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遺言棚・同角ノ頭

 山行日
2011年11月12日(土)       晴後曇り      同行者:丹沢写真館さん、AOKさん
 コース
西丹沢県民の森駐車場(7:50)〜<中ノ沢径路>〜(9:20)東沢合流点〜<東沢>〜(10:10)東沢湧水口〜(10:18)東沢鉱山跡(10:20)〜(10:50)東沢乗越〜(11:09)遺言棚下(11:40)〜(12:49)石小屋ノ頭下登山道合流点(12:50)〜(12:58)石小屋ノ頭(13:05)〜(13:46)同角ノ頭(14:10)〜(14:30)中ノ沢乗越〜<小川谷>〜(16:15)新山沢出合〜<中ノ沢径路>〜(17:16)西丹沢県民の森駐車場
 今回は、丹沢写真館さん、AOKさんとのコラボ山行です。
 訪問地である遺言棚や、及び途中の東沢は、私の自己未踏ルートでしたので、ワクワク興味津々でした。また、途中で、嬉しい出来事がありました。
 詳細は、以下をご覧下さい。


 仲ノ沢林道は、秋の台風で、路上に土砂が積った後、どうにか整備されたが、その後も小さな落石は、相変わらず続いているようだ。小石がゴロゴロしていて、タイヤのパンクが心配になった。

 西丹沢県民の森駐車場に丹沢写真館さんの車で到着すると、すでにAOKさんは、到着済みだった。
 今日は、他に駐車している車は、無し。仲ノ沢林道を見下ろすと、マイクロバスが到着して、登山者らしき人々が出てきた。団体さんらしい。
 準備を済ませて、7:50に出発。
[今回のスタート地点:西丹沢県民の森駐車場]

 中ノ沢経路の前半部分は、周囲に新しい作業経路が出来ていた。おかげで、経路自体も整備された形跡があったが、この秋の大雨のせいか、その整備された部分がもう既に崩壊していた。
 また、何度か沢を渡るが、その前後で、ルートがわかりにくくなっていた。

 経路の後半、崩壊地を水平に突破(注:崩壊地を高巻く経路あり)しようとすると、最初の崩壊地は、ロープがあるので、楽勝だったが、連続してすぐ次にある崩壊地は、ロープがなく、足掛りになるのは、白ザレの中のわずかな岩の出っ張り部分だけ。片足がどうにか乗るだけで、体重の重い人間にとっては、スリル感あり。
 ....こういった足場を崩してしまった経験は、数え切れないほど、あり。

 どうやらこの2番目の崩壊地も最初は、ロープがあったのだが、切れてしまったようだ。
[中ノ沢経路の最初の崩壊地部分を通過]

 ザレ場を通過すれば、東沢合流点は近い。
 途中で、水平道から右に下っていく道に移る。
 すると、植生保護柵にぶつかってしまい、直進できなくなり、下流に向かうように下っていく。
 ....逆方向に進むハメに。

 こりゃ、えらく遠回りになったと、ガッカリしていたら、前方にワサビ田跡を発見。せっかくなので、ちょっと寄り道。
 ワサビを植えれば、そのままワサビ田が復活するような感じで、田跡には、水が流れていて、段々畑のように石垣は、しっかりと残っていた。
[ワサビ田跡にちょっと寄り道]

 左手に保護柵を見ながら、小川谷上流に進み、堰堤下に到着。(写真下)
 ここは、小川谷廊下の終了地点だ。 
 堰堤下を通り、いよいよ自己未踏の東沢に入っていく。
[小川谷の堰堤下から東沢に向かう]

 夏の暑いときであれば、ジャブジャブ沢に入れれば、心地よいところだが、この時季では、水は既に冷たい。
 左岸、右岸を行き来しながら、上流を目指す。
[東沢を進む]

 両岸が狭まっている箇所は、倒木の下、沢の水流沿いを通る。
 この辺り、散乱した落葉と白い石英閃緑岩のコントラストが美しい。

 この後、左に曲がり、ナメ滝横を登っていく。
 5分も歩けば、沢が左に曲り、高さは、あまりないが、滝らしい滝が現れる。ここは、右岸の斜面を登っていく。
 9:49、沢が二分し、右を進む。
 9:58、再び沢が二分する。(左は、大ヒデノ沢)ここも右に進む。
 高度が上がったせいだろうか。肌寒く感じるようになった。
 10:09、左手に紅葉した樹木を見つけた。 
[倒木をくぐる]

 10:10、湧水口に到着。不思議なことに一つの穴から滾々と水が湧き出ていて、ここから上流は、涸沢となっている。
 ここは、3年前、イガイガさんと上流の東沢乗越から下ってきて、訪れたことがあった。季節も確か11月で、あの時と情景が同じだな〜と、湧水口前のAOKさんの後姿とイガイガさんのそれとが重なって見えた。
 
 この後、
 「ちょっと鉱山に寄り道しますか」
と、近くにある鉱山跡に向かうことにした。
[東沢湧水口に到着]

