トップページ他山域山行リスト>磐梯山_記録20130825


磐梯山

 山行日
2013年8月25日(日) 晴 同行者:父
 コース
八方台(9:51)〜(10:17)中ノ湯跡〜(11:53)弘法清水(12:06)〜(12:53)磐梯山(13:18)〜(13:56)弘法清水(14:02)〜(14:20)黄金清水〜(15:05)沼ノ平〜(16:04)天の庭〜(17:18)猪苗代登山口
今回は、久々に父との山行で、福島県の磐梯山を登ってきました。
父は、周囲の勧告を聞き入れ、北アルプス等の3000m級の山は、控えておりますが、その代わり、最近は、故郷:福島県の山を登りたいということで、昨年は、単独で安達太良山に登っています。そこで、今年は、磐梯山がターゲットとなりましたが、単独行は、もう危険ということで、今回、同行することにしました。

以下は、今年、85歳となった父との山行記録です。


 本当は、24日(土)に出発する予定だったのだが、会津地方は、曇りの予報だった。そこで晴れの予報である25日(日)に日程変更した。
 ....おかげで土曜の飲み会にの出席でき、メデタシ。メデタシ。

 早朝、横浜の自宅を出るときは、雨が降ったり止んだりしているような天気で、不安が募る。さらに東京駅から東北新幹線に乗車したときは、車窓に雨滴が流れていた。
 だが、東北新幹線が、宇都宮を出て、那須塩原に向かう頃、北側には、曇天から青空が見えてきた。
 郡山で磐越西線に乗り換えたときは、完璧な青空が広がった。
 日程変更が、見事に当たり、猪苗代駅で下車するときは、ピークに少しガスがかかっていたものの、陽に照らされた磐梯山の姿が眺められた。

 猪苗代駅に9:11到着。
 猪苗代駅からタクシーで八方台に向かう。
 他に多くの登山者がいたら、タクシー待ちが心配だったが、他の登山者グループは、中年女性の1組だけだった。駅前には、2台のタクシーが待っていたが、幸いにも、最初の1台に乗り込めた。
 運転手さんに昨日の天気を聞くと、雨は降らなかったが、一日中曇天だったという。やはり、昨日より今日の方が、天気は、いいようだ。
 さらに運転手さんから、もう少し遅かったら、交通規制に入るところだったと聞かされる。今日が、「うつくしまトライアスロンinあいづ」の開催日ということを初めて知った。ちょうど自転車のコースとぶつかるらしい。確かに路上には、時折、そのスタッフのような人々が待機しているのを見た。(後で調べたら、9:00に猪苗代湖の水泳がスタートしていたので、確かに危なかった)
[青空の広がる猪苗代駅で下車]

 さらに運転手さんからは、いろいろと聞き出す。
 ・八方台に向かう磐梯山ゴールドラインは、以前、有料道路だったが、3.11の震災後の夏から、観光復興施策の一環として無料開放となり、その後、料金徴収期間が満了となり、恒久的に無料開放となった事。
 ・磐梯山への登山ルートは、やはり八方台からの登山者が多い事。磐梯山頂上に最短距離で到達できるのが、その理由だろう。
....運転手さんとは、それ以外にもアルツ磐梯スキー場の事とか、いろいろ興味深い話あり。

 9:44、八方台登山口に到着。
 驚いたことに駐車場が満車状態で、警備の人が入ってくる車に少し下にある第2駐車場へと指導していた。登山者は、殆ど自家用車で来ているようだ。

 父が登山計画書に必要事項を記入し、箱へ投函する。
 今回、我々は、登りルートを八方台登山口からのコースとし、下山ルートは、猪苗代登山口とした。これだと、下山後は、駅に近い等、いろいろと都合がよい。  
[八方台登山口] [駐車場は、既に満杯]

 登山道に入ると、周囲は、背の高い自然林となった。ササも茂っている。
 このシチュエーションは、先日の四阿山でクマと遭遇した時と、よく似ている。そう考えると、ちょっと緊張感が走る。父は、ゆっくりマイぺースだ。
 こちらは、途中で高山植物を撮影したりして、父を追う。

