トップページ>他山域山行リスト>生藤山_記録20130316
2013年3月16日(土) 晴 |
同行者:NASさん |
井戸(8:57)〜(9:19)軍刀利神社〜(10:17)三国山(10:23)〜(10:30)生藤山(10:40)〜(10:55)茅丸(11:45)〜(12:00)連行峰(12:03)〜(13:16)醍醐峠〜(14:02)和田の里体験センター |
「中央線沿線の山々」の登山シリーズで、今回は、生藤山を計画しました。この山は、桜の名所というのを井戸行きのバスの中で初めて知りましたが、まだ桜には早い時期でした。
パートナーは、高校時代からの友人、NASさんです。
今回は、標高もそれほどでもなく、軽いハイキング気分でしたが、予想外のアクシデントに遭遇してしまいました。
詳細は、以下をご覧ください。 |
高尾駅ホームで、NASさんと待ち合わせ、いつもの7:46発の河口湖行中央線に乗車。
今日は、話に夢中になると、乗り過ごしてしまいそうな上野原なので、常に停車駅をチェック。
上野原には、8:09到着。
高校生に交じって駅の北口に出ると、バスが並んでいた。よくもまあ、こんなに狭いエリアにバスが並ぶものだと感心していると、これらバスがどんどん出発しては、別のバスがやってきた。やがて眺めているうちに狭い敷地のため、順番に手前のバスからしか出発できないことに気がついた。これらバスの発着管理は、どこでコントロールしているのだろうと、ちょっと気になってしまった。
そろそろ井戸行のバスが来る頃だと思い、バスの行先表示を注意して見ているのだが、なかなか井戸行のバスが来ない。ようやく井戸行のバスを見つけたのは、出発時刻の8:28直前になってからだった。 |
|
[上野原駅前のバス乗り場にて] |
|
井戸行のバスに乗車すると、運転手さんが山の案内をしてくれる。左に見えるのが雨降山、生藤山では、これから桜が見頃等。
この時、生藤山が桜の名所というのを初めて知った。
帰宅後、ネット等で調べてみると、生藤山の桜というのは、南側の山道(佐野川峠あたり)を指すようだ。だが、一時期、生藤山の桜は、テングス病に悩まされ、花が咲かない状態が続いたらしい。今年はどうだろうか。
8:57、井戸バス停をスタートする。 |
|
[今日の出発点:井戸バス停にて] |
|
舗装路を奥に歩いていくと、下り坂となり、その先に神社を示す鳥居が建っていた。
鳥居の先に看板があり、上野原町指定天然記念物「井戸のサイカチ」と記されてあった。よく見ると、樹高:18m、目通り:3.13m、根回り:4.12mとある。
そんな木があるのかと、看板の後ろを見ると、太い老木が目に入った。これがサイカチだろうか?だが、樹高は、4mぐらいで、その上部は人工的に切られてあり、18mはない。何らかの理由で切り取られてしまったようだ。 |
|
[軍刀利神社の鳥居をくぐる] |
|
坂を上り、左手に社務所を見た後、右手に鳥居が現れる。
その先には、いったい何段あるのだろうと思えるような石段が続いていた。(写真下)
せっかくなので、左の車道から外れ、この石段を登ることにした。
ハアハア言いながら登りきると、正面に拝殿が見えた。意外にこじんまりした建屋である。参拝した後、左から神社の裏手へと進んでいく。
「おやっ、あれは?」
と、NASさんと、二人して思わず声を上げる。
ドキドキしながら、近づいていく。 |
|
[軍刀利神社の石段] |
|
登山道に入った。
スギ植林帯の中の一本道を辿っていく。私と同様、花粉症がひどいNASさんは、すでにマスクで防備している。
....花立小僧は、メガネをしているので、歩行中のマスクは、苦手だ。すぐに曇ってしまう。
NASさんのペースで歩かれると、こちらは息が切れてしまうのだが、NASさんが久々の山歩きだったせいか(それともマスクのせいか)、今回のペースは、それほど速く感じなかった。 |
|
[植林帯を行く] |
|
9:57、丁字路に出た。ちょうど植林帯が終わった所だった。
「左:女坂・軍刀利神社元社(25分)、右:三国山(45分)」の道標が立っていた。地図で確認すると、左右どちらでも三国山には、行けることがわかったので、ここは、左折することにした。
