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マルガヤ尾根・鍋割山

 山行日
2010年11月3日(水)        曇後晴     単独行?
 コース
大倉(7:20)〜(8:23)二俣〜(8:40)本沢〜(9:30)928m峰(9:37)〜<マルガヤ尾根>〜(11:02)鍋割山稜登山道合流点(11:32)〜(11:53)鍋割山(12:33)〜(13:26)後沢乗越〜(13:48)ミズヒ沢(14:00)〜(14:18)二俣〜(15:23)大倉
 今回は、行こうと思っても、なかなか行くチャンスがなかった鍋割山近くのマルガヤ尾根(本沢とミズヒ沢との間の尾根)に行ってきました。この尾根は、HP「俺の山紀行」のM-Kさんが、風人社「KAZESAYAGE」山岳編で筆頭に挙げられたルートです。
 いったいどんな尾根なのか、ワクワクしながら大倉を出発しました。
 詳細は、以下をご覧下さい。


 今回の目的は、マルガヤ尾根の踏破である。また、前回、食べなかった鍋焼きうどんを食べるのが、目的その2である。今日は、最高の天気だ。上空は、雲ひとつない青空が広がっていた。
 今日は、ルートを変えて東海道線に乗り、小田原から小田急線で渋沢に向かう。これだと、自宅を出る時間は同じでも、下りの小田急よりも2分、早く渋沢に着く。
  ....運賃は、多少高くなるけど。


 改札を出て、塔ノ岳方面の写真を撮り、階段を下りてバス停に行く。既に大倉行き1番バスは、到着していた。
 もう座席は、満席状態。吊革に掴まっていると、背後からドドッと、登山者が乗ってきた。下りの小田急が到着したようだ。運転手が「奥まで詰めてください」のアナウンスをするも、バス停には、乗れない登山者が10名弱ぐらい立っていた。どうやら、このバスを諦め、2番バスに乗るようだ。
 ということで、2分、早く到着できるのは、非常に貴重である。この2分間があるからこそ、写真を撮り、ゆったりとした気分で、1番バスに乗れるのだ。
[渋沢駅から塔ノ岳方面を眺める]

 7:02、大倉到着。
 バスから降りると、朝日が眩しい。上着などを脱いだりして、仕度を終え、缶コーヒーを飲んでいると、2番バスがやってきた。1番バスほど混んでいなかったが、立客がいるのがわかった。
 2番バスの乗客が降りる前に出発する。(7:20)
[大倉は、登山者多し]

 前回と同様、西山林道を歩く。ひたすら歩く。日が照っており、暑くなるかと思ったが、林道は意外に日陰が多く、歩きやすい。
 二俣を通過すると、林道の傾斜がきつくなる。ちょっとペースが落ちるのが、自分でもわかる。

 やがて、前方に丸いピークが見えてきた。マルガヤ尾根のコブのような存在である928m峰のようだ。イガイガさんは、このピークが以前、萱(茅)だったので丸萱(茅)という推測されておられるが、確かに説得力がある。戦時中の写真を見ると、鍋割山稜の小丸から西(南側)は、鍋割山を含め、カヤトの斜面となっている。
 余談だが、戦時中は、大倉尾根も一面カヤトの尾根であった。
  ....今の姿を見ると、ちょっと信じられないが
[西山林道を進み、マルガヤ尾根を望む]

 本沢を渡る。(8:40)
 さて、今回は、この本沢の右岸の尾根に取り付く予定なのだが、まだ林道を進む。
 すぐ先で、右手に植林帯斜面を見たところで、林道を外れ、植林帯に向かう。まともに正面から直登しようとすると、キツイので、右側(本沢側)から取り付いた。
[本沢を渡った後、右手の植林帯に進路変更]

 だが、このあたり、どこを登っても、急登だった。踏跡を期待したのだが、はっきりしなかった。ということで、歩きやすい箇所を探しながら登っていく。下の方から、林道を歩く登山者の声が聞こえてくる。
 上を見ると、精神的に辛いので、足下を見ていると、鹿の足跡を見つけたりする。ここ数年でだいぶ減らされたシカだが、まだこのあたりには、棲んでいるようだ。
 ようやく斜面が緩くなってきた。
[植林帯を登っていく]

 9:13、植林帯が終了すると、尾根が細くなった。左から涼しい風が吹いてくる。運動している身には心地いい。だが、歩きやすかったエリアは、長続きせず、急斜面となった。先程の植林帯と変わらない。これは、キツイ登りだな〜と思いつつ、一歩一歩進む。
 やがて、紅葉が始まりかけた樹林帯となる。
[植林帯が終わると、自然林に変わった]

 9:30、ピークに出た。どうやら、ここが928m峰のようだ。林道から見えた、あの丸いピークだ。
 小休止とした。今日初めての小休止だ。ザックを下ろして、周囲の撮影を楽しむ。木が多いので視界は、宜しくないが、自然林なので、和める雰囲気が漂うピークだ。
 ペットボトルで水分補給後、出発。(9:37)
[先程の小ピーク(928m峰)]

 928m峰から少し下って、登り返す。右手急斜面の手前に黄葉した木が目についた。いよいよ紅葉が本格的に始まるようだ。
 小岩の多い斜面を通過すると、尾根が細くなり、岩が出てきたりして、尾根筋が歩きにくくなった。

 前方に黄葉樹林が現れる。(写真下左) だが、進むべき尾根のすぐ左手は、急な斜面の崖である。一気に50mぐらいは、落ちていくような崖だ。(写真下右)
 紅葉で足下を疎かにしていると、危険だ。特に撮影するときは、注意が必要だ。
[黄葉した樹林が出てきた] [すぐ左は、急斜面の崖]

 やがて、左手から尾根が合流してきた。このマルガヤ尾根を下ってくる場合は、要注意だ。左側の尾根を下ったら、ミズヒ沢に出てしまう。
 しかしまあ、この尾根は、急斜面が多い。このあたりは、手で木を掴みながら登っていく。
  ....踏跡を外れているだけ?


