トップページ他山域山行リスト>天狗岳_記録20140719


天狗岳 〜八ヶ岳〜

 山行日
2014年7月19日(土)・20日(日)  同行者:YSさん
 コース
7/19:麦草峠(12:25)〜(13:35)丸山(13:45)〜(14:03)高見石小屋(14:05)〜(15:21)展望台(15:25)〜(15:30)中山(15:32)〜(15:58)中山峠〜(16:05)黒百合ヒュッテ(テント泊)
7/20:黒百合ヒュッテ(5:44)〜(5:49)中山峠〜(6:53)東天狗(7:04)〜(7:23)西天狗(7:43)〜(7:58)東天狗〜(8:49)天狗の奥庭〜(9:15)黒百合ヒュッテ(10:18)〜(12:25)渋の湯
 今年の7月3連休は、八ヶ岳/天狗岳に行ってきました。パートナーは、昔の職場関連の知人であるYSさんです。YSさんとは、過去に富士山、北岳、白馬岳、槍ヶ岳、奥穂高岳、五竜岳等、一緒に登っておりますが、今までは、全て小屋泊でした。
 そこで、今回は、テント山行を企画しましたが、2人なのに各自がテントを持参するという珍しいパターンとなりました。


<第1日>
 JR八王子駅のホームで、YSさんと待ち合わせ、8:34発のスーパーあずさ5号に乗車。
 連休の初日ということで、だいぶ前から指定席券は、売り切れており、自由席特急券を購入。ギュウ詰めが予想される自由席では、息苦しいので、2人して指定席車両の洗面所横のデッキに乗り込む。茅野までは、約1時間半なので、たいしたことはない。
 ....松本までだと、ちと苦しいが。

 10:08、茅野到着。
 麦草峠行きのバス乗り場に行ってみると、既に行列が出来ていたが、我々も十分、乗れる程度の人数だったので、一安心。何せこのタイミングで、乗れなければ、次のバスは、14:00発なので、計画が狂ってしまう。
 10:35、バスが発車する。市街地を抜けて、別荘地エリアに入り、やがて登り坂になってくる頃になると、上空の雲行きが怪しくなった。今までは、まだ明るい雲だったのだが、それが、今にも雨が降ってきそうな雲に変化している。
 「せっかくの連休なのに。」
 「どうやら持ちそうもないですね。これでは。」
この先、雨中の山歩きとなるのは、避けられないようだ。

 11:43、麦草峠到着。
 バスは、国道299号線から入り込んで、麦草ヒュッテ前の広場に停車した。
 初めてヒュッテ内に入り、山菜蕎麦を注文する。
 ....何故か山では、山菜蕎麦が食べたくなる。

 ヒュッテを出ると、もう上空は、雨雲だらけとなった。ザックカバーを装着し、まずは、丸山のピークを目指して出発する。(12:25)
[麦草ヒュッテ前にて] [左:白駒池の分岐点にて]

 歩き始めてから10分ちょっとで、案の定、雨が降ってきた。YSさんは、雨具の上下を装着。私は、雨具の下半分だけを着用し、傘を差すことにした。(荷が重いので、上着は暑過ぎると思った。)
 傘の利用は、両手が濡れない、カメラも濡れない等、カメラ撮影には、かなりプラスの点が多い。
[緩やかな樹林帯を登る]

 13:02、雨が小降りになったかと思ったら、幸いにも止んでくれた。
 13:33、緩やかな登りが終わり、ようやくフラットな歩きとなる。

 丸山頂上に13:35到着。
 頂上といっても周囲は、一面、ガスでの中なので、眺めは、全く無し。まあ、ここは、晴れていても、中山方面の一部しか見えないらしいのだが。
 確か同じバスの乗客だった山ガール風のお二人が既に休憩中だった。せっかくなので、YSさんとの記念撮影を撮ってもらう。彼女らが去った後でも、ゆっくり小休止しようと思ったが、ここは、何やら小さな虫が飛び回っており、口を開けて呼吸していると、飲み込んでしまいそうになる。そんな訳で、この場を離れ、さっさと歩き始めることにした。
[丸山頂上に到着]

 急な下りとなる。
 相変わらず、小さな虫を飲み込みそうになる。
 この丸山という山は、全山、シラビソ・ツガ等の樹林帯という感じで、遠景も樹林によって遮られてしまい、良く見えない。今日は、ガスが発生しているので余計にそうだ。
 登山道が、幅広で明確だからよいが、これだけ同じような高さ、太さの木ばかりに囲まれていると、もっと細い山道で、ケモノ道が錯綜していたら、絶対、迷ってしまいそうだ。
[丸山からの下りにて]