NASさんとは、話題が多いせいか、話しながら登っていると、いつの間にか着いてしまう。この稜線上の丁字路も、そうだ。特に遠くの景色も楽しめなかったので、話の方に重点が移っている。
10:07、尾根筋に出た。(写真下)
ここにも、先ほどの丁字路と同じような道標が立っていた。右折して、三国山へと向かう。
だが、ここで突如、クシャミ連発。だいぶ花粉が舞っているようだ。 |
|
[稜線に乗った] |
|
10:17、三国山に到着。
ここが山頂なのか、よく分からなかったが、山頂標識が立っていた。(写真下)
ここからは、富士山が眺められる。
記念撮影していると、だんだん人が増え、10人ぐらい集まってきた。
クシャミする人がいる。やはり、花粉症は、我々だけではないようだ。
眺めはよかったが、鼻水が止まらなくなる。ここから脱出したい気分になり、10:23、出発。 |
|
[三国山頂上にて] |
|
10:30、生藤山頂上を踏む。
狭い頂上だったが、振り返れば、ここでも、三国山と同じように富士山の眺めがいい。
しかし、後続の若い男性登山者は、クシャミ連発で、こちらも鼻水がタラタラ出てくる。NASさんは、相変わらずマスク着用である。
どんどん人が増えていく。先ほど三国山で見かけた人たちも、この生藤山にやってきたようだ。狭い頂上ゆえ、10人ぐらいとなったところで、先に出発することにした。 |
|
[生藤山頂上にて] |
|
生藤山の周辺は、登りの時もそうだったが、結構、ヤセ尾根で急斜面である。
今までの中央線沿線の山々(扇山、陣馬山、倉岳山etc.)と比較すると、ちょっと趣向が異なる。
立木に掴まりながら、急斜面を下っていく。 |
|
[生藤山からの急な下り] |
|
ランチタイムにはまだ時間的に早いが、腹が減ってきたということで、生藤山の先の適当な場所で、食事にしようということになる。
10:55、茅ノ丸ピークに到着。
ここには、ベンチがあり、火器が扱いやすい。他に休憩中の登山者がいなかったこともあり、ここで食事とした。
各自、湯を沸かす。(写真下左)
今日は、ポカポカ陽気で、ハイキング日和だ。ただ、花粉が気なるが、幸い、ここではクシャミが出なかった。
正面には、丹沢の山並みが見える。(写真下右)
中央線沿線の山々から望む丹沢で、気がついたのは、どこでも大室山が巨大に見えるということだ。ここでも蛭ヶ岳や檜洞丸は、他のピークに紛れて目立たないが、大室山だけは、すぐにわかった。
最後にNASさんからコーヒーを戴き、食事は、終了した。
この後、稜線を進む。
|
|
|
[茅ノ丸にて早めのランチタイム] |
[丹沢の眺望(茅ノ丸から)] |
|
12:00、連行峰ピークに着いた。
以前、雪が積もった陣馬山の頂上直下から、この連行峰の眺めが印象的だったのを思い出す。
頂上は、眺めがいいとは言えなかったが、冬枯れの立木が多く、雰囲気がいい。もう少し我慢して歩き、ここでランチタイムしてもよかったなと思った。
なお、道標には、「連行山」と記されてあった。
山と高原地図を取り出し、この稜線を進み、途中で右折し、和田に下るコースを確認する。 |
|
[連行峰頂上にて] |
|
斜面を下っているとき、前を歩いていたNASさんが、突如、倒れた。
両足が木の根っこに挟まってしまい、足の自由が奪われたのだ。
それを目の前でモロに見てしまった。
顔面を守ろうと、最初に両手が地面についたのだが、それでもまだ身体に勢いがあり、結局、両手だけでは、勢いを止めることができず、顔面が地面に触れてしまった。
その瞬間、サングラスが飛んでいった。
本人は、引っかかった両足を木の根っこから抜き、すぐに体勢を変え、座り込むような恰好で、地面に打った左顔面を両手で押さえている。 |
|
[この撮影後、下り斜面にてアクシデント発生。マウスポインタを画像の上に持っていくと] |
|
「大丈夫か。まずは、これで、血を拭き取った方がいい。」
と、ウェットティッシュを取り出し、NASさんの左目の周りを拭く。眉毛付近に傷口が見えた。ここから出血しているようだがそれほどの深い傷ではなかった。頬の方は、汚れてはいるものの、特に出血している箇所は、ない。
しかし、左目の上下を打っているので、左目が開けられないようだった。
この時、左目が傷ついていないか気になった。
