トップページ山行リスト(日付)>塔ノ岳・鍋割山_記録20140101


塔ノ岳・鍋割山

 山行日
2014年1月1日(水)〜3日(金)  快晴・快晴・曇     単独行
 コース
大倉(9:50)〜(11:24)駒止茶屋〜(11:48)堀山の家〜(12:44)花立山荘(13:01)〜(13:13)花立(13:19)〜(13:51)塔ノ岳(14:45)〜(15:15)尊仏岩跡(途中まで)〜(15:55)塔ノ岳(泊)
塔ノ岳(7:50)〜(8:19)大丸(8:22)〜(8:38)変形ブナ(8:44)〜(8:49)二俣分岐(9:44)〜(9:53)小丸〜(10:50)鍋割山(泊)
鍋割山(9:03)〜(9:44)後沢乗越〜(10:04)ミズヒ沢〜(10:22)二俣〜(11:33)大倉
 今年の正月も恒例の塔ノ岳、鍋割山に行ってきました。今年は、天気に恵まれ、富士山や夜景など、撮影三昧の山行となりました。
 詳細は、以下をご覧下さい。


<第1日>
 今年も元旦に渋沢へ向かう。渋沢駅前から眺める丹沢山塊(表尾根、鍋割山稜)が実にクリアに見える。澄み切った空気の割には、それほど冷気を感じなかった。
 9:18発の大倉行バスに乗車すると、これから塔ノ岳へ登るには、ちょっと遅めの時間帯だけに乗客は、9人で、そのうち登山者が8人だった。車内で、女性二人連れの会話が聞こえてきたが、大倉から三ノ塔往復のコースのようだ。それであれば、この時間帯でも問題ないかな。そう思った。
[2014年元旦の丹沢風景]

 9:30、大倉到着。
 ゆっくり準備運動を行い、登山計画書を提出した。ふと周りを見渡すと、意外にも下山者の姿がポツリポツリとしか見えない。初日の出が7:00少し前であることを考えると、下り終えた登山者がまだ少ないのかもしれない。
 9:50、大倉を出発する。途中で脱ぐのが面倒なので、すでに上半身は、長袖1枚のTシャツ姿だ。
[蒼天の下、登山準備を実施]

 案の定、次から次へと登山者が下ってくる。
 結局、見晴茶屋までの50分弱の間に149人とすれ違った。
[見晴茶屋手前の平坦な尾根歩き]

 見晴茶屋を過ぎ、一本松跡への登りに差し掛かる。この一本松跡までの登りを一気に登れるようであれば、今日のコンディションは良好と言える。ここは、本日の体力状態を客観的に教えてくれるのだ。
 見晴茶屋から一本松跡まで16分かかったが、気分的には、もう一本松跡?という印象だった。背中のザックが普段より重いということもあるが、まあまあのペースで登れていると判断する。

 その後、左右の植林帯をキョロキョロしながら、登っていく。実は、大倉尾根でシモバシラ(植物)がないかと探すことも今回の目的の一つとしていた。
 だが、堀山の家まで探し続けていたが、残念ながら、見つけることはできなかった。

 11:48、堀山の家に到着。
 ここまで来ると、西風が強くなってきた。小屋前のベンチに腰を下ろそうかと思ったが、この風の下では、休憩にならないと思い、先を急ぐことにした。
 見晴茶屋から、ここまで、69人とすれ違う。(累計218人)

 この大倉尾根を登る場合、戸沢分岐点を過ぎて10分強、過ぎたころ、息切れし始め、いつも決まった場所で、小休止するようになった。携行するメモ帳には、「いつもの所」と記している場所で、いつの間にか定点撮影地になってしまった。
 12:21、いつもの所で、ザックを下ろし、今回も撮影を実施する。(何故かここでは、いつも下側に向かって撮影している)
[いつもの所:定点撮影地(振り向いて撮影)]