 最近、父の歩行スタイルは、ゆっくり歩き、途中で殆ど休まないというもの。父曰く、歩くこと自体は、全く問題ないが、身体のバランスを保つのが難しいとの事。特に下りが難しいらしい。下りの場合、普通、足の指が伸び、指先でバランスを取るのだが、その指が伸びず、力が入らないため、左右に倒れやすくなっているとの事。
[樹高のある自然林の中を歩く]

 10:17、樹林帯から、前方の視界が広がった。
 途端にイオウの臭いが鼻を衝く。左手前方に廃屋のような建屋が見えてきた。ここが、中ノ湯跡のようだ。
 正面には、今まで樹林帯で見えていなかった磐梯山の頂が、眺められた。
[中ノ湯跡に出た]

 中ノ湯跡を過ぎると、再び樹林帯に入る。ここから、ちょっとした登りが続く。
 ふと、すれ違う登山者が多いことに気がついた。どうやら、朝一番に自家用車で八方台の駐車場に来て、磐梯山に向かった人達が下って来ているようだ。
 10:57、ちょっとした展望地に出た。振り返ると、桧原湖が目に入る。
 登りが一段落すると、フラットな歩きとなる。(写真下)
 だが、相変わらず、遠くの景色は、サッパリ見えない。時々、急な登りになったりと、歩く方は、変化があって飽きないのだが、遠景をカメラで撮るということは、ほとんどない。
 ....父の後ろ姿ばかりの撮影が続く。
[稜線伝いの登山道]

 11:53、ようやく視界が広がったと思ったら、目の前に小屋が現れた。
 小屋があるということで、ここが、弘法清水だとわかった。小屋の右手に湧き水がある。これが、弘法清水のようだ。意外に冷たい。
 小屋の前で腰を下ろして、小休止。地図(山と高原地図11「磐梯・吾妻」)で確認すると、ここから山頂までが急登で、コースタイム登り25分とある。そう言えば、先ほどのタクシーの運転手さんの話でも、ここからがキツイと聞かされていた。
 父は、それを見越しているのか、ザックから大福を取り出し、腹ごしらえ。我々の後に途中で追い抜いた団体さん30人が到着。小屋前は、一気に人だらけとなった。
 小屋は2軒あり、どちらも営業中だ。忘れないうちに登山バッジを購入。
 12:06、頂上に向かって出発する。
[小屋のある弘法清水に出た]

 今までの登山道とは、全く様変わりし、急登が続く。
 おかげで、父のペースが、だいぶ落ちてしまった。

 途中、すれ違った中年の男性登山者から、「お爺さんは、おいくつですか」とか、追い越していく若い男女からも、年を聞かれる。だが、85と答えるのが嬉しいようで、年を聞かれることが本人にとっては、栄養剤となっているようだ。でも、この登りの時に聞かれることが多かったことから、周囲の人は、父が相当バテていたのを感じ取ったのではないかと思う。(確かにすれ違ったり、追い越していく登山者数も、この登りが一番多かったのだが)

 弘法清水から登ること27分で、左手がガレ場となり、再び桧原湖の風景が広がる。だが、さっきよりも上空の入道雲が発達し、西吾妻山の頂上を隠していた。だが、見上げると、頂上は、まだ遠い。
 この分だと、コースタイムより、だいぶ時間をオーバーしそうだ。
[磐梯山ピークを目指す]

 12:53、ついに磐梯山の頂上に立った。
 不思議なことにあれだけ樹林帯が続いていたのに山頂付近だけは、岩だらけで、360度の視界が広がった。西の猫魔ヶ岳を見下ろし、北側に目を向ければ、桧原湖、吾妻山の山並み、そして東には、安達太良山などが、見渡せた。
 安達太良山は、特徴あるピークを持っているが、それよりも、ここからだと、白っぽい噴火口のような火山型の地形が特徴的だった。

 父からは、早速、昨年登った安達太良山をバックに記念撮影してくれと、注文がうるさい。
 ....いったい何枚撮影しただろう。
 
 山頂は、今までと違って風が強い。帽子が吹き飛ばされそうになる。見れば、山頂には、20人ぐらいの登山者が、風を避けるようにして、休憩中だった。南側に進んで、撮影する。

