トップページ山行リスト(日付)>烏尾山・三ノ塔_記録20130503


烏尾山・三ノ塔

 山行日
2013年5月3日(金)       晴れ         単独行
 コース
大倉(7:14)〜(8:13)新茅荘〜(8:30)仲尾根登山口〜<仲尾根>〜(10:27)烏尾山(10:36)〜(11:16)三ノ塔(11:31)〜(12:49)牛首(12:52)〜(13:48)大倉
 今回は、烏尾山に続く仲尾根を17年ぶりに登ってみました。今年2月にmassyさんが登られており、飲み会のとき、チラッと話を聞いて、久々に行ってみようと計画しました。
 一方、今年1月に三ノ塔尾根で道に迷った件を再度、現地で検証したいこともあり、そこで仲尾根の後、三ノ塔に登り、道迷い地点に向かうコース設定としました。
 詳細は、以下をご覧ください。


 渋沢からの一番バスに乗車して、大倉7:03到着。
 水無川左岸に続く戸川林道に向かって歩き出す。(7:14)
 バスは、満員状態だったが、吊橋を通る人は、この時、誰も見かけなかった。どうも大倉尾根に向かう人が圧倒的に多いようだ。

 吊橋を渡り、左折し、Uターンするようにして水無川沿いの戸川林道に入る。
 すぐ左手には、藤の花が満開だった。思わず立ち止まり、撮影開始。(写真下右)

 その後、林道を歩いていくと、対岸の大倉尾根の斜面も藤の花が満開なことに気がつく。意外に藤の木があるものだと、立ち止まってこの新発見を眺めていた。
[無人の風の吊橋に向かう] [藤の花がピークを迎えていた]

 戸川林道を黙々と歩く。先ほど、藤の花を撮影しているときに追い越された沢登りグループを追い抜く。
 ....ヘルメットをザックにぶら下げているので沢屋さんとわかる。

 8:13、新茅荘到着。山と高原地図「丹沢」では、「新茅山荘」と記載されているが、建屋の表札には、今も「新茅荘」である。帰宅後、山と高原地図を調べたら、2005年版の縮尺1/50000に変わった時から「新茅山荘」となっていた。それ以前は、「新茅荘」で表記されていたのだが。
 新茅荘は、閉まっており、小屋の前の広場には、車が4台だけだった。
[新茅荘の看板表札]

 新茅ノ沢を渡ると、道は急勾配となる。以前、道が崩壊してしまった箇所である。だが今は、立派に修理されており、どこが崩れたのか、わからないようになっていた。その坂道の途中、振り返って大倉側を眺めると、大倉尾根の斜面に一本の立木が見えた。
 「おお!まだあったか。」と、思わず声が出る。おそらく、この立木は、1993年の冬、この戸川林道から大倉に向かう帰り道の時、被写体となった立木だろう。
 植林帯の中に一本だけ、樹高が飛び抜けた木で、ひょっとしたら、弁天杉のような木かもしれない。だが、まだ行ったことがない。いつかそのうちにと思っているうちに20年も経ってしまった。
[植林帯の中の一本の立木]

 作治小屋の手前にて、右手に小さな道標を見つけた。(8:30)
 これが仲尾根への入り口だ。以前の道標では、確か「中尾根」と記されていたが、今は、「仲尾根」となっていた。
 ここで気になるのが、ヤマビル対策である。恒例のスパッツとガムテープのグルグル巻きをしようかと考えたのだが、今日は、少し肌寒く感じる。こんな気温ならヒルは、出てこないだろうと思い、このまま植林帯の斜面に取り付くことにした。
[仲尾根登山口]

 いきなり植林帯の急登だ。最初、経路は、明確だったのだが、、そのうち、分岐点が現れる。ここで間違った方向に進んでしまったせいか、経路がわからなくなる。それゆえ、適当に登りやすい箇所を登っていく。とにかく、より高い方向へ行けばよいのだ。
 時々というか、3歩ぐらい進む度に足下をチェックするが、ヤマビルの姿は、見えない。やはり、今日は、気温が低いようだ。

 植林帯を登り切ると、尾根が細くなり、直線状の登りとなった。左右は、自然林だ。そこに日が差し込んできた。左側の新緑が、日に当たることで、より一層鮮やかな緑を醸し出す。
 「これは、素晴らしい。」
 このまま自然林が続くようであれば、この先の新緑が楽しみになってきた。 
[最初は植林帯の急登] [新緑の林となる]

 右手がヒノキの植林となると、再び急登になる。左は、自然林の新緑がまだ続いており、目を楽しませてくれる。
 8:49、尾根の背に乗ると、小さな道標が立っていた。ここは、下りの時、間違えて尾根筋に直進して下ってしまいそうな所だ。
 今まで見えていなかった東側の烏尾尾根を眺める。烏尾尾根の登山道というと、どうも植林帯のイメージが強く、一面、植林帯かと思っていたが、ここからの眺めでは、尾根の山腹は、自然林で、山の端だけが植林帯となっていた。
 手前の新緑の1本が目立っていたので、デジカメで撮影する。
[間違いやすい箇所には道標あり]