 花立山荘下の階段登りで、極端にペースが落ちたことを自覚する。さすがにここまで来ると、自然と顎が上がってきた。
 ハアハア言いながら、12:44、花立山荘に到着した。
 小屋の前では、寒気を運んでくる西風が強い。そんな訳で、西風に背中を押されるようにして、小屋の中に入ってしまった。陽光が入り、風の入らない小屋内は、温室のようで暖かい。腰掛けた後、お汁粉をオーダーする。なかなか出てこないなと思っていたら、どうやら注文を聞いてから、餅を焼いているようだ。出されてすぐに熱い餅をかじりつく。
[花立山荘の特製お汁粉]

 花立のピークを過ぎて、「馬の背」と呼ばれるヤセ尾根を通過する。足を滑らせたら、左右の急斜面に転落する可能性のある箇所だ。特に冬の場合、凍結するため、より一層、危険度が増す。
 今回、一箇所でルート変更されていた。(写真下)
 当初のルートが崩れかかっているので、新しいルートを作ったようだ。だが、木製の通路は、なんとなく頼りなく、ハラハラしながら足を進めていく。

 金冷シを通過すると、一段と積雪量が増えた。完全に雪道となっている。おかげで、ペースがどんどん落ちていった。
[馬の背での新ルート]

 13:51、やっとの思いで、塔ノ岳頂上に到着。
 山頂には、単独男性の姿しか見えない。結局、大倉からここまで、すれ違った人数は、320人程度。今年は、丹沢から初日の出を拝んだ登山者がだいぶ多かったのではないかと思える数値だ。

 花立山荘や花立にて、風が強いなと思っていたが、ここは、もっとひどかった。体感温度が一気に下がる思いだ。
 頂上の仏像さんに参拝した後、寒気に我慢できず、すぐに尊仏山荘に入った。
[塔ノ岳頂上に人影は、1人だけだった]

 山荘でチェックインした後、サブザックを取り出し、尊仏岩跡参拝に出かける。ここ何年か、この参拝が初詣となっている。
 丹沢山方面への登山道を少し進んだ後、左手の斜面に進む。
 その斜面には、全く人のトレースがなく、この光景を壊すのは、ちょっと勿体ないなと思いつつ、小さなシュカブラを崩しながら、下っていく。
[踏跡のない斜面を下り、尊仏岩跡に向かう]

 急斜面を下るときは、ロープを取り出し、慎重に下っていく。
 その後、左へトラバースしていく時、ケモノの足跡を見る。そのケモノの足跡を追うように進んでいくが、ここは、サラサラの雪質で、アイゼンが効かないため、非常に緊張する。一応、ロープで確保して進む。右手の谷側に滑落したら、どこまで滑っていくかわからないほど、急斜面が続いているのだ。
[トラバースする斜面にも雪がたっぷり]

 トラバースを終え、後は、真下に下っていけば、尊仏岩跡である。
 だが、見下ろすと、やはり、雪が多い。今回、持ってきた短いロープだけで、さらに下っていくのは、ちょっと危険と判断した。残念だが、ここで参拝し、引き返すことにした。
[急斜面の下り:円内が尊仏岩跡]

 雪に埋もれる足を一歩一歩進め、再び丹沢山への登山道と合流した時、やれやれと思ったが、その時、左足の6本爪アイゼンが外れていることに気がついた。
 ということで、結局、もう一度、下っていくことになる。自分の作ったツボ足状態の踏跡に再び、靴を入れていく。
 急斜面を登っていく途中で、雪の中に6本爪アイゼンを発見した。さて、取り付けるかとアイゼンを見たら、プラスチックのような化学樹脂で出来ているベルトの部分が、完全に切れていた。単にベルトが緩んで、外れた訳ではなかったのだ。
 金属部分は、頑丈でも、これでは、ちょっと安心できない。このアイゼンは、ずっと室内で保管されていたので、保管状態が悪かったとは思えなかったが、経年変化だろうか。(帰宅後、調べたら、2009年1月が初使用だった)そんな訳で、今度、買うアイゼンは、化学樹脂を使用していないアイゼンの方がいいかなと思った。
[登山道に出る手前で、振り返って丹沢山を眺める]

