トップページ他山域山行リスト>大山尾根・下沢尾根・観音塚_記録20101107


大山尾根・下沢尾根・観音塚 〜三浦半島の山々〜

 山行日
2010年11月7日(日) 晴 単独行
 コース
長柄交差点前(9:22)〜(9:34)川久保交差点〜(9:40)五輪塔(9:44)〜<大山尾根>〜(10:18)合流点〜(10:30)クリーンセンタ−分岐点〜(10:42)下沢尾根分岐点(10:46)〜(10:51)馬頭観音(10:54)〜<下沢尾根>〜(11:19)林道合流点(11:22)〜(11:48)林道終点(12:08)〜<連絡尾根>〜(12:36)南尾根合流点〜(13:22)観音塚(13:30)〜(13:50)住宅街〜(14:15)葉山大道〜(14:29)葉山町立図書館(14:49)〜(15:09)長江交差点〜(15:27)新逗子
 今日は、前回登れなかった大山尾根(注1)を再度、チャレンジしようと出かけました。
 地図としては、
  「京急の三浦アルプストレッキングMAP」、「1/25000地形図(鎌倉)」、「1/10000地形図(葉山)」
を持参し、予習として、
  「NPO法人葉山まちづくり協会のHP」、「葉山山楽会のブログ」
などにも目を通しておきました。さて、今回の山行は如何に。
 詳細は、以下をご覧下さい。

注1) 「葉山の山歩きコース」葉山山楽会(2010年度版)で、そのように記されています。


 今日は、三浦半島に出かける割には、ちょっと早めの出発である。気合が入っている証しだろう。
 京浜急行に乗って、終点新逗子で下車し、バスに乗車。(9:14)
 長柄交差点バス停にて下車。(9:19)
 すると、背後から次々とハイカーが降りてくる。(写真下) どうやら20人ぐらいの団体さんのようだ。リーダの方が、説明している間に先に出発する。
[今日の出発点:長柄交差点バス停]

 正面に阿部倉山を見ながら車道を進む。
 今日は、曇り空で、どうもパッとしない。だが、今日の天気は、気にならない。頭の中では、前回、登れなかった大山尾根の情報で一杯である。すぐにこの付近の地図が浮かび上がってくる。
 
 9:33、川久保橋を渡る。(写真下)
 ここを通る度に撮影している。どうも定点撮影地点になりつつある。
[川久保橋を渡る(前方は阿部倉山)]

川久保交差点を横断し、道は、左にカーブしていくが、そこを左に曲がらず、直進する細い道に入る。すぐに小さい橋(中村橋)が現れ、これを渡って、さらに直進していく。
 やがて住宅地が終わり、畑が現れてくる。(写真下)
 このあたりは、殿ヶ谷と言うらしい。
 前回は、尾根の入口を探しながら歩いたところだが、今日は、違った目的で、神社に向かう。
[山間を進む]

 やがて古い神社が左手に見えてきた。古そうな石段を登って、神社に参拝後、裏にまわる。
 前回も、裏手に道がないかと、チラッと見たのだが、あまり気にならなかった。
 だが、今回、ネットで予習したところによると、この裏手には、長江氏三代の墓といわれる五輪塔があるということを知った。
 今回は、その五輪塔をこの眼で確かめるのが、訪問目的だ。
[前回も訪れた神社]

 そんな訳で裏手にまわると、掘られた岩穴の奥に石塔が3つ並んでいた。(写真下)
 長江義景 (出典:ウィキペディア)
 『長江義景は鎌倉氏の一族である。大庭(鎌倉)景継を父とする説と鎌倉景明を父とする説がある。当時の鎌倉党は養子関係が多く、系図は錯綜ぎみである。長江村に館を構えてから長江を名乗ったらしい。
 源平合戦では、縁戚の三浦氏と協力して源頼朝に与する。衣笠城の戦いでは敗れたが、そこから敗走したあと頼朝に合流し、鎌倉幕府黎明期の重臣となった。
 頼朝が征夷大将軍になった後、義景は伊勢大廟神宝奉行となった。また、義景は弓の名手としても高名であり、頼朝の信任が厚かった。 (以下略)』

