トップページ山行リスト(日付)>雨山・伊勢沢ノ頭_記録20110924


雨山・伊勢沢ノ頭

 山行日
2011年9月24日(土)       晴            単独行
 コース
寄大橋(7:08)〜<山ノ神渡ノ沢右岸尾根>〜(10:02)雨山(10:15)〜(10:46)檜岳(11:04)〜(11:40)伊勢沢ノ頭(11:47)〜(12:44)1086m峰〜<南西尾根>〜(13:58)林道秦野峠(14:09)〜<虫沢林道>〜(16:20)ゲート〜(17:11)田代向 
 今日は、ザックの軽量化を図り、寄から玄倉川の方へ雨山峠を越えて訪問しようかと思いましたが、寄沢の水量からこの先、沢の水量がどこも多いと推察し、峠越えをあっさり諦め、檜岳山稜を歩いてきました。
 でも、興味深かったのは、虫沢林道でした。
 詳細は、下記をご覧下さい。


 6:43、渋沢駅で下車し、大倉行きバス乗り場の前を通ると、1番バスを待つ長い行列が出来ていた。今日は、連休中日ということで、塔ノ岳の山頂は、賑やかになりそうだ。
 今回は、その先のタクシー乗り場へ。
[今回のスタート地点:寄大橋手前のゲート]

 山道に入り、すぐに分岐路を左に進む。登山道は、右と道標に書かれてあったが、左の「成長の森へ川をわたる」の方を歩いた方が近いし、高度差がないので楽なのだ。

 左に見える堰堤を2つ通り過ぎ、寄沢の河原に下り立つ。(写真下)
 やはり、水量が多く、勢いがある。
 ジャンプして対岸に渡る。その後、寄沢沿いの山道を進むが、途中、沢には橋が一つもなかった。
 沢を渡ろうとする度にジャンプする場所を探すハメになる。
[寄沢に下り立つ]

 右岸から再び左岸に渡るときも橋がなく、渡る前に小休止とした。(7:59)
 このまま先に進んでも、今日は、時間的にロスが多いな〜と思ったら、このまま雨山峠に行く気がしなくなった。
 地図を広げ、自分の位置を確認すると、すぐ先の沢が山ノ神渡ノ沢だと判明。この名前には、記憶があり、ここから続く右岸尾根に対し、massyさんか、イガイガさんか、誰かの記録を読んだ気がした。(帰宅後調べたら、イガイガさんだった。massyさんは、左岸尾根だった)
 そんな訳で、目の前の尾根を登ることに予定変更。
 8:08、出発。
 すぐにスギ植林帯の急登が始まった。スギの小枝が落ち、経路があるのかどうかもよくわからない。ストックにつけたクマ鈴の音だけが響く。
[山ノ神渡ノ沢右岸尾根を登る]

 左手のシカ柵が終わると、前方は、岩が目立ってきた。(写真下左)
 最初は、楽勝と思ったが、すぐに両手両足を使う状況となった。
 この登りはキツいな〜と思ったら、目の前にトラロープが出現。(写真下右)
 ....経路らしい経路でなかったので、ちょっと予想外。
 この先、木の幹を頼りとし、岩は脆い(掴むとすぐに抜けてしまう)ため、当てにせず、両手を使って登っていく。約10分強、ハアハア言いながら登り続けると、ようやく緩やかになってきた。
[岩が現れる] [トラロープが現れる]

 周囲は、檜の植林帯となる。
 気がつけば、防火帯のような斜面を登っていた。(写真下左) そこには、自然林がポツンポツンと立っている。近づいてみると、どうやらモミジ系の樹木だ。
 9:50、経路が現れた。(写真下右) だが、そのうち不明瞭になる。
 ここまで経路が現れたり、消えたりしている。そんな訳で経路は、当てにせず、直登できるようなところは、直登していく。
[防火帯のような箇所を登る] [経路発見]

 傾斜が緩やかになる。
 ヤマトリカブトの花を1本だけ見かけた。この花は、よく群落となって花を咲かせるものだが、ここは、1本だけが咲いていた。
 9:52、もう少しで稜線に出そうだ。だが、なかなか近づかない。その前に短い急斜面があり、気合を入れて足を前に踏み出す。
[さらに登っていく]

 10:01、稜線に上がると、雨山の山頂標識は、左に30mぐらい行ったところにあった。
 10:02、雨山頂上到着。(写真下)
 ここからは、南側の遠景が見渡せる。(北側はダメだが)
 相模湾に突き出ている真鶴半島をじっと見つめていた。
 この後、西側に向かっていくと、意外な光景が。
[雨山に到着]

 続いて、檜岳山頂に到着。(写真下左)
 その後、いつものように三角点を撮影。
 三角点には、赤テープが巻かれてあった。(写真下右)
 その後は、北側の同角ノ頭(檜洞丸のピークが重なるように見える)をじっと眺めていた。ここから眺める同角山稜は、裸山丸、向山ノ頭とか、尾根が入り組んだ山容で、見ていて飽きないのだ。
[檜岳に到着] [三角点]

