トップページ他山域山行リスト>西穂高岳_記録20130811


西穂高岳

 山行日
2013年8月11日(日)・12日(月) 同行者:NASさん
 コース
8/11:西穂高口駅(13:20)〜(14:30)西穂山荘(泊)
8/12:西穂山荘(3:54)〜(4:11)丸山〜(4:59)独標(5:08)〜(5:39)ピラミッドピーク〜(6:23)西穂高岳(6:52)〜(7:52)ピラミッドピーク(7:55)〜(8:39)独標(8:45)〜(9:30)丸山(9:33)〜(9:47)西穂山荘(10:16)〜(13:40)上高地バスターミナル
 今回、高校時代の友人であるNASさんと西穂高岳から奥穂高岳を目指しました。
 天気には、この上なく恵まれましたが、思わぬ事態となってしまい、結果的に西穂高岳訪問となってしまいました。
 詳細は、以下をご覧ください。


<第1日>
 臨時特急あずさ71号に新宿から乗車。ここでNASさんと合流する。混雑を予想して早めに指定席を確保したが、座席が全部埋まらず、意外にもそれほど混んでいなかった。この列車は、新宿6:30で松本9:40着。一方、定期特急スーパーあずさ1号は、新宿7:00発で、松本9:45着。乗車した臨時特急は、新宿の出発時刻が、30分も早いのに後発のスーパーあずさ1号と、松本到着が、5分しか違わない。
 しかし、この5分が、その後の松本バスターミナルから新穂高ロープウェイ行のバスに乗れるかどうかの鍵ではないかと思い、敢えてこの特急を選択した。
 何せ新穂高への直行便は、午前に1便、午後に1便しかない。乗れなかったら、計画は、全て狂ってしまう。

 9:41、あずさ71号が、定刻1分遅れで松本到着。
 階段を登り、早足で、駅前の松本バスターミナルに向かう。
 新穂高ロープウェイ行バスの乗車券を購入後、バス乗り場に行くと、10名ちょっとの列だった。これなら、余裕で乗れると一安心。
 ....だが、その後、後方には、20人も並ばなかった。意外にも新穂高は、不人気なのか。

 10:00、新穂高ロープウェイ行バスが発車。
 長いバス移動が始まった。
[松本バスターミナルにて]

 釜トンネル手前で、バスは左折し、長い安房トンネルに突入した。このトンネルを通るのは、私にとって初めての経験だった。以前は、狭い道幅のワインディングロードで安房峠を越えていたため、登り/下りも大渋滞となっていた事が思い出される。それが今では、トンネル経由で、10分もかからないうちに岐阜県側の平湯へ着いてしまう。何だか過去を知っている自分が、ものすごく年寄のような気分になってしまった。
 
 12:11、終点新穂高ロープウェイに到着。予定よりも11分遅れたが、ここまで来れば、たいした問題ではない。
 早速、ロープウェイに乗車する。途中、ロープウェイを乗り換え、一気に標高2156mの西穂高口駅まで来てしまった。
 ....ロープウェイは、登山者以外に観光客も多く、満員状態。
[新穂高ロープウェイに到着] [ロープウェイで一気に高度を稼ぐ(後方撮影)]

 西穂高口駅からは、今日の目的地、西穂山荘が見えていた。それほど高度差があるようには、見えず、これは、楽勝と、NASさんと話す。
 予想外だったのは、すれ違う登山者の多さだ。いったいこれだけの人達、全てが西穂高なのかとは、思えなかった。(後で分かったが、独標手前の丸山までのハイカー等も含まれているようだ)
 樹林帯が長くて、視界が広がらず、我慢の登山が続く。
[西穂山荘に向かう]

 14:25、前方に小屋が見えてきた。意外に近かったという印象だ。(写真下左)

 小屋にチェックインし、ザックを置いて、再び外に出る。(写真下右)
 小屋の前の広場では、多くの登山者が休憩中だった。また上高地側のテント場には、続々と登山者が到着し、黄緑、黄色、青と、カラフルにテントが増えていった。
[西穂山荘が見えてきた] [山荘前の人々]

 汗が乾いたところで、小屋の中の土間にてNASさんと、生ビールで乾杯。(写真下)

 夕食後、外に出て、周囲の光景を堪能する。
 夕食前までは、雲でよく見えていなかった乗鞍岳が姿を現した。
 続いて、南東側に聳える霞沢岳を眺める。
 反対側の笠ヶ岳方面に移動し、夕日を撮影しようと、沈む前から準備していたら、やたらと虫に刺されてしまった。その後、幸い、雲の間から夕日が見られた。

 明日の朝も早いということで、19:30には就寝。
 こんなに早く寝られるかと思ったが、あっさり深い眠りに陥った。
[生ビールで乾杯]