 経路が不明瞭になってきたが、ルートを間違えるような箇所ではない。とにかく新緑に感動しっ放しの状態だ。(写真下左)
 急斜面をほぼ直線状に登るので、アキレス腱が痛くなるが、振り返ると大倉尾根、相模湾や真鶴半島が見えてきた。ここで、ザックをおろし、中型カメラで撮影を開始。
 時間を気にせず、アングルを探しながら、三脚をセットし、シャッターを押す。至福の時間だ。時計を見たら、25分も撮影していた。

 9:37、二つ目の道標を見つける。(写真下右)
 ここも下りの時、左手の尾根筋に直進してしまいそうな箇所だった。左を見ると、その先にトラロープが張ってあった。道標を見落とす場合があったのだろうか。
[気持ちのいい登り] [二つ目の道標]

 前方が草原の斜面となり、視界が広がる。
 左手には、塔ノ岳の全容が見えてきた。17年前、ここを登った時、塔ノ岳下の水無川本谷のルートが見えたことを思い出したが、この場所ではなかったと思う。しばし、立ち止まって塔ノ岳の眺めを堪能する。
 デジカメで撮影中、背後から単独の中年男性に追い越された。まさか、この尾根を歩く登山者が他にいるとは、思わなかった。

 いつの間にか上空には、青空が見えだした。朝の大倉バス停では曇天だったが、どうやら天気は良くなるようだ。訪れて本当によかったと、この時点で既に大満足だった。
[草原の斜面を登っていく]

 スズタケが左右に現れたが、元気なのは一部だけで、倒れたスズタケが一面に広がっている。立っているスズタケもいずれ、根元から折れてしまい、枯れてしまいそうである。
 17年前は、このスズタケが密集しており、掻き分けて登ったことを思い出す。経路は、スズタケに覆われ、獣道状態だった。このため、仲尾根といえば、スズタケの密集地というイメージが自分にはあったのだ。

 9:54、尾根の先端のような箇所で、小休止。ペットボトルで水分補給。ザックを下ろそうとすると、地面はシカのフンだらけで、オロオロしてしまった。振り返れば、大倉尾根の向こうに檜岳山稜、さらにその向こうに頭の白い富士山が右半分見えていた。(写真下左)
 表尾根方面を眺めると、これまた目を見張る新緑の世界が広がっていた。
 ....もう今回は、満腹状態。

 やがて、そこそこ伸びているスズタケが目立ってきた。(写真下右) 
 このあたりのスズタケは、まだ元気そうだ。スズタケの密集地へ突入かと思ったら、経路の周辺は、しっかりと刈り取られており、歩行に全く問題がなかった。
[西側に富士山を見る] [スズタケの間を通り抜ける]

 スズタケを通り抜けると、傾斜が緩くなり、呆気なく烏尾山山頂に出た。(10:27)
 ここで、山頂から仲尾根に下るような道標を探したてみたが、そのようなものは見つけることができなかった。どうやら積極的に仲尾根を下るようなアピールは、していないようだ。
 
 山頂には、トレラン姿のグループや一般の登山者など、30人ぐらいが休憩中で、ベンチは、満杯だ。そこへ次から次へと登山者が三ノ塔からやってくる。ちょっと落ち着かないので、ここで休憩せず、三ノ塔まで進むことにした。
[烏尾山頂上に出た]

 烏尾山から三ノ塔に向かう。
 あまりにもすれ違う登山者が多く、なかなか進むことができない。いったい何人ぐらい登ってきているのだろうか。そこで、烏尾山と三ノ塔の鞍部から三ノ塔頂上まで、すれ違った登山者を数えながら登ることにした。
 その途中で振り返って撮影。(写真下左)
 今回の登山者で特徴なのは、若い男女が圧倒的に多いということだ。

 11:16、三ノ塔頂上に到着。避難小屋の前まですれ違った登山者は、206人だった。この時間帯で皆、塔ノ岳まで行くのだろうか。途中の行者ヶ岳の鎖場で渋滞したりすれば、塔ノ岳は、14:00を過ぎそうだ。下山時刻が結構、遅くなるような気がする。
 だが、その後、聞いた情報では、秦野駅では、ヤビツ峠行きのバスを臨時増発しても追いつけないほど、登山者がドドッーと押し寄せたらしい。(この206人という数値からも十分、推測できる) このため、乗車しようとしていたバスの発車20分前に秦野駅に到着しても、全く乗れない状況だったらしい。そのため、予定より皆、1時間程度遅れての山行となっているのだろう。

 三ノ塔で食事をしていると、10人ぐらいの団体さんに囲まれてしまった。この人たちは、どうやら今日は、塔ノ岳の尊仏山荘に泊りのようだ。それであれば、この時間帯なのも納得できる。
 食事もそこそこにして、11:31、頂上を出発する。
[三ノ塔への登り(振り返って撮影)] [三ノ塔頂上]

 いよいよ、この先では、1月に道を間違えた検証である。
 帰宅後の推理が正しいかどうか、そんな事を考えると、ちょっとワクワクしてきた。

 ヤビツ峠側に下っていくと、すぐに戸川(大倉)への分岐点の道標が立っている。1月の時は、雪に埋もれていた所だ。
[大倉への分岐点道標] [同左:今年1月]