 再び、山荘に戻り、すぐに中型カメラと三脚を取り出し、山荘を飛び出す。今度は、夕日の撮影だ。今日は、幸いにも富士山は、雲に隠れず、絶好の被写体となっている。
 鍋割沢から吹き上げてくる西風をモロに浴びながら、富士山の裾野に沈む夕日を撮影する。

 日が落ちたら、すぐに夕食となった。このあたり、結構、忙しい。
 夕食を終えたら、今度は、夜景を撮影することにした。これは、中型カメラを使用せず、デジカメだけで挑戦する。三脚にデジカメをセットし、スロ−シャッターで撮影を実行する。


<第2日>
 朝、日の出前に頂上に出て、中型カメラを三脚にセットする。しかし、朝日の光が差し込んで来た時、シャッターが正常動作せず、撮影に失敗してしまった。どうやら、バッテリー低下で、全くシャッタースピードが制御できなかったようだ。
 結局、デジカメ撮影の画像だけとなった。
 その後、振り向いて、西側方面を眺める。

 撮影が一段落した後、山荘に戻り、中型カメラなどをザックにしまい込み、7:50、尊仏山荘を出発することにした。昨年は、丹沢山まで往復した後、鍋割山に向かったが、今年は、鍋割山へ直接向かうことにした。
 昨日、ベルト部が切れた片方のアイゼンは、靴の予備紐を使用して固定してみると、これがバッチリだった。予備紐がこんな時に役に立つとは、有難かった。
[快晴の下、鍋割山へ出発]

 大丸のピーク横を通り過ぎた後、左手斜面に何か動くものを発見。
 よく見たら、シカだった。最近は、ハンターに撃たれ、頭数がかなり減ったような気がする。
 1頭のメスが走り去ったと思ったら、その奥に3頭のシカを見かけた。
 じっとこちらを見つめていたので、運良く、撮影できた。(写真下)

 だが、この後、予想外なことが起きた。
 左側斜面にもう1頭いたのだ。体格が立派で、小さな角らしきものが見えたので雄シカだろう。
 これで、5頭を一度に見ることができた。そう思って、デジカメをしまおうとしたら、奥から、さらに2頭の若い雄シカが現れた。結局、7頭のシカを見たことになる。
 この大丸あたりで、これだけの集団を見たのは、初めてだ。ここ数年間で、だいぶ減ったシカだと思っていたが、その事実を覆すようなシカの群れに遭遇してしまった。
[シカと遭遇:円内にも1頭いるので、3頭がこちらを向いていた]

 8:38、変形ブナ前にやってきた。
 ここも定点撮影地となっている。ザックを下ろし、デジカメで撮影する。途中で、勝手な方向に伸びていったように見える、いくつもの幹が特徴的なブナだ。
[いつもの変形ブナ]

 二俣分岐では、ちょっと寄り道し、左折する。
 ほんの1分もしないうちに南側斜面に出る。ここからは、相模湾方面の視界が広がり、思わず光景に見入ってしまう場所だ。
 今日は、西側に富士山がまだくっきり見えた。(写真下)
 また、ここでは、全く風が当たらず、ポカポカ陽気だったので、中型カメラを取り出し、今朝の撮影の続きを実施。バッテリーは、復活したようで、今度は、正常にシャッターが切れた。 
[二俣分岐で南側に寄り道]

 小丸のピーク前にて前方を撮影。ここも定点撮影地となっている。(写真下)
 昨日の大倉尾根と異なり、登山者とすれ違う頻度は、少ない。静かな山歩きとなった。

 鍋割山荘手前のガレ場の上で、いつものように蛭ヶ岳を望む。
[定点撮影地である小丸ピーク]

 10:50、鍋割山頂上に到着。
 頂上西側の草地斜面には、まだ雪が残っている。南側斜面には雪はなかった。
 20人強の登山者が休憩中だったが、半分ぐらいの人が、鍋焼きうどんを食べていた。
 このまま山を下ってもよかったのだが、いつものように本日も山荘泊とした。
 山荘に入り、鍋焼きうどん対応に忙しい、小屋主の草野さんに新年の挨拶をする。
 ....今年は、何回ぐらい登って来れるだろうか。