<第2日>
 
3:30に起床して、まだ暗いうちに出発する。(3:54)

 空を見上げると、満天の星という訳ではなく、星は、それほど多くはなかった。
 だが、東寄りの低い位置にオリオン座を見つけた。
 オリオン座?
 あれっ、オリオン座は、冬で、夏は、蠍座ではなかったっけ。それにオリオン座は、南に見える筈だ。ということは、目の前の星は、オリオン座ではないのか。
 それにしては、オリオン座そっくりだな〜と、不思議に思った。
 帰宅後、調べたら、夏でもオリオン座は、夜明けに見えることが分かり、やはり、あれはオリオン座だったことに納得。
 ....夏でもオリオン座が見られるなんて、学校でも教えてくれなかったと思う。

 少し前に出発した中年男性3人組のライトを追いかけるように斜面を登っていく。まだ岩場でないので、歩き易い。
[暗いうちに西穂山荘を出発]

 4:11、緩やかなピークのような箇所を通過。ふと左を見ると、標識が立っており、ここが、丸山であることを知る。まだ足元は、暗かったが、北東の空は、すでに明るくなっており、上空は、もう星が見えなくなっていた。

 4:42、ライトを消しても、歩ける明るさとなった。
 周囲の山々には、全く雲がかかっておらず、笠ヶ岳や霞沢岳、焼岳の雄大な光景が広がった。時間があれば、三脚を立てて、じっくり撮影したいところだ。
 独標への登りがきつく感じる。
 振り返ると、下からまだライトの明かりがいくつか見えた。我々の後から出発した登山者が続いているようだ。

 4:59、独標到着。
 狭い岩だらけのピークだ。先行していたパーティも何組か休憩中だった。
[独標に到着(奥に笠ヶ岳)]

 周囲の登山者がヘルメットを被るのを見て、我々もここからヘルメットを着用した。NASさんに言わせると、最近は、穂高に行くなら一般ルートでもヘルメット携行を山の店が推奨するらしい。
 5:08、独標をスタートし、いきなり急な下りとなった。(写真下)
 こりゃ、落石が怖い。ヘルメットが欲しくなる訳だと、慎重に下っていく。真下には、別のパーティが下っていた。

 だが、5mぐらい下ったところで、NASさんから思わぬセリフが飛び出す。
 「ダメだ。オレは、ここでリタイアする。」
 「エッ、いったいどうした。」
 「どうも下りでのバランスが悪い。この下りで、もうハラハラして、この先を歩く自信がない。この間の眼窩底骨折の後遺症かもしれない。それに高山病が発症しているのかも。」
 「....」
 「ということで、スマンが、この先は、一人で行ってくれ。」
 「そうであれば、とりあえず西穂まで行ってくる。」

 ということで、この先は、単独行となった。
 確かに今日のNASさんは、昨日の西穂山荘までの登りの時とは、だいぶ違っていた。ペースがだいぶ遅かったのだ。おそらく、昨日は、まだ高山病の症状が出てこなかったのだろう。夜中になって高山病が発病したのではないかと思えた。
 ....ロープウェイで一気に登ったのが、行けなかったか。
[独標の下りにて]

 独標からは、ガラリと様相が変わった。急登/急降下の連続だ。それに落石が起きそうな箇所が、いくつかあり、確かにヘルメットを被っていた方がbetterだと思った。
 5:39、ピラミッドピーク到着。
 この先のルートを眺めていると、結構登山者が登っているのが見えた。皆、奥穂を目指すパーティだろう。まだアップダウンが続いている。その奥に聳え立つ、尖がったピークが西穂だろう。
 ここから、さらに気合を入れて、スタート。 
[ピラミッドピークを通過]

 5:44、初めての水分補給。振り返ると、乗鞍岳の後ろに御嶽山が見えてきた。
 
岩場を登っていくとき、ここは、下りのとき苦労しそうだなと思う箇所がいくつかあった。足場が見にくいのだ。
 6:15、急な登りの途中で、ペットボトルの水を再び一口飲む。風が強くなってきた。高山植物の撮影を諦めなければならないほどだ。
 岩がゴロゴロし、歩きにくい。岩に記された○印の白ペンキが誘導してくれるが、見失うときもあり、その度にちょっと焦る。目の前のピークには、何やら標柱が立っているのが見えた。
 標柱が立っているということは....