 10:12、何やら前方の景色がガラリと変わった。(写真下) 木が全体的に低木になり、踏跡もはっきりしてきた。
[何やら雰囲気が変わる]

 「あら、あら、・・・」
 低木帯を抜けると、今度は、草原状の尾根となった。これは、気分爽快だ。
 ここで左手に少し寄り道する。というのも紅葉した樹林が、ちらっと見えたからだ。
[草原状の尾根となる]

 左側に後沢乗越から鍋割山へと続く稜線を眺めながら、草原の尾根を登っていく。このあたり、気に入った光景が目に入ると、すぐカメラを向けるので、なかなか進まない。
 歩きながら、この尾根は、バリルートのエッセンスを凝縮したような尾根だなと妙に感心してしまった。植林帯あり、急登あり、ヤセ尾根危険地帯あり、草原あり。これほど短い距離で、光景が変わっていく尾根も珍しい。この尾根は、植林帯から自然林となるので、登りに使う方が楽しめるのではないかと思った。

 11:02、鍋割山稜の登山道にぶつかった。これでマルガヤ尾根踏破完遂である。ここで、鍋割山方面の紅葉を撮影するため、ザックから中型カメラを取り出し、撮影する。
 ちょうど、上空に雲があり、山に影ができるような状況だった。
[感じのいい尾根登りとなった]

 30分間、紅葉の撮影を楽しんだ後、この次の楽しみは、鍋焼きうどんである。「鍋焼き、鍋焼き」と思いながら、進んでいくと、山ガールのグループとすれ違う。(写真下)
 どう見ても、ここ10数年、山では出会ったことのないような20代の女性グループだ。 
 「丹沢も変わったものだ。」
と、思いながら、先を急ぐと、なんだか見たことのあるような格好の単独登山者が近づいてきた。
 「ん....」
 「あれっ」
 「まさか」
 「なんと」
 目の前に現れたのは、82歳の父だった。
[鍋割山稜を歩く]

 「おう!お前も来ていたのか」と、父。
 予想外の展開である。父は、天気がいいので、鍋焼きうどんを食べに来たとの事。
. ....結局、親子で考えることは、同じ。

 すでに缶ビール(ロング)と鍋焼きうどんを食べ、塔ノ岳経由で帰ろうとしていた父であったが、ちょっと、時間的にキツイかなと思っていたらしい。
 そんな時に息子が鍋焼きうどんを食べに鍋割山に向かうことを聞いたので、迷わずUターン。
 ということで、ここから2人で、鍋割山に向かうこととなった。ちなみに父は、朝、渋沢から大倉行き3番バスだったらしい。
[父は、180度転回]

 11:53、鍋割山に到着。(写真下左)
 すぐに山荘に入って、鍋焼きうどんの注文用紙に名前を書くが、既に10人程度の注文が入っていた。こりゃ、結構、待つかなと思ったら、10分ちょっとで、名前を呼ばれた。今日みたいな日では、草野さんご夫妻は、フル操業である。
 挨拶もそこそこ、うどんを持って、外に出る。(写真下右)

 次から次へと、登山者が登ってくる。ちょうど昼になるので、鍋焼きうどん目当ての登山者も多いことだろう。
 そんな登山者をチラチラ見ながら、うどんを味わう。
 この鍋焼きうどん、カボチャの天ぷらがポイントのような気がする。この天ぷらが非常にうどんにマッチしていると思うのだが、どうだろうか。
  ....エノキなどのキノコ類も見落とせないけど。
[鍋割山荘にて] [名物鍋焼きうどんを食べる]

 食べ終わったところで、後沢乗越へと下る。
 今日は、あいにく富士山が見えなかったので、撮影タイムは殆どなく、山荘の周辺を撮影しただけだった。下っていく途中で黄葉した樹林を撮影。(写真下)
 今がちょうど見頃の黄葉だった。
[黄葉した木が印象的]

 後沢乗越での休憩もなく、さっさと下っていく。
 ミズヒ沢まで下ると、すれ違う登山者は、さすがにいなくなった。
[ミズヒ沢を渡る]

 15:23、大倉サブ停に到着。
 バス時刻は、15:38となっていたが、臨時バスが出ていたようで、乗ったバスは、15:28に出発した。
 父とともに無事、帰路につく。
 [大倉では、臨時バスが運行]


 今回は、マルガヤ尾根を楽しんできました。
 文中にも記しましたが、この尾根は、バリルートのエッセンスが、ギュッと濃縮されたようなルートでした。M-Kさんが、「KAZESAYAGE」山岳編で筆頭に、このルートを推薦されていることに納得しました。
 そして、鍋割山稜の紅葉を堪能し、鍋焼きうどんも賞味。
 父との遭遇は、予想外でしたが、まあ、丹沢に通っていれば、こういうこともありうるでしょう。


 【追記】
 M-Kさんの掲示板サイトで、Kazさんが、11月21日、ミズヒ大滝上のゴーロ帯でクマに遭遇し、クマは、マルガヤ尾根の方に上がっていったという情報を得ました。今回、クマ鈴は、持っていましたが、取り出すことは、ありませんでした。
 やはり、丹沢には、どこでもクマがいるようです。今回は、運よく遭遇しませんでしたが、これからは、クマ鈴ぐらいは最低、鳴らそうと思っております。(どこまで効果があるかは、さておき)



※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。