トップページ他山域山行リスト>槍ヶ岳_記録20220805


槍ヶ岳

 山行日
2022年8月5日(金)〜7日(日) 曇・晴・晴 同行者:「山の会」メンバー 2名
 コース
2022/8/5:上高地バスターミナル(12:27)〜(12:32)河童橋〜(13:16)明神館〜(14:13)徳沢園(14:32)〜(15:39)横尾山荘(泊)
2022/8/6:横尾山荘(6:27)〜(7:57)槍沢ロッヂ(8:20)〜(10:17)天狗原分岐〜(11:52)殺生ヒュッテ(12:28)〜(13:07)槍ヶ岳山荘(13:44)〜(14:04)槍ヶ岳(14:36)〜(15:04)槍ヶ岳山荘(泊)
2022/8/7:槍ヶ岳山荘(6:21)〜(7:52)天狗原分岐〜(9:14)槍沢ロッヂ(9:35)〜(10:49)横尾山荘(11:16)〜(12:13)徳沢園(13:25)〜(13:08)明神館(13:18)〜(13:56)河童橋(14:02)〜(14:08)上高地バスターミナル
 この度、2010年8月以来、12年振りに槍ヶ岳山行を計画しました。ルートは、上高地からの槍沢往復とし、ピークを目指すことを目的として、2泊3日としました。
 詳細は、以下をご覧下さい。


<第1日>
 今回の同行メンバーは、KEKさん、YUTさんのお二人。先月の塩見岳登頂メンバーと同じだ。というのも、塩見岳山行の計画と、ほぼ同時に槍ヶ岳の計画も並行して進めていた。お二人とも槍ヶ岳は、初めてなので気合十分。
 ....ちなみに私は、通算9回目。槍ヶ岳愛を語ると熱いです。

 新宿7:00発のあずさ1号に乗車し、松本に9:38着。その後、松本バスターミナルに移動して、10:15発の上高地直行バスに乗車。
 以前とルーチンが異なったのは、(1)あずさ1号乗車券&指定席券を1ヶ月前から、えきねっとトクだ値30で予約したこと(この結果、通常の3割引きで購入できた)、(2)松本〜上高地間のバスが予約制となったため、ネット予約したこと、(3)槍ヶ岳山荘予約が、ネット予約で可能となったこと(宿泊の予約だけ。決済は未)など。交通・宿泊サービスが、どんどんネット対応している。(但し、今回の横尾山荘は、電話予約対応だけだった)

 上高地バスターミナルに11:46着。(写真下左)
 ここで、登山計画書を提出し、昼食をとった後、12:27、出発する。 (写真下右)
[上高地バスターミナルに到着] [バスターミナルを出発]

 河童橋には、大勢の観光客が目に入る。
 穂高岳方面の稜線は、全面的に雲で隠れてしまい、眺めることが出来ない。やはり、この時間帯で穂高の稜線眺めを期待するのは、難しい。上高地は、この時季、午後になると、夕立がやってきたり、天気雨になったりする可能性が高いとKEKさんと話す。
 YUTさんは、焼岳方面をスマホで撮影していた。(写真下)
[河童橋前にて]

 焼岳方面を撮影。(写真下)
 焼岳は、今年の7月12日に噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)から1(活火山であることに留意)に引き下げられていた。
 ....焼岳は、上高地でキャンプしたら、是非、日帰り登山してみたい。
[焼岳を望む(振り返って撮影)]

 河童橋から、明神館(明神分岐)へと向かう。
 途中、左手に明神岳5峰が見えた。(写真下) 雲に覆われないうちに、急いで撮影。
[左手に明神岳5峰が見えた]

 明神館を過ぎ、ほぼフラットな歩道を歩いていく。
 13:56、梓川の広い河原の前に出ると、正面に三角形の中山が見える。よく見ると、その左奥に大天井岳が見えていた。(写真下)
  ....12年前も同じ場所で撮影していた。
[遥か奥に大天井岳を望む]

 徳沢園で小休止。(14:13〜14:32)
 冷たい食べ物が欲しくなり、思わずソフトクリームを購入。
KEKさんは、ダイヤレモンという炭酸飲料(いまどき珍しいビン)を、YUTさんは、コーヒーソフトを注文。
 ....ソフトクリームは、撮影しているうちに溶けてくるので、要注意。
[ソフトクリームを購入]

