トップページ山行リスト(日付)>華厳山_記録20150923


華厳山

 山行日
2015年9月23日(水)       晴れ        同行者:AYさん、イガイガさん、はっぴーさん
 コース
 みやがせみち石柱(7:17)〜<みやがせみち>〜(8:23)土山峠分岐点〜(8:27)土山峠側尾根途中〜(8:43)土山峠分岐点〜(10:05)仏果山分岐点(10:07)〜(10:26)リッチランド分岐点〜<リッチランド分岐点先からの南東尾根>〜(11:04)林道合流点〜<法論堂林道>〜(11:53)荻野越(11:56)〜(12:14)華厳山(12:43)〜<仮称:華厳山西尾根>〜(13:48)問題の巨木(14:05)〜<仮称:華厳山西尾根>〜(14:37)みやがせみち石柱
 華厳山西尾根(仮称)に孤高の巨木が立っています。今年6月、単独訪問したものの、何の木なのか、結局、分からないまま、山を下りてきてしまったのですが、その時の記録サイトに△▽さん、○◇○◇さん、□○ーさんに協力を求めておりましたところ、この度、お声がかかりました。
 ということで、今回は、4人で問題の巨木を訪れました。また、そこに至るまでのプロセスを楽しんできました。
 詳細は、以下をご覧ください。


 前回の山行記録:荻野高取山・華厳山_記録20150607

 当初の計画では、仏果山まで足を延ばすような長距離行程がイガイガさんから提示されたのだが、今回は、ゆっくり山行にしましょうということで、大幅に縮小させてもらった。

 7:00、イガイガさんの車にAYさん、はっぴーさんとともに同乗し、みやがせみち石柱の立っている箇所(公衆トイレ付近)までやって来て、ここを今回のスタート地点とした。
 まずは、道路の上に腰を下ろし、スパッツを装着。その上下端にガムテープをグルグル巻きする。今日のエリアだったら、ヒルが出てくるのは必至だ。
 スタートする前に全員で、本日のルートを確認。林道あり、登山道あり、山頂あり、バリルートありといった、自由気ままなルートだ。
 7:17、いよいよ歩き始める。
[出発前に本日のルートを確認]

 朝日を背中に浴びながら、みやがせみちを進む。
 すると、皆、路面に落ちていたドングリに着目する。
 ここからAYさんとはっぴーさんの談義が始まる。
 「これは、コナラのドングリ。こっちは、ウラジロガシのドングリですね。」
 ふと、横を見ると、カエデの葉を大きくしたような葉が目に入った。
 「これは、ハリギリの葉。特徴的でしょう。」
などと、木に関する話が続く。
 ....おかげで、歩行は、ゆっくりペース。
[みやがせみちを行く]

 鉄パイプ1本の簡易的なゲートが正面に見えた。ここで、右手の高台に登る。
 その上には、道祖神などの石仏が何体かあり、その奥にアカガシの大木があった。
 「立派なアカガシですね。」
と、この幹の太さに圧倒される。
[立派なアカガシの大木]

 歩きながら、路傍の樹木に質問が。
 「これは、ウツギ。正確には、マルバウツギですね。」
 こんな会話をし始めると、なかなか足が進まない。
[みやがせみちを進む]

 先頭を行くはっぴーさんが、地面に落ちていた緑色の実を発見。
 「カヤの実ですね。」
 実を鼻に近づけてみると、ほのかに柑橘系のような香りがする。こんないい香りがするとは、思ってもみなかった。
[カヤの木] [香ばしいカヤの実]

 林道に草が多くなってきた。靴が完全に隠れるくらいの量だ。これは、ちょっと蛇が出てきたら嫌だな〜と思っていたら、先頭のはっぴーさんから
 「ヒルが出た〜!!!」
との発声。
 ....ですが、決して悲鳴ではありません。

 その声を聞くやいなや、自分の足下を見ると、両方の靴にヒルを発見。
 1cm以下で、ちょっと小さめだ。
 「やっぱり出てきたか」と、指で摘まむ前に、AYさんがスプレー剤をかけてくれて、一件落着。
 ....さすがAYさん、用意周到。

 こんな草ボウボウが続くと、まだヒルが出てきそうだな〜と思っていたら、そのうち、草のない普通の林道に戻ってしまった。いったい何で、途中だけ草ボウボウなのだろうか。ちょっと不思議な気がした。
[地面が草で隠れてしまう]

 8:23、土山峠からの登山道が左から合流する。
 本来は、直進して稜線に向かうところなのだが、ここで、左折し、ちょっと寄り道する。
 すると、樹高のある枝振りのいい樹木に出会った。ヤマザクラだ。思わずデジカメを取り出し、撮影する。(写真下)
[ヤマザクラを観賞]

 先頭を歩いていたAYさんが、ここで引き返しましょうと、途中でUターンとなる。

 登山道には、イガが二つ転がっていた。見上げると、案の定、栗の木があった。ここで、イガを思わず撮影。(写真下左)
 ....ホントは、イガイガさんも入れて撮りたかった。

