トップページ山行リスト(日付)>西沢・西沢ノ頭_記録20110429


西沢・西沢ノ頭

 山行日
2011年4月29日(金)       曇り         同行者:イガイガさん
 コース
山伏トンネル入口(7:58)〜(8:17)大棚ノ頭の下〜(8:24)要所小屋ノ頭〜<西丸北東尾根>〜(10:01)樅の木橋(10:18)〜<樅ノ木沢>〜(10:46)西沢合流点〜<西沢>〜(14:16)登山道合流点〜(14:27)西沢ノ頭〜(14:48)石保土山(14:51)〜(15:06)要所小屋ノ頭〜(15:14)大棚ノ頭の下〜(15:29)山伏トンネル入口
 4月に入り、大雨が降る中、神奈川県内の小田急沿線某駅にて、地元周辺のメンバーによる飲み会が開催され、その際、イガイガさんにナメ沢遡行をGW中に実施することを提案しました。
 私は、昨年の水ノ木沢で、この西丹沢の白くてナメが多い、明るい沢に痛く感動し、第二弾を今年、是非実行したいと考えておりました。
 最終的にターゲットとなる沢は、樅ノ木沢の西隣の西沢と決定。この沢は、イガイガさんも未踏ですので、気合十分。
  ....ですが、酔っ払い中の約束でしたので、後日、再確認。

 この西沢をネットで調べましても、遡行記録が殆ど当たりません。未知の沢の方が楽しみということで、天気が良さそうなGWの初日、4/29にイガイガさんと現地に向かいました。
 詳細は、以下をご覧下さい。


 山伏トンネル手前を出発したのは、7:58。
 昨年の水ノ木沢と同じである。
 違うのは、今回、沢歩きということで、防水用デジカメを持参。初めての使用なので、カメラのクセもわからず、どこまでキチンと写るか、それが心配だ。

 尾根に上がった後、西群馬幹線の送電鉄塔No.258下を通り、大棚ノ頭の下の丁字路に出る。ここからは、国境尾根を北東に向かう。
[山伏トンネル手前からスタート]

 今回は、前回よりも何となく速く歩いたような気がした。それだけ、気合が入っている証拠だろう。
 8:24、要所小屋ノ頭に到着。
 朝、相模川を渡る時は、富士山がくっきり見えていたのだが、今は、雲に隠れてしまっている。そういえば、朝に比べて、上空には、雲が増え、いつの間にか日は陰っていた。
 ここから一般登山道を離れ、西丸へ続く尾根筋を下っていく。
[要所小屋ノ頭にて西丸に続く尾根に入る]

 尾根に入った瞬間は、感じのいい樹林帯の中、踏跡が続くのだが、それもすぐに終わる。後は、ササヤブである。だが、ササに覆われているものの、幸い、経路は、残っている。両手で、ササを掻き分ければ、足下に経路が見つかる。
 何となく昨年よりも、ササヤブの背丈が伸びているような気がした。
 このヤブのために工事用マスクを用意しておいたのだが、ザックに入ったまま。ザックを下ろすのも面倒なので、結局、バンダナで鼻と口をふさぎ、頭の後ろでバンダナを縛った状態で、進んでいく。 イガイガさんからは、
 「西部劇に出てくるような銀行強盗だね〜」
と言われてしまった。
[毎度のササヤブ]

 ササヤブが終われば、分岐点である。(8:39)
 今となっては、全く判読不能な手書き道標が幹に掛かっている。
 ここで、左側斜面にほんの少し下っていくと、経路に出た。この経路で、西丸へ続く尾根をトラバースしていく。
[分岐点での手製道標]

 8:49、西丸頂上から伸びている尾根にぶつかったところで、左折する。左手が、自然林、右手が植林帯である尾根の背筋を下っていく。(写真下)
 このあたり、イガイガさんとペチャクチャ話しながら、歩いていたら、下る尾根筋を間違えていた。
 下る方向が違うのではと、すぐに地図で確認したのが良かった。(南東尾根を下ろうとしていた)でも、この方向にも赤テープがあったので、紛らわしいのも事実。
  ....ちょっとササが茂っていたことに違和感があった。
 引き返して、北東尾根に向かう。
[西丸から続く尾根を下る]

 何やらイガイガさんのズボンには、ダニのような生物が大量についている。それも大きいダニが目立つ。(写真下右) だが、私には、全く付着していない。
 歩く順番が問題だということで、途中から私が先頭を歩く。だが、結果は、同じ。
 「結局、生地の色(クマと同じ、黒)と素材(ナイロン製のツルツルではない)の違いでは?」
と言う結論に落ち着く。
. ....それまで、前夜の酒量とか、いろんな説が出た。
[ダニ払いのイガイガさん] [ダニの仲間?]