そこで、サングラスを探す。サングラス本体は、すぐに見つかったが、左のレンズが完全に無くなっていた。レンズが欠けたとなると、目に傷を受けている可能性があるので、外れたレンズを探すのだが、どうしても見つからない。結局、レンズが割れたのか、そうでなかったのかは、分からないままとなった。
このとき、振り返ってみて、我々は登山道から外れたルート(1m少し)を歩いていたことに気がついた。まあ、登山道でも木の根が張り出しているのは、よくあるので、別段、登山道から外れていたという認識は、なかった。
レンズを探している間にNASさんの出血も止まったようだ。
救急袋の中からガーゼと、三角巾を取り出す。これらは、いつもザックの中に入れているが、使用するのは、今回が初めてだ。
三角巾で傷口に当てたガーゼを固定し、応急処置を終える。
「歩けるか。」
と尋ねると、
「大丈夫だ。」
との返事。
「ならば、とにかく、和田へ下山しよう。」
と、事故現場を出発する。
この先、まき道がある箇所は、まき道を利用して進んでいく。 しかし、こういった時に限って、当初の下山ルートである右折ポイントを見落としてしまったようだ。 地図上では、「山の神」という地点で丁字路となり、右折すれば、和田バス停に最短で到達できる。 しかし、行けども行けども、そのような右折するようなルートに出会わない。
そのうち、どう見ても行き過ぎたと判断。
だが、行き過ぎても、結局、醍醐峠で右折すれば、和田にいけるので、このまま直進していくことにした。 |
|
[まき道を進んでいく] |
|
13:16、醍醐峠に到着。
ここで右折し、和田バス停方面へと下る。
NASさんの左顔面は、三角巾で覆われており、片目状態なのだが、よく普通に歩けるなと、妙に感心。
スギの植林帯に入ると、日がちょうど差し込んで、空中に花粉が舞っているのが、見えた。恐ろしい光景だったが、今は、とにかく下ることだけを考えていた。そのせいか、不思議なことにクシャミは、出ず、鼻水だけが酷かった。 |
|
[醍醐峠に到着] |
|
13:47、ようやく車道に出た。
この先、舗装路となるので、だいぶ歩きやすくなった。
「今後の行動だが、とりあえず、バス停あたりで、タクシーを呼び、病院に行こう。」
と、NASさんと確認。
しかし、今日は、土曜日で、普通の病院では、土曜午後は、休みのはずだ。
どうやって救急病院を探すかが問題だと考えながら、坂を下って行った。 |
|
[舗装路に出た] |
|
14:02、和田バス停に向かう途中にて、和田里体験センター村の家なる建屋を発見。
中の通路に入ってみると、水道の蛇口や、タクシーの連絡先の貼り紙があった。だが、建屋自体は、営業していなかった。
ここで水道水を使用させてもらう。NASさんの顔面の汚れを落としたかったからだ。
貼り紙の電話番号を見ながら、携帯電話を使ってタクシーを呼ぶ。だが、掛けてから、どこに行くというべきか、悩ましいことに気がついた。
事情を話し、とりあえずタクシー1台に来てもらうこととし、タクシー受付の女性が、それでは、調べてみますと言われたので、一旦、電話を切った。
その後、タクシー受付の女性から携帯に電話がかかり、ここは、相模原市なので、相模原救急医療情報センターに掛けてみて下さいとのアドバイスを戴いた。
早速、掛けてみると、「本日の外科、整形外科の救急担当は、○○病院です。」との回答を戴く。 |
|
[和田の里体験センター村の家] |
|
「○○病院って、どこにあるのですか」
と尋ねたら、相模湖の先だった。そのあたりであれば、丹沢に通っていることもあり、土地勘があった。
今回、下山した場所が、神奈川県相模原市だったので、結果オーライだったが、これが山梨県や東京都だったら、病院の地名を言われても、どこかわからなかっただろう。
ちょうど、タクシーが来たので、乗車。
ふと、NASさんの顔を見ると、怪我をした時以上に顔の左半分が腫れて、目が開けられない状態になっているのに気がついた。やはり、かなり衝撃があったようだ。
タクシーには、とりあえず、藤野駅方面に向かうように依頼し、車内から携帯で○○病院にTELしてみる。
