トップページ他山域山行リスト>男女倉山(ゼブラ山)_記録20150307


男女倉山(ゼブラ山) 〜霧ヶ峰〜

 山行日
2015年3月7日(土)・8日(日) 曇・曇
同行者:宝塚すみれさんチーム(2名)
 コース
3/7:ヒュッテ・ジャヴェル(13:50)〜(15:12)車山湿原界隈(15:30)〜(16:18)ヒュッテ・ジャヴェル
3/8:ヒュッテ・ジャヴェル(9:15)〜(10:05)八島ケ原湿原横〜<雪知らずの沢>〜(11:27)男女倉山(ゼブラ山)(11:35)〜(12:06)北の耳頂上手前(13:07)〜(13:33)南の耳頂上の下〜(14:10)ヒュッテ・ジャヴェル
 今回は、宝塚すみれさんチームからのお誘いで、霧ヶ峰峰に行ってきました。霧ヶ峰にあるヒュッテ・ジャヴェルでのイベント「第12回霧ヶ峰スノーシューとドイツワインの会」に参加するためです。
 お蔭で、今回は、雪山ハイクとドイツワインを十分、堪能してきました。
 詳細は、以下をご覧下さい。

※「宝塚すみれ」さんという名は、鍋割山荘スタッフの方が名付け親のハンドルネームです。


<第1日>
 11:55、上諏訪駅にて、予約してあったジャンボタクシーに乗車。
 タクシーは、県道40号線を進み、山間部に入っていく。

 もう35年以上前の学生時代の夏休みに、この道路をバスで通ったことがあった。曲がりくねった坂道をバスがエンジン音を高くして登っていくのだが、ガードレールの無いカーブを登っていくので、手に汗握りながら、運転手のハンドル操作を見つめていたことを昨日のように思い出す。
 今であれば、ガードレールが設置されている筈だが、今日は、除雪のために積まれた雪の壁のためにガードレールの存在が、よくわからない状況だった。

 ガスのかかった霧ヶ峰スキー場前を通過する。こんな濃いガスの中では、スキーなんて怖くてできないなぁと思っていたら、間もなく目的地のヒュッテに到着した。
[すぐに道の両側は、雪だらけとなった]

 タクシーを降りて、ヒュッテへの小道を歩く。
 左手には、ヒュッテの看板が雪に埋もれていた。「今年は、いつもよりだいぶ雪が多かったですね」と、先ほどのタクシー運転手さんの言葉を思い出した。

 ヒュッテに入り、荷物を整理した後、今回の開会ミーティングが開催された。今回、初めて参加したのは、私一人だけで、他の人たちは、皆リピータだったことが判明。
 さっそく足慣らしということで、ガイドさんに連れられて雪上ハイキングに出かけた。
[ヒュッテの看板が雪に埋もれていた] [ヒュッテ・ジャヴェル]

 スノーシューがイベント目的の一つになっていたが、スノーシューのレンタル品が他のユーザとバッティングしているということを事前に聞いていたので、我々3人は、ワカンを持参してきた。
 私の場合、もう10年ぐらい前に冬の丹沢用として、ワカンを購入していたのだが、なかなか使用する機会が訪れず、結局、今回が初使用となってしまった。
 装着して歩き始めたら、これは便利とすぐ分かった。今の時季の積雪に対し、踏み跡のない雪上を歩いてみると、ツボ足のように一気に沈み込むようなことはなく、ゆっくり沈んでいく。これであれば、ツボ足の時のように足首を捻ってしまうようなケースは、稀だろうと思えた。
[樹林帯の中を進む]

 冬枯れの樹林帯を抜けると、前方は、真っ白。
 一面、緩やかな斜面の雪原となる。
 幅広いゲレンデスキー場を歩いているかのような気分だ。
 ここで、左側に一本の木が目に入った。
[緩斜面の雪野原に出た]

 ガイドさんに案内されながら、右手の沢(夏であれば、沢だが、今は単なる窪地のように見える)沿いに進んでいく。
 この右手前方は、車山湿原となり、今歩いているルートも雪がなければ、遊歩道の上のはずだ。
途中で振り向くと、いつの間にか背後のガスが、切れていた。
[車山湿原方面に進んでいく]