 鎌倉時代の空気に触れたつもりで、しばし物思いにふける。
[裏手に長江義景三代の墓と呼ばれる五輪塔あり]

 来た道を引き返す。
 次なる目的は、前回探せなかった大山尾根への登山口を見つけ、登ることである。
 中村橋を渡る手前で右折する。
 やがて道は、右にカーブしていき、二分する。1/10000地図で確認し、ここは、右を行く。(写真下)
[住宅街の路地を進む]

 すると、右手に山の斜面が現れ、このあたりかなと思ったところに山道があった。(写真下)
 特に道標らしいものは、見当たらない。目印になるのは、葉山町消防本部の「山火事防止」の看板だろう。現在位置目標番号は、「23」と書かれてあった。
 ここが、大山尾根の入口と確信し、右折する。
 ....思えば、ここに来るまでの道のりは、長かった。
[右折し、山道に入る]

 細い山道に入り込むと、周囲は、竹林だった。
 右手に工事現場のような人工物が多く見えたので、なんだろうと、よく見たら、古井戸への転落防止のための措置だった。何でこんなところに井戸があるのか。ひょっとして鎌倉時代からの古井戸なのだろうか。だとすれば、この尾根の上あたりに山城でもあったのではないか...などと推理するのも、おもしろい。

 道が左右に分かれるが、左は急斜面で新しいようだ。右側を進む。
 やがて左から道が合流し、その左側に祠のようなものが見えた。
[竹林の中を進む]

 道は、明瞭だが、何せササが茂って左右の景色は、全く見えない。徐々に勾配がきつくなっていく。やがてササは、消えていくが、代わりに照葉樹が目立つ樹林帯となる。結局、遠方が見渡せるような場所は、期待できなかった
[ササの中を行く]

 傾斜が緩み、どうやらピークに着いたようだ。だが、標識のようなものもなく、360度、樹林である。
 その時、左手にアンテナが立っている人工物を見つけた。
 帰宅後、調査したところ、この人工物は、無線中継所で、このピークは、戸根山と呼ぶらしい。(注2)
 注2) 「葉山の山歩きコース」葉山・山楽会(2010年度版)より。
[ピークに何やら人工物]

 10:18、緩やかに下っていくと、突然、幅広い山道に出た。(写真下)
 この山道は、以前通ったことのある仙元山から乳頭山へ続く尾根筋の道だった。ちょうど仙元山から歩いていくと、登り詰めたところで、この先、ピークを右に巻いていくような場所だった。

 前回は、仙元山から歩いてきて、この長柄に下っていく分岐点がわからないまま、通過してしまったのだが、今回、こうやって振り返っても、確かに長柄方面の道は、地味で目立たない。
 道標らしきものも見当たらなかった。
[登山道に出た]

 ここからは、以前歩いた(三浦アルプス:2009-12-27)と同じルートを辿る。
 クリーンセンター・葉山上学校方面の分岐点を過ぎると、正面に手製の道標が掲げてあった。(写真下左) この道標は、前回、なかったものだ。見れば左に道がある。
 こんな分岐点だったかなと、道標を無視して直進していくと、すぐ先に以前の分岐点に到着した。何のことはない、ちょっとした短絡路になっているだけだった。
 引き返して、新しい短絡路の左折ルートに進む。
[[三浦アルプス南尾根入口] [手書き道標]

 10:42、下沢尾根分岐点に到着。
 今日は、ここで左折し、森戸川沿いの林道に下っていく。(写真下左)
 このあたり、手製の道標道標がいろいろ掲げてあった。(写真下右)
 道標がいくつあっても、自分が、どういう経路を進むつもりなのか、理解していないと、道に迷うことは、必至だ。
[下沢尾根は左折] [手書き道標]

 下沢尾根への道を進むと、濃い灰色っぽい小動物が、前方の道を横切って木に登っていくのが目に入る。尻尾が大きいところを見るとリスのようだ。藤沢・鎌倉では、タイワンリスが繁殖して問題になっているようだが、今見たのも尻尾の大きさからして、タイワンリスかもしれない。
 10:48、馬頭観音への分岐点到着。ここは、右を進み、馬頭観音へ。
[馬頭観音に寄道するため、右の道を進む] [手書き道標]