 徳沢園を出発して15分後、新しい車道(未舗装)が左後方から合流し、この先は、幅広の車道(未舗装)を歩くようになっていた。(写真下左)
 これは何?と思っていると、工事看板の隣に立つ「上高地 再生と安全プロジェクト」の説明板が目に入る。
『上高地 再生と安全プロジェクト
 管理用道路は、上高地の安全な利用(傷病者の搬送等)のために必要ですが、梓川の自然に悪影響を与えています。松本市では、梓川本来の自然な流れ「網状流路」を再生するとともに、上高地をより安全に利用できる環境に整備するプロジェクトに取り組んでいます。
 管理用道路の改善と自然な流れの再生
  (1)管理用道路のルート最適化
   ・被災リスクの低減
   ・環境への影響を最小化
  (2)新村橋の架替え
   ・管理用車両の安全な通行
  (3)仮設橋・土砂堤防の撤去
   ・梓川の「網状流路」の再生 』

 これらの文章とイラスト図を読み進めると、結局、
  ・新村橋を架替え、車両が通行できるようにする。
  ・梓川左岸の徳沢〜横尾間に管理用道路を造成し、車両が入れるようにする。
との事のようだ。
 なお、R4年10月17日頃〜11月15日は、徳沢〜横尾間の従来ルートは、通行止め区間が発生し、その期間の迂回路は、梓川右岸を通るようになると記載されてあった。
[新しい車道が出来ていた(振り返って撮影)] [再生と安全プロジェクトの説明板]

 15:00、歩道の幅が元に戻っていた。(写真下)
 おそらく今後、工事が進み、横尾山荘まで管理用道路として、道幅の拡張工事が進められるのだろう。
[歩道の幅が元に戻る]

 15:16、突然、雨が降ってきた。
 「やはり、予想通り、雨が降ってきたね〜。」
と、KEKさんと話す。この後、傘を差して歩き続ける。(写真下左)

 もうすぐ横尾山荘かなと思っていたら、歩道右手の岩陰に何やら動くものが。
 オコジョだった。カメラを向けるが、動きが速く、後姿しか撮影できなかった。(写真下右)
 なお、オコジョの立ち上がった姿は、腹側が真っ白で、首長・胴長という強烈な印象を受けた。
 ....やはり、イタチ科イタチ属だけにイタチそっくり。
[雨が降ってきた] [オコジョが現れた]

 目の前にテント場が見えたら、雨が止み、今度は、陽が差してきた。やはり、予想通り、天気がコロコロ変わるな〜と思いつつ歩いていくと、すぐ先に横尾山荘が見えてきた。(写真下)
 15:39、本日の宿、横尾山荘に入る。
[横尾山荘に到着]

 横尾山荘の宿泊受付を終えると、ちょうど風呂の開始時刻16:00となり、まずは、入浴。
 風呂上りに缶ビールで乾杯。(ここの銘柄は、何故かハイネケンだった)
 
夕食後にも、山荘の自販機で購入した酒で乾杯。(写真下)
[夕食後も乾杯]

<第2日>
 5:30に朝食をとり、6:20に小屋の外に出たら、既に20人ぐらいの登山者が準備中だった。目の前に聳え立つ前穂高岳を撮影しようと思ったのだが、残念ながら、雲に隠れて全く見えなかった。
 6:27、横尾山荘を出発。
[横尾山荘を出発]

 7:05、槍見河原に到着。(写真下)
 槍の穂先が見えることで、この名が付いたのだが、今日は、雲で生憎見えず。
[槍見河原にて]

 一ノ俣、二ノ俣と沢を渡り、7:31、槍沢左岸を進む。
 沢には、朝靄がかかり、ちょっと幻想的だと思ったのだが、太陽光が強烈過ぎて、今ひとつバランスが悪い。(写真下)
[槍沢(梓川上流)の流れ]

 槍沢左岸沿いから登山道は、離れ、樹林帯の斜面を登っていく。
 7:57、槍沢ロッヂ到着。ここで、冷えた缶コーラを購入。
 喉ごし爽やかで、至福のひと時。
[槍沢ロッヂにて小休止]

 いつものことながら、槍ヶ岳を登る際、この先が長く感じられる。
 槍沢左岸を登っていくが、前方には、まだ槍ヶ岳の姿は、見えない。(写真下)
[槍沢左岸を登っていく(1)]

 9:20、水俣乗越への分岐点となる大曲を通過。
 
9:27、槍沢上流部の視界が広がる。雲が湧き、稜線は、はっきりと眺めることが出来ない。ここまで来ると、いよいよ木陰が無くなり、直射日光をモロに浴びるようになる。(写真下)
[槍沢左岸を登っていく(2)]

 天狗原分岐点を通過して、約40分後、10:56、正面に槍の穂先が見えた。
 ということで、小休止。(写真下)
 相変わらず木陰が無く、汗ダクダクの状態となり、ちょっと体力を消耗しているなと自己診断。
[正面に槍の穂先が見えた]

 天に突き上げるような見事な三角形。しばし、立ったまま眺め入る。(写真下)
 また、今年は、残雪がかなり少ないという事に気がついた。
[ようやく姿を現した槍の穂先]

