トップページ他山域山行リスト>妙義山_記録20150425


妙義山(相馬岳) 〜西上州の山々〜

 山行日
2015年4月25日(土) 晴
同行者:NASさん、Bさん、Cさん、Sさん
 コース
登山者用無料駐車場(7:00)〜(7:04)道の駅みょうぎ(7:10)〜(7:18)妙義神社〜(8:37)辻(8:39)〜(9:10)見晴(9:15)〜(9:50)大のぞき(10:02)〜(10:26)天狗岩(10:34)〜(11:05)相馬岳(11:31)〜(12:40)堀切(12:58)〜(14:03)鷹戻しの頭付近(14:10)〜(15:04)分岐点〜(15:31)大砲岩分岐点(15:42)〜(15:45)第四石門〜(16:05)石門群登山道入口(16:15)〜(16:28)県立妙義公園駐車場
 今回は、NASさんの学生時代のクラブOB会山行に同行させてもらい、妙義山に行ってきました。妙義山は、山腹の県道196号線を20代の頃、バイクで走ったことはありましたが、山歩きは初めてです。見るからに岩場だらけで、山と高原地図「西上州」では、破線ルートだらけの縦走路となっています。
 とにかくアドレナリンが出っ放しの山行でした。
 詳細は、以下をご覧ください。


 Bさんの車にNASさん、Sさんとともに同乗し、前夜遅く、妙義山山麓にある富岡市登山者用無料駐車場に到着。金曜の夜だったが、他に車は、1台もなかった。Bさんの車の中で、ぐっすり寝込む。

 5:00起床。
 車の外に出ると、やがて朝日が昇ってきた。上空に雲は、無く、今日は、いい天気になりそうだ。
 朝食の前に斜面の上にある道の駅「みょうぎ」まで、トイレと顔を洗いに行く。
 道の駅の駐車場に出たら、妙義山(白雲山側)の全容が正面に現れた。
[登山者用無料駐車場にて]

 6:20、朝食している間にYさんの車が到着し、Yさん、Aさん、Cさんに挨拶。
 今回は、2グループに分かれ、東と西から妙義山を縦走し、交差縦走となる計画を立てた。但し、西側から縦走するYさん、Aさんは、途中でエスケープする予定なので、タイミングがずれると、出会えない場合もあり得る。西側の駐車場に車で向かう、その2人を見送った後、我々5人も出発することとした。(7:00)
 私以外のメンバーは、妙義山を何度も訪問しているが、もっぱら西側の金洞山(中ノ岳側)や裏妙義が多く、この白雲山(相馬岳側)は、初めて(もしくは、ものすごく久しぶりで記憶がはっきりしない)との事だった。
[道の駅「みょうぎ」に向かう階段にて]

 道路を渡ると、道の駅の案内板が立っていた。登山道の案内ではなく、近くの美術館やもみじの湯、妙義神社などの観光案内板だ。その最上段に妙義山、登山者のイラストが描かれてあり、それを見たBさんが、あのピッケルは、どう見てもツルハシだなぁ〜と指摘。
 そんな感じの図柄だね〜と、ツルハシの話題で盛り上がる。
 だが、我々は、この時、非常に重要な事を見落としていたのだ。それが分かったのは、30分後だった。
[妙義山案内板] [これは、ピッケル?(赤の矢印)]

 長い石段を登り、妙義神社の本殿に向かう。ここまで来るのに、もう汗ダクダクである。今日は、4月の割には、日差しが強く感じられた。
 妙義神社を参拝した後、境内から出ると、そこから先、登山道が続いていた。
[妙義神社に向かう]

 登山道に入った時、ふと疑問が湧いた。
 「関東ふれあいの道」と書かれてあった道標を見かけたからだ。でも「大の字」という行先の文字も見た記憶がある。果たして、このルートでいいのか?と思って進んでいくと、丁字路となり、道標は、右手が「大の字」と指示していた。地図を取り出し、これは、我々が予定していた「大の字」ルートではなく、西側から大の字に向かうルートだと判明。
 道の駅で見た案内図をよく見ておけば、分かったことだが、妙義神社で参拝後、左ではなく、右に向かうのが正しいルートだったのだ。
 そんな訳で、途中、「大の字」を右側に眺めるハメになった。(写真下)
[大の字を眺める]

