トップページ>他山域山行リスト>奥穂高岳・ジャンダルム_記録20120815
2012年8月15日(水)〜17日(金) |
同行者:NASさん |
8/15(水) :上高地バスターミナル(12:30)〜(13:22)明神(13:30)〜(14:23)徳沢(14:43)〜(15:34)横尾山荘(泊)
8/16(木) :横尾山荘(5:50)〜(8:49)涸沢小屋(9:32)〜(12:35)穂高岳山荘(泊)
8/17(金) :穂高岳山荘(5:40)〜(6:22)奥穂高岳(6:43)〜(8:11)ジャンダルム(8:21)〜? |
北アルプスにNASさんと行ってきました。ターゲットは、奥穂高岳です。穂高は、3年ぶりでしたが、何度、訪れても新たな感動が得られる山域で、槍ヶ岳と並んで大好きな山です。また、体力のあるうちにハードなルートをということで、今回は、ジャンダルムもターゲットとし、西穂高岳への縦走を計画しました。
詳細は、以下をご覧下さい。 |
特急スーパーあずさ1号で朝7時に新宿を出発し、松本には、9:39到着。この特急の場合、松本電鉄に乗り換えず、松本駅から外に出て、松本バスターミナルに向かう。ここから上高地までの直通バスに乗るためだ。 自然と早足となってしまう。乗客が多いと、乗れないのではという不安があるためだ。幸い、この時期は、それほど乗客は居なかったので、楽に乗車できた。
12:03、上高地バスターミナルに到着。 本日の宿泊先である横尾山荘に確認の電話を入れる。(予約時に山荘から指示されていた) 上空の天気は、よくない。雲が厚く、ちょっと雨が心配だ。
昼食をとって、すぐ出発することにした。 |
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[上高地バスターミナルにて] |
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明神に到着すると、雨が急に降り始めた。夕立のようで大粒の雨だ。傘を差しながら歩いていくと、草むらの中から、サルが1匹現れた。と思ったら、次々とサルが林道に出てきた。上高地には、何回も訪れているが、サルを見たのは初めてだった。 赤ん坊サルを背中に乗せた母親サルを何匹か見たが、どれも背中と言うより、後ろの腰のあたりの上に乗っており、よく落っこちないな〜と、そのユーモラスな格好が面白かった。
雨が降っている中、日が差しこんできた。(写真下) 久々に遭遇した天気雨。 この後、徳沢前で激しく雨が降ったかと思ったら、すぐに止み、徳沢での休憩中には、日が照ったりと、天気はめまぐるしく変わった。 |
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[天気雨となる] |
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徳沢を出発すると、日が陰った。
NASさんとは、相変わらずしゃべり続けている。最近、山行のおかげで、度々会っているのだが、話のネタに困らない。
そんな話の最中、いきなり大雨となった。慌てて傘を差す。本降りとなり、明日は大丈夫かと心配になってきた。今回、3年前の奥穂高岳と同様、横尾山荘に宿泊するのだが、あの時と同じような天候での横尾到着である。3年前と同様、明日朝から雨だったら、嫌だな〜と思いながら、山荘に入った。 |
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[大雨の中、横尾山荘に到着] |
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5:00に朝食をとって、5:50、山荘を出発する。(写真下)
幸い、3年前と違って雨は、降っていなかった。天気予報だと、今日1日は、天気が持ちそうだった。だが、目の前の屏風岩には、ガスが立ち込めており、本当に晴れるのかどうかは、怪しい状況である。
6:55、本谷橋に到着。
屏風岩には、ガスがかかっていた。 天気予報の通り、次第に晴れていきそうだ。青空が見えてきた。
気分よく、本谷橋を渡る。 |
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[横尾山荘を出発] |
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本谷橋を渡り、ジグザグの登り道を進む。下山者とのすれ違いが多くなってきた。朝、涸沢から出発してきた人たちだろう。
20年前、初めて横尾から涸沢に向かった時、夜行バスでの寝不足から、このあたりの大岩の上で、1時間ぐらい寝ていた記憶がある。その岩を見つけようと、3年前、注意深く歩いたのだが、わからなかった。今回も、結局、どの岩だったのか分からないまま通過してしまったようだ。木が育ってしまい、分からなくなってしまったのか、岩自体が谷の方に転がってしまったのか、謎である。これから先、ここを通る度に探すハメになりそうだ。
7:51、涸沢が見えてきた。(写真下) だが、見えただけで、距離はまだ遠い。 |
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[涸沢が見えてきた] |
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8月中旬ということで、登山道上に雪は、残っていなかった。しかし、この涸沢テント場を通るルートが、結構キツく感じる。見た目よりも、結構傾斜があるのかもしれない。
8:49、涸沢小屋に到着。テラスにて小休止。
残念ながら標高2800mぐらいから上は、ガスがかかっており、稜線は、見えない。ここで、昼食用のロールパンを幾つか食べる。NASさんは、小屋で売っていた冷しトマト(丸1個)がおいしそうだということで購入。
前穂の北尾根を眺めていたが、そろそろ行きますかと、9:32、出発する。 |
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[涸沢小屋にて小休止] |
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見上げると、一面ガスだらけ。ひょっとしたら、上の穂高岳山荘では、雨が降っているかもしれないと、NASさんと話す。