 槍の肩に直登せず、殺生ヒュッテに寄り道し、ランチタイムを兼ねて小休止。(写真下左)
 昼食用のパンを食べるが、
天気が良過ぎて、やたらと炭酸飲料を飲んでしまい、小銭がどんどん出ていくのが気になるところ。(写真下右)
[殺生ヒュッテで小休止] [ここでもコーラ]

 12:28、殺生ヒュッテを出発。
 ここからは、ジグザグに登り、標高を稼いでいく。ようやく槍の穂先に近づいてきたことを実感。
 今日は、どうもスタミナ不足のようで、撮影しながら登っていると、徐々に先行のお二人に追いつけなくなっていた。
[ジグザグ道を登っていく]

 ハアハア言いながら登っている途中、振り返ると、常念岳が雲の間から顔を出していた。
 思わず撮影。(写真下)
[常念岳がガスの間から現れる(望遠で撮影)]

 13:07、槍ヶ岳山荘に到着。(写真下)
 チェックインした後、部屋を確認するが、予想以上に山荘内は、登山者で混んでいた。本格的な夏山シーズン真っ只中というイメージだ。
 小休止後、ヘルメットを被り、山頂に向かうことにした。
[槍ヶ岳山荘に到着]

 13:44、山荘を出発。
 大槍の岩場に取り付く。雲が多いせいか、他の登山者を見かけることなく、登りは、渋滞していなかった。最初、私が先頭で登っていたが、途中で、お二人に先に行ってもらうと、どんどん登っていってしまった。まあ、一緒に沢登りやインドアクライミングをやってきた経緯からして、お二人とも岩場が楽しいようだ。
[槍のピークに向かう]

 最後の長い鉄ハシゴを登っていく。これを登り切れば、山頂だ。
 14:04、槍ヶ岳のピークに到達した。
 振り返ると、小槍の上に3人のクライマーを見かけた。(写真下)
[小槍を見下ろす]

 頂上には、着いたものの、背景は、真っ白なスクリーン状態。(写真下左・右)
 幸い、続々と登山者がやって来なかったので、雲が切れないかと、頂上で小休止。
 すると、雲が動き始めた。
[槍ヶ岳頂上にて] [頂上での記念撮影]

 南側の雲が上昇し、大喰岳方面が見えてきた。
 残念ながら、穂高方面(奥穂高岳、前穂岳北尾根など)は、まだ雲の中だ。
[大喰岳方面]

 また、北鎌尾根の独標が見えてきた。(写真下)
 雲が流れ始め、ほんの一瞬だったが、運よく撮影できた。
[北鎌尾根の独標方面]

 14:36、下山開始。
 下り用の鉄ハシゴを眺めていたら、初めて登った時(約40年前)の頂上からの最初の下りを思い出した。当時は、この頂上の鉄ハシゴがなく、太い綱を掴みながら、大岩に腹を当て、足場が見えない状況で、腹が岩に当たる状態をキープしたまま、綱を握る位置を徐々に下げていく。そして、どうにか足場を見つけ、下っていく。
 ....未だに忘れられないスリル満点の下山だった。

 鉄ハシゴの先頭は、YUTさん。(写真下左) 続いてKEKさん。しかしまあ、登りも速かったが、このお二人、岩場の下りでも滅法速い。見ている間にスルスルと下っていってしまう。
 ....こちらは、老眼、かつ体重があるので、一歩一歩クサリを掴んで、確実に下っていく。
 途中、お二人に振り返ってもらい、槍ヶ岳山荘をバックに撮影。(写真下右)
[ピークからの下り] [眼下に槍ヶ岳山荘]

 頂上から下ってきた後、槍ヶ岳山荘前のテーブルにて、登頂を祝い、生ビールで乾杯。
 生ビールは、1杯1200円でちょっとビックリ。確か12年前は、800円だったという記憶があった。
[山荘前にて生ビールで乾杯] [大槍をバックに3人で記念撮影]

<第3日>
 起床して、すぐ外に出てみる。大槍の上空の雲が曙色に染まっていた。(写真下)
 今日は、昨日よりも天気がよさそうだ。
[御来光前にて]

 東側には、常念岳のシルエットがクッキリ。(写真下)
 ここから見ると、常念乗越(常念岳の北側鞍部)から常念岳頂上への登り(標高差約400m)がキツそうだ。
[常念岳方面]

 大槍の下の方に移動することで、大喰岳方面は、奥穂や前穂まで眺められた。
 久々に遠景までクッキリ眺めることができた。
[大喰岳方面がクッキリ]

