トップページ他山域山行リスト>乗鞍岳_記録20110805


乗鞍岳

 山行日
2011年8月5日(金) 晴 同行者:父
 コース
畳平(7:30)〜(8:07)肩の小屋〜(9:17)剣ヶ峰(9:30)〜(11:02)肩の小屋(11:18)〜(12:15)畳平
 昨年の夏、父(今年83歳)は、槍ヶ岳での滑落により、3000m級は、引退と宣言しておりましたが、ここにきて、やはり3000m級の山に登りたい様子でした。
 ですが、無理は、出来ません。また槍ヶ岳のようになっては、一大事です。そこで、父は、家族の同意を得るために、今回、乗鞍岳を提案。乗鞍岳であれば、3000m級の山岳と言っても、標高約2700mまでは、バスで登れ、その後約1時間半で、頂上(剣ヶ峰)に達することができます。途中、穂高のような岩場がある訳ではないので、比較的登りやすい山です。
 ということで、息子(私)の同行を条件に家族の同意を得て、乗鞍に出発することになりました。


 父とは、途中の駅で待ち合わせ、新宿に向かう。
 昨年と同様、新宿23:54発の快速ムーンライト信州81号に乗車。この列車は、全車指定席で、車内アナウンスでは、本日満席とのこと。旧型の特急車両なのだが、この座席は、今の新幹線車両に比べて狭い。特に前後が狭く、足が伸ばせないのが辛い。
 無理な姿勢で寝ようとしても、なかなか眠れない。結局、上諏訪から岡谷あたりだけ、寝たような気がしたが、あとは、ウトウトしていただけだった。
  ....車内灯は、明るいままだったのだ。
 まあ、毎度のことなので、あまり気にしなくなった。
[前夜、新宿を出発]

 松本で乗換え、臨時の新島々行き4:45発の松本電鉄に乗車。今までの経験上、この電車も座席が、ほぼ埋まるのが普通だったのだが、今日は、空席がやたらと目立つ。
 夜が明け、東の空が明るく、山が見え始めるが、西側の山々は、ガスって見ない。今日は、それほど天気はよくないのかと、この先の天候に不安が残った。

 松本からノンストップで、新島々に到着(5:08)。
 いつもは、ここで上高地行きのバスに乗るのだが、今日は、初めて(乗鞍高原)休暇村行きのバスに乗車。上高地行きのバスと違って、こちらは、ガラガラだ。行先の表示も非常に地味で、ドア手前に小さな行先板があるだけ。
[新島々にて乗鞍高原休暇村行きバスに乗換える]

 6:08、乗鞍高原観光センター到着。ここで下車し、畳平行きのバスに乗換えると思っていたのだが、このバスが、そのまま畳平行きになった。また、ここからマイカーから乗換える客が、一気に乗り込み、車内は、満席状態となった。
 ガスの間から乗鞍岳の頂上方面の視界が一瞬、広がる。だが、ガスが生き物のように増え続けていき、すぐにガスに覆われてしまう。
 三本滝を過ぎ、バスは、ゆっくりとエコーラインを上がっていく。ここからは、通年、マイカー通行規制区間になってしまったので、道路を独占したように走っていく。
 ここにきて、眠気が襲ってきた。知らない間に寝込む。気がついたときは、もう畳平に到着寸前だった。
 7:01、畳平到着。
 今回、乗鞍岳(剣ヶ峰)頂上は、父も私も、初めての山行だが、私は、畳平までは、バイクツーリングで約20年前に訪れたことがった。あの頃は、まだマイカー規制もなく、畳平まで自由に入ることができたが、車は大渋滞だった。バイクだから、どうにか午前中に畳平まで来れたが、車だったら、畳平に到着する前に日が暮れてしまうような状況だった。畳平には、駐車場があったが、この程度の広さでは、大渋滞も当たり前だと、当時思った。
 また、簡易郵便局があったのを覚えていたが、それは、今でも存在していた。
 金曜日という平日のせいだろうか、客が少ない。もっと観光客がワンサと訪れているものかと思っていたが、意外に地味なイメージだ。
 ガスが、横から流れてくる。さすがに標高が高いと感じる。(写真下左)

