トップページ山行リスト(日付)>世附権現山_記録20120303


世附権現山

 山行日
2012年3月3日(土)       曇後晴        単独行
 コース
細川橋(8:25)〜(9:48)大仏ノ野(10:50)〜(11:42)世附権現山(12:00)〜(12:51)二本杉峠(12:56)〜(13:50)細川橋〜(13:58)一茶(14:52)〜(14:53)あしがら荘入口
 今回は、雪歩きと、西丹沢の雪山風景を期待して、世附権現山に行ってきました。
 コースは、細川橋から大仏ノ野経由でのルートです。
 この細川橋から大仏ノ野のルートは、谷側ルートで下ったことがありますが、尾根筋に歩いたことがありませんでした。そこで、今回は、尾根筋を通ることを計画しました。
 詳細は、以下をご覧下さい。


 今週は、水曜に街でも雪が降り、これなら週末の丹沢は、一面、白銀の世界だと思い、期待して西丹沢に向かう。
 だが、丹沢湖畔を走るバスの車窓から見た光景は、白い山肌が、期待していたほどでもなかった。どうやら、昨日の雨のせいで、雪が解けてしまったらしい。

 細川橋バス停に8:15到着。上着を脱いで、いざ出発。
 浅瀬入口方面に少し戻って右折し、林道に入る。
 坂の右手斜面には、ミツマタの蕾が一面に広がっている。
 そう、ここは、隠れたミツマタの群落なのだが、今日は、まだタイミングが早かった。
[今回のスタート地点:細川橋バス停]

 やがて、前方は、一面、真っ白な道となる。人の踏跡は、全くなく、ちょっと物寂しい。
 右手の沢に南沢堰堤が見えてきた。(写真下)
 雪があっても、ルートがわかるかなと、少々心配していたのだが、堰堤を過ぎたら、全く雪がなかった。思わず、アレッという感じだ。堰堤付近だけ雪が残っていたのは、ちょうど日陰だったためだろうか。
[舗装路には、積雪あり]

 崩壊地を右手に見て、植林帯を進む。
 やがて、分岐路に出た。(写真下)
 以前、通ったのは、黄色の矢印を逆方向。今日は、左手の赤矢印方向に進む。
 ここから、未踏ルートとなる。
[今日は、左折する]

 左折したのは、いいが、一向に尾根に登らず、トラバースしていくだけだった。左下に歩いてきたルートが見える。これでは、行きたい方向の反対へ進んでしまう。
 ということで、途中で経路を諦め、右手の植林帯の斜面を直登することにした。手を使わないギリギリの傾斜というレベルだ。
 偶然、古い経路を見つけ、その経路を辿ると、自然林に入った。経路は、ちょっと見ただけでは、分らないほど風化していた。

 再び植林帯に入ると、経路が不明になる。だが、すぐ先で尾根の背筋に出るところだったので、進む方向に心配は、なかった。 
[植林帯の登り(ルートなし)]

 尾根の背筋に出たところで、進路変更。右手の背筋沿いに進む。
 やがて、左にシカ柵が現れ、右手前方には、木立の間からこれから目指す権現山(世附)の姿が見えてきた。
 再び、地面には、雪が目立ってきた。よく見ると、シカのような足跡が残っている。この権現山で、シカなんて見たことがなかったが、どうやら棲みついているようだ。

 突然、日が差し込んできた。今日の天気予報は、晴れだったのを思い出した。見上げれば、権現山の山頂付近にはポッカリと青空がのぞいている。
[右斜め前方に世附権現山を見る]

 見る見るうちに雲が切れていく。
 これは、大仏ノ野での西丹沢風景にちょっと期待できるかもしれない。そう思った。さっきまで、檜洞丸方面の山々のピークは、雲の中で、下半分しか見えていなかったのだ。

 植林帯を過ぎ、自然林となったところで、急斜面となる。その斜面を直登していくと、木立がなくなり、白い雪が目立つようになった。
 ようやく、大仏ノ野に到着だ。
[大仏ノ野が近づいてきた]

 人工物のアンテナが何本か立っていた。
 振り返ってみると、案の定、同角ノ頭、檜洞丸のピークが雲から出てきた。
 三脚を取り出し、撮影開始。
 東側の手前のピーク、遠見山を撮影する。
 そのうち、檜洞丸方面も雲が消えていく。
 雲が切れるのを粘っていたこともあり、結局1時間程度、撮影し続けていた。
[大仏ノ野に到着]

  大仏ノ野を出発し、正面に見えた斜面を登ることにした。登りやすい箇所を探し、植林帯と裸地(少しだけ木がある)の境界線上を直登する。

 シカのフンを発見。ちょっと小さめで、子ジカのようだ。これで、先ほどの足跡といい、この権現山周辺にシカが生息していることが分った。

 振り返ってみると、丹沢湖が近い。(写真下)
 急斜面だが、その分、高度が稼げるのは、有り難かった。
[振り返って丹沢湖を見下ろす]