 道標の先で、登山道を外れ、左手の植林帯に寄り道する。前回は、雪上だったので、左の植林帯の中にルートができていた。その結果、ヘンな形のヒノキを見つけることができた。今回、そのヒノキに再会しようという訳である。
 「あった。あった。」と、再会に一人悦に入る。
 このヒノキは、一か所で、3方に幹が伸び、そのうちの2本は、一旦下がった後、上に伸びている。いったいどんな状況になれば、こんな形状になるのか。何度見ても不思議である。
 だが、今回、さらに不思議なヒノキを発見した。
[前回、見つけたヒノキに再会(マウスポインタを画像の上に持っていけば...)

 変形ヒノキの観賞後は、いよいよ後半のクライマックス、道迷い検証である。
 三ノ塔尾根を下っていく。木の根が段差のある階段と絡まって、極めて歩きにくい。前回のように積雪が多い時の方が、下りやすかった。

 三ノ塔頂上から、ほぼ1時間で、問題の道標に到着。まずは、前回の1月と同じように道標の裏側の斜面に向かい、伐採地方面に進む。
[前回は、ここで道を間違えた]

 道標の裏手に進み、植林の搬出路を眺める。前回は、単にブルドーザのようなキャタピラーの跡が付いていただけの道だったが、今回は、さらに整備され、その上に白っぽい砂利が敷かれてあった。(写真下)

 この後、前回同様、登山道に戻るように進む。
 すると、確かに山道のような道にぶつかった。尾根を下る方向の左側を見ると、間違いなく山道のような形状をしていたが、右手の道標の方を眺めると、踏跡がはっきりせず、山道という感じではなかった。つまり、前回、進路方向の尾根下りの方向だけを見て、左折し、この山道を下っていったことがわかる。もし、右を見ていれば、この道を下ることはなかっただろう。
 もう少し道標寄りに戻れば、山道にぶつからず、元の道標の位置まで戻ったと思われる。
[今回、眺めた搬送路の光景] [前回、眺めた搬送路の光景]

 再び道標の位置まで戻ってきた。
 ここで、進路方向を見ると、やはり、正規のルートは、右手にカーブしていた。(写真下の赤線)
 前回は、黄色の線のように歩いて、ルートミスしたのだ。

 「前回も、この道標まで戻ってくれば...」と、立ち止まって眺めていたら、前回、間違えて下って行ったルートから、単独男性がこちらに登ってきた。珍しいルートから登ってくる人がいるものだと、思わず声をかけた。
 「どちらから登られたのですか。」
 「いや〜、三ノ塔の頂上からです。今、道を間違えたようなので引き返してきたのです。」
とのこと。
  ....おお、わが同志。いや、この場合は、同志ではなく、同士。

 見れば、もう一人、下山ルートを外れ、新しくできた搬送路に女性の姿があった。その女性の帽子に見覚えがあった。さっきまで、三ノ塔尾根の下りで、前方を歩いていた男女1組のグループだった。
 男性に聞くと、この道標の先で直進してしまったとのこと。そして搬送路に出てしまったところで、おかしいと気がついたようだ。
 彼らのようにこの道標の前から、そのまま直進してしまうものだろうか。新たな疑問が湧く。だが、道標の指す方向を厳密に見たら、間違えた方向に進んでしまうのかもしれないなとも思った。

 いずれにしても今回、これでスッキリした。前回の反省点としては、間違った山道に出た時、道標の位置を確認しなかったことだ。これが、ミスの始まりだった。
 また、実際に直進してしまった登山者に偶然、出会えたことも興味深かった。
[再び道標地点に戻って、検証]

 今回は、道標の先の登山道を忠実に進んでみる。すると、すぐに右下に牛首の丁字路が見えてきた。前回と違って、先ほどの道標から、とても短い距離に思えた。
 [牛首に出た]

 牛首の丁字路の先で、オレンジ色の服を着た一人の中高年男性を見かける。よく見たら、銃を肩に掛けており、ハンターだ。この5月GWに、こんな所で発砲するなんて、とても信じられなかった。
 その後、舗装された萩山林道を下っていくと、右上の斜面にもハンターが待機中だった。
 この斜面の上の尾根筋も登山道となっている。林道と登山道の間で発砲することになるが、なんとも恐ろしいことだ。それも狩猟中の幟など、全く掲げていないのだ。
 なんでこんな人出の多いGW中に実施するのだろう。そればかりを考えていた。

 13:48、大倉到着。
 だいぶ歩いたような気がしたが、まだ14:00前だった。上空は、すっかりいい天気になっていた。
 [大倉に戻ってきた]


 今回は、久々の仲尾根訪問、色鮮やかな新緑との遭遇、押し寄せる人波、変形植林のヒノキ、1月の道迷い検証、ハンターとの出会いと、いろいろありました。
 山行時間は、意外と短かったのですが、中身が濃く感じました。特に新緑は、グッドタイミングでした。改めて新緑の魅力を感じさせてくれたひと時でした。




※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。