 丸山から高見石小屋まで地図上のコースタイムは、15分。
 左手から白駒池ルートが合流し、そろそろ小屋かなと思ったら、ここにきて再び雨が降り始めた。それもいきなり本降り状態だ。さっきまでの降雨とは、全く違った降り方だった。

 14:03、高見石小屋前に到着。小屋に入って休憩しますかとYSさんに聞くと、このまま行きましょうとの返事。
 確かに小屋に入るとなると、カッパを脱いだりしなければならず、面倒だ。
 そんな訳で、小屋の前でデジカメ撮影(写真下)だけして通過する。
 雨は、相変わらず、本降りのままだ。
 ここから次のピークである中山を目指す。
[高見石小屋の前にて]

 緩やかな登りが始まった。
 先ほどの丸山への登りは、まだ少し変化があったが、ここは、ルートも一直線。斜度も一定だ。遥か先は、ガスでよく見えない。そんな状況が延々と続く。(写真下)
 「雨が降り、周囲は、樹林帯で、道は、単調な一直線登り。視界は、全く変わらない。」
 「もうこれは、修行ですね。」
 そんな会話の後、黙々と歩くが、さすがに精神的に疲れてくる。
[一直線の樹林帯登り]

 ようやく斜度がフラットになった。
 すると右手の樹林帯が消え、何やら岩場のようになった。地図で確認すると、ここがどうやら展望台らしい。(写真下)
 だが、乳白色の向こうには、何も見えない。嫌なのは、先ほどから聞こえてくるようになった雷鳴だ。傘を差すのが恐ろしくなったので、ここで、傘を畳み、雨具の上着も着用することにした。

 ゴロゴロと雷鳴が聞こえてくるが、右上の空から左上の空に音が移動していくのがわかるのだ。そのうち、どこかにドカーンと落ちないかとヒヤヒヤしながら進む。
[中山の展望台に出た]

 樹林帯に入ると、一本の標柱が立っており、これが中山頂上だと分かった。(15:30)
 ここは、記念撮影だけして通過する。
[中山頂上にて]

 中山頂上を過ぎると、すぐに下りになり、低木帯となった。晴れていれば、東側の風景が広がるような場所だ。(写真下)
 だが、今は、とにかく上空の雷鳴が恐ろしい。さっさと通過することしか頭になかった。
[雷鳴の中、中山峠に下っていく]

 15:58、ようやく中山峠に到着。ここまで来れば、キャンプ地の黒百合ヒュッテは、もうすぐだ。
 しかし、雨は、一段と強くなり、土砂降り状態となった。
[土砂降りの中山峠(振り返って撮影)]

 16:05、黒百合ヒュッテに到着。
 雨具を着ていることもあり、すぐに小屋の中に入らず、入口から離れた軒下で小休止。(写真下左)
 テント場の奥の方で団体さん(10人以上だった)が、この大雨の中、テントを張っていた。これでは、張った後でも、テント内は、かなりビショ濡れだろうなぁと思いつつ、YSさんと眺めていた。(写真下右)

 雨脚は、全く衰えず、正直なところ、この雨の中で幕営する気になれなかった。
 「どうしましょうか。小屋の素泊まりに変更しましょうか。」
 そう思い、素泊まりを申し込もうと思って、小屋の中に入ると、意外にも、大勢の登山者が休憩中だった。
 「今日は、テントをやめて素泊まりの方も多いです。食事のできる場所は、この土間と、あの円形テーブル付近だけですので、ちょっと今日は、狭いかもしれません。」
 小屋受付のスタッフさんにそう言われてしまうと、素泊まりに対しても躊躇してしまう。
 「素泊まりの件、ちょっと考え直します。」
 そう言って、小屋の外に出る。

 外は、ザーザー降りの大雨、小屋の中は、満員の登山者の熱気でムンムン状態。
 「う〜む。どうすべきか。」
 「どちらを選択しても、辛いですね。」

 だが、時間が経過していく中、ラッキーなことが起きた。
 雨が小降りになったのだ。
 「この程度であれば、予定通り、テントにしましょう。」
 ということで、小屋受付にテント泊を申し込む。
[黒百合ヒュッテの軒下で小休止] [テント場を見渡す]

 「あの大雨の中でテントを張らなくてよかったですね。」
と言いながら、軒下にてザックから、テントを取り出す。
 この軒下で、テント本体にフレームまで通しておき、フライを被せた状態で、一気に設営場所に持っていく。
 ここのテント場では、テントの下に簀の子を置いていいですよと小屋スタッフの方から聞いていたので、余っている簀の子を使わせてもらう。これで10cmは、テントが高くなり、余程のことがない限り、テント内に水が入ってくることはないだろう。