 大の字を眺めた後、右手に下っていく長いクサリ場の前に出た。
 ここで、ヘルメット、ハーネス等を装着する。(今回は、装備としてハーネス、ヘルメット、スリング、カラビナ等を用意との連絡があったので持参していた)
 いよいよスリリングな山行がスタートした。
 尾根筋からクサリを使用して斜面を下っていき、岩壁をトラバースしていく。(写真下)
[長いクサリ場が出現(振り返って撮影)]

 辻という丁字路に到着。(8:37)
 大の字に行くとなると、ここから往復しなくてはならない。今日は、先が長いということもあり、残念ながら、大の字をパスすることとし、この先、縦走路ルートの奥の院へと向かう。

 奥の院に到着。(8:46)
 ほぼ垂直な岩壁にクサリがぶら下がっていた。(写真下)
 ということで、一人ずつ順番にこの岩壁を登っていく。途中、手がかりが見つからず、傾斜がきついので、強引にゴボウで登る。いきなり、両腕のパワー全開となった。
[奥の院のクサリ場(前半)(Sさん撮影)]

 さらに驚いたのは、クサリ場の長さだ。1本目のクサリが終わり、一息ついても、その先にまだクサリ場が連続していた。
 これは、侮れないと、気を引き締める。
 ルートが登りから水平なトラバースになってもクサリが続く。(写真下)
 ここでは、クサリにカラビナを通し、自己ビレイしながら通過する。今まで、クサリ場で自己ビレイなんて、実施した経験は、一度も無かったが、このルートは、確かに必要と感じた。
[奥の院のクサリ場(後半)]

 その後もクサリ場が続き、高度を稼いでいく。
 細い山道を進むと、いきなり視界が広がった。ここが、標識を見て、見晴と呼ばれる箇所だと分かった。
 青々とした爽やかな光景だ。南東側は、富岡方面の平野部は、白く霞んでいてよく見えない。北東側で遠くに見えるのは、榛名山だろうか。そして北西側を眺めると、残雪をつけた、なだらかな山が見えた。
[見晴に出た]

 本日の天候と、見晴での視界の良さに、気分をよくした我々は、縦走を続ける。稜線に出たので、楽な歩きかと思ったら、大間違い。アップダウンの連続で、相変わらずクサリ場が出現する。
[クサリ場が続く(ビビり岩)(Sさん撮影)]

 玉石を通過した後、何気なく左側を覗くいてみる。
 その後、ここが背ビレ岩かなと思いながら、1本の鎖を頼りに痩せた稜線を登っていく。(写真下)
 この時、左側がどうなっているのか、ちょっとクサリを掴んだまま、左側を覗くと、
 「!#$%&¥...!!!」 ....言葉にならず
 なんだか、宙に浮いているような気分で、思わずクサリを掴んでいる手に力が入る。
[背ビレ岩あたり]

 9:50、小ピークに出た。
 標識から、ここが、大のぞきと分かる。既に到着していたNASさん、Bさん、ここまでの緊張感が楽しかったらしく、カメラを向けると、ハイな気分でポーズ。
[大のぞきにて]

 大のぞきからの下りは、またしてもクサリ場だ。
 両手でクサリを掴んで岩場を下っていく。(写真下左) さらに別のクサリが用意されてあったので、下っていく。(写真下右)
[大のぞきからの下り(その1)(Sさん撮影)] [大のぞきからの下り(その2)(Sさん撮影)]

 すると、まだクサリ場が続いていた。おまけに最後のクサリ場は、結構急斜面となっており、ホールドがよく分からず、足は、ペタッと急斜面に押し付けるようにし、ゴボウで下っていく。ゴボウで登るのは、よく経験するが、ゴボウで下るというのは、あまり記憶がない。
[大のぞきからの下り(その3)]