 6:21、槍ヶ岳山荘を出発する。
 下りということで、ストックを取り出す。陽が照りつけ、眩しい。朝から暑くなりそうだ。
[槍沢を下っていく(1)]

 登りで立ち寄った殺生ヒュッテは、パスし、最短ルートで下っていく。
 7:17、大槍がギリギリ見える箇所で小休止。
 下りと言えども、1時間毎ぐらいで休むことにしている。
 ....丹沢大倉尾根の下りで、転倒の危険度が増すのは、頂上から下り始めて1時間過ぎ。

 大槍に別れを告げた後、ジグザグに下っていく。(写真下)
 相変わらず、お二人は速い。撮影していると、すぐに離されてしまう。
[槍沢を下っていく(2)]

 8:21、腰を下ろして小休止。振り返ると、稜線には、雲が湧き、昨日と全く同じような光景となった。(写真下) ペットボトルの麦茶を飲み、ほんの少し(100cc以下)残す。もうザック内の水は、これだけとなった。
 ....槍沢ロッヂでのコーラが楽しみ。
[小休止(振り返って撮影)]

 9:14、槍沢ロッヂ到着。
 行きと同じように缶コーラを購入。喉ごし爽やかで、生き返った心地。
 ....そういえば、ここも殺生ヒュッテもペプシだった。珍しく、お二人もコーラを購入。
 ちなみに槍ヶ岳山荘から、ここまで、すれ違った登山者をカウントしていたら、ちょうど150人だった。
[やっぱり冷えたコーラ]

 槍沢ロッヂを過ぎると、もう緩やかな下りしかないので、気分的に楽になる。
 9:53、沢沿いに歩いてく。(写真下)
 強い日差しだが、沢沿いの風が涼しい。
[槍沢沿いに下っていく]

 10:49、横尾山荘に到着。(写真下)
 槍沢ロッヂからここまで61人とすれ違う。槍沢ロッヂまですれ違った人数と合わせると、本日既に200人以上が槍ヶ岳に向かったようだ。
 例によって、冷えた缶コーラを買って飲む。
 ....やはり、ここもペプシだった。おっと、YUTさん、その緑色の缶は、もしやハイネケン?
[横尾山荘に到着]

 12:13、徳沢園で小休止。帰りは、コーヒーソフトを購入。(写真下左) シナモンの香りが漂い、濃いめのアイスコーヒーとソフトクリームがよくマッチしていた。
 ....ソフトクリームと違って、ゆっくりと撮影できたのが嬉しい。

 明神館(明神分岐)を過ぎると、観光客が増え、路上が混んできた。
 13:56、河童橋に到着。(写真下右)
 振り返って穂高方面を眺めると、一昨日と同じ、稜線には雲がかかっている光景だった。

[コーヒーソフト] [河童橋(振り返って撮影)]

 14:08、上高地バスターミナルに到着。
 14:40、新島々行きのバスに乗車。(写真下)
 今回、予定通りの行動だったので、事前にネット予約していた時刻のバスに乗ることが出来た。乗車する際、予約した時の受信メールを紙に印刷したものをスタッフに見せる。これは、行きのバスと同じ。違うのは、行きは、バス1本だけだったが、帰りは、新島々で電車に乗り換えるということ。そして、ネット予約でクレジットカード決済した運賃は、電車代も含んでいたということ。
 新島々駅改札口で、再び受信メールを印刷したものを駅員に見せると、運賃精算券が渡された。だが、その際、私が印刷した紙を駅員に取られてしまった。
 .....まさか提出するものとは思っていなかった。他の紙とホッチキスで留めていたので、渡すのに手間取ってしまった。

 なお、新島々で電車を待っている間、帰りの特急あずさの指定席を各自のスマホから、えきねっとで予約。
[上高地バスターミナルにて]

 松本駅到着後、タクシーに乗り換え、日帰り入浴施設に向かう。
 5分ぐらいで、到着。場所は、「湯の華 瑞祥 松本館」。以前も利用したことがあり、ゆったりと過ごせるところだ。今回も、比較的空いていて、風呂上りに生ビールが飲めて、大満足。
 その後、タクシーを呼んで、松本駅に戻り、帰路についた。
 [松本にて日帰り入浴]


 今回の槍ヶ岳は、天気に恵まれた山行となりました。高山植物は、少し遅かったせいなのかどうかわかりませんが、以前のようなハクサンイチゲ、クルマユリ等の花は、全く見られず、イワベンケイ、ミヤマトリカブトが目立っていました。
 また、バスや宿の事前予約が必須となったことで、直前に天気を見定めた後、即実行という山行が、難しい時代となったことを痛感しました。

 KEKさん、YUTさん、ご同行有難うございました。また、宜しくお願い致します。



※山行時間には、撮影時間を含んでおりますので、ご注意下さい。