 ベンチで小休止するも、お三方がカエデ談義。どうやら先程、はっぴ−さんが見つけた落ち葉がイタヤカエデかどうかと調査中のようだ。(写真下右)
 カエデは、種類が多く、その中のイタヤカエデだけでも、エンコウカエデ、タイシャクイタヤ、ウラジロイタヤ、アカイタヤ、エゾイタヤ、オニイタヤ、イトマキイタヤ等に細分化できるようだ。さらに、エンコウカエデは、毛の有無でさらに細分化(ウラゲエンコウカエデ、ケエンコウカエデ等)され、そんな訳で、イタヤカエデで止めておけば、まだ易しいが、それが、ウラゲエンコウカエデなのか等と言い始めたら、もうついていけない。

 ベンチを出た後、1本の木を巡って、ウワミズザクラ?、イヌザクラ?との木の議論が始まる。結局、ウワミズザクラに落ち着いたが、お三方の会話は、とにかく樹木中心だ。
[イガが二つ] [ベンチにて小休止]

 分岐点に戻った後、稜線に続く登山道を進む。植林帯から、自然林に変わり、なかなか樹木観賞には、持って来いの道となる。アブラチャンの葉を撮影したり、イヌシデ?アカシデ?クマシデ?などと樹皮を調べたり、コナラの林を見上げたりと、辺りをキョロキョロしながら進む。

 すると、AYさんが一本の気になる木の前で停止。(写真下)
 ちょっと幹は細めで、樹皮がツルツルしており、「奇数羽状複葉の木で、フジキかキハダかな」等と、お三方が話し合う。(写真下) 結果として、AYさんから帰宅後、オニグルミとの連絡あり。
 今回は、奇数羽状複葉がポイントだ。実は、今回の目的の華厳山西尾根(仮称)の巨木も、イガイガさん情報では、奇数羽状複葉なのだ。
[気になる木で立ち談義となる]

 続いてベンチの先で、またしても気になる木が出現。
 これも、奇数羽状複葉だ。AYさんからは、キハダではないかとのコメント。
 先程の木とは違い、幹はかなり太く、なかなか特徴ある樹皮だ。
 一時期、樹皮から樹木の同定が出来るのではないかと、いろいろ調べたことがあるが、同じ樹木でも、若木、成木、老木で樹皮は、全く様相が異なるため、とても同定する気になれず、挫折した経験がある。(このことは、今まで何度か記載してきた) 
[気になる木の前で、ハンディ図鑑を開くイガイガさん]

 そんな樹木を同定、観賞しながら、尾根筋を登って行くと、稜線の登山道に出た。(10:05)
 左は、仏果山。右は、半原越だ。ここは、右折し、半原越へと進む。

 尾根筋の登山道を歩いていく。植林帯の中、何度か大きなケヤキを見て、思わず目が点になる。タコの足のような複数の太い根が印象的だった。植林帯になる前でも、これらのケヤキは、太かったせいか、伐採されずに済んだということだろうか。

 10:26、リッチランドへの分岐路を右に見て5分ぐらい歩いた後、登山道は半原越に向かうため、左にカーブしている。そこで、登山道から外れ、南東に続く尾根筋を下っていく。
 相変わらず、植林帯だ。(写真下)
[登山道を外れ、尾根筋に入る]

 やがて尾根の先端から急斜面となった。(写真下)
 お三方は、どんどん下っていく。デジカメ撮影していると、すぐ置いてけぼりを食ってしまう。
 林道に降りた後のことを考えると、なるべく左の方がいいのだが、なかなか左寄りに下っていけない。

 そうしているうちに経路に突如、ぶつかった。ということで、この先、経路を下っていく。
[植林帯の急斜面となる]

 これから登る予定の華厳山の姿が、植林帯の間から見えた。
 緑一色のように見えるが、よく見ると左側半分の植林帯の方が少し濃い。
[華厳山を眺める]

 正面に林道が見えた。経路は、予想に反して、ここで、右側へ水平にトラバースしていく。だが、経路を進むことで、少し遠回りとなったが、安全に林道に下り立つことが出来た。
[林道に出た]

 法論堂林道を出たら、半原越方面へと登って行く。
 途中、はっぴーさんから、ガマズミの赤い実を教えてもらったり、カラスザンショの木を教えてもらう。
 すると、左の植林帯の斜面に「清川宝の山」の石柱を発見。
 その後も、2ヶ所、同じ石柱を見つけた。

[清川宝の山その1] [清川宝の山その2] [清川宝の山その3]

 法論堂林道から外れ、荻野越へと向かう。
 ここのルートは、以前、下ってきたことがあったので、取り付きの場所は、すぐに分かった。
 だが、その後、シカ柵を通過する際、このあたりに扉があったはずだと思ったが、なかなか見つからず、少々焦った。結局、シカ柵を右手に見ながら、登って行くと、ようやく見覚えのある扉を見つけた。
 シカ柵が通過できれば、後は、ひたすら登って行く。
[荻野越に向かう]