 下りきって、キレットを通過し、再び登りとなる。キツイ登りが続くなぁと思いながら、ようやく登りきると、そこが天狗岩だった。ここでも、小休止となった。
[天狗岩にて小休止]

 天狗岩からのルートは、いったん北西側へと向かい、その後、左へ左へとカーブしていき、Uの字を上下逆にしたようなルートを辿り、相馬岳の登りとなる。左手には、先ほど小休止した天狗岩が見えてきた。(写真下)
 南側の岩壁は、ほぼ垂直である。100m以上の落差があるだろう。
[天狗岩を左に見る]

 11:05、相馬岳頂上に到着。
 ここは、表妙義での最高地点(1104.0m)だ。
 頂上には、既に5,6人が休憩中だった。ここでランチタイムとして、腰かけていると、我々と同じ方向から次々と登山者がやって来た。皆、休憩するので、周りには、登山者がどんどん増えていった。
 ここからは、妙義山の西側(金洞山)方面の眺望が素晴らしい。
[相馬岳(表妙義最高地点)]

 相馬岳を出発すると、急な下りとなる。ここは、岩ではなく土の急斜面となり、クサリが出てこなかったが、滑り易い分、下るのに時間がかかってしまう。
 一旦、鞍部まで下った後、登り返し、国民宿舎分岐点を過ぎると、再び下りとなる。(写真下)
 その後は、比較的歩いやすい尾根道となる。この辺りが茨尾根と呼ばれるところだろう。
 だが、後半、急な登りとなり、小ピークを越える。地図上では、茨尾根のピーク(パノラマ台)と書かれてあった所だったが、あっさり通過。
[茨尾根へと進む]

 もうすぐホッキリだという地点で、NASさんがトランシーバを使用。反対方向を進んでいるYさんチームの場所を確認するためだ。(今までトランシーバで、小休止する度に連絡を取り合い、Yさんチームも順調に進んでいることを確認していた)
 「もうすぐホッキリに着きます。」
と、NASさんが連絡すると、Yさんもそうだとの返事。
 NASさんが、ホッキリに到着したとき、Yさんとは、10mも離れていなかった。ここは、分岐点であるためか、他のパーティが多く、すぐ気がつかなかったのだ。
 無事再会できたことを喜び、出発する。Yさんチームは、中ノ岳からの縦走を終え、このホッキリから中間道へ下る予定だ。
[ホッキリ(堀切)にてYさんチーム(Aさん)と記念撮影(Yさん撮影)]

 ホッキリからは、比較的歩き易かったが、鷹戻しの頭に近づいてくると、急斜面となり、クサリ場が出てきた。
 小さくハングしているようで、片手でクサリを掴んで、一気に登る。クサリは、補助的に使用して登るというのが一般的だが、ここでは、それが通用しない。
 その後、鉄ハシゴを登っていくと、再びクサリ場が現れた。
[鷹戻しの頭へ(その1)(Sさん撮影)]

 クサリ場を一か所通過と思うと、すぐ先に別のクサリが続いている。この辺りは、足場が比較的、しっかりしているので、登りやすい。クサリ場の連続で、一気に高度を稼いでいるのが、よく分かる。
 先を登っているCさんを撮影(写真下)した後、ふと右手の岩壁を眺める。
[鷹戻しの頭へ(その2)]

 クサリを使用して登った後、右手に水平にトラバースしていくが、そこにもクサリが続いていた。
 トラバースを終えたところで、振り返ると、Sさんが登ってきた。思わず、振り返ってシャッターを押下する。(写真下)
[鷹戻しの頭へ(その3)]

 ようやく登りを終え、細い水平路になったところで、小休止。
 どこが鷹戻しの頭のピークなのか、よく分からない。
 ただ言えるのは、ここからは、西側の金洞山の岩峰がだいぶ大きく見えるようになった事だ。
[鷹戻しの頭付近にて]