 鉱山入口は、以前より、少し手前の土砂が入り込んだのではないかと思えた。(写真下)
 入口の貼紙によれば、鉱山名は、「丹沢鉱山」と記されてある。
 
『日本鉱山誌によると鉱脈は丹沢層群を貫く石英閃緑岩中にある。昭和30年試掘登録番号368で、面積を増やし、ついには昭和34年採掘登録番号21で本格的な採掘に移行した。
 実際に採掘されていたのは、孔雀石、黄銅鉱、輝銅鉱などで銅の含有量は12%と高品位であった。しかし、金は採れていなかった。(一部省略)』

 そんなことが貼紙に書かれてある。

 ここから採掘した銅は、どうやって運んだのだろう...周囲の樹林帯を振り返り、そんな疑問を懐く。
 ....帰宅後、調べてみたら、イガイガさんに連れられ、初めて訪れた時も、全く同じ疑問を感じていた。
[丹沢鉱山]

 鉱山跡から、東沢源頭に向かっていく。
 涸沢となり、岩がゴロゴロしていて歩きにくい。
 以前は、もっと平らだったような気がしたのだが、今年の大雨で、かなりこの沢も土砂が流れてしまったようだ。
[涸沢を進む]

 最後の源頭部は、どんどん急斜面になっていった。掴まる木などがなく、砂地で足元も滑りやすい。落葉が積って、なんだか「赤いアリ地獄」のような場所だ。
 (写真下)では、分りにくいが、両手も使いながらの登りとなっている。

 東沢乗越まで、あと3mぐらいの所で、モタモタしてしまう。足場が崩れてしまうのだ。最後は、少し右側の木の根っこ側に進み、どうにか自力で東沢乗越に上がった。
[東沢乗越への最後の登り(AOKさん撮影)]

 東沢乗越に到着。(10:50)
 ここは、白ザレの鞍部で、狭い場所だ。休憩場所とは、言い難い。

 「ちょっと予定時間をオーバーしているので、先を急ぎましょう。」
 そのまま、反対方向の同角沢の方に下っていく。
 経路があるのかと思ったが、踏跡すら分らないような斜面だった。
 それほど急斜面ではない。適当に下っていける所を探しながら、下っていく。
[東沢乗越にて]

 10:55、同角沢に下り立つ。
 遺言棚は、この下流側にある。いよいよ対面する機会が近づいてきた。ちょっとワクワクする。
 
 下流方面に進み、左岸の斜面に少し登ると、踏跡があり、それをたどって、滝の左岸側から下っていく。最初は、それほどでもなかったが、後半、急斜面となる。厄介なことに掴まる木が少ない。おまけに前日の雨のせいか、岩や土が濡れており、滑りやすい状況だった。ここは、慎重に下っていく。
 ....足を伸ばしすぎて、攣りそうになった。
[遺言棚の下に向かう]

 11:09、遺言棚の下に到着。最後の下りに結構、時間がかかってしまった。右を見上げれば、遺言棚が現れた。

 じっくり滝を観賞した後、コーヒータイムとしたが、その時、お二人から、このHPの10万アクセス達成祝辞のついたケーキがプレゼントされた。全く予期していなかったことだったので、思わずビックリ。
 ....とってもhappy! ありがとうございました!
[遺言棚の滝下に到着(下流方面を眺める)]

 ホットコーヒーとケーキを戴いた後、滝上から来た道を戻り、途中で尾根の背筋に出たところで右折し、尾根筋を登っていく。
 これまた、急斜面だ。アキレス腱が痛くなってくる。だが、ここは木が数多くあり、両腕がフルに使えたので、登るのは容易かった。

 途中、鞍部に出た。(写真下)
 その鞍部から、10数分、直登していくと、経路にぶつかった。ここの経路とは、本来の石小屋ノ頭下の道標から同角沢(遺言棚の上)に下っていけるルートである。
 ここからは、傾斜が緩くなり、歩きやすくなる。だが、経路自体は、踏跡が薄く、曖昧だ。 
[石小屋ノ頭方面への登り]

 目の前に石小屋ノ頭のピークらしきものが見えている。
 出発時は、日が照っていたのだが、いつの間にか一面ガスに覆われた天気に変わっていた。
 これでは、同角山稜に出ても、パノラマ風景は、ダメだな〜と、ちょっとガッカリ。
 ....久々に同角山稜からの東丹沢方面の風景が眺められるかと思ったのだが。
[ようやく緩やかな斜面となる]

 12:49、登山道に合流した。
 そこには、ちょうど道標が立っていた。この道標、示す方向が微妙で、同角ノ頭の方向は、今、登ってきた経路の方を指しているように見えた。
 それゆえ、道標には、手書きで「右の尾根路を登る」と記され、近くには、同角ノ頭方面は、尾根筋であることを示す標識が別にあった。
 おそらく同角ノ頭に向かうつもりが、同角沢に下ってしまうというミスが続出したのだろう。
[同角山稜の登山道に合流]