 最後は、急斜面の植林帯を下っていく。今回は、昨年よりも、金山沢の下流側に下り立った。
 沢沿いを歩いていき、すぐに左岸に渡る。
 左岸に渡れば、まもなく林道終点に到着。(写真下)
 ここには、大きな石が目印。昨年も同じような写真を撮ったことを思い出した。
[林道に出た(昨年撮影した光景と殆ど同じ)]

 途中、イガイガさんから
 「寄り道していきましょう。」
と、右手に下り、以前、小屋があったのではないかと思える平地を訪問。
 ここには、割れた徳利が散乱していた。ある程度まとまった人たちがこのような山林に入り込んで、生活していたことが思い起こされる。
[ちょっと寄り道]

 再び、林道に戻り、歩いていくと、樅の木橋に到着。(10:01)
 (ちなみに山と高原地図28「丹沢」(昭文社2011)では、「樅ノ木沢橋」と記載されている)
 橋の上から撮影。
 ....昨年も撮ったが、今年もアップ
 ここで、沢靴を取り出したり、ヘルメットを被ったりして、昨年に続いて「なんちゃって沢屋」姿に変身。
 10:18、橋の手前から沢に入る。
[樅の木橋にていよいよ沢へ]

 沢に入った瞬間、
 「冷た〜」
と、思わず声が出る。今年は、桜の開花が遅かったように、水温も低いようだ。
 だが、白い砂の上を歩く感触は、なんとも言えない。一度、この感触を味わってしまうと、沢歩きが止められなくなる。
 前方にナメ滝が見えてきた。
[樅ノ木沢に入る]

 10:46、前方で沢が二分している。(写真下)
 右が樅ノ木沢、左が西沢である。
 樅ノ木沢には、堰堤が見えていたが、左折して西沢に入ると、こちらも目の前に堰堤が出現した。
[西沢と樅ノ木沢の分岐点にて(前方の堰堤は、樅ノ木沢)]

 堰堤をよく見ると、構成している石、一つ一つが何となく、大きく感じる。
 そんな訳で、ちょっと違和感がある。
 この堰堤は、右手斜面から巻く。(10:53)
[西沢の方にも堰堤あり]

 堰堤から沢に戻ると、沢にレールのようなものを発見。
 浅瀬から菰釣橋までは、昭和30年代まで森林鉄道が敷設されていたのだが、そのレールだろうか。だが、ここまでレールが敷設されたとは、聞いたことがない。

 10:54、右岸に林道が突っ込むようにして終わっているのを見る。この林道は、本日、金山沢沿いに歩いていたとき、左に分岐した林道だった。
[堰堤の上にレールのようなものが]

 小滝を越えたところで、今度は、シカの角発見。(写真下左)
 だいぶ長い間、水に浸かっていたようで、先の方は、白くなっていた。
 前方は、見事なナメが続く。(写真下右)
 一歩一歩、ナメの感触を味わいながら、進んでいく。
[シカの角] [ナメが続く]

 11:20、前方に4mぐらいの滝が現れた。(写真下)
 西沢に入って、初めての滝らしい滝である。
 左の水流沿いを直登していく。
[滝が現れた]

 11:27、またしても、ナメとなる。
 景観も素晴らしいが、歩く感触がなんとも気持ちいい。
 イガイガさんは、水流を線状に撮影するためにスローシャッターを多用されている。だが、この場合、三脚でカメラを固定する必要があり、多少時間がかかるので、その間、先に行かせてもらう。そんな訳で、ナメの場合は、振り返って撮影の「イガイガさん写真」が多かった。
[ナメを登る(振り返って撮影)]

 11:30、沢が二分していた。(写真下)
 1/25000地形図で確認すると、標高860m地点での沢の分岐だとわかった。
 ここは、右手の沢を進む。
[沢の分岐点(赤い矢印方向に進む)]

 11:33、前方にナメ滝が現れた。5mぐらいだろうか。
 傾斜が緩いので、適当に登っていける。
[ナメ滝が現れた]

 ナメが終了したら、大岩と倒木の多い、歩きにくい沢となる。
 この倒木群を避けるために途中で、左岸側に逃げた。
 ちょっとした登りとなっており、ここで高度を稼いでいる。
[岩と倒木が出てきた]

 最初、小滝かと思ったのだが、近づいてみたら、5mはあると思われる立派な滝だった。(11:51)
 イガイガさん、最初は、右の倒木沿いにチャレンジするも、表面がヌルヌルのため、回避。だが、その後、左の倒木から、あれよあれよと岩壁を登られてしまった。
 ....やっぱり忍者だ。

 続いて、この私、左の倒木下まで行って、登ろうとするが、ザックが倒木に当たって、岩壁と倒木の間に身体が、うまく入れない。そこで、身体を90度曲げ(つまり、岩壁に対して右に横向きになっている)、足掛かりを丹念に探して、左足を岩壁に掛け、少し登った所で、右肘を倒木の上に乗せ、強引に上体を引き上げて、倒木の上に出た。
 ....利用できるものは、何でも利用

 倒木の上に出たら、その後は、それほど難しくはなかった。
[倒木3本の向こうに滝あり]