 360度の遠景を眺め終え、少し下って山頂標識のある場所へ向かう。
 山頂標識は、一段低い所に立っていた。(写真下)
 ここで記念撮影。ちょっと逆光だったのが、残念。
 先ほどの30人の団体さんが登ってきた。それとすれ違うようにして、山頂を後にする。(13:18)
[磐梯山頂上にて] [山頂標識は、少し低い所にあり]

 下っていく途中、桧原湖方面の壮観な眺めを堪能する。
 だが、前を行く父の歩き方が、なんとなくぎこちない。八方台から歩き始めた時、話していたように下りになると、バランス感覚が悪いためにストックに依存した歩き方になっていた。
 これは、危ないと思っていたが、急な段差のある下りでも、山道の端に木の枝などがあり、手を使って確保が出来たので、スムーズに下ることができた。
[来た道を引き返す]

 13:56、再び弘法清水に戻ってきた。ここで小休止し、今後のコースを確認する。時間的に見て問題なかろうということで、この後は、予定通り、猪苗代登山口への下山コースをとった。
 14:02、弘法清水を出発する。
 こちらのコースは、お花畑が広がっていた。だが、少しピークを過ぎていたようだ。
 お花畑経由での八方台登山口分岐点を通過。(14:10)(写真下)
[猪苗代登山口を目指す]

 斜面を下っていくと、右手に湧水を見つけた。コップが置いてあり、ここが、黄金清水だとわかった。
 水を手に取ると、ここも意外と冷たい。父は、コップで何杯も飲んでいた。
 ここから傾斜は、緩やかになり、正面に櫛ヶ峰を見ながら下っていく。
[黄金清水付近にて]

 黄金清水から大きくUターンするように下っていくと、渋谷分岐点を通過。
 ここまで下ってくると、殆どフラットで、歩き易い登山道となった。
 本来であれば、ここは、スタスタと歩いて行けるのだが、父のペースは、全く今までと変わらず、ゆっくり、ゆっくりである。
[渋谷分岐点]

 14:59、ふと右手に樹林の間から磐梯山の東側の岩壁が見えた。この姿を見ると、朝、電車から眺めた磐梯山と同じ山かと思えない程の姿である。
 山道は、殆ど水平となり、非常に歩き易くなった。
[磐梯山は、赤茶の岩壁を見せる]

 15:05、沼ノ平という古い道標を見て、ここが沼ノ平と知る。
 地図で見ると、このあたり沼があるようだが、水面が見えたのは左手1回だけで、後は樹林の密度が濃く、まったく水面を見ることはなかった。
 15:20、赤埴山分岐点に到着。
 左は、赤埴山ピークに向かうルート。右は、巻道だった。今日は、無理をしないということで、右の巻道を進む。
[正面に赤埴山を眺める]

 15:24、樹林の間から、磐梯山が姿を見せる。
 磐梯山の左側は、緑一色の樹林帯で、右側は、まだ岩壁が見える。但し、逆光気味で、山肌がくっきり見えないのが残念だ。
[磐梯山の眺め1]

 15:39、展望のきく場所に出た。今までの樹林帯歩きがここで終わるのか、期待してしまった。
 右手には、磐梯山がどっしりとした重量感ある姿を見せている。
 よく見ると、山腹には、「く」の字の沢があるのだが、そこにも樹林がびっしり茂っており、土の肌を全く見せていない。
[磐梯山の眺め2]

 15:43、溶岩が固まったような岩場にて小休止。
 ここで、水分補給。ペットボトル2本目を開けて、一口飲む。今日は、それほど暑いと感じていないせいか、あまり水分を摂取していない。
 ここでも磐梯山や猪苗代湖が眺められた。
 猪苗代湖は、湖面手前の平地に広がる水田の黄緑色の鮮やかさに目を奪われた。
[猪苗代湖を眺める]

 ようやく下り道となった。
 再び樹林帯に突入で、ひたすら足下を見るようになる。 
[樹林帯を下っていく]