ちょうど単独の男性登山者が下ってきたので、今日の様子を聞いてみると、今日、朝5時に涸沢を出発した時は雨で、奥穂のピーク、続いて涸沢岳のピークに寄ったが、どちらもガスの中で何も見えなかったとの事。 「頂上では、どうも天気予報通りではないようだなぁ」とNASさん。
「出発日を1日早めたら、天気は、最高だったと思ったけど、結果的にはそうでもなかったようだね」と私。 |
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[稜線はガスの中] |
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ザイテングラートの登りは、やはり辛かった。最初の頃は、まだ良かったのだが、段々、急斜面になるにつれ、休憩が多くなった。また、途中で雨が降り出したので、雨具を取り出したりと、時間をくってしまった。だが、ラッキーにも雨は、すぐに止んでくれた。
振り返れば、常念が姿を見せている。(写真下)
眼下に見える涸沢テントサイトもだいぶ小さくなった。もうすぐ山荘に出るだろうと、楽観的に思っていたのだが、なかなか建屋が見えてこなかった。 |
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[ザイテングラートの後半がきつかった] |
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12:35、ようやく稜線鞍部の穂高岳山荘に到着。
だいぶ天気が良くなっていた。チェックインした後、すぐ外に出てNASさんと缶ビールで乾杯。冷えたビールの味のいいこと、この上ない。ロング缶1本では足りず、続いてレギュラー缶をお代わり。
その後、昼寝をしてしまった。小屋で昼寝をするなど、夜中、眠れなくなるので今までしたことがなかったのだが、今日はアルコールの吸収が良すぎたようだ。しかし、その後の就寝でも、あっさり深い眠りに陥った。 |
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[穂高岳山荘に到着] |
[缶ビールで乾杯] |
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5:00、朝食をとる。食べ終わった後、常念方面を撮影。
今日の天気予報は、午前中は、晴れで、午後は、崩れるという予報だった。予定通り、稜線を行こうということで、山荘を出発する。(5:40)
いきなり山荘前の急な登りで息が切れる。これは、NASさんも同様。まあ、急いでも前方は、登山者で渋滞気味なので、デジカメ撮影しながら息を整える。
最初のクサリ場を過ぎれば、後は、歩きやすくなる。振り返って槍ヶ岳方面を眺める。
また、西側には、朝日が当たる憧れのジャンダルムが見えた。 |
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[山荘を出てすぐの急な登り] |
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6:22、奥穂高岳頂上到着。
やはり、登山者で賑わっている。記念撮影もそこそこ、ここでヘルメットを取出し、ジャンダルム方面へと向かう。この先は、初めてのルートであり、かつ難ルートということで、ドキドキである。心臓の鼓動が高まっているのが、自分でもわかった。
6:43、奥穂の山頂を出発する。 |
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[奥穂高岳頂上にて] |
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ちょうど前方に空身の男性二人組が歩いていた。その後ろに我々二人がついていく。
これほど天気がいいのは、願ってもないことだった。おそらくこんな晴れた天気は、久々のはずである。だが、「NASさんの晴れ男、発揮だねぇ」と話しができたのは、最初だけだった。 |
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[ジャンダルムに向かう] |
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前方の空身の二人に追いついてしまった。
ルートを探しているようだ。事前調査では、ここは、稜線の上をとにかく進み、巻き道はない。それゆえ稜線の背筋そのものを進んでいく。確かに背筋を直進していくとは思えないようなところだ。どんどん細くなっていく。 |
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[稜線がどんどん細くなる] |
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岩場の下りとなる。 通常ルートであれば、クサリがあってもおかしくないのだが、あえて取り付けないのだろう。ホールドは、豊富だが、岩が安定しているかどうかは、確認してみないと分からない。 足元が見えない場合があり、慎重に下っていく。 左を見下ろせば、上高地が見える。なんだか、手を離したらそのまま上高地まで落ちていきそうな光景だ。
前方のNASさんを撮影するのも、命懸けとなった。 |
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[両手を使ってのカメラ撮影が恐ろしい] |
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下りが続く。(写真下左) 相変わらず、稜線の左右がスパッと落ちている。ここが、馬の背の下り部分だろう。 ここは、よくネットや雑誌で、出てくる光景だ。さすがに取り上げられる場所だけのことはあり、気が抜けない。信州側の岩を利用して、焦らずゆっくり下っていく。 幸い、ここもホールド、スタンスは、豊富だった。 |
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[馬の背の下り(1)] |