 檜岳を出発する。
 あれっ、このあたりに道標があったはずだがと思っていたら、柱が腐っていたため、足下に道標が倒れていた。(写真下)(これが、今回の台風で倒れてしまったかどうかは、不明)
 この道標の立っている場所が、ちょうど檜岳から753m峰に下っていくバリルート(南東尾根)との分岐点だったので、目印になっていたのだが、これからは、そうもいかなくなりそうだ。

 この先、一般登山ルートにもかかわらず、草が茂っているせいか、道を見失い、ウロウロ。
 ルートは、知っているので、最後は、右手シカ柵に近づき、柵に沿って進んでいく。初めて歩く場合だと、ちょっと気になる箇所だ。
 下りにさしかかる所で、単独男性登山者とすれ違った。台風の爪痕について立ち話。
[朽ちた道標はついに倒れた]

 本日の稜線歩きは、涼しい風が時々、頬に当たり、気分がいい。
 でも、やたらと折れたり、倒れたりしている木々が目に入るのは痛々しい限り。今回の台風の威力をまざまざと見せつけられた格好だ。

 11:40、伊勢沢ノ頭着。
 ザックを下ろして記念撮影。ここでランチタイムにしようかと思ったが、腰を下ろせるような場所がなかった。結局、南側に進んでいく。
[伊勢沢ノ頭にて]

 伊勢沢ノ頭から1086m峰に向かう途中で、左手の視界が広がる小ピークに出た。
 ここでランチタイムとした。(12:12〜12:30)
 ここも傾いた木々が目立つ。(写真左)
 三ノ塔方面を眺めながら、パンをかじる。
 食べながら、この先のルートをどうしようかと地形図を見ながら、考える。
 この先には、1086m峰があり、このピークから西に下っていくのも面白そうだ。この西側ルートも誰かが踏破したような記憶があった。
 また、1086m峰から南西に下っていく尾根にも興味があった。林道秦野峠から伊勢沢ノ頭に向かう場合、途中、道標の背後に尾根が続いている箇所があり、おそらく、この南西尾根を下っていくと、この箇所に出てくるのではないかという推理をしている。その実証を今回してもいいなと思った。
 まあ、ルートは、1086m峰に行ってから考えようと出発する。
[小ピークにて小休止]

 よりによって、登山道を遮断するように倒れている木が多い。
 正面から強行突破しようとすると、ザックが引っ掛かり、もがくハメに陥る。
 何だか障害物競走のような気分だ。
[登山道を遮断する倒木]

 植林帯では、根こそぎ倒れているケースが多いが、自然林では、根こそぎ以外に幹が折れているケースも多い。
 一番、太い部分の幹が裂けて、折れている木を発見。(写真下) だが、折れた上部が地に落ちていない。木の内部の繊維だけで繋がっているようだ。

 ここで倒木や下草で山道が分らなくなった。一般登山道なのに、またしてもウロウロする。
 ....ちょっと引き返したり、右に行ったりと、あちこち動き回ったのだ。
 結局、倒木を越えるように歩いていくことで、再び山道を発見。ヤレヤレと思いながら、先に進む。
[幹が折れても地に落ちない木]

 あれっ、下りに入っている!と、立止まり、右手斜面を登っていく。登山道は、1086mピークを左から巻いて下っていくのだった。
 すぐ上が、1086m峰のピークだったが、頂上らしくない頂上だった。シカ柵があり、下草が茂っている。視界は全く広がらず、地味な山頂だ。
 まずは、ランチタイムの時、考えたように西側斜面を目指すことにした。ちょうどシカ柵が延びている方向だ。見れば、シカ柵に大きな穴が開いているので、ここは、シカ柵の中に入り、左手にシカ柵を見ながら西へと進む。
[1086m峰の頂上にて]

 途中で、シカ柵に穴が開いていたので、ここでシカ柵をくぐり、今度は、右にシカ柵を見るように下っていく。だが、すぐに別のシカ柵が左右に走っていて、右手のシカ柵と合流していた。
 このシカ柵を越えるような箇所があるかとキョロキョロ見渡すが、人が通れるような大きな穴はなく、どうしようかと悩んだ末、今回は西側への下りを諦めて、もう一つ考えていた南西尾根を下ることに変更。
 ということで、ここで左にトラバースし、尾根の背筋に向かう。
[別のシカ柵にぶつかる]

 尾根の背筋に簡単に出ると、そこにはケモノ道のような踏跡があった。左側を見ると、1086m峰から南へ伸びている一般登山道のある尾根が見える。地形図で確認し、自分が立っている尾根が南西尾根であることを確信し、下っていく。
 本日、雨山への登りルートに続いて、2回目のバリルートに入った。
  ....と言っても、超ショート。
 途中、尾根が直進と右前方に分岐していたが、地形図上では、直進の尾根がはっきりしない。ここは、右前方の尾根に進む。
[南西へ続く尾根を下っていく]