 畳平付近の案内板を見て、剣ヶ峰へのコースを確認。(写真下右)
 天気は、上々で、陽が差し込んでくる。だが、ガスが湧いて、周囲の景色は、あまりパッとしない。
 7:20、出発。
[畳平に到着] [畳平周辺の案内図で山頂方面を確認]

 窪地に下っていく。登山道になると、「クマ出没」の立札が。(写真下左)
 帰宅して少し経った後、ネットで調べたら、今年7/22、31、8/1、5、7、12、13、14で目撃情報ありと出ていた。つまり、訪れた8/5も、12:10頃、不動岳斜面で目撃されていた。

 振り返って畳平を見下ろす。(写真下右) ちょうどガスが切れて、ようやく畳平方面が見渡せた。
 正面には、コロナ観測所が見えた。
[クマ出没のカンバン] [畳平方面(振り返って撮影)]

 登山道から、左手の未舗装道路に合流。未舗装とはいえ、工事すれば、いつでも舗装化できそうな状況だ。前方は、ガスではっきりしない。この時間、すれ違う登山者がいるが、どうやらご来光目当てで早朝、登ってきた人たちのようだ。

 単調な歩きだな〜と思っていたら、左右の斜面に高山植物が目についた。こんな場所で見れるとは、予想外だっただけに感動もひとしお。そんな訳で花を探しながら歩くことで、ガスの中でも退屈しなかった。
[林道に出た]

 7:57、右手にコロナ観測所の分岐点を通過。下からガスが湧き出て、楽しみにしていた周囲の山々は、サッパリ見えず。だが、たいした汗もかかず、心地のいい山歩きだ。
 帰宅後、コロナ観測所について調べてみたら、『乗鞍コロナ観測所とは、長野県と岐阜県との境にある乗鞍岳に国立天文台が設置していた天体観測所である。老朽化により2010年3月31日付で天体観測所としては閉鎖された。2011年度より、国立天文台が属する自然科学研究機構直属の研究施設「乗鞍観測所」として研究利用が再度開始された。
 今後の太陽コロナ観測は、太陽観測衛星「ひので (人工衛星)」によって行われる。ひまわりの活躍により、富士山レーダーが閉鎖になったのと同じ流れである。』
との事。(Wikipediaより)
 技術革新のおかげで地上観測所は、もはや時代遅れになってしまったようだ。
[コロナ観測所分岐点]

 8:07、肩の小屋に到着。ここに宿泊すれば、星や、ご来光など、いろいろと楽しめそうだ。父に休憩しようかと打診したが、先を行こうということで、特段、休むことも無く、小屋を通過していく。
[肩の小屋に到着]

 小屋を通り抜けると、ようやく登山道になった。ここから剣ヶ峰まで、コースタイムは、50分となっている。ここでもガスが湧いており、どこが山頂か、わからないまま歩き出す。
 登り斜面の登山道ということで、ようやく登山らしくなってきた。登山道自体は、歩きやすい。だが、帰りの下りとなると、ちょっと滑りやすいかなと思う。
 8:47、ガスの中で、小休止。ここまで休みらしい休みを取っていなかった。
[いよいよ剣ヶ峰に向かう]

 8:57、稜線に出た。反対側に池が見えた。地図で確認すると、権現池という名前だ。(写真下)
 最後の楽しみとしていた西側の光景は、東側と同じで厚い雲が壁となり、全く見えず。
 前方には、山頂の剣ヶ峰が見える。頂上までは、もう少しだ。
[権現池を見下ろす]

 剣ヶ峰まで直登していく。もう頂上は、すぐそこだと分っていても、なかなかピッチが上がらない。そう、ここに来て、ようやく勾配がきつくなってきた。
 山頂手前で左側に回る。岩陰に小さな山小屋があった。頂上小屋だ。ここは売店営業のみの小屋だった。その後、短い岩場を登りきり、頂上へ。
[もうすぐ剣ヶ峰]

