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モミソ沢

 山行日
2012年10月13日(土)       快晴         同行者:NASさん
 コース
新茅荘前駐車場(8:30)〜(8:46)懸垂岩〜<モミソ沢>〜(11:45)左岸尾根に乗る(11:59)〜(12:58)懸垂岩〜(13:31)新茅荘前駐車場
 前回、雨中の勘七ノ沢で、完全燃焼できなかったので、再度、丹沢の沢にチャレンジです。
 季節柄、だんだん水が冷たくなってきます。ということで、今回、水量の少ない沢を選択し、モミソ沢となりました。
 今日は、秋晴れの空が広がる素晴らしい好天気でした。

 詳しくは、下記をご覧下さい。


 NASさんは、最近、丹沢マイナールート探検隊のキリヤマ隊長のサイトがお気に入りで、丹沢の沢の名とともにキリヤマ隊長、アンヌ隊員、お二人の名前がよく出てくる。考えてみたら、今シーズン、マスキ嵐沢、勘七ノ沢など、丹沢マイナールート探検隊と同じような沢を選んでいた。
 今回もそうだ。NASさんは、キリヤマ隊長のサイトで、このルートを予習していることが判明。

 さて、今日の楽しみは、F4の大滝。このモミソ沢、滝が続いた後、大滝があるので、最後まで楽しみがある。おまけにこの滝は、涸滝なので濡れることもない。濡れることが嫌いなNASさんとしては、なんとも理想的な滝だ。

 戸川林道を車で進み、新茅荘前の広場に駐車。(8:02)
 入渓点が近いので、ここからハーネス、ヘルメット、沢靴等を着用し、沢登り姿となる。
 今日は、すこぶるいい天気。澄み切った青空を眺めていると、爽快感が湧いてくる。
 前回の勘七ノ沢の時とは、雲泥の差だ。
 準備運動後、出発する。(8:30)
[今回のスタート地点(新茅荘前の広場)]

 林道から新茅ノ沢に下っていく。
 水無川に出たら、目の前に懸垂岩が現れた。戸川林道は、何度も歩いているのだが、この懸垂岩は、初めて見る光景だった。思ったほど、高くないなというのが第一印象。

 もうすでに人の姿が見える。2組のパーティが岩に取り付いている。よく見ると、どちらも4人組で、1人がクライミングの先生で、3人が生徒のような感じだった。
 その1組の横を通させてもらい、モミソ沢入口に向かう。
[懸垂岩を対岸から眺める]

 「ここが入口?」
 NASさん、あまりにも小さい沢だなぁという印象を持ったようだ。
 確かに水流は少なく、沢の幅は、狭い。それも、いきなりゴルジュとなり、日が差し込まず、暗い沢というイメージだ。
[モミソ沢に入る]

 薄暗いゴルジュが続く。持参したデジカメでは、なかなか撮影しにくい光景だ。

 小滝を越えていくと、前方にちょっと高めの滝が見えてきた。これが、F1だろう。
 ここは、水流傍の右を登っていく。
 ロープを使用せずに登ったが、途中、残置ピンを見つけた。
[これがF1(6m)のようだ]

 小滝が続く。水流沿いは、なんだか滑りそうだったので、右岸を登り、越えていく。(写真左)
 だが、ここで、掴んだ岩がポロッと、剥がれた。やはり、この辺りの岩は、脆いようだ。
 手が掴んだ岩がポロッとなるのは、まだリカバリーできるが、足場となる岩がポロッとなるのが、恐ろしい。特にメタボの我が身にとっては、片足にザック重量を入れたら100kgf近くの力がかかるわけで、その確率が高いだけに要注意だ。
[水流から離れて小滝を通過]

 二俣に到着。(9:08)
 左から合流する小沢は、滝となっており、水量が多い。こちらの方が本流のように見えてくる。ここは、右手の水がチョロチョロの小滝を登っていく。

 二俣を過ぎると、ゴルジュが終了し、日が差し込んできて、明るい沢となった。
 今までの暗さがウソのようだ。
[左から水量の多い小沢が合流]

 3段の滝が現れた。(写真下)
 1段目を正面から登り、続いて2段目を登っていくと、小さなテラスに出た。
 3段目は、水流すぐ右がルートのようだが、5mぐらいあり、ロープを取り出すも、残置支点が見当たらなかった。ロープなしで登り、誤って落下すると、2段目下まで落下する可能性があり、ちょっと危険である。

