トップページ>山行リスト(日付)>大野山&山北のお峯入り見物_記録20171008
2017年10月8日(日) 晴れ 同行者:他事鉄さん |
谷峨(9:51)〜(10:15)嵐入口〜(10:31)頼朝桜〜(10:58)十字路(11:00)〜(11:47)休憩所〜(12:02)大野山(12:22)〜(12:27)イヌクビリ〜(12:34)見物地点(13:34)〜(14:04)神明社(15:30)〜(16:22)市間橋〜<県道725>〜(17:03)山北 |
今回は、他事鉄さんに誘われて、5年に1回しか公演されない「山北のお峯入り」を見物してきました。計画としては、大野山を登り、その後、山頂付近で実施される「道行き」を見物し、その後、大野山の麓にある神明社にて、「お峯入り」を見物しようという目論見です。
詳細は、以下をご覧下さい。
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御殿場線に乗り換えた国府津駅ホームにて他事鉄さんと合流。
9:42、谷峨駅で下車。無人駅なので、切符を車掌に渡す。その後、振り返ると、suicaで下車しようとする乗客が車掌に対して、待ち行列を作っていた。ここは、JR東海の管轄なので、JR東日本の駅からsuicaで入場すると、suicaで下車できないエリアだ。この乗客対応のため、列車は、9:45発の予定が、9:51発となっていた。
....個人的には、御殿場までは、JR東日本管轄として、suicaの読取装置が欲しい。
そんな御殿場線の発車を見届けた後、大野山に向けて出発する。 |
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[谷峨駅から歩き出し、大野山方面を眺める] |
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吊り橋に向かうと、前方にハイカーを発見。今日は、大野山に向かう登山者が目立つ。やはり、お峯入りのせいだろうか。 |
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[吊り橋で、他のハイカーに追いつく] |
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吊り橋を渡り、1時間20分後、大野山の斜面を登っていた。(写真下左)
634m標識の前には、5人ぐらいのハイカーが休憩中だった。ここまで来れば、山頂は近い。
「あれっ、牛舎が無い」
なんと、簡易牛舎があったエリアは、単なる草原に変わっていた。(写真下右)
去年登ったときは、鉄条網が撤去されていたが、今回は、簡易牛舎が完全に撤去されていた。県が牧場を閉鎖して、大野山は、牧場時代の人工物がなくなっていくようだ。
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[大野山への登り] |
[牛舎が消えてしまった]
・・・マウスポインタを画像の上に持っていけば、ほぼ同じ位置から |
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登りが一段落すると、左手に富士山の裾野が広がる。だが、肝心の頭の部分は、雲に隠れて、僅かに頭の天辺が見えていた。 |
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[富士山の前に雲あり] |
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12:02、大野山頂上に到着。
今日は、天気がいいこともあり、大勢の登山者が休憩中だった。
ここで、お峯入りの予定を確認する。
9:30〜11:00 (1)山北町役場駐車場にて第1回の公演
12:30〜12:40 (2)道行き「大野山山頂付近」
13:30〜14:30 (3)山北町高杉・神明社境内にて第2回の公演
となっている。我々は、(1)と(3)は、同じと解釈し、(1)を諦めて、(2)と(3)を見物しようと、大野山にやってきたのだ。
ところで、国指定重要無形民俗文化財である「お峯入り」とは何だろうか。
『山北のお峯入りとは、
山北町共和地区に古くから伝わる民俗芸能です。「お峯入り」とは、山中で修行することを意味し、修験道の儀礼が芸能化したものと考えられています。また、南北朝時代に宗良親王が河村城に難を逃れた時から始まったという伝承もあり、笛・太鼓の調べや歌詞は万葉の時代を感じさせます。
演技は8種類11演目あり、天狗・獅子・おかめ・山伏・太鼓・笛などの役を約80名の男性が演じます。歌や踊りはすべて口伝えで伝承されていて、近年は概ね5年ごとに公演を行っています。』
出典:「山北のお峯入り」のパンフレット(山北町教育委員会発行)
さて、道行きは、山頂のどのあたりで実施されるのだろうか。具体的な場所を事前に調べていなかったのだ。このため、他事鉄さんと、イヌクビリの方へ歩いてみることにした。
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[大野山は、ハイカーで賑わっていた] |
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イヌクビリへの下り坂を歩いていると、前方に人が集まっているのが見えた。
どうやら、あの辺りで、道行きが行われるのではないかと進むが、時計を見たら、もう12:30近い。予定では、道行きが始まる頃だ。
「ちょっとタイミングが遅かったようですね。残念。」
と、他事鉄さんと話しながら、人が集まっているところに到着。
てっきり、道行きが終わった後だと思っていたのだが、案内の人に聞くと、これからだとの事。
どうやら1回目の公演場所の山北町役場から演技者の乗ったバスが渋滞に巻き込まれ、こちらにまだ到着していないらしい。そんな訳で他の人たちと同様、道行きが始まるのを待つ。 |
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[イヌクビリの先に人が集まっていた] |
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やがて、3台ぐらいバスがイヌクビリに到着した後、そこから行列が見えてきた。だが、まだ準備中という感じで、単に歩いているだけだ。
見物している場所の手前100mぐらいに鞍部があるのだが、そこまで行列が到着すると、一旦停止した。どうやら、鞍部あたりがスタート地点のようだ。
13:24、予定時刻から約1時間遅れで、いよいよ道行きが始まった。掛け声や笛の音が聞こえてきて、先頭が天狗、その後ろに獅子が続き、おかめ、先払、山伏、まとえ、笛、・・・と行列が続く。 |
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[道行きを見物(1)] |
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行列の中ほどで、台弓の掛け声とともに、棒踊り(白衣で赤手甲、黒脚絆)や、奴(黒の半纏)がダイナミックな踊りをしながら、進んでいく。この独特の手足の動きは、今まで見たことのない踊りだ。その後ろにカラフルな万燈が続く。この辺の行列が、非常に印象深かった。 |
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[道行きを見物(2)] |
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目の前を行列が過ぎていくと、見物客も一緒に移動していく。