 2つのテント入口を向き合うように位置を調整した後、ザックをテントの中に入れ込む。私のは、2人用テントなので、一人で使用する場合は、ザック等の荷物を入れても、十分余裕がある。こういった天気の悪い日には、ありがたい。
[雨が弱まったところで、テントを張る。左:YSさんテント、右:花立小僧テント]

 テントを張り終え、辺りが薄暗くなってきた頃、あの土砂降りだった雨が止んでしまった。どうやら典型的な夏の夕立だったようだ。
 これは、ついてますねと、早速、酒を取り出し、お互いのテントに腰掛け、乾杯。
 簀の子のお蔭で、足の位置よりも腰の位置が一段高くなっているので、座り易かった。


 今日は、日本酒と、宇和島のじゃこ天
(今週行った出張の帰り、福岡空港で何故か売っていた)、宮崎の地鶏(これも福岡空港でGET)、ウインナーなどを取り出しては、腹に詰め込む。日本酒がなくなると、小屋に行って、ワインを購入。もう酒とツマミだけで、腹が一杯になった。
 ....最後にカレーライスを作ろうと思ったが、中止。
 
 YSさんとは、久々にいろいろと話が出来て、満足。酔いもだいぶ回ってきたので、20:00には、就寝。
 ....簀の子のお蔭で、横になっても楽だった。今回は、簀の子の有難さをしみじみ知る。
[寒いので日本酒] [ウィンナーを炒める] [黒百合ヒュッテのワイン購入]

<第2日>
 4:30起床。雨は、降っていなかった。
 湯を沸かしてホットコーヒーを飲み、一口サイズのバームクーヘンを何個か、朝食として食べる。
 5時半近くになると、南側の雲が消え、青空が見えたが、すぐにガスに覆われてしまった。まあ、こんな空であれば、少なくとも午前中は、雨は降らないだろうと思われた。

 サブザックの中に水、雨具、軽食などを入れ、天狗岳に向けて出発する。(5:44)
[天気は、良さそう]

 中山峠に向かう。
 土砂降りの中の昨日と違って、今日の中山峠は、明かるかった。だが東側には、薄らなガスがかかっており、遠景を眺めることは相変わらず、ダメだった。
 峠で右折し、東天狗に向かう。すると、正面の南側は、青空が広がっていることに気がついた。

 これは、幸先がいい。
 そう思って、登山道を進んでいくと、展望地に出た。
[展望地にて]

 高度を稼ぐ登りとなる。今日のYSさんは、ザックが軽いこともあり、全然ペースが違う。こちらがカメラ撮影していると、すぐに離されてしまう。
 6:07、振り返ると、稲子岳の垂直な岩壁が見えてきた。(写真下)

 6:12、正面の天狗岳にかかっていたガスが切れた。
 デジカメを取り出す。
[振り返ると、稲子岳が見えた]

 6:53、東天狗頂上に到着。
 上空は、雲だらけだったが、南側の光景が素晴らしかった。視線を少し落とすと、根石岳からの稜線沿いの登山道を歩き、こちらに向かってくるパーティの姿が見える。30分以内には、この頂上に到着するだろう。
 西天狗などを撮影していると、徐々に山頂に人が集まってきた。混雑する前に西天狗に向かう。
[東天狗の頂上にて]

 下って登るパターンだが、背中のザックが軽いためか、登りも苦にならない。快足人となったYSさんは、だいぶ先を歩いていた。
[続いて西天狗を目指す]

 7:23、西天狗頂上に到着。
 頂上には、誰も居なかった。それに比べて東側にシルエット状に見える東天狗頂上には、人が多かった。
 先ほど東天狗から眺めた赤岳方面だが、ここにきて光景がだいぶ変わっていた。
 結局、20分間、この山頂にいたのだが、登ってきた登山者は、1人だけだったので、静かな山頂のひと時を味わう。
 だが、下りは、大勢の登山者とすれ違った。頂上に居たタイミングが良かったようだ。
[西天狗頂上にて]

 帰りのコースは、天狗の奥庭を経由して黒百合ヒュッテに戻ることにした。
 東天狗の下りで、左の分岐路に入る。(8:11)
 最初は、登りのときとさほど変わらない登山道だった。(写真下左)
 しかし、下っていくにつれて、歩きにくい岩歩きとなった。(写真下右)
 足場を注意して見ていないと、岩から落ちそうになる。バランス感覚が試される箇所だ。慎重に歩いたため、だいぶ時間を要した。
 8:49、天狗の奥庭という道標前を通過し、すりばち池が近づいてきた頃、ようやく歩き易くなってきた。
[帰りは、天狗の奥庭経由とした] [岩だらけのルートが続く]

