トップページ他山域山行リスト>金時山・明神ヶ岳・塔ノ峰_記録20170923


金時山・明神ヶ岳・塔ノ峰

 山行日
2017年9月23日(土) 曇
同行者:「山の会2」メンバー 6名(途中から1名)
 コース
乙女峠バス停(8:45)〜(9:27)乙女峠(9:35)〜(9:55)長尾山(9:57)〜(10:39)金時山(10:52)〜(11:23)矢倉沢峠〜(12:56)火打石岳(13:05)〜(14:25)明神ヶ岳(14:29)〜(15:36)明星ヶ岳(15:53)〜(16:46)車道合流点〜(16:59)塔ノ峰分岐点(17:07)〜(17:20)塔ノ峰(17:24)〜(17:56)阿弥陀寺(18:00)〜(18:28)箱根湯本
 今回は、「山の会2」山行において、箱根外輪山の北東部を縦走してきました。
 金時山は、自己未踏の山なので、行く前からワクワクしておりました。前半は、同行メンバー6名でしたが、途中から、予定通り、他事鉄さんと2人だけの縦走となりました。途中、ハプニングがあったりして、なかなか面白く歩けました。
 詳細は、以下をご覧下さい。


 JR御殿場駅改札口で、7人全員が集合。8:15発のバスに乗って乙女峠(バス停)に向かう。
 8:38、乙女峠バス停に到着。このバス停は、昨年の11月以来、2度目の訪問だ。
 今回、富士山は、雲で頭は、見えず。だが、御殿場市街地は、クッキリと眺められた。
 準備運動をした後、まずは、乙女峠を目指して出発する。
[乙女峠バス停からの富士山は、雲に隠れていた]

 ジグザグに登って行き、ようやく乙女峠に到着。(写真下左)
 この乙女峠の謂れの説明板を読む。(写真下右)
 
『昔、仙石原の娘が父親の病気を治そうと、峠の先の地蔵堂に日参し、満願の日に父親の病気は治りましたが、彼女は雪に埋もれて死んでしまった、と伝えられています。彼女の霊を哀れみ、乙女峠と呼んでいます。』
 う〜む。なんとも悲しい伝説だ。乙女峠を訪れるハイカーは、皆、この話に胸を熱くするのだろう。

 だが、「かながわの峠」植木知司(カモメ文庫:神奈川新聞社)では、下記のように記載されている。
 『江戸時代、仙石原に関所が設けられた。関所の取り調べの都合で、よく旅人は峠で足止めされた。そんなところから御留峠と呼び、いつしか乙女峠に転化した。』
 でも、この解釈で気になるのは、関所が、なかった頃でも、この峠道は、存在したのでは?ということだ。そして、江戸時代よりも前から、「おとめ峠」と呼ばれていたとしたら、どうだろうか。
 伝説の通りだろうか。
 それとも...
 ここは、昔から富士山の眺望が素晴らしかったと思われる。それゆえ、富士山が目に留まる、あるいは、足が止まることから、御留峠、御止峠。それが乙女峠に転化という解釈は、どうだろうか。

[乙女峠に到着] [乙女峠の説明板]

 乙女峠にて左折し、外輪山の稜線を金時山方面へと進む。
 樹林に囲まれた登りが続いた後、突如、平坦になったと思ったら、広場に出た。道標を見ると、長尾山頂と書かれてある。ここが長尾山頂のようだが、道標に「長尾山頂」と書かれてなければ、あっさり通過してしまうような場所だった。
[長尾山ピークは、樹林に囲まれている]

 長尾山から金時山は、稜線沿いに登って行くだけかと思ったら、意外にも下りとなった。その後は、登り返しとなる。これは、結構、疲れるなと思いつつ、ガスに囲まれて、周囲が全く見えない中、ひたすら歩く。
 すると、右手に薄らとガスの下に仙石原の町並みが見えてきた。
[仙石原の町並みが見えた]

 登山道は、樹林帯の中、急登が続く。
 その急登が終わると、周囲の木々が低くなり、視界が広がっていくのが分かった。やがて、「天下の秀峰」という文字が目に入ってきて、金時山頂上に着いたことに気がつく。