 だが、NASさんが、直登にチャレンジしたいということで、トップロープでのクライミングを採用することにした。
 というのも、この3段目は、右側斜面から簡単に巻けることが分かったからだ。そこで、私が先に巻いて登り、上からロープを下ろした。
 「いくよ〜」
と、下から声が掛かったら、NASさん、アッっという間に登ってきてしまった。
[3段の滝 1段目を登る(F2:4m+2m+5m)]

 NASさんは、3段目の滝上で、私がセルフビレイの準備などをしている間、水流から少し離れた岩壁に残置ボルトがあるのを発見していた。
 こっちのルートもチャレンジしたいということで、3段目を登ったNASさん、ロープを解かず、そのままロワーダウンし、再び3段目の滝下に下りる。(写真下)

 準備OKで、残置ボルトのあるルートに挑戦。
 ここもトップロープで、無事登攀に成功。先ほどの水流右より、こちらの方が難しかったとのこと。残置のある方が難しいというのも、なんだか珍しい。だが、上から見ても、ホールドが細かいのがわかった。
 「いや〜満足、満足。お付き合いありがとう。」
 NASさん、今回は、前回の勘七ノ沢と違って、美味しいクライミングを楽しんでいる。
[F2の3段目の残置ボルトルート]

 水流が殆どないようなゴルジュとなった。(写真下)
 結構、岩の間が狭くて、メタボの身体が通過できるか不安になる。
 でも、岩を掴んで登るのが面白い。
 登りながら、ここが勘七ノ沢ぐらいに水が流れていたら、結構、人気度が上がるのになぁと思ってしまった。  
[ゴルジュを突破]

 両手両足をフルに使って、ゴルジュ内を通過する。

 小滝を登っていく時、なかなかホールドが見つからない場合があった。だが、手を伸ばしながら
 「ここにホールドがあれば」
と思ったとき、ちょうど指先が岩にガッチリ掛かると、思わず幸福感が全身を襲う。
 「おお〜、いいね〜 (このあたりの岩は、それほど脆くなかった)」
 そんな思いをここでは、十分味わうことができた。(写真下)
[右手がガッチリ岩を掴む (振り返ってNASさん撮影)]

 5mぐらいの滝が現れた。結構、立っている。
 だが、快調に登っていけた。(写真下左)
 ただ、落ち口のところで、右にトラバースする箇所が、ちょっと嫌らしかった。ほんの1歩だけの通過点なのだが、ちょっとスリルだなぁと思ったら、岩に埋め込みボルトを見つけた。(写真下右)
 これ幸いと、カラビナとスリングを利用して通過する。
[ここがF3?] [落ち口に埋め込みボルト発見(振り返って撮影)]

 ゴルジュが終わったのかなと、右に曲がっていくと、前方に大滝が見えてきた。
 「丹沢の谷110ルート」丹沢渓谷調査団(山と溪谷社1995年)に掲載されたモミソ沢の大滝は、薄暗い写真だったので、凄く地味な滝だと思っていたが、こうして目の前に立つと、何て明るい滝だろう。全く印象が違っていた。
 「これが大滝だ。」
 思わず、NASさんとともに滝下でルートを確認する。

 だが、NASさん、別のことを思っていたみたいで、
 「ここで、キリヤマ隊長は、アンヌ隊員に怒られたわけだ。」
と、ポツリ。
 どうやら、キリヤマ隊長のモミソ沢遡行の記録を思い出しているようだ。
 ....詳細は、キリヤマ隊長のサイト(丹沢マイナールート探検隊)へ。

 なお、この大滝の左側(右岸)を見たら、簡単に巻けるような斜面があった。
[大滝(F4:12m)]

 ロープを取り出し、リードは、NASさん。
 前半・中盤は、それほど難しくない。
 問題は、落ち口の手前だ。NASさん、ここで結構、時間を使う。やはり、最後は、かぶっているようだ。
 せっかくなので、ここでセルフビレイしてもらい、撮影した。(写真下)
 結局、NASさんは、強行突破するような感じで、最後は、腕ずくで登っていった。
 今度は、自分の番だ。ヌンチャクを回収しながら登っていく。
 NASさんがセルフビレイしたところで、一旦、呼吸を整える。ここの足場は、意外にも不安定だった。その後、少し右寄りにルートをとることで、無事、落ち口の上に出た。
 なかなか登っていて、楽しい涸棚だった。
[大滝を登るNASさん(セルフビレイしてもらい撮影)]