[馬の背の下り(2)] |
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馬の背を下っていき、急な下りを終えたところで小休止。緊張のせいか、口の中がカラカラで、水分が欲しくなる。また、歩いて気がついたが、日陰は涼しくていいのだが、日が当たると暑くて、その差が極端だった。
7:11、手前にロバの耳、奥にジャンダルムが見える。ロバの耳に取り付くためには、この先、下っていくのがわかった。予想以上にアップダウンが激しいコースだ。
ロバの耳の最低部にて、再び小休止。(7:25〜7:30)
水を飲む。鞍部からの登りは、クサリ場が続いていた。(写真下) |
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[ロバの耳の飛騨側を登る] |
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登りが終わり、ロバの耳をトラバース。(写真下) クサリがあり、ここは、思ったほど、足場は、悪くなかった。
天気が晴れだったことに感謝。ガスの中、いつ天候が崩れるか分からない時に歩くような状況だったら、ちょっと恐ろしい。 |
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[ロバの耳をトラバース] |
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ロバの耳を通過すると、ジャンダルムが近くに現れたが、思ったよりも、小さく感じた。
ジャンダルムは、左手信州側を巻いていくが、ロバの耳のようにクサリは、ついていなかった。(写真下) ここも3点支持で慎重にトラバース。 |
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[ジャンダルムの信州側トラバース] |
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ジャンダルムの西側鞍部にザックを置き、空身でジャンダルムの頂上を目指す。 この裏側(西側)からが、登りやすいと事前情報を得ていたが、岩場は急で、垂直に近い感じがした。途中で、どこがルートか、わからなくなり、登りやすい箇所を適当に選んで、ようやく頂上に出た。 |
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[ジャンダルムを西側(裏側)から直登する] |
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8:11、ジャンダルム頂上に到着。思ったよりも山頂は、狭かった。すでに5人ぐらいの人たちが休憩中だった。その中には、先ほどの空身の男性二人の顔も見えた。
....やはり若い人ばかりだった。
岩の上に置かれたジャンダルムの山頂標識を持って記念撮影に入る。奥穂は、よく見えたのだが、既に北穂高、槍ヶ岳には、雲が発生してしまい、山頂は隠れてしまった。 奥穂をバックに記念撮影しようとすると、逆光になってしまう。ストロボを利用したりして何枚も撮影する。 |
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[憧れのジャンダルム頂上に到着(バックは奥穂高岳)] |
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ザックを再び背負って、西へと向かう。
この先は、素直に進めると思っていたのだが、全く甘い認識だった。相変わらず、緊張感の抜けない岩場が続くのだ。浮石が多く、油断できない。
ガスが湧いてきた。(写真下左)
9:06、比較的下りやすいジグザグの山道となるが、浮石だらけだ。この辺りで、逆ルートのパーティとすれ違い始めた。一人に聞いてみたら、4:30に小屋を出発したという。
右手の笠ヶ岳稜線にもガスが現れ、山頂付近は、ガスに隠れてしまった。
前方のルンゼにクサリが用意されてあったが、ちょうど登ってくるパーティが見えたので、待つことにする。(写真下右) |
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[急な下りが続く] |
[逆ルートのパーティを待つ] |
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ガスが消えていき、前方の天狗ノ頭が見えてきた。
それにしても、緊張が続く。1/25000地形図上では、それほど急な斜面には思えなかったのだが、実際は、だいぶ急だ。3点支持での下りが続く。 |
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[天狗のコルへの下り] |
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10:12、天狗のコルに到着。
それにしても急な下りだった。ここで、アクシデントに気がつく。ザック内のポリタンの口が緩んでしまい、ポリタン内の水が500ml程度しかなかった。ポリタンは、最近使用していなかったので、自宅でその口を十分、チェックしたつもりだったのだが。
....ザック内のビニール袋がビショビショになっており、他のザック内収納物にも影響有り。
ここで、ちょっと考え込む。 ・残りの水だけで縦走を続けるのは、ちょっと危険だなぁ(今日は、通常以上に飲んでいる) ・天気予報によれば、午後からは崩れる予報となっている。 ・ここまで、予想以上に時間を費やしている。
そこで、NASさんにここでエスケープしてもいいかと打診すると、NASさんもそれを考えていたと言う。ということで、ここから岳沢小屋にエスケープすることに決めた。 |
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[天狗のコルに到着] |
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10:41、天狗のコルを出発し、天狗沢を下っていく。