 倒木の滝の上は、やはりというか、期待通りのナメが続いている。
 これは、もう感動モノ。この時点で、昨年の水ノ木沢よりも、ナメが多いような気がしてきた。

 12:25、沢が二分するところで、ランチタイムとした。(〜12:45)
 1/25000地形図で、標高960m地点だと確認する。
 ここから先は、左右ともに滝となっている。但し、左側の沢は、水流がよく見えなかった。
 食事後、右側の沢に進む。
[沢の分岐でランチタイム]

 ランチタイム中、眺めていた2つのナメ滝を越えていく。
 食事中、沢から一時的に出てしまったため、再び沢に入ったとき、ものすごく水が冷たく感じる。
  ....ちょっと馴れるまでが辛かった。

 ここで、上空の雲行きが怪しくなってきた。天気予報では、今日、雨が降るようなアナウンスは、なかったのだが、上空は、なんだか雨雲のようなのだ。
[ナメ滝を登る]

 赤っぽい一枚岩の上に流れが広がっている。
 水量は、だいぶ減ったように見える。
 このナメが終了したら、前方に階段状の滝が見えてきた。
[水量が少し減ったようだ]

 ミニ・ガータゴヤの滝を過ぎ、前方に7mぐらいの滝が見えてきた。(写真下)
 近づいて撮影する。
 イガイガさん曰く、「今までで一番形のいい滝では?」
[奥に滝が見えた]

 「下から見たら7mぐらいと思ったけど、もっとありますね〜」
と滝の高さ査定のため、滝の落口に立つイガイガさん。(写真下)
 こっちは、見ているだけでハラハラ。足元のすぐ先は、7m以上の落差があるのだ。
 「12mということにしましょう。」
と、高さの査定は、下されたのだった。
[落口から見下ろすイガイガさん]

 岩がゴロゴロし、もうナメは、期待できそうもない状況となった。傾斜は、増しており、歩く方も今までと同じようなペースでは歩けなくなってきた。

 13:38、沢が二分していた。ここは、右に進む。(写真下)(標高1130mと推定)
 右手の沢に入ったら、その沢のすぐ右手に枝沢があり、そこの水量が圧倒的に多かった。右手の沢の水量は、この枝沢が殆どと言ってもいいくらいだ。
 ここでは、その枝沢に入らず、その枝沢の左の沢を進む。
[沢が二分する(赤矢印を進む)]

 沢を登っていくと、水量は、チョロチョロ状態となった。
 前方に5mぐらいの滝が現れた。(写真下)
 イガイガさんは、右から取り付き、後半、滝に対し、右方向に逃げていくようなルートでクリアされるが、私は、もっと楽な方法として、左側斜面から大きく巻いて、この滝をクリアした。
[水流が少なくなった所で、滝あり]

 沢が非常に狭くなり、左右にササが茂る。ササが出てきたということで、稜線が近いなと感じた。
 高度計から、標高1200m程度だと推察。稜線までは、あと100m程度だ。

 13:56、ついに水が涸れた。こんな高度まで、水があったということも一種の驚きである。
 その数分後、なんと雨が降ってきた。それも大粒の雨である。天気予報ではありえない状況だった。これは、通り雨だろうということで、そのまま先を急ぐ。
. ....ヘルメットも被ったまま。 
[左右にササが増えてきた]

 ついにササヤブとなったが、雨のおかげで埃が立たない。
 これは、天の恵みだろうか。さらにラッキーなことにササヤブの密集度が弱く、好きな方向へと進める。
. ....水ノ木沢でのササヤブは、そうではなかった。

 だが、傾斜は、結構、急だ。このため、両手でササを掴んでは、一歩一歩、登っていく。
. ....やはり、シンドい。
[ササヤブに入る]

 14:16、甲相国境尾根沿いの一般登山道に飛び出した。ホッとする一瞬である。
 登ってきたササヤブを振り返る。(写真下)
 ここは、樅ノ木沢ノ頭ピークから、ほんの少し、西にある鞍部だった。
 雨は、だいぶ小降りになった。
[登山道に出たところで、振り返る]

 国境尾根を西へと進む。途中で、25人の中高年の団体さんを追い抜く。皆、雨具を着用していたので、赤、青、黄とカラフルだった。

 14:27、西沢ノ頭を通過。(写真下)
 どうやら、雨は、あがったようだ。
. ....だが、まだヘルメットも被り、ネオプレーンスパッツもしたまま。
[西沢ノ頭の道標を通過]

 大棚ノ頭(下)にて、丁字路を右折し、山伏トンネルに向かう。
 途中で、送電鉄塔の塗装塗り替え中の鉄塔を見る。上半分だけが紅白に塗装されている。
 どうやら、これからは、下半分を塗るようだ。
 15:29、山伏トンネル入口到着。
 イガイガさん、ご同行ありがとうございました。
[西群馬幹線鉄塔を通過]


  この西沢、たいした情報を持たずに入渓しましたが、意外や意外、水ノ木沢より、いろいろナメの光景が変わり、全く飽きさせない内容でした。
 これからも、できる限り、西丹沢での白くてナメの多い、明るい沢を訪問していきたいと思っています。



※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。