 15:12、道標に到着。(写真下左)
 ここは、丁字路のようだが、我々以外の踏み跡は、見当たらなかった。
 左は、蝶々深山、右は、白樺湖とある。左の緩やかな斜面を登っていけば、蝶々深山の山頂のようだ。
 ガイドさんから、今日は、ここまでにしましょうとの事で、小休止となった。

 周囲を見渡せば、ただ白い雪原のみ。車山方面の斜面にスキー場のゲレンデがほんの少し見え、スキーヤーやスノーボーダーたちが滑っているのがわかった。方向からして車山高原スキー場だろう。

 緩やかな起伏のある斜面を眺めていると、北海道の美瑛のような斜面を思い出す。だが、ここは、森林限界となる標高でもないのに、木が少ないのは何故なのか...そんなことを帰宅後、調べてみたら、「非常に古い時代から山麓の農家の人たちが入山して、田畑の肥料、牛馬の(特に冬季の)飼料にする草刈りをした。毎年よい草が発芽し生育するために、雪どけの季節には全山的に火を入れて古い枯草を灰にした。結果として樹木の発育成長は、抑止されて美しく良質な草原の保全と維持が続いた。」と記された書籍を見つけた。
 ....出典 「わが高原 霧ヶ峰」手塚宗求(山と溪谷社)


 どうやら、人の手が入っていたから草原状態が継続していた訳で、「草刈りもしなくなり、火入れもしなくなると、草原は次第に森林化するようになった。このまま放置するとやがて霧ケ峰は森林の山になるだろう」と結論づけられている。
[合流点に到着] [今日は、ここまで]

 16:18、ヒュッテに戻ってきた。
 風呂に入り、夕食を済ませた後、いよいよ、本日のお楽しみ、ドイツワインの会がスタートした。ドイツワインについては、全くの素人だったが、今回、各銘柄に対し、解説を聞いた後、ワインを味わうのは、なかなか凝った趣向だ。
 今回、味わったワインは、9種類。今回飲んだ中では、モーゼル川流域のワインが特に気に入ってしまった。
 いつしか時間は過ぎていき、2時間半以上、ワインを味わっていた。
[今回味わったドイツワイン]

<第2日>
 昨晩のワインのお蔭で、すぐに眠れたので、今日は、朝から絶好調。
 9:15、ヒュッテを出発する。
 今日は、8人パーティとなった。天気は、残念ながら昨日と同じようにガスに覆われた状況だった。
 1列になって進んでいく。
 今日は、八島ヶ原湿原方面に向かう。
 やがて、左手が八島ヶ原湿原となる。これが夏であれば、高山植物の宝庫となるのだが、今、見えているのは、単なる雪の平原だ。いつの日か、夏の時季にも訪れてみたい、そう思った。
[平原を進む]

 沢沿いに入ると、雪深くなった。
 それでもどんなに足が沈んでも30cmぐらいなので、安心して歩いていける。
 おまけに傾斜は、ゆったりとしており、まさに雪上の散策だ。
 左手奥には、落葉松林の姿が見えた。この辺は、ズミの木が多いと聞く。
[樹林帯を進んでいく]

 やがて、樹林帯が消えて雪原が現れた。傾斜が少し強くなった。
 このガスがなければ、素晴らしい光景が広がるのにと思いながら、10m先は、何も見えない(GPSが無ければ、どの方向に進むかも分からない)状況で、正面の斜面を登っていく。
[樹林帯を抜けると、スキー場のような雪斜面となる]

 11:24、ようやく登り斜面が終わった。ここは、右手が登りとなる尾根筋だった。
 右折してピークを目指す。
[尾根筋に出て右折し、尾根を進む]

 11:27、男女倉山(ゼブラ山)頂上に到着した。
 ここで、ランチタイムをしようと計画していたのだが、あまりにも風が強いため、もう少し先の樹林帯のあるエリアで、ランチにしましょうとガイドさんの提案で、この先、さらに進むことにした。