滅茶苦茶に恐ろしいガレ場が続く。一応、白ペンキの○印があるが、そのルートも信用できない。岩が全て浮石と言っていいほど、安定していないのだ。滑ったら、そのまま転がり落ちていきそうな急斜面。岩は、不安定ということで、NASさんは、ここが今回の核心部だったと後で振り返っている。
慎重に下っていくが、いくら下っても、なかなか進んだ気がしない。あまりにも視界が良すぎるせいだろうか。 |
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[急な天狗沢を下っていく] |
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途中、大岩の下で、NASさん、ランチタイム。こちらは、食欲なく、水分補給のみ。
そのうち傾斜が緩んできて歩きやすくなるが、それでも浮石だらけには、変わりない。だが、それもようやく終了し、ルートは、細尾根に入った。久々に土を踏みながら下っていく。あたりは、お花畑だ。
11:53、途中で小休止。(写真下)後方は、完全にガスに覆われてしまい、稜線は見えなくなった。天気予報通りの天気に変わっていくようだ。
また、途中、ポツリポツリと雨が降ってきた。そんな訳で岳沢小屋へと急ぐ。 |
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[稜線は、ガスに覆われる] |
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13:17、岳沢小屋に到着。
小屋の周辺には、重太郎新道を下ってきた登山者が何人か休憩していた。缶コーラを買って、テラスで一気に飲む。また、空のペットボトルに水を満たした。
ここでパンを食べていると、雨が強く降ってきた。 「やはり、降ってきたね。」と、NASさん。 雨の中、あの稜線歩きを続けるは、ちょっと危険だと思っていたので、今回は、下って正解だったと思った。
13:36、傘を差して岳沢小屋を出発。その後、小降りとなったのだが、10分後、大粒の雨に変わる。
黙々と下っていく。標高が下がり、段々暑くなってきた。ここに来てようやく、雨がやんだようだ。(14:16) |
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[岳沢小屋に到着] |
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14:47〜14:58、風穴にて小休止。 ザックを下ろして、背中を風穴に向ける。冷たい風が背中を一気に冷す。そして頭を冷すと、これが、とても心地よい。立ち去り難い気分になってしまう。
他の下山者が到着したので、ようやく出発することにした。 |
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[風穴にて小休止] |
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やがてササが目立つ樹林帯となり、15:33、林道に出た。振り返ると、穂高・岳沢登山路の大きな看板が立っていた。
そのまま、休憩せずに木道を歩いていく。ここまで来れば、河童橋手前の売店まであとわずか。
ビール、ビールと呪文を唱えるようにして、河童橋に向かう。 |
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[もうすぐ林道に出る] |
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15:47、河童橋手前の売店に到着。
観光客は少なく、屋外のテーブルが簡単に確保できた。早速、ロング缶を購入し、無事に下山できたことを祝して、NASさんと乾杯。冷えたビールがなんとも旨かった。 |
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[河童橋手前にて] |
[乾杯] |
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<今回出会った花の一部>
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[クルマユリ] |
[エゾシオガマ] |
[ミヤマゼンコ?] |
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上高地バスターミナルで、バスに乗ったらすぐに大雨となってしまい、その後、松本に着いても、まだ雨が降り続いていました。非常にいいタイミングで、帰路についたものです。
奥穂高岳〜西穂高岳縦走が、北アルプス最大難路というのは、本当にそうだと実感しました。(今回は、奥穂高〜天狗のコルという半分だけですが)通常であれば、ここは危険だなと思う箇所には、クサリが用意されているケースが多いのですが、ここは、本当に恐ろしいと言う箇所でもクサリがありませんでした。 ホールドが多かったという印象がありますが、掴んだ岩が、浮石だったときもあり、緊張しました。
とにかく喉が渇き、水がやたらと欲しくなるルートには、間違いありません。 帰宅後は、両腕の筋肉痛になりました。スリリングな高度感からか、だいぶ上半身に力が入っていたようです。
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<コースタイム>
8/15(水) :上高地バスターミナル(12:30)〜(13:22)明神(13:30)〜(14:23)徳沢(14:43)〜(15:34)横尾山荘(泊) 8/16(木) :横尾山荘(5:50)〜(8:49)涸沢小屋(9:32)〜(12:35)穂高岳山荘(泊) 8/17(金) :穂高岳山荘(5:40)〜(6:22)奥穂高岳(6:43)〜(8:11)ジャンダルム(8:21)〜(10:12)天狗のコル(10:41)〜(13:17)岳沢小屋(13:36)〜(16:25)上高地バスターミナル |
※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。
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