 昨日同様、夕日と富士山を撮影しようかと思ったが、16時ぐらいには、雲のため、富士山は、裾野を含めて全く見えなかった。ということで、山荘の樽酒を飲み、コタツで他の宿泊者の皆さんや小屋番の若いスタッフの方と話をしながら過ごし、そのまま夕食に突入する。
 夕食が終了し、寝る前にデジカメと三脚を持って、夜景を撮影する。
[鍋割山頂上にて]


<第3日>
 朝日を撮影しようと、朝食前に南側斜面に行ってみたが、南東の空は、すでに厚い雲が延々広がっている。それでも朝日が見えないかと粘ってみると、ほんの一瞬、赤い太陽の一部だけが見えた。
 結局、朝日は、それっきりだったが、その後、江の島の眺めが、印象的となった。

 鍋焼きうどんの食材等を担ぎ上げるために昨日夕方、小屋主の草野さんは、鍋割山を下っていかれたが、9時前には、ボッカして登って来られた。
 そんな草野さんに挨拶した後、山荘を出発した。(9:03)
 今日は、夕方から用事があるため、まっすぐ大倉へ下ることにする。
[鍋割山を出発]

 後沢乗越を通過し、ミズヒ沢に下っていくとき、木橋を渡るが、この木橋で斜めに伸びている木があることを昨日の夕方、酒を飲みながら話をしているときに聞いた。
 なるほど、その木は、確かに木橋の方に傾いている。普通の登山者であれば、たいした問題にならないのだが、小屋のボッカ屋さんには、要注意の木らしい。背負子に積んだ荷が高いと、ぶつかってしまい、危うく、谷側に倒れそうになるらしい。もし、木橋から転落したら、大怪我するのは必至だ。
[ボッカ屋さんに危険な、斜めに伸びる樹木]

 ミズヒ沢を渡り、二俣を通過していく。西山林道では、何箇所か道路補修工事がされてあった。
 西山林道から大倉に左折する地点で、奥に立札が見えたので、直進してみた。
 すると立札には、
「お知らせ 西山林道は森林管理に必要な林業者の専用道です。倒木・落石があり非常に危険ですので関係者以外の車両の通行を禁止しまします。秦野市森林組合」
と記されてあった。
 また、もう一つの立札には、上記と同様な文言の他、「通行止め開始に伴うゲートの施錠時期につきましては、平成26年4月1日を予定しています。」
と記されてあった。
 どうやら、ゲートが出来て、一般車両は、通行止めになるようだ。
[大倉手前の左折地点(行き過ぎた後、振り返って撮影)]

 大倉手前の定点撮影地にて表尾根を撮影。
 手前には、緑の葉が茂っており、何の葉だろうと思いながら撮影する。帰宅後、調べてみたら、カリフラワーの葉のようだ。道理で、中心部に茎を切った跡があった訳だ。
[大倉手前の定点撮影地]

 11:33、大倉に到着する。
 既にバスが到着しており、発車時刻を見たら、11:38。急いで顔や手や靴を洗った後、乗車する。
 車内は、ガラガラだった。その後、渋沢駅で着替え、帰路につく。
 [大倉バス停にて]


 今年も、例年同様、塔ノ岳、鍋割山頂上に宿泊してきました。
 正月にしては、久々に雪が多lく、尊仏岩跡の訪問が中途半端になってしまいました。また、そのうち訪れてみたいと思います。
 
 なお、中型カメラでの撮影は、ブローニーフィルムが入手できる限り、続けようと思っております。ですが、最近、この中型カメラのバッテリー(4LR44:6V電池)の入手が、カメラ屋では、難しくなってきていることがわかりました。(このため、先日は、インターネットで購入) 今後は、フィルム代の高騰、バッテリーの入手困難等、いろいろと課題が出てきそうな感じです。




※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。