 9:17、剣ヶ峰頂上到着。(写真下左)
 頂上には神社(乗鞍本宮奥宮)があり、記念にバッジを購入。360度のパノラマは、ここでもガスが下から湧いてくるため、見られず。槍・穂高や御岳を期待していたのだが、残念だ。ガスだらけで写真を撮る気になれなかった。
 せっかくなので、足下にあった三角点を撮影。(写真下右)
[剣ヶ峰の頂上に立つ(奥のピークは、大日岳)] [三角点]

 頂上には、記念撮影をしたりして、15分弱滞在。その後、下り始める。山頂直下は、岩場のためか、登りと下りのルートが別になっていた。
 9:40、登りルートと合流し、ここからは、登ってきた道を引き返す。途中、登りの時は、左を小さく巻いてしまった蚕玉岳のピークに立ち寄る。
[下山する(前方手前の白いピークが、蚕玉岳)]

 すれ違う登山者には、小さい子供を連れたファミリ−と中高年登山者を結構、見かける。中高年登山者の方達は、服装や装備から見て、皆、なんとなく山に慣れているような感じである。百名山登山の一環だろうか。
 下りの途中で、父が腹が減ったという。肩の小屋で休憩しようと思ったが、まだ先が長そうだったので、途中の岩に腰掛けて、小休止とした。(10:35〜10:53)
[肩の小屋が見えたり隠れたり]

 11:02、肩の小屋に戻った。
 予定では、ここから乗鞍高原まで歩いて下っていこうかと考えていたのだが、どうも父の歩行(下り)が、どうも不安だ。今回は、視界が広がらないこともあり、あっさり、その計画は諦め、素直に畳平に戻ることにした。そんな訳で、生ビールを小屋で調達。喉が潤う。
  ....楽になってしまった。

 この乗鞍岳というのは、全く山に行ったことがない人に山を紹介するには、ちょうどいい山かもしれない。(いきなり富士山だと、「山は、もうたくさん」というケースが多いが)
 ここだと登る距離が短いながらも、3000mクラスの頂上到達という達成感があり、肩の小屋あたりに宿泊し、ご来光や北アルプス、御岳等が眺められたら、最高の気分ではないか....
 ビールを飲みながら、そんな事を思う。
  ....高山病が出てくるかもしれないけど。
[肩の小屋で生ビール]

 帰り際、一瞬、朝、バスが登ってきた乗鞍エコーラインが姿を見せた。曲がりくねった道筋を眺めながら、随分、緩やかな斜面だなと感じる。
 手前の雪渓では、人影が見える。よく見たら、残り少なくなった雪で、スノーボーダーが、楽しんでいた。
[乗鞍エコーラインが一瞬、見えた]

 陽が差し込んできたが、歩く先は、ガスではっきりしない。なんだか不思議な天候だ。帰りも路傍のコマクサ群落を探しながら、歩く。残念ながら、コマクサの開花ピークはちょっと過ぎてしまったようだ。
[林道歩き]

 先を歩いていた父が、分岐路を直進している。同じ道を歩きたくないからかと思っていたら、本人曰く、左折する箇所を見過ごしたとの事。
  ....オイオイ

 そんな訳で若干遠回りして、畳平に向かう。だが、途中にお花畑が広がり、願ってもない高山植物の観賞タイムとなった。
  ....父は、初めて高山植物の花を撮影したと、はしゃいでいた。
[ちょっと遠回りして畳平へ]

 12:15、畳平に戻り、缶ビールで乾杯。
 バスの発車は、13:05で、まだ時間は、タップリある。休憩所の建屋の中で、みやげ物を物色したりして時間を潰す。だが、発車直前には、バス停の前に長蛇の列ができており、目がテンになった。いつの間に訪問客がこれだけ増えたのか、すぐには信じられなかった。
 13:05発のバスに乗車。こうして、今回の乗鞍岳登山は、幕を閉じた。
 ....運転士が若い女性だったことには、ビックリ。
[畳平に戻った] [缶ビールで乾杯]

 今回出会った花の一部
[イワギキョウ] [コマクサ] [ウサギギクとヨツバシオガマ]


 今回は、非常に短い山行となりました。行く前は、こんなお手軽の山というのは、どうかと思っていましたが、下山後は、3000m級の山に簡単に来れる、こんな山が国内に一つぐらいあってもいいのでは、という気分になっていました。



※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。