 一旦下ったと思ったら、再び登り返す。ここは、本当にアップダウンが多い。
 その先、クサリ場の下りとなる。
 前を行くSさんがクサリ場2段目を下降するのを見ていたら、小さくハングしているようで、途中で、足が届かないらしい。だが、Sさん、クサリが3本あったので、両手でクサリを掴み、腕力で下っていった。
 それを見た後、自分の番になる。
 ハングしている箇所の前に近づいた時、Sさんから、短いクサリは、アブミの代わりだとの声を聞く。そう言われれば、クサリは、3本あったが、そのうち2本は、繋がっており、短い。1本だけが、下まで延びていた。
 なるほどと思い、途中で、短いクサリの底(金属板あり)に右足をかけて、下ると、簡単に下っていけた。
 だが、Bさん、Cさんは、もっと楽な方法ということで、懸垂で下降した。
 ....せっかく持参したロープをここまで一度も使用していなかった。
[クサリ場1段目(上から)] [ハングしていたクサリ場2段目(下から)]

 ようやくクサリ場を下り終え、細い山道を進んでいく。この時、左手の光景が、だいぶ変わったことに気がつく。

 やがて、分岐点に到着。時刻は、15:04。
 時間的、体力的にもあまり余裕がないということで、今日は、ここまでと判断。この先の金洞山(東岳、中ノ岳)縦走は、別の機会とし、エスケープルートに入ることにした。
 ....オジサンチームなので、致し方なし

 エスケープルートだからといって素直に下る道ではなく、いきなりクサリ場のトラバース。(写真下)
でも、ホールドは豊富で、下を見てもそんなに高度感なし。
 ....目が慣れてきたのか?
[エスケープルートに入る]

 樹林帯を下っていくが、一本のロープが続いている。
 こんなに長いロープは珍しいなと思いつつ、慎重に進むが、いい加減、飽きてくる。
 ようやく、ロープが終わった。(15:20)
 この先は、緩い斜面となり、前方の光景が、冬枯れの樹林帯から、新緑に変わっていった。
[長いロープのある急斜面の下り]

 15:31、大砲岩分岐点にたどり着いた。
 ここからは、妙義山の中間道となり、安心して歩けるルートとなる。
 小休止して、ヘルメットを脱ぐ。涼しい風が吹くと、髪の毛が冷やされ、爽快な気分だ。
 約10分の休憩後、階段道を下っていく。
[大砲岩分岐点]

 第四石門をくぐる。こんな岩場のトンネルが4か所(第一〜第四)あるらしい。時間があれば、この石門群エリアをじっくり歩いてみたいと思った。
[第四石門(振り返って撮影)]

 県道に出て、妙義公園駐車場で、Bさんの車を待つ。先ほどYさんの車がBさんを拾い、出発点の駐車場から車を走らせてくることになっていた。
 振り返って、今回、パスした金洞山方面の山々(東岳、中ノ岳等)を眺める。
[県立妙義公園駐車場にて金洞山方面を眺める]

 帰りに妙義ふれあいプラザ「もみじの湯」に立ち寄る。
 入浴してさっぱりした後、食堂で、マイタケ天ぷら付きの蕎麦(マイタケたっぷりでコスパ良し)を食べ、帰路に着く。
 ....他のメンバーは、今回、下仁田ネギが売っていないことを嘆いていた。
 [妙義ふれあいプラザ(もみじの湯)]


 今回は、衝撃的でした。妙義山の名前は、以前から知っていたものの、縦走中は、アドレナリン出っ放しでした。確かにあれほど数多くのクサリ場(それも垂直に近かったり、ハングしているのも有り)があったら、事故が発生してもおかしくないと思えました。
 ですが、岩としては、手で掴みやすい形状が多く、かつ、丹沢のようにポロッと欠けたり、浮石だったりすることは、殆どありません(正確には、掴んだ岩が抜けてしまいそうな箇所を3回程度、経験)でしたので、その点は、クライミング向きの山と言えるでしょう。
 そのうち、今回行けなかった中ノ岳、東岳にも挑戦したいと思います。
 ....また宿題が増えてしまった。

 メンバーの皆さま
 今回は、天候にも恵まれ、極めて楽しい山行でした。今後も宜しくお願い致します。




※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。