その結果、応急処置しかできないが、いいかと言われ、それでもOKと回答し、このままタクシーで、○○病院に向かった。(タクシーの運転手さんがこの病院を知っていた)
14:50、○○病院に到着。
診察時間が終わった後なので、病院内は、ひと気がなくガランとした空間だった。受付で電話した者であることを伝え、ロビーの椅子に腰掛けて、呼ばれるのを待った。
すると、救急車のサイレンが聞こえ、すぐに救急患者が診察室に搬送されていった。
その光景を見ながら、
「確かに病院というのは、大変だね〜」
と、NASさんと話す。
その後、別の診察室からNASさんの名前が呼ばれた。
15分ぐらいしてから、左顔面に真っ白なガーゼを当てられたNASさんが出てきた。
とにかく応急処置だけなので、後は、週明けに地元の病院に行ってくれとのことだった。
こうして、取りあえず、応急処置を終え、この日は、帰路についた。 |
|
|
|
だが、この話は、まだ続くのであった。
時系列にメモしておこう。
3月18日(月)
NASさん、外科医院に行く。骨に異常なし、傷口も縫うほどではないと言われる。
だが、目が腫れているので、眼科医に行くことを勧められる。
続いて、眼科医院に行く。だが腫れており、目が開けられないので、改めての訪問となる。
3月21日(木)
NASさん、外科医再訪。外科的には診断終了。左目が開き、上目に見ると物が二重に見えることを認識。
3月22日(金)
NASさん、眼科医再訪。物が二重に見えることから眼窩底骨折の疑いがあることを指摘される。
このため、大病院への紹介状を書いてもらう。
3月25日(月)
NASさん、大病院へ。CT検査を受け、やはり眼窩底骨折とのこと。
目の動きのテストによって、手術をするか否かを決めると言われる。
但し、本日は、瞳孔を開く目薬を使用してしまったため、テストができないということで、後日となる。
3月27日(水)
NASさん、大病院再訪。テストの結果、手術決定。即入院となる。
3月28日(木)
NASさん、手術を受ける。
3月29日(金)
花立小僧、NASさんを見舞。手術は、全身麻酔だったそうだ。手術は、鼻の穴から内視鏡を入れて行ったらしい。
4月 2日(火)
NASさん、退院。
だが、顔の中にシリコン板が入っており、通院する必要ありとのこと。
4月10日(水)
通院にて、鼻に詰めていた綿を取り外し、少量の飲酒がOKとなる。
まだ薬は飲んでいるが、外見上は、全く問題なくなる。
5月 8日(水)
シリコン板摘出予定。これは、麻酔もせずに通常の処置室で行う予定とのこと。
入院中、NASさんが看護婦さんから聞いた話では、眼窩底骨折というのは、ボクシング、バスケット(肘打ち)、野球(ゴロの取り損ない、バント失敗)などのスポーツ関連が多く、それ以外では、酔っ払って階段からコケたり、躓いたりした場合とのこと。
山歩きで眼窩底骨折というのは、珍しいらしい。 |
|
|
|
今回は、いろいろと考えさせられました。
(1)救急車を呼ぶほどでもない怪我の場合、どこに連絡すれば、病院がわかるのか。
通常、地元の消防本部、消防署に問合せするのが一般的らしいですが、横浜市、川崎市には 上記の相模原救急医療情報センターと同様の救急医療情報センターがあります。
これは、丹沢でも、連絡先を確認しておくべきだと思いました。
休日急患で外科の場合、医療機関は、秦野市、伊勢原市にあるようです。
(2)単純な怪我と思われたのが、そうではなくなってしまったこと。
ウチの父親は、丹沢を一緒に歩いているとき、何度か下りで、コケることがありましたが、無事でした。また、槍ヶ岳の雪渓で滑落した時も、腕の傷程度の軽傷で済んでおります。
....そういえば、飲み会の帰り、階段で滑落された方も、おられましたが、無事でした。
そんな経験があるので、今回も、単純な怪我だと思ったのですが、結果は、予想外な展開となってしまいました。
(3)ウェットティッシュは、多めに持参しておくこと。
出血した場合、意外と大量に使用することがわかりました。
最後に今回、利用しましたタクシー会社:藤野交通株式会社さんには、大変お世話になりました。
この場を借りて、厚く御礼申し上げます。
|
※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。
|