 遠景もよく見え、自然林が広がる。なかなかいい尾根だ。
 やがて、左手の沢から瀬音が聞こえてきた。
 一箇所、右手が急斜面になっている箇所を慎重に過ぎると、水源の森林づくりの赤頭白杭がポツンと立っている小ピークに到着。
 南側は、急斜面となっており、下っていけるような箇所ではなかった。だが、よく見ると、右側に尾根が続いている。ということで、その尾根伝いに下っていく。
[なかなか気分のいい尾根]

 下っていた先に道標が見えた。
 道標の所から振り返って眺めると、以前、気になっていた尾根がやはり、今回の南西尾根だと判明。
  ....ああ、スッキリ。
 このまま、林道秦野峠方面を進んでいく。
  ....この先、何故か登りなので、疲れるのだ。
[一般登山道に合流(振り返って撮影)]

 13:58、林道秦野峠に飛び出た。
 涼しい風が背中を冷やしてくれる。ザックの温度計は、19℃を示していた。随分と涼しくなったことを実感。
 ここで再び地形図を取り出し、ここからのコースを思案。寄大橋に向かうか。シダンゴ山経由で寄に向かうか。それとも玄倉に向かうか...
 いずれも歩いたことのあるルートだった。そんなことを考えていたら、目の前の林道虫沢線というカンバンが目に入った。そういえば、最近、虫沢林道は、全通したと聞く。
  ....たぶん、知ったのは、ニカニカ系の方々と飲んだとき
 ならば、未踏の林道歩きが、いいだろうということで、下りは虫沢林道に決定。
[林道秦野峠にて小休止]

 虫沢林道を歩けば、檜岳山稜の眺めがいいだろうと思っていたのだが、手前の植林が伸びて、視界は完全な期待はずれだった。
 ようやく視界が広がったと思った箇所は、ちょうどシダンゴ山分岐点のすぐ手前だった。
 北東側の山並を眺める。

 シダンゴ山分岐点を過ぎ、尾根をグルリと回り、西側に進んでいく。
 すると、今まで順調に歩けた林道が荒れ始める。土砂が右手斜面から崩れている箇所を通過。
 そして、その先、あれっ、林道が終わっていると一瞬、思った。(写真下右)
 こんな酷い状況とは。この先が心配になった。
[虫沢林道を行く] [林道は、倒木で水が溜まっていた]

 日の当たる明るい林道歩きになったと思ったら、右手の壁が完全に崩壊していた。(写真下左)
 よく見るとコンクリートの残骸のようなものが見える。
 その後、場違いのような立派な橋(タカノス沢橋)が出現。でも、その前には、林道の土砂がスッポリ流され、大きな穴が出来ていた。(写真下右)
[コンクリート壁が崩壊していた(振り返って撮影)] [林道に大穴]

 やがて、なんとなく壁面が新しく感じられ、このあたりが最後の工事現場だったのかなと推察。(写真下)
 しかし、急坂と急カーブで、無理矢理、林道を通したような格好で、正直、こりゃ、強烈な暴風雨が来たら、コンクリート壁が崩れるのではないかという印象を持ってしまった。
[新しく工事完了したあたり]

 林道は、710m峰の山腹を通っていく。
 ふと右下を見れば、涸沢だろうか、その付近の植林が著しく倒れ、滅茶苦茶な状態になっていた。(写真下左)
 次に現れたのは、林道上の倒木だ。枝の密度が濃く、その中を進む気になれなかった。ここは、仕方がないので、ガードレールの外側を通過。林道上の他にも、倒木が目立つ。ここは、南西斜面だったためか、モロに強風を受けたようだ。

 その後、ようやくゲートに到着。(16:20)
 ゲートは、開いており、ゲートの所で30cmぐらいの段差が生じていた。これは台風時、ゲートが閉じてあったため、ゲート手前に土砂が溜まったようだ。その土砂を流すためにゲートが開けてあるようだった。
[林道右下の植林は、派手な倒木] [林道にも倒木あり]

 虫沢林道を歩き続けた後、そのまま虫沢の集落を通り抜け、田代向バス停に到着。
 時計を見れば、17:11。バス時刻を見ると、17:15。
 1時間に1本しかないのにこれは、ラッキー。
 終わりよければ、全て良し....そんなことを呟き、バスを待つ。
 ....だけど、この後、どこで着替えようかと少々、悩む。
 [田代向バス停に到着]


 今日は、なかなか面白いルートでした。山ノ神渡ノ沢右岸尾根も、1086m峰南西尾根も楽しめました。そして、最後の虫沢林道。誰にも会わない長い林道歩きでしたが、道の向こうに何があるのか、ドキドキ/ワクワクしながら歩けました。

 しかし、今回の台風で、山の被害は、相当なものです。特に倒木は、相当な数に上るでしょう。
 自然の力をここまで見せつけられたのは、丹沢を歩き始めて、初めての事です。
 今後も、こういった大型台風の影響を受ける可能性があるとすれば、ちょっと、この先が心配になります。



※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。