 大滝の先で、沢の傾斜が緩くなった。
 涸沢のゴーロ歩きとなる。
 今回は、大倉尾根の登山道まで登るつもりだったのだが、途中で見えた大倉尾根の稜線の高いこと。
 ....あっさりギブアップ

 稜線が見上げるような高さだったことと、前方が倒木等で歩きにくい状況だったこともあり、
 「NASさん、ここから降りていいかい。」
と、尋ねると、OKの返事。
 ということで、尾根筋の登山道まで歩くのは、やめて、ここで右手の尾根に転進。
[沢は、倒木などで歩きにくい]

 「キリヤマ隊長の時と同じパターンだね。」
とNASさんと話す。
 植林帯をトラバース気味に進み、モミソ沢左岸の尾根筋に出た。(写真下左)
 ちょうどいい時間だったので、ここでランチタイムとした。(11:45〜11:59)
 正面には、烏尾山や三ノ塔が見える。左手には、表尾根の稜線が植林帯の間から見えた。木ノ又大日あたりだろうか。(写真下右)
 また、その手前の天神尾根を見ても、大倉尾根の背筋に出るには、まだまだ登っていかなければならないのがよく分かった。
[尾根に乗った] [左手の表尾根風景]

 尾根の下りは、なかなかルートがわかりにくい。
 最初は、はっきりした尾根筋だったのだが、尾根の先端のような箇所に着くと、その先の進路方向が分からなくなる。
 ここは、南東に進むことを前提とするが、あまりにも急斜面となった場合は、そのまま進むとモミソ沢のゴルジュの上に行ってしまうので、無理をせずに左へとシフトしていく。
 すると、再び尾根筋に出た。そんなことを2回繰り返し、南東へと、どんどん下っていく。 
[急斜面を下っていく]

 地形図以上に実際は、急斜面だった。
 やがて、尾根が細くなってきた。立木に掴まりながら、慎重に下っていく。(写真下)
 そろそろ、懸垂岩が見えてくると思うのだが。
[ヤセ尾根となる]

 ルートは、バッチリだった。
 見事、懸垂岩の真上に出てきた。(写真下左)
 真下に水無川が見え、結構、高度感がある。
 「ここは、キリヤマ隊長と同じように懸垂で降りよう。」
とロープを取り出す。
 「キリヤマ隊長は、ここでもアンヌ隊員に怒られた。」
と、NASさん。どうやら、NASさんの頭の中には、マイナールート探検隊の記録が常にあるようだ。

 懸垂岩の途中のテラスに下りる。水無川下流側の岩壁には、ロープがセットされてあった。
 見下ろすと、クライミングに来ていたパーティが休憩中だった。
 ということで、上流側の岩場を下っていき、水無川に出た。
[予定通り、懸垂岩の真上に出た] [懸垂下降で下る]

 水無川を渡り、対岸の懸垂岩を眺める。
 岩の左側では、4人パーティがトレーニングを再開するところだった。よく見ると、朝のメンバーと同じだ。

 ここで沢靴を洗い、靴を履き替えた。
 洗い終わっても、しばし、対岸のクライミングを見物する。もう少し、岩の高さがあり、横が広ければ最高なのになぁと、NASさんと話す。
[懸垂岩を振り返る]

 「さあ、戻ろう。」
と、立ち上がって、懸垂岩を後にする。

 林道に上がり、歩きながら、今日の沢登りを振り返る。
 「やはり、沢は、晴れた日に限る。」
と、NASさんと改めて認識。
 今日は、前回の勘七ノ沢での鬱憤を晴らすことができ、満足のいく山行だった。
 [新茅荘前広場に向かう]


 上述のようにとても楽しい沢登りでした。
 NASさんに言わせると、今回のモミソ沢は、
   ・アプローチが短い
   ・滝が多い
   ・ゴルジュがある
   ・沢の詰めは、たいしたことない(というか、今回のように途中で尾根を下れば、OK)
   ・水に濡れない
 ということで、満点評価。(但し、今回のようにヒルが出てこないことが条件)
 私としては、距離が短く感じ、もう少しゴルジュや滝が続けば、もっと面白いのになぁという感想を持ちました。
 ですが、今回は、途中で転進してしまいましたので、いつかは、大倉尾根の登山道まで行ってみたいと思います。



※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。