 16:04、天の庭という道標を通過。
 まだ下り道が続く。だが、だいぶ岩が減り、土の登山道になってきた。
 そんな時だった。前方を歩く父が、突然、右側にゆっくりと倒れていくのが見えた。
 あれっと、急いで近寄ると、父が段差のあるところで、山道の右側に寝込むように倒れていた。メガネが草の中に飛んでおり、一瞬、顔面出血が予想された。
 しかし、血は、全く出ていなかった。ちょうど草(ヤブ)に突っ込んだ形だったので、固いものに当たらなかったのが幸いしたようだ。
 痛い所は、特にないという。出血していないので、表面からは、よく分からない。(だが、後日、聞いたら、翌日、右腕の肘あたりが打撲で腫れてきたらしい。どうやら右腕で顔を守ったようだ。)

 だが、Tシャツの右肩部分やズボン右半分は、泥だらけといった状況だった。
 「やはり、下りのバランスが悪かった。」と父。
 あの磐梯山頂上からの急な下りでは、問題なかったのに、何でこんな場所で?と思ったら、父曰く、「手で、確保できる木の枝がなかった。」
 ということで、どうも足とストックだけで段差を下ろうとしたため、バランスを崩したらしい。

 「これで、大山以来、またコケた。」と呟く父。
 今年2月に単独で大山に登った際、父は、頂上から見晴台に下る途中、転倒して、顔面出血を経験している。見晴台から下社まで戻ってきたとき、下社の下にある茶店のオバサンから、どうされました?と、心配されたらしい。
 頂上から見晴台への下りと言えば、見晴台寄りで、木の根が張り出すような、ちょっと危険な下り箇所が思い出されたが、転倒したのは、もっと上の方だったとの事。本人も、こんなところで転倒するとは、思ってもみなかったらしい。

 16:17、ようやく猪苗代スキー場のゲレンデ最上部に着いた。目の前に草原の斜面が広がっている。ここで、小休止し、父の服の汚れを落とす。
[スキー場の最上部に出た]

 16:25、出発。
 目の前のゲレンデを下っていかず、ここは、地図(山と高原地図11「磐梯・吾妻」)のルートで記載されている通り、右手奥に進み、山道が続く隣のゲレンデを下っていく。

 「イカンのぉ〜。山も、そろそろ危険区域に入ってきたか。」と父。
 父は、今年の秋で、ゴルフを引退するつもりらしい。理由を聞いてみると、もう面白くなくなったとの事。確かにドライバーだろうが、9番アイアンだろうが、飛距離が、殆ど変わらないのでは、ショットも面白くないだろう。
 そんな折の今回の転倒である。山もそろそろ「引退」の文字が見えてきたかもしれない。

 「大怪我する前にやめた方がいいよなぁ。」
 「鍋割山にも、もう行けないなぁ〜。」
 「もう山は、円海山・天園の鎌倉ハイキングコースだけにしよう。
と父は、ブツブツ独りで話している。
 私も時々、独りでブツブツ言う癖があると、周囲から指摘されているが、これは、どうやら親譲りのようだ。 
[ゲレンデを下っていく]

 ということで、今回の磐梯山が、父との最後の山行となる可能性が出てきてしまった。行くまでは、全く考えてもいなかったことなので、こちらも狼狽してしまう。
 そんな訳で、ゲレンデ内を下っていく父の姿を何枚も撮影する。
 ゲレンデの黄緑の草原と、父の後ろ姿が、とても印象的な光景となった。
 [猪苗代登山口に向かう父]


 今回の磐梯山登山ルートは、なかなか変化に富んだもので、非常に飽きの来ない、楽しい山行でした。
 前半は、桧原湖や吾妻山の稜線を眺めながら、山頂を目指す山行。後半は、磐梯山の様々な角度からの眺めを味わう山行という感じでしょうか。磐梯山ほど、南と北での山容が、極端に異なる山も珍しいと思いました。

 また今回、父の口から、山に対する引退宣言が突如出されました。今後、もう丹沢ですら、父と歩くことは、ないかもしれません。この山行が父との最後の山行となってしまったのかと思うと、一抹の寂しさを感じざるを得ません。




※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。