 傾斜が緩くなったかと思ったら、積雪量が一気に増えた。
 でも、積雪は10cm程度で、水分を多く含んだ雪だ。踏み込んだ後、蹴る瞬間、滑ってしまい、エネルギーロスが発生する。それでも、ようやく期待していた雪景色が見えてきたことに満足。
 このとき、前方に子ジカ1頭を発見。だが、直ぐに奥へと逃げてしまった。先ほどのフンの主かもしれないなと、ふと思った。

 やがて、浅瀬入口からの登山道と合流した。すでに山頂に向かう踏跡(2人分ぐらい)があり、山頂に向かったようだ。踏み跡の出来具合からみて、今日のようだ。
[自然林の中、傾斜が緩くなる]

 11:42、権現山頂上に到着。(写真下) さすがに山頂付近は、雪が多く、30cmぐらい積っている箇所が出てきた。
 山頂から少し下がった所にあるベンチの方から人の声が聞こえてきた。そちらに向かうと2人の男性グループが、ちょうど出発するところだった。先ほどの足跡も、このお二人のものだと分かった。
 「すみませんが、お先に踏跡をつけちゃいます。」
 「どうぞ、どうぞ」
 律儀な人たちだった。見れば、この先、どの方向にも踏跡がなかった。水曜の雪以来、誰も訪問していないようだ。
 飛び跳ねるように2人が下って行った。

 ベンチに腰掛け、ランチタイムとした。
 静寂が戻る。鳥の啼声も、風の音も聞こえない。
[世附権現山頂上にて(三角点は、雪の下)]

 12:00、ベンチを出発する。この後、先ほどの二人の踏跡を見ながら、下っていく。
 楽しみにしていた雪歩きは、できたもの、固い雪を想定していたが、実際は、全く逆だった。シャーベット状の雪で、滑りやすいこと、この上ない。
 先行の二人の踏跡を見ると、駆け足で下っていった感じで、かなり荒れた状況だった。
[急な下りが続く]

 小ピークを一つ越えて、前方に二本杉峠のベンチが見えてきた。(写真下)
 ここまで来ると、雪が殆ど消えてしまった。
 二本杉峠のベンチで小休止しようと思ったが、ここまで、ゆっくり歩いてきたので、休憩するほどの疲れもなかった。
 ということで、ペットボトルを一口飲んだだけで出発。
[二本杉峠が見えてきた]

 二本杉峠から細川橋へのルートは、何回と、通ったルートだが、崩壊地を過ぎて、植林帯に入ると、全く周りの景色に見覚えがなく、ひょっとして、ルート変更されたのかな?と思ってしまった。

 道標は、当初、細川橋方面は、「上ノ原登山口」と記載されていたのだが、突如、「細川橋バス停」に変わった。(写真下)
 その後、右手に大堰堤を見て、見覚えのある光景となった。
[ここは、「細川橋」と記されてあった]

 坂を下っていくと、左手に鳥居が見える。
 そういえば、この神社の境内に入ったことがなかったなと思い、今日は、時間があるので、寄り道することに。
 赤い鳥居をくぐって石段を登っていくと、小さな社殿がポツンとあった。不思議なことに、この神社名を示すようなものがなく、結局、何という神社なのか分からないまま、後にした。
[謎の神社]

 13:50、細川橋バス停に到着。
 次のバス時刻を見たら、14:56だった。何と、12時台、13時台のバスは、1本もなかった。
 そうであれば、西丹沢方面へと歩き、コーヒーショップ一茶に向かう。一茶に入り、コーヒーを注文。
 ママさんと話す。先ほどの神社は、大室生神社と呼ぶらしい。山北駅の近くには、郷社室生神社という、同じ「室生」の付く神社があるとのこと。
 店内にミツマタ群生地マップの説明文があった。また、近くの道路脇にミツマタの観光案内板を建てるらしい。どうやら、山北町は、今後、ミツマタを観光資源にするようだ。
 そんな話をしていたら、アッという間に時間が過ぎていった。
[一茶で時間潰し]

 一茶から道一つ隔てた先にバス停がある。
 14:53、あしがら荘入口バス停にて、バスを待つ。
 [あしがら荘入口バス停にて]


 雪景色に対しては、ちょっと期待外れでしたが、大仏ノ野にて檜洞丸方面の山々を眺めることができたのは、ラッキーでした。また、塔ノ岳方面は、雲が切れていくダイナミックな光景が眺められ、これまた興奮しておりました。

 一方、コウゾ、ミツマタは、和紙の原料となるものですが、丹沢湖周辺のミツマタは、小田原の印刷局にお札の原料として植栽されていたものがルーツということを今回、初めて知りました。
 桜などと違って、ミツマタは、花の開花期間が長く、このため、比較的、満開時に出会えることが多いので、撮影するには、もってこいの花です。また、あの香ばしい匂いがなんとも言えません。
 今年は、梅と同じようにミツマタの開花も遅れるのでしょうか。ちょっと気になります。



※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。