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勘七ノ沢

 山行日
2012年10月7日(日)       雨後曇り         同行者:NASさん
 コース
表丹沢県民の森駐車場(9:31)〜(9:53)二俣〜(10:03)小草平ノ沢F1手前〜(10:53)勘七ノ沢F1〜<勘七ノ沢>〜(15:27)F9〜(15:46)右斜面取り付き〜(16:29)登山道合流点(16:42)〜(16:46)花立山荘〜(17:23)堀山の家(17:25)〜(18:35)二俣〜(18:58)表丹沢県民の森駐車場
 もうヒルのシーズンも終わっただろうと、今回は、勘七ノ沢へ出かけてきました。前半の滝群、中盤のゴルジュと楽しんできました。なお、パートナーは、高校時代からの友人、NASさんです。
 詳しくは、下記をご覧下さい。


 「う〜む。止まないね〜。」
 ここは、表丹沢県民の森駐車場。
 NASさんの車で、やってきたのだが、もう30分以上、車の中に籠っている。
 雨は、ザーザー降りという訳ではないのだが、横浜を出発する前から降り続いており、全く止むような雰囲気ではなかった。
 ガスがかかっており、周囲は、よく見えない。だが、ここの駐車場は、すでに満車状態だった。(ちなみにゲート前のエリアも満車)
 皆、今日の午前中から、晴れになるという天気予報を信じて、山に入った人たちだろう。
 「もう少し待つとしよう。」
と車のシートを少し倒して、フロントガラスに落ちてくる雨を見つめる。
 隣に駐車している車の中でも一人の男性が同じように雨が止むのを待っていた。皆、考えは、同じのようだ。
 こんな天気だが、鍋割山に登るのだろう。駐車場入口にタクシーが時々やってくる。

 9:31、これ以上待っていると、帰りの時刻が遅くなる。ということで、雨が降る中、出発することにした。上半身だけ雨具を着る。丹沢では、久々の雨具着用だ。
 今日は、勘七ノ沢を遡行する予定である。だが、この雨で水量はどうだろう。一抹の不安がよぎる。まあ、水量が多いようだったら、中止にして温泉でも行こうと話しながら、林道を進む。
[今回のスタート地点(表丹沢県民の森駐車場)]

 二俣に到着。
 勘七ノ沢の水量を見るが、普通の晴れの日とそれほど違いはない。また今回の雨は、雨量が少ないので、この先も大丈夫だろうと推察。右の堀山の家まで続く登山道に入る。

 薄暗いというレベルを超え、日没寸前のような暗い中、植林帯を進む。
 デジカメは、ストロボ撮影が必須となるが、ガスが発生している、今のような状況でストロボ撮影しても、ノイズだらけの白い画像となり、うまく撮影できない。
 これが、持参したデジカメ撮影の弱点で、今日は、手ブレの画像が多くなるかもしれないなぁと、ちょっと消沈気味。
[二俣を通過]

  10:03、登山道が小草平ノ沢にぶつかる。右手奥には、小草平ノ沢F1が見え、轟々と水の落ちる音が響く。
 勘七ノ沢へと、小草平ノ沢下流側に進む。登山者が間違えないよう、テープが張ってあった。堀山の家から下ってきた登山者が誤って沢を下っていかないようにするためだろう。この下流をそのまま進んでいくと、堰堤があり、危険だ。

 すぐに右手から別の沢が合流する。これが勘七ノ沢だ。
 遠くに勘七ノ沢F1が見えた。
 ここで、沢装備に取りかかる。雨具をどうしようかと悩んだが、まだ雨は、降り続いており、結局、上半身は、着たままとした。
[勘七ノ沢F1が見えた]

 F1に近づき、見上げる。
 水量は、多くないが、流れに勢いがあるような気がする。雨のせいか、岩が黒光りしており、なんだか岩がツルツルに見えてくる。
 水流から少し離れた左側に残置スリングがあった。

 最初の滝ということで、ロープを使用することにした。リードはNASさん。
 やはり残置スリングからの先で滑りそう。下から見ててハラハラする。
 だが、NASさん、無事、登攀終了。
 今度は、自分の番。トップロープなので、心理的には楽だ。
 残置スリングを掴んだ後、足場を探しながら、登っていく。
 その先、落ち口付近にも長い残置スリングが見えた。それに掴まれば、大丈夫のようだが、残置ゆえ、あまり信用はできない。
 結果的には、そのスリングに頼ることなく、クリアした。
[[勘七ノ沢F1:5m]

 続いてF2。結構、垂直に落ちている滝だ。
 最初は、ホールドが多数あり快適な登りと思ったが、掴む岩が脆いように感じ、慎重になった。
 3/4ぐらい登ったところで、F2の看板が掲げてある、小さなテラスで小休止。その後、落ち口に上がろうとするが、ここが意外と難しい。足場となる岩が削られているような感じで、安定感がなかった。
[勘七ノ沢F2:7m]