行先は、高杉の神明社だ。
途中、相模湾の方まで展望が開ける斜面を下っていく。残念ながら、今日は、霞んでいた。周囲は、旧牧草地で、歩いていて気持ちのいいところだ。 |
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[行列の後をついていく] |
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14:04、神明社に到着。境内は、それほど広くない。果たして、行列が回れるのだろうかと思えるほどだ。見物客に囲まれたエリア内にて、司会の方の挨拶から始まり、いよいよ演技が始まった。
最初は、道行きが行なわれた。反時計回りに一周する。
続いておかめが単独で登場。色弊を持って、おはらいを行う。余談ながら、このおかめの、袖から見える前腕は、太く、結構、体格のいい男性が演じていることがわかる。 |
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[お峯入り:道行き] |
[お峯入り:(1)みそぎ] |
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続いて、対面側で、(2)満月の歌が始まる。太鼓と笛の演奏に歌が入る。その後、(3)棒踊りとなった。6人の白衣を着た男性が入場してきた。
6人が同じ踊りを一直線に並んで踊っている。
続いて、(4)鹿枝(かしえ)踊りとなる。
道行きで踊っていた台弓、奴、万燈、ほろかご、弓、先箱が続く。台弓、奴などの踊り方は、先程の大野山で見た踊りと同じだ。独特のステップが興味深い。 |
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[お峯入り:(3)棒踊り(その1)] |
[お峯入り:(4)鹿枝踊り] |
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再び、棒踊りの6人が登場。
棒を操っての踊りは、先程と同じだが、今度は、一直線ではなく、円になっての踊りとなった。6人が揃って同じ動きなので、一人でも異なっていると、すぐ目立つパターンだが、そんなこともなく、踊り終えた。
次は、山伏が出てきた(6)修行踊りとなる。
4人の山伏が登場するが、司会者の方の説明だと、2組の親子との事。こうして、お峯入りは、継承されていくのかなと思う。 |
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[お峯入り:(5)棒踊り(その2)] |
[お峯入り:(6)修行踊り] |
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司会者の方から、次は(7)歌の山と紹介があった。但し、実際には、歌が無く、笛と太鼓の演奏だけだ。これは、行進が無く、対面側で立ったままの演奏となる。
続いて、6人が登場し、鞠を蹴るような仕草を行う(8)四節踊りとなる。
あくまでも、鞠は蹴らず、転がすような動作を4人が行った。
再び、(9)棒踊りとなった。3回目の登場である。
だが、踊りは、毎回異なっている。今度は、二つの円となり、3人で一つの円を構成する。前回2回は、棒の操作は、同じテンポでの操作だったが、今度は、棒の動きのテンポが速くなった。 |
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[お峯入り:(8)四節踊り] |
[[お峯入り:(9)棒踊り(その3)] |
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次は、(10)五色踊りとなる。
再び、おかめが単独で登場してきた。白い張りぼての男根を背負ったおかめが、時々、ユーモラスな仕草(草履が脱げたりするようなアクション)をしながら、境内を回る。
司会の方から、最後になりますとのアナウンスの後、棒踊り4回目が始まった。
例によって6人が、登場し、一つの円形となった踊りを展開した。棒踊りは、だいたい5分以内で終了する短い踊りだが、これが、見物客にとって、続々と出てくる演技の節目となっていることに気がついた。
各演技は、準備を入れて、短いもので3分程度、長くても10分以内だ。そんな訳で、進行は、テキパキと進むので、見物していて飽きない。また、各演技の繋がりは、何もなく、おかめが出てきたり、山伏が出てきたり、全て独立しているので、前の演技を覚えている必要もない。一つの演技が終了したあとは、次は、どんな演技だろうかと、楽しみが続く。
最後の棒踊りの後、お峯入り保存会会長の挨拶があり、続いて、道行きが始まった。こうしてお峯入りの公演が終了したのは、15:30。予定より、1時間の遅れとなった。 |
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[(10)お峯入り:五色踊り] |
[(11)お峯入り:棒踊り(その4)] |
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お峯入りの感動も醒めぬまま、山北駅へと向かう。
ここからは、1時間半ぐらいかかる筈だ。
15:40、神奈川県指定天然記念物である「山北町高杉のウラジロガシ」を見上げる。
樹高:21m。胸高周囲:5.1m。樹齢:約300年と言われている。 |
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[高杉のウラジロガシ] |
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山の斜面を下って、市間橋に到着。ここからは、県道725となる。
県道をのんびり歩き、16:25、工事現場に出会う。何かと思ったら、新東名高速のための工事だった。丹沢の麓で、着々と工事が始まったことを実感する。 |
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[新東名高速の工事現場を通過] |
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17:03、ようやく山北駅前に到着。
すぐ、正面の酒屋に行って、缶チューハイを購入。他事鉄さんと乾杯。 |
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[山北駅に到着] |
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今回の「山北のお峯入り」をそもそも知ったのは、昨年9月に他事鉄さん達と登った大野山の帰りに旧:共和小学校付近にあった一つの説明板でした。そこに「国指定重要無形民俗文化財 山北のお峯入り(発祥地)」というタイトルで、お峯入りについて説明がありました。
ですが、すっかり忘れており、今回、他事鉄さんのお蔭で、今年が実施の年だとわかり、見物することができました。(2002年から、5年に一度の開催となっています)
他事鉄さん、有難うございました。
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※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。
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