 10:51、樹林の中にひっそりと立っている馬頭観音を見つけた。年号は、「天保」と読めた。この文字を読んだ瞬間、何だか江戸時代にタイムスリップしたような気分になる。
  ....なんたって、山の中。周囲に現代を示すようなものは無し。
 左手斜面を下る道を進み、すぐに下沢尾根筋への道と合流する。
[馬頭観音に出会う]

 この下沢尾根には、途中、ロマンス峠、ロマンス平という名のついた場所があるのだが、どこの場所をそう呼ぶのかは、結局、分からないまま、通過していく。
 急斜面を下りる前の小広場がロマンス平らしいのだが、ここだろうかと撮影したのが、写真下。それとも、この前に小ピークに立ったが、あそこがロマンス平だったのだろうか。
[このあたりがロマンス平?]

 ロープが用意されている急斜面を下っていく。高度をどんどん下げていくと、右手にスギの植林帯が現れる。一気に下っていくと幅広い林道に出た。(写真下)
 ここが、森戸川沿いの林道だとわかった。小休止していると、上流の方から男性トレイルランナー2人がやってきて、今、下ってきた急斜面を登っていった。
 ここからは、林道を上流に向かって歩いていく。
[森戸川沿いの林道に出た]

 前方に白く光る壁のようなものが見えたので、何だろうと思ったら、コンクリートの壁だった。そして、その上に視点を移動させると、橋が突如、視界に飛び込んできた。トンネル間を橋でつないでいるようだ。帰宅後、調べたら、道路は、県道217号線だった。国道134号線の渋滞回避のため、作られた道路らしい。
[林道を進むと、人工物あり]

 さらに林道を進む。
 この森戸川沿いの林道(「長柄大山林道」とも、「三浦大山林道」とも言われる)には、天皇皇后陛下が葉山の御用邸にご滞在中、訪問されることがあったらしい。「私のはやま道 そして逗子・横須賀・三浦」堀口すみれ子(かまくら春秋社:H16発行)では、そんな記述が載っている。
[林道沿いを進む]

 今日の森戸川の水量は、少なめだ。逆にこの程度の水量が本来の森戸川なのかもしれない。
 単独男性ハイカーと、立て続けにすれ違う。
 林道の傍らには、このあたりの名物、シダ類の葉が茂っている。
[右手には森戸川が流れる]

 道は左岸に変わる。左手に金網が現れ、その向こうにコンクリートの堰堤が見えた。
 金網は、堰堤に立ち入らせないためにあるようだ。
[堰堤を見る]

 まだまだ続くかと思ったら、右手にカーブするところで林道が終わっていた。
 その終点には、南尾根に通じる連絡尾根への道標が立っていた。(写真下)
 ここで小休止。ランチタイムとした。食事後、川沿いに進み、中沢、南沢の合流点付近を散策する。前回、南沢を渡れば、すぐ先が林道終点だったのだ。(写真下右)

[古い道標] [林道終点]

 12:08、連絡尾根を登っていく。
 これまた急登だ。雨上がりの時などは、ちょっと滑りやすく、嫌らしい斜面だ。
 下を見れば、樹林の間から森戸川の水面が光る。 
[連絡尾根を登る]

 5分間で、急登が一段落する。
 ふと左の山の斜面を眺めると、やたらと蔓が巻きついたような一本の木を発見。(写真下) 思わず、カメラを取り出す。急登は、終了と思ったのだが、この先も急な登りが続く。

 12:20、ようやく小ピークに到着。
 ここでカメラを取り出し撮影していると、背後から単独の中年男性が音もなく現れた。こんな山深い中だと思わず、ドキッとする。
 ここでもタイワンリスのような小動物を見かけた。
[不思議な木を発見]

 12:31、尾根の先端に出た。手製道標があり、登ってきた方向に「森戸川林道」と記されている。この尾根を下る時の道標だった。だが、逆方向を示す道標は、見つからなかった。
 12:36、南尾根に乗ると、そこには、山道が左右に走っていて、道標が立っていた。左:田浦梅林、右:仙元山と書かれてある。(写真下)
 三浦アルプス(道標では葉山アルプスと記されている)の縦走路にぶつかった訳だ。
[南尾根上の丁字路に出た]