 生まれて初めて訪れた金時山頂上である。だが、周囲は、乳白色の世界。これは、「天気のいい日に、また来なさい。」という金時山からのサインだろう。
 ここで小休止とする。
 記念撮影をした後、他事鉄さんと私は、予定通り、他メンバーとは別に先行出発することとした。というのも他メンバーは、途中の明神ヶ岳までの山行だが、我々二人は、塔ノ峰までの縦走を予定しているためだ。
[ガスに覆われた金時山頂上に到着]

 皆に見送られて、金時山を他事鉄さんと出発。
 二人となったことで、ペースが上がる。朝方から心配されていた天気の方も、雲の間から日が差してきた。この分ならば、もう天気が崩れることもないだろう。
[矢倉沢峠へと下っていく]

 11:23、矢倉沢峠に到着。
 ここには、「うぐいす茶屋」という店が営業していた。
 メニューを見ると、ビールや焼酎、ホットコーヒー、甘酒、サイダー、オレンジ等、飲み物は、揃っている。それ以外にも「みそこんにゃく、ついています」等、なんだか興味をそそるコメントが書かれてあった。
 だが、まだ昼食には早いですねと、他事鉄さんと話し、先を急ぐことに。
[矢倉沢峠にて]

 うぐいす茶屋を過ぎると、左右がハコネダケだらけとなった。一面、ササ原である。その中に一筋の登山道が見える。これぞ箱根外輪山のイメージだなと思う。
[ササ原の斜面を登って行く]

 ササ原を登っていく途中、振り返ると、さっきまでガスに覆われていた金時山が、その全容を見せていた。その左奥は、長尾山だろう。緑のグラデーションが印象的で、思わず、見入ってしまう。
[振り返ると、金時山ピークが見えた]

 大涌谷の噴気が見えてきた。ちょうど太陽光が、そこだけ当たっているので、嫌でも噴気が目立つ。この噴気のために大涌谷から神山への登山ルート等は、未だ規制中となり、箱根最高峰の神山には登れない状態が続いている。果たして、この規制が解除されるのは、いつだろうか。
[右手に大涌谷の眺め]

 長尾山、金時山とピークを通過して、次の目的ピークは、火打石岳だ。
 山と高原地図「箱根」で見ると、この山のピークは破線ルートとなっており、一般登山ルートは、北側を巻いている。そんな訳で、このピークを踏むとなると、巻道に入らず、尾根筋の破線ルートで尾根に登るか、途中で北側の斜面からピークを直登するかを考えていた。
 だが....

 「他事鉄さん。ひょっとして、火打石岳のピークを過ぎていませんか。」
と、北側の巻道を結構、歩いたので気になり、ここで、伝家の宝刀GPSを取り出す。
 「やはり、行き過ぎていましたね。」
 GPSの現在位置から見ると、火打石岳ピークを目指すには、このまま登山道をもう少し進み、そこから尾根筋沿いにバックして登った方が早いと判断。(山と高原地図には、バックして登る尾根筋に破線ルートが記してあった)
 
 尾根筋合流点に到着。(12:29)
 ここには、火打石岳の説明板が立っていた。(写真下左)
 ここから、バックするように尾根筋に登って行く。何となく尾根筋には踏跡があったのだが、途中から完全に草ヤブとなる。(写真下右)
[火打石岳の説明板] [説明板からバックして尾根筋を登る]

 それでも、草ヤブを掻き分けていくと、小ピークに到着。ここの細い木の幹に黄色いテープが巻かれ、そこには、「火打岳」と手書きされてあった。これは、「火打石岳」の誤りだと思うが、そもそも、ここは、「火打石岳」ピークではない。
 地図で確認すると、さらに進み、一旦、鞍部を通過し、次のピークが火打石岳である。だが、前進すべきルートは、背丈レベルの草ヤブに覆われていた。
 「やはり、引き返しましょう。」
 他事鉄さんから、そう言われて引き返すことに。
[手前のピークにて、引き返す]