 11:53、荻野越到着。植林に囲まれた鞍部だ。
 以前、上段部に「荻野越」と、はっきり書かれてあったプレートは、インクがだいぶ薄くなり、今では「荻野越」の部分は、全く読み取れなくなっている。
 ここで右折して、華厳山への登山道を行く。植林帯で視界が広がらない、苦しい急登だ。
[荻野越にて]

 12:14、華厳山頂上到着。
 簡易的なベンチがあるので、ここでランチタイムとした。華厳山への登りでだいぶ汗をかいてしまったので、長袖シャツを脱ぎ、半袖Tシャツ1枚となる。
 静かな山だ。結局、食事の間、我々4人以外、誰も登ってこなかった。
 12:43、山頂を後にする。
[華厳山頂上にて]

 華厳山頂上から少し戻って、いよいよ問題の巨木の立つ西尾根(仮称)を下っていく。
 結構な急斜面だ。だが、途中、気になる木があると、お三方は、樹皮をハンディ図鑑で調べたり、双眼鏡で葉を確認したりと、時間を使ってしまう。
 そんな訳で、問題の巨木に近づいているのだが、なかなかペースは上がらない。
[ここでも樹木観察] [ここでも同様]

 西尾根を下っていくと、株立ちした木が目立つ。ケヤキや、モミジ系など。
 「これは、タブの木ですね。」
 「これは、スダジイ。」
 AYさんから常緑樹の説明を聞きながら下っていく。
 さらに太いモミの木も現れる。
 今まで2回、この尾根を下っているが、こんなに木の種類が多い尾根だとは、全く気がつかなかった。
[モミの大木2本]

 尾根の鞍部にてヤマザクラが出迎えてくれる。
 このヤマザクラは、45度の方向に幹を伸ばしていて、周囲に木があり、ちょっと撮影者泣かせの木だ。だが、この西尾根を下っていくとき、我々にとっては、一里塚のような役目となっている。
[鞍部のヤマザクラを観察]

 鞍部から少しだけ登って行くと、右手に別のヤマザクラの木が視界に入る。
 これは、鞍部のヤマザクラと違って、比較的真上に幹が伸びており、スタイルがいい。また、周りに撮影の邪魔となる木が少ないので、撮影していてもストレスを感じさせない木だ。
 このヤマザクラを撮影したら、問題の巨木は、もうすぐだ。
 [鞍部のヤマザクラの先にある別のヤマザクラ]

 13:48、問題の巨木に到着。
 樹皮を見た後、肉眼では、葉が見えないので、双眼鏡を取り出し、上部の葉を見たAYさんが一言。
 「これは、フジキですね。たぶん。」
 ということで、樹木の同定が終了。
 ついでに樹の幹の周囲を測定すると、5m82cmぐらいだった。前回訪問時では、6mオーバーしていたが、今回は、複数の人間で巻尺の位置を確認しながら測定したので、より正確な値だろう。
 
 帰宅後、フジキを調べてみると、この木が意外にもマイナーな樹木であることがわかった。
 自宅の図鑑には、載っていなかったので、大手の本屋に行き、市販の樹木図鑑を何冊か手に取ってみたが、常に掲載されるような樹木ではないのである。こんな樹木だったので、同定が難しいのも納得できた。
 その後、ネットなどから、フジキは、マメ科の木で、広葉樹・落葉高木。初夏に枝先の複総状花序に白い蝶形花をつけ、その後、豆果をつけるということがわかった。
[問題の巨木] [幹の周囲を測定]

 14:05、巨木を出発し、尾根筋を下っていく。自然林となる尾根筋は、急斜面だが、今回は、樹林見物が目的なので、右手の植林帯(少し緩やか)を下るようなことはしない。

 途中、薄灰色の縦筋模様の樹皮の木を見つける。イヌシデかアカシデかと、樹木観察。(写真下)
 これは、イヌシデと判定された。
 [ここでも樹木観察]

 14:26、法論堂林道に出た。先頭を行くイガイガさんを撮影。(写真下)
 この後、再びみやがせみち石柱まで戻り、本日の山行は、無事終了となった。
 [法論堂林道を行く]


 AYさん、イガイガさん、はっぴーさん

 この度は、ご同行ありがとうございました。今回の樹木巡りの山行は、とても思い出深い山行となりました。シデ系、カエデ系、そして、フジキ、オニグルミ、キハダといった奇数羽状複葉の樹木など、いろいろ説明して頂きました事に感謝致します。また、気になる木が現れましたら、宜しくお願い致します。

 ですが、帰宅後、今回の問題の巨木について、少し気になったことがあります。それは、今回、望遠レンズで枝振りと葉を何枚か撮影していますが、豆果らしきものを見つけることができなかったことです。アングルがよくなかったのか、この点、再確認してみたいと思っております。また、初夏の頃、白い小さな花をつけるのかも確認してみたいところです。
 ....ということで、この巨木に対しては、まだまだ引っ張りますよ〜



※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。