 三浦アルプス(南尾根)を西に進む。昨年末、ここを東に向かって歩いたが、今日は、逆方向に歩く。1/10000地図を見ながら歩いているので、自分の場所は、ほぼ的確にわかる。
 竹林を通過する。このあたり、ものすごく山深い印象を懐く。
 13:09、ドングリの木のピークに到着。(写真下)
 1/10000地図によれば、161m峰である。ここを過ぎれば、次のピークが観音塚だ。
[ドングリの木々(マテバシイらしい)]

 13:22、観音塚に到着。
 ここには、三面八臂に見える観音像がある。ここの観音様の年号は、「寛政」と読めた。やはり江戸時代のものだ。ここで地図(1/10000地形図)でこの後のルートを確認。今日は、ここから南西に伸びる尾根沿いに下っていき、葉山小学校あたりを通り、図書館に向かおうと思っている。見れば、南西方向の尾根に踏跡がついている。
 13:30、出発する。ちょうど日が射してきた。
[観音塚にて(1)] [観音塚にて(2)]

 歩きやすい下りの踏跡を辿っていく。ここも照葉樹林が続いている。
 ちょうど進む方向に太陽があり、眩しい。
[観音塚から南西尾根を下る]

 13:40、分岐点に到着。(写真下)
 左の方が、昔からの山道だと思われ、進んでみたが、すぐ先でルートを見失う。だが、すぐ先には、一戸建て住宅が見えている。住宅街に出るのも近いことが分かる。

 すぐに戻って、今度は、右手の道を下っていく。こちらも、進んでいくと、住宅街が見えてきた。だが、最後になって道が分からなくなった。正面は、一戸建ての住宅の裏手である。左折して、その住宅と裏山の境界を下っていく。よく見れば、これが正規ルートで、草に蔽われているだけだった。
 だが、人家の裏地を通っていくような箇所で、ここで住宅のご主人あたりと出会ったら、バツが悪いな〜と思いながら、下っていく。
[分岐点:直進したら、この先で道が消えた]

 13:50、車道に出た。ようやくホッとする。
 最後の箇所で、道を間違えたのかなと思い、ここで右折し、舗装路側から最後の下り道を探してみる。だが、舗装路側から見る限り、先程下ってきたルートしか道は、ないようだ。
 日が照る中、住宅街の坂道を下っていく。
 ここでも1/10000地図を片手に持ち、最短距離で葉山小学校に向かうつもりでいたが、面倒なので、大通り沿いを歩くことにした。
[住宅街に出た]

 大通りを歩き、町立図書館に立ち寄る。
 目的は、図書館自体ではなく、この建屋の2階にある「まちづくり館」だ。
 ここで、下記資料を購入した。
  ・葉山の山歩きコース(葉山・山楽会)(2010年度版)
  ・散策MAP葉山を歩こう(NPO葉山まちづくり協会) 全9コース
  ・森戸川林道の樹木(森戸川村)
 このうち、葉山の山歩きコースは、実践的で、地図もあり、簡単なコース案内も記載されている。これがあれば、京急の三浦アルプストレッキングMAPよりも心強い。
 ただ、唯一の欠点は、葉山町エリアということで、京急田浦や安針塚方面のコースが掲載されていないことだ。
[車道を歩き、町立図書館へ]

 帰りは、バス通りを新逗子までテクテク歩いていく。日が差し込んできて、今頃になって天気が回復してきた。
 今回は、珍しく予定通りのコースを歩くことが出来、満足な気分で京急に乗り、帰路についた。
 [新逗子まで歩く]


 今回は、いろいろと目的が達成でき、充実した1日でした。
 ようやく大山尾根の取り付きも分かりましたし、図書館で葉山地域の山歩きの資料も入手することができました。
 あとは、下沢尾根のロマンス平、ロマンス峠がどこだったということぐらいでしょうか。
 これは、次回以降の楽しみにとっておこうと思っています。(調べる楽しみというのもありますし)
 帰宅後、葉山の山歩きコース(葉山・山楽会)(2010年度版)を読み、森戸川源頭流域が面白そうなことがわかってきました。
 いずれ、冬の暖かい日にチャレンジしたいと思っています。(このときは、長靴持参がいいのではないか、なんて考えております)



※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。