 結局、再び「火打石岳」の説明板のところに戻ってきた。(12:45)
 そして、歩いてきた登山道を引き返す。
 7分後、尾根を横切る所で、左手に赤テープを発見。地図で確認すると、この尾根筋を登っていけば、火打石岳のピークに続いていることが分かった。どうやら、そのために赤テープのようだ。そこで、登山道を外れ、左の小尾根を登って行く。ササが茂っていたが、先程のササヤブ程の背丈はなく、密集度もそれほどでもなかった。そんな訳で、どんどん歩いて行けた。
 ....最初に、ここのポイントを見つけていたら、順調だったのに。大いに反省。
[登山道を引き返した後、左の尾根筋に入る]

 やがて正面がフラットとなる。このあたりがピークだとわかったところで、三角点を探す。
 他事鉄さんが、草原の中から三角点を発見し、撮影。
 ようやく火打石岳登頂となった。(12:56)  
[三角点を撮影中の他事鉄さん] [火打石岳の三角点]

 頂上付近で、ふと振り返ってみたら、木立の間から富士山の頭が見えていた。今まで、富士山は、見えていなかったので、痛く感動し、デジカメで撮影。(写真下)
[火打石岳ピークから富士山の眺め]

 火打石岳の三角点をどうにかクリアし、再び登山道に戻って、進む。
 「そういえば、別行動のメンバーは、今、どのあたりでしょうね。」
 そんな事を他事鉄さんと話していたら、なんと目の前に金時山で別れたメンバーの後姿が見えた。こちらのペースが速かったので、追いついたのだ。
 「あれっ、どうしました?」
と聞かれ、
 「火打石岳の三角点で時間をロスしました。」
と話すも、なんとなくバツが悪い。
 「昼飯は、まだ? そうであれば、ここで休憩した方がいい。」
と言われ、先程の火打石岳の説明板の立っているところで、我々は、ランチのため小休止。
 別行動メンバーは、先に出発していった。
 ....せっかく金時山を早く出発したのに。精神的ショックが大きい。
[別行動グループと合流してしまった]

 軽くランチをとった後、出発。
 明神ヶ岳へは、ササ原状態の稜線が続く。遥か先に、先発した別行動メンバーの姿が見えた。
[後発グループが先に進む(望遠で撮影)]

 明神ヶ岳の登りの途中で、10分程、小休止。
 右手には、大涌谷の噴気口が正面から見えるようになった。
 相変わらず上空は、雲に覆われており、噴気は雲と合流していた。

 小休止後、最乗寺奥ノ院への分岐点道標(このルートは、山と高原地図「箱根」には載っていない)を過ぎ、登りは緩やかになった。
 右方向を眺めると、先程までの光景とは、全く変わってしまった。
[大涌谷がよく見えるようになった]

 明神ヶ岳に到着。(14:25)
 ここは、2015年5月以来、2度目の訪問だ。さっきまで、大涌谷などが見えていたのにガスが流れてきて、金時山と同じように遠景は、何も見えなくなってしまった。
 山頂標識から少し離れた所で、別行動グループと再合流。挨拶した後、激励を受け、先に行かせてもらう。
 まさか、もう一度、見送りされるとは思わなかった。
[明神ヶ岳頂上にて]

 先頭を行く他事鉄さんは、いつのまにかダブルストック歩行となり、ペースがアップしている。そんな時、登山道の真ん中にアケビの実がぶら下がっていた。
 これは、珍しいと撮影。(写真下)
[アケビの実がぶら下がっていた]

 正面には、電波塔が並び立つ二子山が見えていた。まだ薄らとガスに覆われているようだ。
 時計を見ると、15:24。
 まだ明神ヶ岳の前だというのに、この時刻だ。果たして陽が落ちる前に塔ノ峰まで行けるのか、ちょっと不安になってきた。
[二子山を望む]

 15:36、明星ヶ岳に到着。(写真下左)
 ここには、三角点があるので、探し始める。
 だが、地図だけでは、よく分からない。よって、伝家の宝刀GPSを取り出す。すると、三角点は、すでに通り過ぎていた事が判明。引き返して、無事、三角点を発見。(写真下右)
 三角点は、密生しているハコネダケの中にあり、登山道から見ると、ちょっとわからないような場所だった。

 三角点の手前で、小休止。他事鉄さんと話した後、別行動のメンバーにTELして、これから予定通り、塔ノ峰に向かうことを伝えた。ちなみに別行動グループは、明神ヶ岳から宮城野に下っている途中だった。
[明星ヶ岳の説明板] [少し戻って明星ヶ岳の三角点]