 山頂に立っていた標柱には、「ゼブラ山」と書かれてあり、なんでこんな英語(zebra = 縞馬)のような名前がついたのか、帰宅後、調べてみた。
 すると、前出の「わが高原 霧ヶ峰」にて、「この「ゼブラ山」にしても私が取りあえず命名したものである。」との記述を見つけた。どうもガイドの記事を書くにあたり、手塚氏が無名の場所に名前をつけられたようだ。では何故ゼブラ山なのか、前出の出典を読むと、以下のような事が書かれてあった。
 「霧ヶ峰で階段地形が見られるのは、鷲ヶ峰、蝶々深山、車山などだが、その地形がもっとも判然としているのがゼブラ山である。浅い積雪状態の時は、棚田状の平坦部分に雪がつき、傾坂部分は枯草が出ている。深い降雪の後も強風が吹き荒れると傾坂部分の雪は吹き飛ばされて枯草が露出する。雪面と草原が縞模様になってゼブラのように見える。」
 なるほど、山腹の縞模様から、ゼブラ山と命名されたようだ。地図上では、男女倉山という山名が別に付けられているが、これは、もともと北側(長和町)に男女倉という地名があることから、この辺りの人々が、そう呼んでいたのかもしれない。
[男女倉山(ゼブラ山)頂上に到着]

 ガスが濃くなり、左右を眺めても、雪の斜面と、その上のガスとの境界が分からず、この辺りの地形は、さっぱり分からない状況となった。時々見える樹林のお蔭で、この先が登りなのか、下りなのかが分かる程度だった。
[視界は相変わらず悪い]

 登り斜面の途中で左に樹林帯が現れた。
 ガイドさんから、ここでランチにしましょうとの発言あり、ザックを下ろす。
 すみれさんからカップヌードルをご馳走になる。やはり、冷気が頬を刺す中、温かい食べ物は、有難い。その後、ガイドさんからホットワインを戴く。これは、昨晩のドイツワインの会の延長である。まずは、珍しい白のホットワイン、それから赤のホットワインをご馳走になる。なんだかんだと、おかわりを戴き、いい気分になってきた。
[針葉樹林の中でランチタイム] [ホットワインを戴く]

 ランチタイムが終わり、時間的に見て、あまり余裕がないので、ヒュッテまで最短距離で帰ることになった。先頭のガイドさんを頼りに緩斜面をトラバース気味に進んでいく。
 やがて、前方に左が高い稜線が見えてきて、登り坂となる。地図を見ても、いったいどこを歩いているのか、さっぱりわからなかった。
[前方に薄らと稜線が見えた]

 途中、先頭のガイドさんも立ち止まって、地図で進路を確認。右折する。
 上下左右、どこを眺めても、真っ白な世界だ。ランチタイム前でも斜面の雪と、ガスの境界が分からないケースがあったが、それでも手前5mに立木があれば、それを見ることが出来た。だが、今は、立木など白色以外の物体が全く見えないため、白い3次元空間に迷い込んだ気分だ。
[濃いガスに囲まれる]

 下っていくと、前方に樹林帯が微かに見えてきた。
 どうやら、すぐ右下は、沢のようだ。
 後で、すみれさんチームから今回のGPS軌跡を戴いたが、それを見ると、単に下り斜面を下ってきた訳ではなく、最短ルートでヒュッテに向かっていたことが分かった。あのホワイトアウト状態で、よく進路方向がわかるものだと、改めてガイドさんの地図読みに脱帽した。
 ....単独だったら、間違いなく遭難。
[沢沿いとなり、樹林帯が現れた]

 14:10、予定通りにヒュッテに到着。
 今回初めてガイドさんがついた団体ツアー型の山行を経験したが、何ら問題もなく、楽しめた。
 この後、ヒュッテにて会の参加証を戴き、解散となった。
 [無事、ヒュッテに戻ってきた]


 今回、初めてワカンを使用した雪上ハイキングは、極めて快適な運動でした。ワカンが、こんなに便利なものだと初めて知りました。また、ドイツワインの味わい方や、雪上のホットワイン等、いろいろとお酒の面でも楽しむことが出来ました。
 改めてお誘いを戴きましたすみれさんチームに感謝致します。
 誠にありがとうございました。




※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。