 ヒイヒイ言いながら、登ること8分、ようやく石小屋ノ頭頂上付近のベンチに到着。 ピークは、正確に言うと、もう少し先だ。
 石小屋ノ頭頂上は、帰宅後、調べてみたら、2回目で、92年5月以来で、実に19年ぶりだった。だが、どういう訳か、この山頂の記憶がない。19年前でも、その時、通った同角ノ頭、キレット橋、大石山などは、鮮明に覚えているのだが。

 あたりは、ますますガスが濃くなってきた。
[石小屋ノ頭頂上付近のベンチ]

 ハシゴを何度か通過し、キレットの木橋を通る。(写真下)
 ここを初めて通った時の記憶が脳裏に浮かんだ。結構、スリルがあったのを覚えている。だが、今回は、いとも簡単に渡ってしまう。昔は、もっと橋の幅が短かったのかもしれない。
[キレットの木橋]

 13:46、同角ノ頭に到着。
 ここは、3度目の訪問だ。最初は、石小屋ノ頭の時と同じで、92年5月。その時は、ここ(正確には、もう少し石小屋ノ頭寄りに下った地点)は、東丹沢の稜線が見渡せる、絶好の展望地で、思わず三脚をセットし、中型カメラで撮影した記憶があった。

 2回目は、2年前の09年5月に今日と同じ3人で訪れている。その時は、雨の中だった。
 今回もガスの中で、視界は広がらない。
 どうも最近は、同角ノ頭と天気との相性が悪い。
  ....話せば、丹沢写真館さんも、同様らしい。
[同角ノ頭にて]

 14:10、同角ノ頭でランチタイムの後、檜洞丸方面に下っていく。
 14:30、中ノ沢乗越に到着。(写真下)
 ここで、右側斜面を下っていけば、経角沢を経て檜洞に通じる。
 今回は、左折し、小川谷方面に下っていく。
[中ノ沢乗越にて左折]

 最初は、歩きやすい緩斜面の小石が混じる土の斜面だったが、この状態は、長続きせず、すぐに岩がゴロゴロしたガレ沢となる。
 14:41、左から沢が合流する。
 さらに下っていくと、14:58、再び左から沢が合流する。合流点では、その沢から流れ出された物凄い量の土砂が積まれてあった。底知れぬ自然のパワーを感じさせる光景だ。
 
 足下は、岩がゴロゴロしたガレ沢である。浮石に注意して歩かないと、思わぬケガにをもたらす。
[最初は、緩い土砂斜面]

 ガレの中、下っていく時、左足元が崩れ、右足の膝を強く打ってしまった。やはり、安心できるような足場に見えても、実際は、異なる。
 だが、幸いなことに30分もすれば、痛みが消えた。

 左手に大崩壊地を見上げる。
 同角ノ頭の山容を眺めると、山肌に崩壊したような箇所があるように見えないが、この沢沿いには、崩壊地が目立つ。 

 このガレ歩きは、長く感じた。
 確かに地図から見ても長いのは、分っていたが、実際に歩くとなると、ペースが遅いため、余計、長く感じてしまうようだ。
[ウンザリするほど、ガレが続く]

 ガレ歩きが飽きてきたので、右岸の樹林帯に入った。
 苔がついた岩の間を通り過ぎていく。
 やがて、新山沢のガレを通り過ぎ、植林帯に突入する。
 あたりは、もう薄暗くなってきており、この先の経路が不安になる。ライトをザックから取り出しておく。
 
 16:25、午前中、歩いた中ノ沢経路に突入。暗くなる前に、あの崩壊地のトラバースを通過しておきたいと思ったが、どうにかライトをつける前に無事通過。

 だが、その後、ライトを点けながらの経路歩きとなった。
 やはり、暗くなると、沢を横断する時に迷ってしまう。3人なので、正しいルートを見出せたが、自分一人の判断だと、ちょっと自信がなかった。
[欅平に近づく]

 真っ暗な経路を歩き続ける。
 木橋を渡り、右上にガードレールが見えてくれば、林道への合流点は近い。
 17:10、ようやく林道に出た。
 ここからは、もう安心だ。

 「やれやれ、どうにか着きましたね。」
 「お疲れ様でした。」
と、ゲートを通過し、真っ暗の中の駐車場に到着した。(17:16)
 [真っ暗な中、仲ノ沢林道に出た]


 丹沢写真館さん、AOKさん
 ご同行ありがとうございました。また、10万アクセス達成のお祝いありがとうございました。
 今回の真っ暗な中ノ沢経路は、なかなか味わえない経験でした。

 久々に同角山稜を歩きましたが、ガスで全く遠景を望むことができませんでした。これは、誠にガッカリさせられることで、同角山稜は、晴れていれば、丹沢ファンには堪えられないパノラマ風景が広がるのです。
 トンネル工事中だった玄倉林道が歩けるようになったことですし、再度、チャレンジしなければ、と思っています



※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。