾斜の涸沢が見えた。(写真下)
 このあたり、1/25000地形図上では、ヤセ尾根と、全く判断できなかったのだが、実際は、ヤセ尾根が続いている、意外な地形だった。
[ヤセ尾根に小キレットあり]

 前方が、フラット気味になった。(写真下左)
 地図で確認すると、1210m峰に続く急登が始まる手前だ。ここで、小休止とし、ザックから冷凍ゼリーを取り出す。(写真下右) 今日は、さすがに暑く、登りの手前でのデザートタイムとなった。頭の芯から冷たくなり、気持ちいい。
[1210m峰への登りが始まる] [凍らしたセリー]

 地形図で見ると、1210m峰まで高度差200m程度だが、最初の130mぐらいが特に急だった。覚悟して臨んだが、思ったより、苦にならなかった。冷凍ゼリーが効いたのと、岩に絡みつく木(写真下)を見たり、ゴロゴロした岩の斜面になったりと、なかなか変化に富んだ光景が目に入り、興味深く歩けたのがよかったようだ。
[岩に絡みつく木]

 13:09、1210m峰の頂上直下にある登山道に出たところで、一休み。
 振り返ってみると、この斜面、下りの場合は、ちょっと迷いそうだ。全般的に踏跡がはっきりしないため、特にゴロゴロした岩場ゾーンなど、進路方向を確認しないと、違った方向に下る可能性がありそうだ。2本目のペットボトル(500ml)が、ここで空となった。
[登山道に出た(登山道からの迷い込み防止のロープあり)]

 登山道を進むが、これが、結構こたえる。アップダウンありで急勾配の登りが続くからだ。考えてみたら、箒沢公園橋から石棚山までのルートは、もっぱら檜洞丸からの下りルートとして利用しており、今日のようにここを登るのは、初めての経験だった。
  ....ここは、どうしても登る気がしなかったのだ。


 西丹沢県民の森分岐点にてランチタイムとした。(13:48〜14:25)
 だいぶ遅いランチとなったが、今日は、暑さのせいか、あまり食欲が湧かない。それでもオニギリ2個を無理矢理、口に入れた。
  ....だが、水分だけは、しっかり補給。
[西丹沢県民の森への分岐点でランチタイム]

 石棚山付近を行く。やはり、登りと下りでは、だいぶ印象が違う。なんだか初めて歩いたような気分だった。
 横に伸びた枝(幹?)が直角に曲がっている、特徴あるブナの木は、元気そうだった。(写真下)
 ここで、今回初めて、他の登山者(単独の男性トレイルランナー)とすれ違う。今日は、静かな石棚山稜なのだ。
 14:36、石棚山の道標を通過。平らな尾根の途中に立っている道標だ。何度来ても、どこが山頂なのか、よくわからない場所である。尾根の先端がピークならば、もっと手前に道標があってもいいのでは?と思う。
[石棚山稜のブナ]

 さらに進んで、桂の大木のある窪地の斜面に到着。ここは、石棚山稜の中でも、ちょっと独特の雰囲気を持った樹林帯だ。
 今日は、ここでUターンし、北西に向かう。
[桂の大木の所でUターン]

 斜面をトラバースしていく。ここからは、バリルートだ。
 よく見れば、斜面には、何本ものケモノ道が水平についている。これは、シカのものではないかと推測。だが、最近、シカを見かける頻度は、だいぶ減ったな〜と思う。塔ノ岳付近には、人を恐れぬシカが何頭か棲みついているが、それ以外では、見かけなくなってしまった。
 [トラバースして石棚沢右岸尾根へ向かう]

 15:05、石棚沢右岸尾根に乗った。
 ここは、なんとなく踏跡が続いていた。(写真下) この尾根も自然林の続く雰囲気のいい尾根だ。
 尾根筋を下っていくと、崩壊地の上に出た。
 木立の間から、遠く大室山を望む。
[尾根に乗る]

 右手に崩壊地を見ながら下っていく。(写真下) 白い崩壊地というのが、印象的だった。
 崩壊地ギリギリに立っている木々が何本かあったが、根元の半分は、土がついていない状況で、もう谷底に落ちるのは、時間の問題だった。
 そんな場所近くをAOKさんが歩かれるのを見て、ヒヤヒヤ。
[右手に崩壊地を見る]

 15:13、尾根の分岐点に到着。
 尾根は、北西に直進していく方向と、左(南西)に分かれていた。直進すれば、そのまま尾根伝いに進み、1065m地点を経由し、東沢に下っていける。
 今回は、敢えて左の尾根に進む。そう、今回は、1320mあたりからの分岐している石棚沢の枝尾根(西側にのびている)を下る計画を立てていた。
 [尾根の分岐点で左折]

 自然林の中、下っていて心地よい。だが、この先、一気に光景が豹変し、急斜面となった。
  ....よくあるパターンとなった。
[[自然林の尾根下り]

 下るべき斜面の方向を確認するが、ちょっと尾根筋が違うようだ。
 左に涸沢が見えた。だが、このまま、尾根を下っていく。
 崩れた岩が木で止められている光景を見ると、よくもまあ、木の根だけで支えられるものだと妙に感心してしまう。(写真下)
[落石注意の急斜面]