 すりばち池を右に見ながら、迂回するように進めば、眼下に黒百合ヒュッテが見えてきた。ここから、岩だらけの急な下りとなる。
 9:15、黒百合ヒュッテ到着。
[黒百合ヒュッテを見下ろす]

 無事、天気が持ってくれ、ホッとしながら、テントを撤収。
 今回、酒とツマミ関係は、消化したが、食料が一杯余っており、ザックの重量は、あまり変わらない感じだ。
 10:18、黒百合ヒュッテを出発する。
[テントを撤収] [今回のザックは、70/95リットル(YSさん撮影)]

 渋の湯を目指して下山するが、歩き始めは、これまた天狗の奥庭のような岩がゴロゴロした登山道だった。だが、背中のザックは重い、岩は濡れていて滑りやすいということで、条件は、さらに悪かった。
 こんな下りは、そう続かないだろうと思っていたのだが、意外に長く、11時過ぎぐらいまで続いた。
[これまた歩きにくい登山道] [岩が濡れているので慎重に下る]

 11:12、唐沢鉱泉との分岐点到着。
 ここの分岐点を見落とすと、致命的なので、だいぶ前から地図を片手にウォッチしていたのだが、なかなか現れず、ハラハラしていた。ここでは、登山者が見落とさないように登山道の左右にそれぞれ道標が立っていた。

 その後、八方台分岐を通過し、ようやく渋の湯への下りとなった。(写真下)
 ここまで来ると、登ってくる登山者とすれちがうようになる。

 丹沢の登山道に慣れてしまっているせいか、分岐点以外にも道標は、立っているものという先入観がある。だが、最近、他の山域を歩いて感じるのは、普通、道標が立っているのは、分岐点だけということだ。ここも分岐点以外に道標は、なかった。また、渋の湯に下る際、最初は、「渋の湯」「渋の湯入口」と道標に書かれてあったが、途中から「蓼科登山口」「奥蓼科」「奥蓼科登山口」となり、「渋の湯」の名称が消えてしまう。
 こんな状況だと、地図を持っていないと、行先名称で勘違いする場合も出てくる。
 特に、この登山道は、樹林帯の中だけで、途中、視界の広がる箇所などは、全くと言っていいほどなかった。それゆえ、頼りになるのは、道標と地図だけだった。(登山者も少なかった)
 今回、地図を忘れていたら、恐ろしいルートだったかも、と思えた。
 ....最近は、GPSが、あるけど。
[渋の湯に近づく]

 12:25、渋の湯バス停に到着。
 まだバスの時刻まで2時間半ぐらいある。まずは、目の前の渋御殿湯に日帰り入浴する。
 ここの温泉は、大昔、バイクツーリングで立ち寄り、入浴したことがあり、今日で2回目だ。浴室は、以前と変わらず、床が、板間だった。それゆえ滑りやすいことは、分かっていたのだが、それでも右足が滑り、危うく転びそうになった。
 風呂上りにYSさんと思いっきり冷えた缶ビールで乾杯。
 ....もう最高!

 バスの発車時刻まで、まだたっぷり時間があるので、YSさんと話し、ここは、タクシーを呼んで、さっさと帰ろうということになった。13:57、タクシーに乗車。
 ....但し、タクシーが呼ばれて来るまで30分かかっている。
[渋御殿湯にて入浴]

 茅野駅、14:30到着。予定していたバスだったら、15:41着だったので、だいぶ早く着くことが出来た。
 ....ちなみにタクシー代は、7,300円

 帰りの特急券を購入しようと、駅の窓口に行くと、帰りの時間帯が早まったおかげで、指定席が得られた。まだ発車まで、1時間弱あったので、近くの蕎麦屋に入り、日本酒で乾杯。

 ....酒は、地元岡谷の「高天」という銘柄で、酒、蕎麦、それに天ぷらも最高に美味かった。
[茅野駅前の蕎麦屋にて乾杯] [蕎麦の味もなかなかgood]


 初日は、雨の修行となりましたが、予定通り、テント泊でき、2日目は、天候に恵まれ、無事、登頂し、下山後には温泉、ビール、酒、蕎麦と、思い出に残る登山となりました。

 YSさん
 ご同行ありがとうございました。また、そのうち、ご一緒させて下さい。
 やはり、次回もテント山行がいいですかね。
 ....飲み過ぎに注意しましょう。




※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。