 堰堤を一つ右から巻く。

 11:37、F3の下に到着。昔は、滝の下が深い淵になっていたらしいが、入ってみると腰まで届かない程度だ。ということで、左岸の岩壁をへつることもなく、水に入ってF3の右側の壁に取り付く。(写真下)
 ここは、登りやすかったが、最後の落ち口で、ちょっと手掛りがなく、NASさんにお助けロープを出してもらった。
[勘七ノ沢F3:7m]

 11:55、2段のF4を進む。
 下段の3mを越えた後、上段の9mに向かうが、その手前のスラブ状の岩が滑りそうで進めない。残置スリングを発見するが、そこまで手が届かない。ロープを使用しようと思ったが、ロープがあっても滑ったら、水流にドボンしそうだ。
 
 雨が降り続けていることもあり、ここは、安全を考慮し、巻くことにした。 
[勘七ノ沢F4:3m+9m]

 少し戻って、右岸の小沢が合流するところから、その小沢を横断して、斜面を登っていく。(写真下)
 植林帯を進み、F4の落ち口を見下ろすが、すぐに下りず、巻き道を更に進む。やがて、簡単に沢へと降りれる箇所を見つけ、再び沢に降り立つ。

 靴をチェックすると、
 「おお!ヤマビル発見」
 思わず声が出た。NASさんは、ヤマビルをまだ見たことがないということで、これだと指でつまむ。
 「これがヒル?」
とNASさん。予想していたものと違ったようだ。まあ、それほど大きなヤマビルではない。2cmぐらいだ。他にまだいるかと調べたが、結局、この1匹だけだった。石で潰し、昇天させる。
[勘七ノ沢F4を右岸から巻く]

 この後、堰堤が続く。巻き道を通るとき、またヤマビルが出てくるのではないかとちょっと足下が気になった。
 4つめの堰堤を右から巻いた後、すぐ先に5つめの堰堤が見えた。ガイドブック(「丹沢の沢を歩く」高橋栄:夢工房2005年)では、5つめの堰堤は、左から小さく巻くと記載されてあったが、踏み跡があったため、右から続けて小さく巻いたところ、堰堤を越す手前でスパッと経路が切れていた。
 これは、ちょっと簡単に通れないということで、結局、右から大きく巻いた。
[堰堤が続く]

 5つめの堰堤を右から大きく巻いたら、今度は、沢に降りれなくなってしまった。
 結局、ロープを取り出し、5mの懸垂下降。ちょうどいい立ち木があり、これを利用した。
 降りてみて分かったのだが、この先の左岸は、沢に戻れるような斜面がなく、垂直の壁が続いていた。「ここは、懸垂下降」という早めの判断がベストだった。
[5つめの堰堤を通過後、懸垂下降で沢に戻る]

 13:31、F5下に到着。
 下からルートを探す。水流左に残置ボルトが幾つか見つかった。
 NASさんがリードで登ってみるが、途中のボルトが怪しく、結局、無理をせず、左のルンゼを登り、巻くことにした。
[勘七ノ沢F5:15m]

 F5を巻いて沢に下り、上流に進むと、小滝が連続し、すぐにゴルジュとなった。
 「これは、おもしろい」と両手両足を広げ、ツッパリ風での通過を楽しむ。
 だが、残念なことにあっという間に通り過ぎ、楽しみはすぐに終わってしまった。

 やがて、倒木をくぐった後、滝があり、その先には石積み堰堤が見えてくる。
 確認すると、堰堤手前の滝がF6(6m)だった。
 ここは、水流左から越えていく。
[ゴルジュに突入]

 堰堤を越えて進むと、沢の幅が広がり、ここで小休止とした。(14:36〜14:43)
 遅めの昼食をとる。
 雨は、ようやく止んだが、相変わらずガスが立ち込めており、天気が回復しているようには、思えない。
 予定よりもだいぶ遅くなってしまったので、休憩もそこそこ、さっさと歩き始めることにした。
[沢幅が広がる]

 14:47、滝を登ることなく、横のゴーロを歩いていく。(写真下)
 このあたり、石が不安定で非常に歩きにくい。
 だが、傾斜がまだ緩いのが救いだ。
[滝の右を通過する]

 左手にガレ場が見えてきた。
 ここで、2度目の小休止。(15:07〜15:15)
 ガイドブック(「丹沢の沢を歩く」高橋栄:夢工房2005年)の遡行図を見ると、この先、F9があるだけだ。いよいよ沢のゴールが近づいてきた。
[左手にガレ場が現れる]

 15:24、二俣になる。
 左のほうが、主流のように見えるが、右は、奥に傾斜の緩い滝のような岩が見える。ガイドブックによれば、ここは、右だ。
 奥の緩い傾斜に見える岩がF9(10m)のようだ。