 明星ヶ岳からは、下り一辺倒だと思ったが、そんなことはなかった。アップダウンが続く。

 16:15、珍しく右手の光景が広がった。
 そのうち、植林帯が出てきて、箱根らしさが、なくなってきた。植林帯での登りがキツイ。このとき、一瞬、夕日が差し込んできた。(写真下)
 先を行く他事鉄さんは、明神ヶ岳を過ぎてから、ペースが速くなった。こっちは、ついていくのが精一杯だ。
[植林帯を登る]

 16:46、舗装路の車道に出た。
 地図で見たら、これは、宮城野から小田原に抜けられる車道で、箱根湯本の渋滞を避ける裏道ルートになっているようだ。この後、後ろから来る車に気をつけながら、車道の端を歩いていく。
[車道に出た]

 16:59、塔ノ峰分岐点に到着。車道から離れ、右手の登山道に入るところで小休止。(写真下)
 ここまで来れば、明るいうちに塔ノ峰に着くだろうと推測。だが、その下りからは、ヘッドライトが必要になると予想された。
[車道との分岐点(塔ノ峰分岐点)]

 分岐点を17:07、出発。
 日が暮れ始めていることで、自然とスピードが上がっている。
塔ノ峰分岐点から道標では、塔ノ峰15分と書かれてあったが、このスピードなら早めに着くだろう...そう思ったのだが、なかなか着かない。
 そんな折、左手の樹林帯が少し途切れていた。

 17:20、塔ノ峰に到着。すでに他事鉄さんは、小休止中だった。
 三角点や頂上説明板などを撮影した後、ライトを首にぶら下げ、スタート。途中で、日没となるのは必至となった。
[塔ノ峰頂上にて]

 樹林帯の中を下っていく途中で、ライトを点灯。慎重に下っていく。登山ルートは、明確だが、足下には、岩あり、根っこあり、段差ありで、時間がかかる。
 ようやく歩き易い道に出たと思ったら、そこが、阿弥陀寺だった。(17:56)
 
水分補給のため、小休止。

 18:00、阿弥陀寺を出発。
 幸いにも、この先は舗装路となった。地図上では、男坂、女坂と下るルートが2通り示されてあったが、真っ暗で男坂への道は、わからないまま、舗装路の女坂を下っていく。
[阿弥陀寺]

 舗装路を下っていくと、正面からバスによる2つのライトがこちらを照らしてきた。
 思わず避けようと道端に進むと、そのライトは、手前で急に右手に動いていった。
 「あれっ?」
と思ったら、そこは、丁字路だったのだ。周囲が真っ暗だったので、それが全然、分からなかった。地図を見て、塔ノ沢駅と箱根湯本駅間を結ぶ車道に出たということを知る。また、先程のバスは、旅館の送迎バスだと分かった。

 左折して車道を歩く。車の往来が多いにも関わらず、街灯がないため、相変わらずライトを点けている。右下から、箱根登山鉄道の走行音が聞こえてきた。どうやらすぐ下を通っているようだが、灯りがないので、よく分からない。
 坂を下り、登山鉄道の下をくぐって、ようやく箱根湯本駅に到着。
 時計を見たら、18:28だった。
[箱根湯本駅に到着]

 小田原の居酒屋で、明神ヶ岳にて別れたグループと合流。こうやって再会しての反省会は、なかなかオツなもの。お互い、計画通りのルート踏破を祝い、生ビールで乾杯。
 ....別グループは、宮城野で温泉に入り、余裕の移動。
[小田原で、再び合流]

 【本日の花】
 マツムシソウは、箱根でよく見られる花です。
 マルバフジバカマは、初めて見た花でしたが、登山道横だけではなく、植林帯にて群落ありと、今回、時期が良かったのか、非常に目立った花でした。
[マツムシソウ] [マルバフジバカマ]


 天気が心配でしたが、決行して正解でした。
 今回は、久々のロング山行で、箱根外輪山を堪能しました。残念だったのは、金時山からの富士山の眺めが得られなかったことですが、これは、そのうち、再訪する動機になるかと思います。

 他事鉄さん
 最初から最後まで、ご同行ありがとうございました。




※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。