 やはり、そこが西穂高岳の頂上だった。(6:23)
 意外に近かったなぁと思いながら、ザックを下ろし、周囲を撮影する。
 振り返れば、焼岳、乗鞍岳、御嶽山。
 前方には、今まで見えていなかった槍ヶ岳が姿を見せていた。

 奥穂方面を眺めようとすると、逆光になり、眩しい。
 この先、間ノ岳、天狗ノ頭までは、この西穂高岳とそれほど標高が変わらないのだが、その奥、ジャンダルムは見上げるような高さだった。今回、この先に行けたとしても、これを見てしまうと、とても奥穂までは、無理で、途中の天狗のコルまでだったなと思ってしまった。
 まあ、挑戦する機会は、まだあるだろうと思いつつ、この先、奥穂に向かうパーティをいくつか見送った。
[西穂高岳に到着]

 約30分、頂上で休憩した後、引き返す。(6:52)
 岩場の下りでは、結構、慎重になった。登りのとき、ここは、下りの時やっかいだなと思った箇所は、案の定、時間を食ってしまった。
 楽に下れる場所では、視線を上げると、常に乗鞍岳・焼岳が目に入る。
 やがて、登ってくる登山者と何度もすれ違うようになった。ザックが軽そうなことから、西穂高岳までの登山者のようだ。

 7:52、ピラミッドピーク到着。
 そういえば、父は、20代の頃、西穂高に登り、西穂高は、楽勝だぞと言っていたのを思い出した。父は、中央線の夜行で行って、早朝、上高地から登り、西穂のピークに立ち、再び上高地に下り、夜行で帰ってきたと言っていたが、本当に西穂高まで登ったのかという疑問が湧いてきた。このルートが、とても楽勝とは、思えないからだ。ひょっとしたら、ピラミッドピークあたりを西穂だと思ったのではないかと思えた。
 ....その後、磐梯山に登った時、父に問合せてみたら、父も否定しなかった。というのも、夜行の帰りで同じような指摘をした登山者に会ったとの事。当時は、山頂に標識が、なかったらしい。
[ピラミッドピークからの急な下り]

 独標を過ぎて、ようやく歩き易くなった。
 行きの時は、まだ暗かったので、よく分からなかったのだが、今は、壮観な眺望を常に味わいながら、下っていく。

 丸山を過ぎると、ますます登山者が増えていく。小屋に近づくと、登山者とのすれ違いに時間を食うようになってしまった。
[ようやく岩場が終わる]

 9:47、西穂山荘に戻ってきた。
 NASさんと合流する。特段、体調が悪いという訳ではないようだ。そうであれば、時間もたっぷりあるので、帰りは、ロープウェイを使用せずに上高地に下ることにした。
 既にロープウェイが運行しているせいか、西穂山荘前は、すでに多くの登山者が休憩中だった。
 テントは、昨日の夕方から比べて、だいぶ減っている。そのテント場の横を通って、上高地に向かう。(10:16)
[西穂山荘に戻ってきた]

 樹林帯に入り、霞沢岳など周囲の山々は、全く見えなくなってしまう。オレンジ色の看板が目立つ。最初は、何だ?と思ったが、道標と分かってから、オレンジ色を意識するようになった。でも、かなり高い位置に取り付けてある。冬季用なのだろう。だが、オレンジ色なので、夏でも目立っていた。(写真下左)

 焼岳へのルートとの分岐点が、よく分からないまま、下っていくと、10:26、立派な道標が立つ分岐点に到着。ここで、上高地と書かれた方へ進む。(写真下右)
[オレンジ色の看板が道標] [焼岳方面との分岐点]

 結局、視界の広がるような箇所はなく、ひたすら樹林帯の中を下っていく。(写真下左)
 途中、木立の間から前穂周辺が見えたのが、唯一の遠景だった。
 下るにつれ、暑くなってくる。
 最後は、フラットな歩きとなったが、それでもなかなか車道にぶつからない。12:28、ようやく出てきた所には、立派な建屋が出来ていた。(写真下右)
[上高地に下っていく] [西穂高登山道入口]

 梓川を渡り、最短で上高地バスターミナルに行くつもりだったが、先ほど、前穂辺りが見えていたので、梓川の右岸沿いに進み、河童橋まで行き、穂高の姿を見に行くことにした。
 河童橋の前の売店にて、缶ビールを購入し、乾杯する。
 それにしても、観光客が多い。
 その後、河童橋の少し上流に進み、穂高を見上げる。
[河童橋は、大勢の観光客で賑わう]

 観光客の流れに乗りながら、13:40、上高地バスターミナルに到着。
 14:05発、新島々行きのバスに乗車し、松本に向かう。
 [上高地バスターミナルにて]


 今回は、奥穂まで行けず、残念でしたが、それでも初めて西穂ピークに登頂できたことに満足しております。特に天気にも恵まれ、雄大な光景を満喫できたことは、ラッキーでした。
 なお、この度は、松本に到着後、せっかくなので、NASさんと浅間温泉に泊まり、残念会のビールを味わっております。




※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。