 右の沢を進むと、F9の前に到着。水がチョロチョロと流れている。先ほど小休止したガレ場を過ぎてから、伏流になっていたのだが、ここでは水が復活していた。
 水流の溝部分を登っていく。
 だんだん水流の溝が狭くなっていき、登りにくくなっていくが、無事クリア。
[勘七ノ沢F9]

 F9を越えたら、この先、滝はないようで、ガイドブックでは、沢から離れ、右手斜面を登り、花立山荘へ向かうように記載されている。
 ガイドブックでは大岩のある箇所で、右手斜面を登るようにとあるが、その大岩というのが、よくわからない。
 この辺りではないだろうかと、勝手に解釈して、登り易い斜面に取り付いた。
 NASさんは、この手のヤブ尾根歩きが苦手ということで、ここからは、先頭を歩く。
 すぐに踏み跡が見つかる。どうやら、間違ってはいないようだ
[右手の斜面に取り付く]

 だんだん傾斜がきつくなって、腿が上がらなくなってくる。それでも立ち木が多いので、両手を利用することで、足の負担を減らす。
 30分ほど、登ったところで、右手を見ると、
  「あれっ!花立山荘の屋根が見える。」
 すでに花立山荘と同じ高さまで登っていたが、山荘は、隣の尾根だった。
 どうやら一本、尾根を間違えたようだ。
 ....NASさん、どうもスミマセンでした。
 
 だが、これで我々の位置がわかったので、なるべく上に行かず、水平に行くようルートをとる。
 16:22、視界が広がるような草原に出た。(写真下)
 振り返ると、花立山荘がよく見えた。
[樹林帯から出た]

 16:29、笹原から登山道に合流。
 ここは、花立と花立山荘の中間ぐらいの地点だ。正面に源次郎尾根からの踏み跡がやはり、この登山道に合流していた。

 NASさん、腰を下ろして水分補給。(写真下)
 ここで、沢装備を解除した。
 「途中で日没になるのは確定的だが、早めに下ろう。」
ということで、大倉尾根を下っていく。
[登山道にて小休止]

 できれば、堀山の家から二俣に下る山道は、明るいうちに歩きたかったのだが、どうもそれは、無理なようだ。

 17:23、堀山の家に到着。
 ここから大倉尾根のメインルートから外れ、二俣に向かう。前方の植林帯の中の山道は、すでに暗闇状態で、ライトを取り出す。
[大倉尾根を下っていく]

 この植林帯の下りは、どこが山道なのか、よく分からない。尾根筋を外れないように下っていく。
 この山道は、以前歩いた記憶があり、途中で直進の尾根筋から外れ、右折し、尾根を移る必要がある。もし、その右折ポイントを見逃すと、小草平ノ沢への急斜面に行ってしまう。
 それゆえ、どこで右折するのか、この暗闇の中でわかるのかが不安だった。

 そろそろ右折する頃ではないかと、前方をライトで照らすと、小さな案内板を発見。よく見ると、手書きで、「前方は、×で、二俣は右の尾根」と記されてあった。
 「これだ。これだ。」と、右折ポイントを見つけ、ホッとする。
[二俣に下っていく途中での小さな案内板]

 右折ポイントが分かれば、後は問題ない。
 下っていくうちに登山道が明確になってきて、だいぶ歩きやすくなった。
 18:10、真っ暗な植林帯の中で小休止。(写真下)
 水分補給する。右手から勘七ノ沢の沢音が聞こえてくる。

 急な下りとなり、左からの沢音が大きくなっていく。この音の発信源は、小草平のF1かなと思っていたら、思った通りで、下りが終わったところで、小草平ノ沢にぶつかった。
 ここまで来れば、後は、午前中歩いた登山道を戻るだけで、もう安心だ。
[真っ暗な中の植林帯を下っていく]

 18:35、二俣を通過。
 勘七橋を渡った後が、とても長く感じ、道を間違えたかと、一瞬思い、地図を取り出す。だが、その後、ゲートが見えてきた。
 NASさんとは、
 「やはり、沢は、晴れた日がいいね〜」
と、改めて至極当然な結論に至った。

 18:58、駐車場に到着。
 今日は、だいぶ遅くなってしまった。だが、帰りの東名高速は、3連休の中日だったが、全く渋滞に遭わず、快適に走ることができたのは、幸いだった。
 [表丹沢県民の森駐車場に戻ってきた]


 今回は、参りました。
 雨が降っていたことや、岩が脆そうだったこともあり、滝を登るのに普段以上、神経を使いました。
 また、最後の花立への登りも結構、長く感じました。

 NASさんも、ちょっと不完全燃焼気味で、帰りの車中で、すぐに次回の沢の計画を立案しました。
 次の沢でスッキリしたいと思います。



※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。