 慎重に下っていくが、ちょっと素直に下れないほどの急斜面に出遭う。ここは、右へ右へとトラバースしていく。しばらくすると、歩きやすい斜面になった。左手には、白っぽい沢が見える。

 16:02、尾根が終わり、涸沢に出た。どうやら、予定より、だいぶ上流側の石棚沢に下り立ったようだ。ここから、石棚沢を下ることにした。
 [ガレの涸沢に下り立つ]

 涸沢の傾斜がそれほど急ではないので、踏む岩を選べば、歩きやすい。地形図で見る限り、等高線はそれほど密ではない下りである。
[涸沢を下っていく]

 だが、5mぐらいの滝の上に出た。だが、この滝は、ロープなどの道具を取り出すことなく、左岸の斜面から巻いて下りることが出来た。
[5mぐらいの涸滝を左岸から巻いて下る]

 幸いにも、滝らしい滝(2m以上)は、この一つだけで、あとは、とにかく水のないゴーロ歩きが続いた。その後、当初予定していた沢へ下り立つ地点に到着。(写真下)
 予定では、ここから板小屋沢ノ頭へ登り返そうと計画していたのだが、時間オーバーということもあり、このまま石棚沢を下っていくことに。
 [本来、ここまで右の尾根を下ってくるはずだった]

 このあたりの石棚沢は、以前、丹沢写真館さんが遡行されており、そのときは、沢に水が流れていたとのことだったが、今日は、全くの涸沢である。連日の晴天続きで雨が降らないせいか、水なんて、一滴も流れていない...そんな沢だった。
 ゴルジュ帯を通過する。(写真下)
 このあたりは、地形図上でも等高線が密なところだ。ここは、水が流れていたら、嫌らしいが、岩が乾いており、高さもそんなにないため、比較的簡単に通過できた。
[石棚沢のゴルジュ帯を下る(今日は、涸沢となっていた)(AOKさん撮影)]

 それでも、岩に水苔が一部付着している箇所があり、これが要注意だった。何たって、岩がツルツルなので、滑りやすいこと、この上ない。また、この現象を見て、全くの涸沢でもないことがわかった。
 涸滝は、この後、幾度となく現れたが、倒木を利用したりして、どうにかクリアしていく。
  ....次にどんな滝が現れるか、メモも見ないで説明できる丹沢写真館さんの記憶力にとにかく脱帽。
[いくつか涸滝を下る。(写真だと、スリル感があるように見える)]

 涸沢の幅が広がり、沢が左に屈曲している。
 「この先からは、滝は無く、壊れた堰堤などが幾つかあります。」と丹沢写真館さん。
 ということで、涸沢の一角で、小休止。
 ちょうど、下流方向に日が沈むところだった。

 だが、このあたり、やたらと虫が顔の周りに飛んできて、うるさい。(このとき、左目瞼の上を刺されたようで、翌日から痛痒い思いをする)
 [幅広い涸沢にて夕日を撮影(AOKさん、振り返って撮影)]

 その後は、幅広い涸沢を下っていくが、相変わらず、水流は、なかった。
 17:54、堰堤を下りようとするが、ここは、ちょっと慎重に行動した。上流側の人と手を握ることで、お二人は、降りれたが、残った私は、確保してくれる人がいないので、ザックだけ先に下ろし、空身で下った。
. ....まあ、高さは、たいしたことないが。
[日が沈んで徐々に薄暗くなっていく]

 18:02、壊れた堰堤の横を通過する。ここまで、壊れた堰堤をいくつ通過しただろうか。こんなに崩れた堰堤を見るのは、初めてだった。
 いよいよ薄暗くなってきた。自分のカメラだと、ストロボ無しでは、ISOを上げても、写らないような状況だ。
 18:20、東沢と合流する。結局、石棚沢は、最後まで水がなかった。その後、沢沿いに作られたルート(キャンプ場が作った登山ルートらしい)を利用して西丹沢自然教室に向かう。だが、今回、歩いた東沢との合流点から自然教室までの道というのは、堰堤工事用に作られた道そのものだと分かった。
[壊れた堰堤を右から通過(丹沢写真館さん、振り返って撮影)]

 18:49、西丹沢自然教室到着。バス時刻を見ると、18:58の最終バスがあったが、待つよりも歩く方を選択。
 19:02、箒沢公園橋手前に駐車したAOKさんの車に到着。それと同時に最終バスが、追い抜いていった。(写真下)
 こうして、今回も無事、山行は、終了。
 この後、AOKさんの車に同乗し、仲の沢林道へ丹沢写真館さんの車回収に向かった。
 [箒沢公園橋にて本日の山行は終了]


 今回の山行で、自己未踏ルートだった950m圏峰から1210m峰を踏破することができました。これで、長年の思いであった遠見山〜大杉山〜ヤブ沢ノ頭〜檜洞丸と踏破ルートが線で繋げることができました。
 また、後半の石棚沢右岸尾根からの分岐尾根ルートは、予定と食い違ってしまいましたが、どこで外れたのか、いつか検証してみたいと思っております。



※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。